鬼手紙一未来編一

ぶるまど

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無限の苦しみが終わる時

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一一千年前…俺は死んだ。 あの時は父上を助けるのに夢中で向けられた殺意に気が付かなかった。 父の目の前で俺は殺された。 無念だった。 父を助けたかったのに…助けられなかった。 これで命尽きるのかと諦めた時だった。


『ウゲツ…大丈夫だからな…ワタシが必ず治すからな…!』

『………』
(父上…?)


黒い海の深淵で、父上は私を治していた。 微かに《違和感》を感じたが、その時の私は父上が無事であることに安心していた。 少しずつ頭に負った傷は癒えていった。
俺の体に変化が起こったのは完全に傷が塞いでからだった。

『あ…ぐ…うぅぅ!?』

頭から下に向けて、内側で暴れている奴がいた。 訳が分からずに悶え、苦しんでいると…父上は俺の頭を撫でながら言った。


『これから…オマエは、ワタシの《人形》になるんだ…!』
『!?』


もう…父上は…俺の《知っている父上》では無くなっていた。 俺を失ったことで心が壊れてしまっていた。 人間の憎しみと悲しみと怒りという負の感情を集めた化け物…怨業鬼となってしまったのだ。 嘆く暇もなく、俺は《鬼神》へと変異させられた。 そこから《無限に続く苦しみ》が始まったのだ。


***



『………』
(懐かしいユメだ…忘れたはずだったのにナ…)


鬼神に憑依されている志津子は目を覚ました。 《人間の頃》の記憶を見たのは千年ぶりだった。 怨業鬼様の人形となって、弟だった詩鶴を殺し、魂を夜神の街に縛り付けた後放棄したのだ。 もう1人…《大切な人》がいた気がするが…忘れてしまった。


(さて…十分力は蓄えた。 ここから出ることにしよう)


志津子を起き上がらせると、封印が施されている扉の前へとやって来た。 両手で力を込めると扉の上の方で何かが燃える音が聞こえた。 恐らくは封印の札だろう。 志津子は笑みを浮かべると黒い剣を5本形成し、扉へと叩きつけた。


「!!」


祈里は顔を上げ、目を見開いた。 鬼神の封印維持の為祈ってくれていた鬼灯6人集は皆、秋人達の元へ戻っていった。 封印を破られてはならないと感じた祈里は扉に両手をつき、霊力を込めて抵抗した。 鬼神は更に笑みを深めると祈里に向かって言い放った。


『《ククク…!! 我には分かるぞ…鬼巫女よ…! キサマハもう、限界なのだろう!?》』
「……っ……」

黒い剣が扉に叩きつける度に、無数に貼られた札が燃えて無くなっていく。 鬼神の言葉には答えなかった。 氷雨達は《自分たちの役目》を果たすために秋人達の元に去って行ったのだ。 いつまでも彼らを縛り付けることは出来なかった。 祈里は鬼神の力に負けないように更に力を込めた。

『《ムダだ…!! 我の力は貴様らよりも上なのだ! それを今から分からせてやろう!!》』
「!?」
(力が…以前にも増している…! このままでは…!!)

すでに千枚の封印札は全て燃えて無くなっていた。 残りは大縄のみであった。 大縄も今にも引きちぎられそうであった。


(ここで…諦めるわけにはいかない…!!)


祈りの頭には秋人達の笑顔が浮かんでいた。 鈴鹿御前に記憶を消され、高校生になって辛くて悲しい過去を思い出されても、秋人達は立ち向かう覚悟を決めたのだ。 怨業鬼に囚われていた秋鳴達も救ってくれたのだ。 ここで自分が諦めたら……秋人達に合わす顔がないではないか!
赤い光を宿した祈里は強く扉を睨むと守護結界を無数に作り出した。


『!?』


志津子は目を見開いたが、一瞬のことであった。 すぐに笑みを取り戻すと黒い剣に力を溜め込むと言い放った。


『《これで終わりだァァァ!!!》』
「!?」


一一黒い光が、縦一直線に横切った。 大縄は千切れると、大きな音を立てて崩れていった。 扉が開く前に離れようとしたが間に合わなかった。 黒い風邪が吹き荒れると祈里の体は扉から遠くへと吹き飛ばされた。

