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泉の谷
闇属性の常識
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「それでは改めて自己紹介を致しましょう。ヒサメ様直属の部下、シグレと申します」
ふさふさの耳と尻尾はヒサメよりもグレーがかっており、体格は鍛えているのは分かるが、ヒサメとフブキよりは細身に見える。
身長はフブキと同じくらいの印象だ。
「王様の部下、ですか」
「ヒサメ様は元より王族護衛の騎士の長でした。国王になられた今、私はヒサメ様の側近であり、左腕です」
「左、ですか」
私がそう言うとシグレはとても言いづらそうな顔をした。
「ヒサメ様の右腕の位置は空いてませんので」
ああ、フブキさんいるもんね…。
「ヒサメ様は一途なお方なので、あの馬鹿をずっと待っていらっしゃる」
え、今馬鹿って言った?
「あの、それってフブキさんのことですか」
「ああ、リビさんたちは会っているんでしたね。元気にしてますか、あいつ」
「え、はい、元気ですよ」
「チッ」
え、舌打ちした?
シグレは笑顔を作ると狼の武器である爪を出した。
「失礼致しました、話が逸れましたね。そろそろ、魔力強化の特訓を致しましょうか」
その瞬間、自分の頬に痛みが走り呆然とした。
いつの間にかシグレは後ろに立っていて、鋭い爪を私の首元にあてている。
頬から流れ出る血がポタリと襟に落ちた。
「よろしいですかリビさん。私は常日頃から部下に言い聞かせています。手を抜こうなどと考えるな、相手がどんなに弱く見えても油断してはならない。ですので私は全力でいかせて頂きます」
ようやく爪が首元から離れたが、心拍数は落ち着かない。
「命のやり取りこそ効率の良い魔力の強化です。しかも貴女は闇魔法の持ち主だ。負の感情の起伏によって得た魔力を保持することはご存知ですか?」
「・・・それって、常識ですか?」
ツキから聞いて知っているものの、他の人から聞いたことがない話だ。
アイル先生でさえ、一時的なものという知識しか持っていなかった。
「闇属性の一族からしてみると常識ですね。光属性の者はあまり知らない事でしょう。リビさんも、口外されない方がよろしいですよ」
「意図的に隠しているということですか」
「教えるメリットがないでしょう?この方法は闇属性にしか適用されないんですから」
「でも、負の感情によって魔力が強くなるなら、差別や迫害によって闇魔法の人は余計に力を持ってしまうってことなんじゃ・・・」
「リビさん、貴女はどちら側に立っていますか」
シグレにそう問われて私は固まった。
「どちらって、闇魔法とそれ以外ですか。それって、どちらかに立たないといけないんですか?」
「貴女は差別のない太陽の国にいることでその境界が曖昧なのかもしれませんね。ですが、よく考えてください。差別は今も無くなっていない。人間で闇魔法を持っている貴女の立場になって答えて差し上げましょう。光属性の人間は貴女を恐れている。どんな闇魔法を持っているのか、どれほどの魔力を持っているのか。周りの人間が気になるのは貴女の人間性などではなく、貴女の闇魔法の危険性です。自分に害を及ぼす可能性の高い闇魔法の貴女を誰もが警戒し遠ざけるでしょう」
シグレの言葉がひとつひとつ私に刺さっていく。
差別があることは分かっている。
それでも私の周りにいた人たちは、私自身を見てくれていた。
「そんな差別のあるこの世界で、闇魔法は負の感情によって魔力が向上し、その力を維持することが出来るというのが広まったらどうです?じゃあ差別を無くそうか、なんてことになりますか?残酷なことを言いますが、あり得ないですよ。気を遣う人間は出てくるでしょう。怒らせないように、負の感情を起こさせないように接してくる人間が増えれば増えるほど、貴女はひとりぼっちになっていくでしょうね。なぜなら普段通りに接してくれるご友人のことも貴女は信じられなくなるからです。気を遣われている、自分が闇魔法だからとふさぎ込んでいく未来が見えますよ」
私に普通に接してくれるみんなのことを信じられなくなる。
