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白銀の国3
孫娘の結婚相手
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白銀の国の城へと入り、大きな広い部屋へと通される。
そこには長テーブルがいくつも置いてあり、その上には大皿に乗った料理が並べられている。
ビュッフェ形式でとるようになっていて、周りには座れる場所もある。
まるでどこかのパーティ―会場のようだ。
奥には区切られた場所があって、そこではヒサメと交渉人が仕事の話をしている最中だ。
私が周りを見渡すと、ザッフィロがこちらに手を振った。
その隣のソファ椅子にソラが眠っている。
「ザッフィロさん、ソラのことありがとうございます。」
「構わねぇよ。あんたも何か料理を取ってきたらどうだ?」
ザッフィロにそう言われ、私は長テーブルに近づいた。
お皿にパンやハムを乗せていると、ビルがこちらに駆け足で近づいてきた。
なんだか困り果てているという感じだ。
「リビさん、ちょっと助けてください。」
そうしてビルについていくと、そこにはアワン族長とフジャンが椅子に座り、その向かいにシグレが立っていた。
「孫娘のビルのことを、どう思っとるか聞かせて欲しいだけじゃ。」
「ですから、私はただの護衛であり、仕事上のパートナーですよ。」
涼し気な顔で答えているシグレだが、この様子だと何度も質問されているようだ。
「おばあちゃん、あんな感じでシグレさんを困らせているんです。おばあちゃんが納得するような説明ってどうすればいいんでしょうか。」
孫娘がいくら説明しても聞いてもらえず、私に頼みに来たのだろう。
しかし、私が言ったところでアワン族長が納得するかどうか。
私はとりあえず、二人に自然に話しかけた。
「アワン族長、フジャンさん、お久しぶりです。」
「おお、リビではないか。送ってくれた手紙に孫の元気な様子を書いてくれて助かった。ソラは寂しがっておったがのう。」
「ソラのことありがとうございます。トゥアさんにもたくさんお世話になったそうで、本当に助かりました。ありがとうございます。」
挨拶を済ませて、私はシグレを横目に見る。
「アワン族長、シグレさんとお話し中でしたか。」
「うむ。孫娘とのことを聞こうと思ったんじゃが、ただの仕事だと一点張りでのぉ。」
「ビルさんは今、白銀の国で職人として働いており、シグレさんはその護衛です。現段階でそれが揺らぐことはないと思います。ビルさんの護衛はヒサメ様の命でもあります。その命を反故にするようなことを、この真面目で堅実な騎士がするはずありません。騎士にとっての一番は国王ですから。」
アワン族長は私の言葉に考えが揺れているようだ。
あと一押しだろうか。
「今白銀の国は変わろうとしています。今回の要塞の鉱石浄化はそのうちの一つです。まだまだ、目標達成へ向かう途中で、ビルさんもそして泉の谷の皆さんの力もこれからの白銀の国に必要です。そんな大切な交流に水を差すような騎士は、この国にはいませんよ。」
「勿論、騎士の仕事への誠実さを信用しておらん訳ではないんじゃ。リビの言うことも分かる。じゃが、孫への心配も分かるじゃろう?」
アワン族長の娘は既に亡くなっている。
その娘が残した孫二人を心配しない訳がない。
「アワン族長、ビルさんは確かに彼を特別に思っていますが、ビルさんが今一番したいことは、自分と同じように困っている子供を助けることです。それを実現させるために谷を出て、職人になり、情報収集に努めています。彼女がその他のことに目を向ける余裕が今はありません。アワン族長の悩みは、ビルさんがもう少し大人になってからだと思いますよ。」
「そうか、それなら今は、仕事のパートナーということで納得するしかないのぉ。」
私は心の中でガッツポーズを取りつつ、フジャンに目で合図した。