『《ヒャハハハハハ!! これで我は自由だ!!  アハハハハハハ!!》』

「……っ…」

氷見子が守護結界を張り、祈里は無傷だった。 しかし…鬼神の封印が破られてしまった今…祈里に出来ることは、自分の身を守ることだけだ。
高笑いしていた志津子は祈りを見つめた…かと思いきや、一瞬にして祈里の前へと現れた。

『《母の手で死ね…! 鬼巫女よ…!!》』
「!!」

祈里は目をつぶり、死を覚悟した時だった。


「祈里に触るなぁぁ!!」
「!?」
『《なに!? ぐはっ!?》』


一一懐かしい声が、聞こえた。 暗闇の中刀を振る音が聞こえると鬼神の気配が遠くへと飛ばされたと感じとった。 何が起こってるのか分からずに困惑していると「祈里」と優しく声をかけられた。

ゆっくりと目を開けると一一鈴の音が鳴ると古い映画が再生されたような感覚に陥った。


『迎えに来るのが、遅くなってすまなかったな……氷見子…』

『…秋声様…』

 いつの間にか、祈里と氷見子は入れ替わっていた。 謝ってきた秋声に氷見子は首を横に振ると言った。


『いいえ…貴方様の身に起こったことを考えれば…当然のことです』 
『…真面目で優しいところは相変わらずだな…』


秋声は氷見子の言葉に微笑んだ。 すると彼の視線は鬼神がいる方向に向けられていた。


『話したいことは山ほどあるが…今は鬼神を倒そう。 力を貸してくれるか? 』
『もちろん…!』

久しぶりに笑った氷見子を見た秋声は心が満たされていくのを感じた。 再び秋人と祈里へと戻っていった。

『《オノレ…! 怨業鬼様に支配されていたくせに…!! 調子に乗るナ…!!》』

志津子が両手を地面につけると黒い蛇の大群が秋人と祈里に向かってきた。 秋人はすぐに守護結界を発動させた。 祈里は秋人の手を握りしめながら言った。

「わたしの力も使って!」
「あぁ!」

秋人は赤い刀を形成すると刃を引き抜いた。 祈里が祈り始めると守護結界は重複し、より頑丈な者になった。 朱色へと変化した守護結界を纏いながら、秋人は鬼神へと向かって行った。


『《クルナァァァァ!!》』
「はっ!」

緋都瀬達の合図として秋人は赤い玉を打ち上げた。 小さな変化に鬼神は気が付かずに秋人に攻撃していく。 黒い触手が向かってくると、秋人は横一直線に飛ぶと、瞬間移動で避けていく。
秋人に攻撃を集中させている鬼神は気づかなかった。

自分の左右に緋都瀬と信司が向かって来ていたのだ!

『《グゥ!?》』

緋都瀬と信司の存在に気付いた鬼神は黒の守護結界を張った。 緋都瀬の短刀と信司の鉈の攻撃は守護結界に触れた瞬間に弾き飛ばされてしまった。

「うわっ!? あっぶねぇ!?」
「いてて…」
「信ちゃん! 大丈夫!?」
「うん! 平気だよ!」

遠くに飛ばされた緋都瀬は受身をとったが、信司は肘を強く打ってしまった。 痛がっていると緋都瀬が声をかけてきたので、返事を返した。 肘の怪我は再生力で回復したからだ。

『しっかり狙え。 信司』
「はい…! すみません…!!」

頭の中で辰三郞が叱咤する声が聞こえると、信司は体を強ばらせながら何度も頷いた。 そんな信司の足元に黒い触手が迫っていた。

「!」

薄赤色の光を宿すと、鉈で黒い触手を突き刺した。 信司を狙っていた鬼神はすぐに対応できたことに驚きを隠せなかった。

「俺のこと…あんまりなめない方がいいですよ。 鬼神様」
『左様…貴様の攻撃など見えておるわ…!』
『《グググ…!! ならば、女どもを狙ってやる!!》』

信司の言葉に鬼神は悔しげな声を放つと玲奈、羽華、真樹枝の気配を探った。

『《そこか!!》』

「……」
(間に合うか…!?)