それは、私にも見える未来だ。
「差別を無くそう、という考えを否定するわけではありませんが、今までやってきた差別はそのまま残ったままです。そうなるとどんなことが起きるのか想像してみましょうか。今まで差別して排除してきた闇魔法の人間はたくさんの負の感情を蓄えて、復讐する可能性があると光属性の人間たちは考えるでしょう。その場合、一番最悪なケースは現段階で闇魔法を持つ全ての人を殺すことです。差別されてきた人間を根絶やしにしてリセットする。そこから差別なんてなかったことにすればいいと考える人間がいないと断言などできませんよね?」
私はその場にへたり込んでいた。
シグレの想定する最悪の考えを否定することができなかった。
100年前の処刑が物語っているからだ。
「歴史は繰り返すと言いますから、余計な情報は大事にしまっておいた方がいいんです。得体が知れなくて怖いというだけで処刑されていたんですよ?明確な脅威が明らかになればなおさら殺されます。ですから、たとえ味方であっても伝える情報は考えて選ぶことをおすすめ致します」
私は頷くしかなかった。
もう既に人を信じられなくなりそう。
ソラを見れば少し離れたところでわたわたとしている。
会話は聞こえていない距離だけど、私の頬が切れているのは見えるのだろう。
私はソラに笑顔で手を振って無事をアピールした。
「話がまた逸れましたね。今回の特訓について説明致しましょう。私は一歩間違えば致命傷になる攻撃を仕掛けます。リビさんはそれを回避する行動をおこなってください。命のやり取りによって発生する負の感情を上手くコントロールしながら、魔法で私の足留めをして頂きます。効果は足に麻痺、が適切でしょう。獣人はその類は効きにくいので強めにかけて結構ですので」
シグレが構えるので、私は慌ててストップをかける。
「あ、あの、魔法の概要話しましたっけ」
「私は鑑定士でもあるので貴女の魔法はだいたい分かります。さぁ、お喋りばかりでは強くなれませんよ」
その瞬間、また私に傷が増えていた。
シグレさんの動き見えないんだってば。
「しっかりと構えておかないと首が飛びますよ。まずは私の動きをよく見て、それから魔法を当ててみようとすることです」
日が傾いて、気付けば全身切り傷だらけで痛いところしかない。
シグレは涼しい顔をしながらこちらに歩いてくる。
近付かれるの怖い。
「お疲れ様です、本日はここまでに致しましょう。近くの町の宿までお送りします。明日の朝お迎えに参ります」
そうして私とソラは一番近い町の宿屋に泊まることになった。
ソラはベッドにゴロゴロとしているが、私はとりあえず傷の手当をしたい。
今日の特訓、シグレに私の魔法が当たることはなかった。
そもそも一切動きが見えないし、定まらない。
次第に部分的に魔法をかけるという意識もおざなりになり、最終的に足以外でもいいと思っていたのに当たらなかった。
この特訓、終わりはあるのか?
包帯を巻きながら深いため息が溢れると、ソラが心配そうにこちらを見た。
「キュウ」
「弱気にもなるよ、シグレさん見えないんだもん…」
魔法を使えば使うほど疲れるし体力も持ってかれる。
さらに、獣人はあまり効かないからより大きな魔力を込めなければいけないわけで。
私はベッドにあがってソラのもふもふの背中に顔を埋めた。
また明日も特訓か…。
憂鬱になりながらも私の意識は夢に落ちていった。
ふさふさの耳と尻尾はヒサメよりもグレーがかっており、体格は鍛えているのは分かるが、ヒサメとフブキよりは細身に見える。
身長はフブキと同じくらいの印象だ。
「王様の部下、ですか」
「ヒサメ様は元より王族護衛の騎士の長でした。国王になられた今、私はヒサメ様の側近であり、左腕です」
「左、ですか」
私がそう言うとシグレはとても言いづらそうな顔をした。
「ヒサメ様の右腕の位置は空いてませんので」
ああ、フブキさんいるもんね…。
「ヒサメ様は一途なお方なので、あの馬鹿をずっと待っていらっしゃる」
え、今馬鹿って言った?
「あの、それってフブキさんのことですか」
「ああ、リビさんたちは会っているんでしたね。元気にしてますか、あいつ」
「え、はい、元気ですよ」
「チッ」
え、舌打ちした?