フジャンは何かを察したように、アワン族長に話しかける。
「それじゃあ族長。せっかく白銀の国の方々が食事を用意して下さったんですから、食べましょう!」
「そうじゃなぁ。頂くとしようか。」
フジャンとの連携により、なんとかこの場を収めることに成功した。
ビルは私にぺこぺこと頭を下げる。
「リビさん助かりました!シグレさんも本当にすみません!」
そんな様子にシグレはニコッと笑顔を見せる。
「族長さんのお気持ちは分かりますので、構いませんよ。ビルさんも今日は、ご家族と過ごされてはいかがですか?本日は他国のお客様が大勢いるので騎士の警備は万全です。お部屋も、族長さんがたと同じ部屋をご用意しますよ。」
「何から何まで、ありがとうございます。私、おばあちゃんのところに行ってきますね。」
ビルはそう言うと、料理を選んでいるアワン族長とフジャンの元へと走って行った。
シグレはそれを見届けると、私に目配せして大きなガラス扉を開けてバルコニーへ出た。
「弁解して頂き助かりました。私の言葉では信用して頂けなかったので。」
シグレは先ほどの笑顔を崩し、疲労を見せる。
思っていたよりも困っていたようだ。
「シグレさんなら上手い切り抜け方が出来そうですけど。」
「あまり上手い切り抜け方をしても、心配を増やすと思ったんです。以前トゥアさんに詐欺師と言われてしまいましたし。」
気にしてたのか。結構繊細な人だな。
「正直な話、言いくるめることは得意な方ですよ。詐欺師のような口八丁ができない訳ではありません。でも、私のこの立場だからこそ何を言っても駄目なときもある。リビさんが代わりに言って下さったおかげでそれが真実になります。」
「真実?」
「大切な交流に水を差す騎士はこの国にはいない。この国の出身ではない貴女が言うからこそ意味がある。それを真実にするためにも、部下を指導する私にも身が入りますよ。」
シグレさんの部下の皆さんご愁傷さまです。
と思ったが、まさか私も入ってないだろうな。
横目でシグレを見たが、町を見下ろしていてこちらを見てはいなかった。
そこには長テーブルがいくつも置いてあり、その上には大皿に乗った料理が並べられている。
ビュッフェ形式でとるようになっていて、周りには座れる場所もある。
まるでどこかのパーティ―会場のようだ。
奥には区切られた場所があって、そこではヒサメと交渉人が仕事の話をしている最中だ。
私が周りを見渡すと、ザッフィロがこちらに手を振った。
その隣のソファ椅子にソラが眠っている。
「ザッフィロさん、ソラのことありがとうございます。」
「構わねぇよ。あんたも何か料理を取ってきたらどうだ?」
ザッフィロにそう言われ、私は長テーブルに近づいた。
お皿にパンやハムを乗せていると、ビルがこちらに駆け足で近づいてきた。
なんだか困り果てているという感じだ。
「リビさん、ちょっと助けてください。」
そうしてビルについていくと、そこにはアワン族長とフジャンが椅子に座り、その向かいにシグレが立っていた。
「孫娘のビルのことを、どう思っとるか聞かせて欲しいだけじゃ。」
「ですから、私はただの護衛であり、仕事上のパートナーですよ。」
涼し気な顔で答えているシグレだが、この様子だと何度も質問されているようだ。
「おばあちゃん、あんな感じでシグレさんを困らせているんです。おばあちゃんが納得するような説明ってどうすればいいんでしょうか。」
孫娘がいくら説明しても聞いてもらえず、私に頼みに来たのだろう。
しかし、私が言ったところでアワン族長が納得するかどうか。
私はとりあえず、二人に自然に話しかけた。
「アワン族長、フジャンさん、お久しぶりです。」
「おお、リビではないか。送ってくれた手紙に孫の元気な様子を書いてくれて助かった。ソラは寂しがっておったがのう。」
「ソラのことありがとうございます。トゥアさんにもたくさんお世話になったそうで、本当に助かりました。ありがとうございます。」
