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Erweckender Moment
14章
しおりを挟むここはとある場所の会議室。ここであと行われているのは、十二神家による次期当主の決定。現当主のみでその話は行われている。
「まぁ僕のところは雨夜で決定してますよ。」
彼は天道秋。天道家の現当主であり、雨夜の実の父である。。見た目は黒髪で好青年の風貌である。20代前半に見えるが、実際は40を過ぎている。
十二神家の当主たちは半分以上は実年齢と見た目年齢が離れている。
「うん、私のところも春夜で決定だよ。」
彼は天崎春也。春夜の実の父である。
「私も遥に跡を継がせるつもりさ。」
月夜もそう述べる。
十二神家は、天界道家、神崎家、天道家、天崎家、神宮家、ローレル家、セラフ家、シュタイナー家、柊家、神界堂家、雨宮家、天宮家以上の十二家だ。
殆どの家は嫡男、嫡女に継がせると述べている。しかし、問題なのは天界道家だ。
「隆徳さんはどうするんです?息子さん、俊也さんだって・・・」
「それ以上は言うな!」
そう言ったのは月夜だ。彼女は俊也ご亡くなったことを悲しんでいる。しかし、それ以上に隆徳が悲しんでいたのを知っているのだ。
「いいのだよ。わしは次期当主に孫を推薦する。」
「孫とはあの史上初のドルイド無しの子ですか?」
「あぁ。」
みんな騒ぎ始める。ここで声を上げるのも無理もない。十二神家の当主は必ず力を必要とする。抑制力としての力と侵略者に対抗する力。これがないと当主など夢のまた夢だろう。
「孫は月夜が鍛えたからな。空中のドルイドを扱うことが出来るのだ。」
「あぁ、それにしこたま鍛えた結果、私より強くなったからな。」
これを聞いて辺りは驚きの表情を見せる。
「本戦が終わり次第、わしは涼を迎えにいく。」
そして会議は幕を閉じた。
誰もいなくなった会議室に2人の影が見える。
「まぁ、涼はドルイド無いってのは嘘なんだがな。」
隆徳がそう呟くと、
「気付いてたのか?」
問いかけたのは月夜だ。
「あぁ、奴のドルイドは恐らく世界全体を覆うほどの量だろう。1度試合を見に行った時、体内のドルイドが外に漏れてな、どこまでも続いておったからな。」
「あいつ、訓練中自分のドルイド使ってたからさ、試しに測ってみたら測定不能だってよ。恐らくそれでドルイド無しって思われたんだろう。」
「・・・わしのこと許してくれるかのう?」
「どうだかな。」
本日の試合ラストは涼と春夜だ。
「よろしくお願いします。春夜先輩。」
春夜は無口で大人しい人という印象が多くの生徒にある。
しかし、実際は・・・
「あらぁ、貴方が涼くんかしら?私の事は春夜ちゃんかはる姉って呼んでちょうだい♡」
春夜はオネエさんだったのだ。
「わ、わかりました、はる姉・・・」
涼はそう呼ばないと殺されると思い、はる姉と呼ぶ事にしたらしい。
「それでは、始め!!」
「行くわよォ、うぉぉぉぁ!!」
春夜は近接戦闘が得意のように見えて、根っからの後衛である。魔法が彼の能力である。
「それそれ!!」
「やりにくいなぁ!」
春夜が魔法を打ち、涼が刀で切り捨てる。それがしばらく続いた。
「すごいなあいつ。」
「春夜先輩の攻撃をいとも簡単に・・・」
春夜は魔法のスペシャリストである。校内で有名なのは一目瞭然だ。セクステットの1人であるのも要因だが。
「うーん、やるわねぇ。」
「流石はる姉、やりますね。」
「今度はもっと上げるわよ!」
上級魔法を連発してくる春夜。先程のようにもいかず、竜胆流の技で返していく。
「そろそろドルイドが枯渇しそうね、次で決めるわ。」
「分かりました。」
「天にある星々よ。何光年も先にある星は、今、この地に舞い降り、外敵を滅ぼす刃となろう。今世界を大いなる災いから救たまえ!『ノクティワガ・ファクス・カエリー』!!」
「竜胆流刀術奥伝、『神獄・破斬』」
辺りは困惑している。何せ、何もしていないはずの涼が、彼の魔法を切ったのだから。
「ここ、までの、よう、ね。」
枯渇で倒れた春夜。
「勝者、越前涼!!」
「やっとあいつを、」
涼は内心すごく喜んでいた。
自分の中に蠢く闇に気付かずに・・・
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