シグレは笑顔を作ると狼の武器である爪を出した。
「失礼致しました、話が逸れましたね。そろそろ、魔力強化の特訓を致しましょうか」
その瞬間、自分の頬に痛みが走り呆然とした。
いつの間にかシグレは後ろに立っていて、鋭い爪を私の首元にあてている。
頬から流れ出る血がポタリと襟に落ちた。
「よろしいですかリビさん。私は常日頃から部下に言い聞かせています。手を抜こうなどと考えるな、相手がどんなに弱く見えても油断してはならない。ですので私は全力でいかせて頂きます」
ようやく爪が首元から離れたが、心拍数は落ち着かない。
「命のやり取りこそ効率の良い魔力の強化です。しかも貴女は闇魔法の持ち主だ。負の感情の起伏によって得た魔力を保持することはご存知ですか?」
「・・・それって、常識ですか?」
ツキから聞いて知っているものの、他の人から聞いたことがない話だ。
アイル先生でさえ、一時的なものという知識しか持っていなかった。
「闇属性の一族からしてみると常識ですね。光属性の者はあまり知らない事でしょう。リビさんも、口外されない方がよろしいですよ」
「意図的に隠しているということですか」
「教えるメリットがないでしょう?この方法は闇属性にしか適用されないんですから」
「でも、負の感情によって魔力が強くなるなら、差別や迫害によって闇魔法の人は余計に力を持ってしまうってことなんじゃ・・・」
「リビさん、貴女はどちら側に立っていますか」
シグレにそう問われて私は固まった。
「どちらって、闇魔法とそれ以外ですか。それって、どちらかに立たないといけないんですか?」
「貴女は差別のない太陽の国にいることでその境界が曖昧なのかもしれませんね。ですが、よく考えてください。差別は今も無くなっていない。人間で闇魔法を持っている貴女の立場になって答えて差し上げましょう。光属性の人間は貴女を恐れている。どんな闇魔法を持っているのか、どれほどの魔力を持っているのか。周りの人間が気になるのは貴女の人間性などではなく、貴女の闇魔法の危険性です。自分に害を及ぼす可能性の高い闇魔法の貴女を誰もが警戒し遠ざけるでしょう」
シグレの言葉がひとつひとつ私に刺さっていく。
差別があることは分かっている。
それでも私の周りにいた人たちは、私自身を見てくれていた。
「そんな差別のあるこの世界で、闇魔法は負の感情によって魔力が向上し、その力を維持することが出来るというのが広まったらどうです?じゃあ差別を無くそうか、なんてことになりますか?残酷なことを言いますが、あり得ないですよ。気を遣う人間は出てくるでしょう。怒らせないように、負の感情を起こさせないように接してくる人間が増えれば増えるほど、貴女はひとりぼっちになっていくでしょうね。なぜなら普段通りに接してくれるご友人のことも貴女は信じられなくなるからです。気を遣われている、自分が闇魔法だからとふさぎ込んでいく未来が見えますよ」
私に普通に接してくれるみんなのことを信じられなくなる。
それは、私にも見える未来だ。
「差別を無くそう、という考えを否定するわけではありませんが、今までやってきた差別はそのまま残ったままです。そうなるとどんなことが起きるのか想像してみましょうか。今まで差別して排除してきた闇魔法の人間はたくさんの負の感情を蓄えて、復讐する可能性があると光属性の人間たちは考えるでしょう。その場合、一番最悪なケースは現段階で闇魔法を持つ全ての人を殺すことです。差別されてきた人間を根絶やしにしてリセットする。そこから差別なんてなかったことにすればいいと考える人間がいないと断言などできませんよね?」
私はその場にへたり込んでいた。
シグレの想定する最悪の考えを否定することができなかった。
100年前の処刑が物語っているからだ。
「歴史は繰り返すと言いますから、余計な情報は大事にしまっておいた方がいいんです。得体が知れなくて怖いというだけで処刑されていたんですよ?明確な脅威が明らかになればなおさら殺されます。ですから、たとえ味方であっても伝える情報は考えて選ぶことをおすすめ致します」
私は頷くしかなかった。
もう既に人を信じられなくなりそう。
ソラを見れば少し離れたところでわたわたとしている。
会話は聞こえていない距離だけど、私の頬が切れているのは見えるのだろう。
私はソラに笑顔で手を振って無事をアピールした。
「話がまた逸れましたね。今回の特訓について説明致しましょう。私は一歩間違えば致命傷になる攻撃を仕掛けます。リビさんはそれを回避する行動をおこなってください。命のやり取りによって発生する負の感情を上手くコントロールしながら、魔法で私の足留めをして頂きます。効果は足に麻痺、が適切でしょう。獣人はその類は効きにくいので強めにかけて結構ですので」
シグレが構えるので、私は慌ててストップをかける。
「あ、あの、魔法の概要話しましたっけ」
「私は鑑定士でもあるので貴女の魔法はだいたい分かります。さぁ、お喋りばかりでは強くなれませんよ」
その瞬間、また私に傷が増えていた。
シグレさんの動き見えないんだってば。
「しっかりと構えておかないと首が飛びますよ。まずは私の動きをよく見て、それから魔法を当ててみようとすることです」
日が傾いて、気付けば全身切り傷だらけで痛いところしかない。
シグレは涼しい顔をしながらこちらに歩いてくる。
近付かれるの怖い。
「お疲れ様です、本日はここまでに致しましょう。近くの町の宿までお送りします。明日の朝お迎えに参ります」
そうして私とソラは一番近い町の宿屋に泊まることになった。
ソラはベッドにゴロゴロとしているが、私はとりあえず傷の手当をしたい。
今日の特訓、シグレに私の魔法が当たることはなかった。
そもそも一切動きが見えないし、定まらない。
次第に部分的に魔法をかけるという意識もおざなりになり、最終的に足以外でもいいと思っていたのに当たらなかった。
この特訓、終わりはあるのか?
包帯を巻きながら深いため息が溢れると、ソラが心配そうにこちらを見た。
「キュウ」
「弱気にもなるよ、シグレさん見えないんだもん…」
魔法を使えば使うほど疲れるし体力も持ってかれる。
さらに、獣人はあまり効かないからより大きな魔力を込めなければいけないわけで。
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