挨拶を済ませて、私はシグレを横目に見る。
「アワン族長、シグレさんとお話し中でしたか。」
「うむ。孫娘とのことを聞こうと思ったんじゃが、ただの仕事だと一点張りでのぉ。」
「ビルさんは今、白銀の国で職人として働いており、シグレさんはその護衛です。現段階でそれが揺らぐことはないと思います。ビルさんの護衛はヒサメ様の命でもあります。その命を反故にするようなことを、この真面目で堅実な騎士がするはずありません。騎士にとっての一番は国王ですから。」
アワン族長は私の言葉に考えが揺れているようだ。
あと一押しだろうか。
「今白銀の国は変わろうとしています。今回の要塞の鉱石浄化はそのうちの一つです。まだまだ、目標達成へ向かう途中で、ビルさんもそして泉の谷の皆さんの力もこれからの白銀の国に必要です。そんな大切な交流に水を差すような騎士は、この国にはいませんよ。」
「勿論、騎士の仕事への誠実さを信用しておらん訳ではないんじゃ。リビの言うことも分かる。じゃが、孫への心配も分かるじゃろう?」
アワン族長の娘は既に亡くなっている。
その娘が残した孫二人を心配しない訳がない。
「アワン族長、ビルさんは確かに彼を特別に思っていますが、ビルさんが今一番したいことは、自分と同じように困っている子供を助けることです。それを実現させるために谷を出て、職人になり、情報収集に努めています。彼女がその他のことに目を向ける余裕が今はありません。アワン族長の悩みは、ビルさんがもう少し大人になってからだと思いますよ。」
「そうか、それなら今は、仕事のパートナーということで納得するしかないのぉ。」
私は心の中でガッツポーズを取りつつ、フジャンに目で合図した。
フジャンは何かを察したように、アワン族長に話しかける。
「それじゃあ族長。せっかく白銀の国の方々が食事を用意して下さったんですから、食べましょう!」
「そうじゃなぁ。頂くとしようか。」
フジャンとの連携により、なんとかこの場を収めることに成功した。
ビルは私にぺこぺこと頭を下げる。
「リビさん助かりました!シグレさんも本当にすみません!」
そんな様子にシグレはニコッと笑顔を見せる。
「族長さんのお気持ちは分かりますので、構いませんよ。ビルさんも今日は、ご家族と過ごされてはいかがですか?本日は他国のお客様が大勢いるので騎士の警備は万全です。お部屋も、族長さんがたと同じ部屋をご用意しますよ。」
「何から何まで、ありがとうございます。私、おばあちゃんのところに行ってきますね。」
ビルはそう言うと、料理を選んでいるアワン族長とフジャンの元へと走って行った。
シグレはそれを見届けると、私に目配せして大きなガラス扉を開けてバルコニーへ出た。
「弁解して頂き助かりました。私の言葉では信用して頂けなかったので。」
シグレは先ほどの笑顔を崩し、疲労を見せる。
思っていたよりも困っていたようだ。
「シグレさんなら上手い切り抜け方が出来そうですけど。」
「あまり上手い切り抜け方をしても、心配を増やすと思ったんです。以前トゥアさんに詐欺師と言われてしまいましたし。」
気にしてたのか。結構繊細な人だな。
「正直な話、言いくるめることは得意な方ですよ。詐欺師のような口八丁ができない訳ではありません。でも、私のこの立場だからこそ何を言っても駄目なときもある。リビさんが代わりに言って下さったおかげでそれが真実になります。」
「真実?」
「大切な交流に水を差す騎士はこの国にはいない。この国の出身ではない貴女が言うからこそ意味がある。それを真実にするためにも、部下を指導する私にも身が入りますよ。」
シグレさんの部下の皆さんご愁傷さまです。
と思ったが、まさか私も入ってないだろうな。
横目でシグレを見たが、町を見下ろしていてこちらを見てはいなかった。
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