玲奈達は秋人達から離れた黒い鳥居に立っていた。 鬼神は志津子の背後にパイプオルガンのように細い管を形成すると10匹の烏を放った。この烏達の足には爆弾を持っていた。烏達は上空から玲奈達の位置を特定すると、急降下していった。
玲奈達は鬼神に攻撃するための霊力を練っていたのだ。 鬼神が攻撃するまで時間は稼げたのだろうか? 秋人が不安になった時だった。

1本の白い矢が、風に乗って鬼神へと飛んで行った。

『《ナ…ニ…?》』

突然のことに鬼神は対応できなかった。 自分の身を守るために形成した巨大な黒い手も消え去ってしまったのだ。 志津子の腹部に白い矢が突き刺さった。 急いで取ろうとしたが、白い矢は抜けなかった。

『《ウッ…ウウゥ…!! 認めぬ…!! ミトメヌゾ…!! キサマらに敗北する我ではないわ!!》』
「ふーん…そう。 なら、これならどうかしら?」
『《グワァアアア!? 慈愛鬼…! 貴様ァァァ!!》』

重力の力で地面に伏せられた鬼神は白い矢が深く突き刺さったことに怒り狂った。 玲奈は素知らぬ顔で扇子で顔を扇いでいた。 玲奈の態度に鬼神が歯を食いしばっていると目の前に人型の紙が落ちてきた。

『《?》』

疑問に思っていると人型の紙は集まっていくと依鬼へと変化した。 依鬼は鬼神が何か言葉を発するより先に志津子の全身に白い紙を貼り付けていった。 何が起こっているのか分からない鬼神は体を見悶えることしか出来なかった。 捕らわれた志津子の周りに秋人達は集まった。

「あんたの負けだ。 鬼神

いや…《十六夜  雨月》様と呼んだほうがいいか?」

『!!』
《ナゼ…そのナヲ知っている…!?》

志津子の動きが止まった。 秋人は悲しげに呟くように言った。

「美月様から教えてもらったんだ」

《ミヅキ…?》

鬼神…雨月の頭の中で黒い墨が塗りつけられた女性の顔が浮かんだ。 女性は…自分にとって《大切な人》だった。 それなのに忘れてしまった。
思い出せないと分かった瞬間一一涙が零れてきた。

《オモイダセナイ…! 我にとって大切だったはずだ…!! ナゼ思い出せない!? ナゼ!? 何故だァァ!!!》

混乱した雨月は依鬼の札を髪ちぎりながら、のたうち回った。 秋人は祈里と目を合わせ、強く頷いた。

「今…思い出させてやるよ…!!」

緋都瀬が志津子の体を押さえつけると、秋人は刀を高く上げ、志津子の胸部に突きおろした。

『《!!》』

志津子は目を見開き、声無き叫びを上げた。 激しく体が波打っていく。 波打つ度に赤黒い塊が足を生やして逃げて行った。 秋人達は志津子と雨月の様子を静観していた。 しばらくすると、志津子は落ち着きを取り戻した。 体には白い光が宿っていた。 志津子は目を瞬かせると、ゆっくりと起き上がると秋人と祈里に気付いた。

『あら…秋人君…緋都瀬君…信司君に、玲奈ちゃん…羽華ちゃんと真樹枝ちゃん…みんな、久しぶりね』
「……っ…」

志津子の優しげな声に一一秋人は泣きたくなった。 緋都瀬達も同じだった。 顔を覆ったり、口を両手で抑えたりと様々な反応をしていた。
そして…志津子の目線は、祈里へと移った。

『祈里……ありがとう。 今まで…私の為に《祈って》くれていたのね』
「母様…!!」

母の言葉に祈里は大粒の涙を零しながら、志津子へと抱き着いた。 志津子はしっかりと祈里を抱きしめ返した。 今まで我慢していた《想い》を祈里は志津子に伝えていった。

「沢山…我慢してきました…! 父様の気持ちを理解することが出来ませんでした…! 伊萬里を逃がすことに精一杯で…何も出来なかったんです!

こんなわたしを…許してくれますか…?」

『当たり前でしょう? あなたはよく頑張ったわよ。 偉いわね。 祈里』
「っ!!」

志津子の優しい言葉に祈里は声を上げて泣いた。 祈里の背中を志津子は優しく撫でていた。
秋人は祈里を見つめながら、小さな声で言った。

「よかったな…祈里…」
「………」

玲奈は秋人の横顔を扇子で顔を隠しながら、見つめていた。 それぞれが物思いに浸っていると…志津子の体が消えかかっていることに秋人は気付いた。

「志津子様……もう…時間が一一」
『ええ…分かっていますよ。 秋人君』
「………」

志津子に笑いかけられた秋人は目を逸らした。 祈里は涙を手で拭き取ると、志津子を見つめながら言った。

「母様…父様に何か…伝えたいことはありますか?」
『そうね…伝えたいことは…一つだけよ』
「………」

「《どんなに悪いことをしても…私はあなたの味方です》…これが、私の《伝えたいこと》かな!」
「はい…承りました…! 父様に…伝えますね…!」

祈里の言葉に志津子はにこりと笑うと、光の粒子となって飛んで行った。志津子の言葉を祈里は噛み締めていたが…ふと後ろを振り返った。

「雨月様…」
『………』

白い影となった雨月が戸惑いの表情を浮かべていた。 祈里から顔を反らしたが…しばらくすると地面に両膝をつき、頭を深く下げた。

『すまなかった…! そなたの母の心を…壊して…自分の物のように扱ってしまった…!!  本当に…申し訳なかった…!!』
「頭を上げてください……雨月様…」
『……』

恐る恐る雨月は頭を上げた。 祈里は雨月を優しく見つめながら言った。

「母は…雨月様を恨んでなんかいません。 いいえ…そういう人なんです」
『本当…か…?』
「はい。 本当です」
『…そなたの…言葉を信じよう…』

雨月は涙を流すと何度も頷いた。 祈里は雨月の手を握ろうとしたが、静かに制されてしまった。 雨月は祈里と秋人達を見ながら、言った。

『俺だけが…鈴白の森に行くわけにはいかない。 弟と父上を迎えに行かねばならない。 俺を元に戻したのは……母上の《聖なる光》だろう? 秋声の子孫よ』
「そうです…美月様のお力です。 全員が美月様の加護を受けています」
『…光の救済は…俺だけではなく…弟や父上に必要なものだ…だから、頼みがある…! 俺を…弟と父上の元に連れて行ってくれ…!』
「………」

秋人は無言になると緋都瀬達の顔を見回した。 緋都瀬達はゆっくりと頷いた。 それは雨月も一緒に来てもいいということだ。

「分かりました。一緒に行きましょう」
『ただ…どうやって…ここから出ればいいか分からないんだ。 どうすればいいんだ?』
「私の中に憑依してください。 雨月様」
『そなたの中に…?』
「氷見子様の加護があれば、わたしに負担はかからないので、大丈夫です」
『…分かった…よろしく頼んだ…』
「お任せ下さい」

祈里が笑うと雨月も微笑んだ。 雨月が祈里の手を握ると赤色の粒子となって、祈里の中へと入っていった。 その様子を見ていた秋人は祈里の近くまで行くと手を差し出した。

「帰ろう。 祈里」
「うん…! アキ君…緋都瀬君…信司君…玲奈ちゃん…羽華ちゃん…真樹枝ちゃん……みんな、助けに来てくれて…本当に、ありがとう…!!」

祈里の言葉に秋人達は笑った。 全員の名前を呼んだ祈里は笑顔になると秋人さの手をしっかりと握りしめた。 秋人は『黒い海から全員で出たい』と強く願うと赤い光が秋人達を包み込んだ。 赤い光の球体は天へと向かって、黒い海から飛び去って行ったのであった。



END
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