崩壊世界の絶対者

真崎 遥也

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Erweckender Moment

6章

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涼には目標があった。それは1ヶ月後に行われる学外武芸大会『ベルルム』の学内予選である。

毎年ベルルムには12人の代表が出場する。春山学院はその大会で2位の結果を収めている。

涼の目的、それは見返すためである。落ちこぼれでもここまで出来ると、今まで馬鹿にしてきたヤツらに自分の強さを見てもらうためであった。

涼はそれを目標に日々切磋琢磨していった。

どんなに陰湿ないじめ、暴力を受けようと、諦めることは無かった。そして、それを傍から見守る者もいた。

その日々を胸に1ヶ月がたった。

「ふぅ、神崎流刀術二式、『天叢雲』!!」

『天叢雲』は、かつて素戔嗚尊が八岐大蛇の尾を切った時天叢雲剣が現れた。その神剣の権能をモチーフにした技である。

『天叢雲』はどんな硬いものでも切り裂くことが出来る。つまり切れないものは無い。

「よし、それも身についたな。ほか教えた技もだいぶ身に付いたはずだ。最後に奥伝を教える。私が教えるのはひとつのみ。あとは自分で編みだせ。と言っても、もう大体の形は浮かんでるんだろ?」

「なんで分かったんだ?」

この1ヶ月のあいだ、涼は技を教えてもらった直後に自己流に変えたり、それを発展させた新たな技を生み出した。

「ここでお前には神崎流の真髄を教えておこう。まず、神崎流の由縁は神殺しだった。しかし、月日が経つ事にそれは神の力を纏うことに変わっていった。涼、神を信じなくてもいい。ただ、自分が使う技は普通のものとは違うという事を覚えておいてほしい。」

「・・・あぁ。」

「じゃあ行くぞ!『神・破斬』!!」

この1ヶ月涼が感じたことは、スパルタすぎるというか強引というかとにかくめちゃくちゃであった。このように直接当てて感じろという。無茶にも程がある。

「神崎流刀術奥伝、『神・破斬』!!」

恐ろしいほどの速さで打ち出される木刀。無事取得できたようだ。

「おめでとう。今日で免許皆伝だ。」

「ふぅーやっとか!」

「最後にお願いがある。お前が考えた技を見せてくれないか?」

「うん?あ、いいよ。」

涼は木刀を構える。

「いくよ。竜胆流刀術奥伝、『神獄・破斬』」

月夜の目には、目の前の的が一瞬で切れただけにしか見えなかった。

「成功だ。」

「な、何をしたんだ?」

「『神・破斬』は身体能力をドルイドで極限にまで高めて剣を振るう技だろ?その状態で木刀にドルイドを纏わせたんだ。すると案の定衝撃波が飛ぶ。神速を超えるから人の目では追えない速度になる。」

月夜は何も言えなかった。確かにドルイドを纏うという理論までは構築できた。しかし、それができる人物が今までいなかったのだ。それは、ドルイドの扱いが上手い下手では無い。自分の限界を超えた上にドルイドを纏うことが出来なかったのである。

「いや、お前らしいな。」

ふふ、と笑う月夜。

「そういえばお前の流派、竜胆流だっけか?なんでそうしたんだ?」

「竜胆の花言葉は『勝利を確信する』俺に相応しいかなって。」

それに、と付け加える涼。

「母さんが好きな花だったから。」

これを聞き月夜は涙を流した。月夜と涼の母は親友だった。確かに涼の母は竜胆が好きであった。しかし、しばらくの間その事を忘れていたのだ。

「これじゃ、お前の親友失格だよな。」

「ど、どうして月夜さん泣いてるんだ!?」

「はは、何でもないよ。」

「月夜さん、ありがとう。俺に戦う術を教えてくれて。」

「別にいいさ。こちらも好きでやってたからな。それに遥が頼むからさ。」

「え?どういう事だ?」

「最初にお前が刀術に向いていると分かったのはあいつだよ。だから私に頼んだんだ。」

「そうだったのか・・・」

しばらくの間、遥を見なかったので見捨てられたのかと思っていたのだ。

「まぁ遥はずっとお前のこと見てたけどな。」

「え!嘘!」

「おい、隠れてないで出てこい。」

「やっぱりバレてたか。」

この親にしてこの子ありとはよく言ったものだ。

「まぁ、お前なら確実に代表入りすることできるさ。」

「別に俺の目的は代表に入ることじゃないんだ。ただ俺でも戦えるってことを知って欲しい。それに『セクステット』だっているんだ。」

『セクステット』学内順位上位6位に与えられる称号である。なぜ6人か、それは今まで圧倒的な強さを持ったのが6人しか現れなかったからである。

「別に『セクステット』に勝てと言ってるわけじゃないんだ。あと残り6枠に入ればいいさ。」

涼はそう言われても現実味がなかったので流していたが、既にその実力があるのに気づくのは予選がある日である。








──予選当日

「はんっ!お前雑魚のくせに来たんだな?」

こいつは俺を虐めてるとうか主格犯の山下 春木である。

他に加須山 遊、松田 利信がいる。

「俺はもう違うさ。強くなったからな。」

「ふ、ふははははは!!!お前ついに虚言癖でもついたか!?」

いつもは見て見ぬふりのクラスのみんなが盛大に吹き出す。どうやらおかしいようだ。

「いや、涼は本当に強くなったよ。私と同じくらいにね。」

(いやそれは言い過ぎ・・・)

内心そうつっこむのだった。

「何だと?」

周りの人は神崎さんが言うなら、と少しは信じたようだ。

「くそ!後で覚えてやがれ!」

ド三流のようなセリフを吐きこの場を去る。

「変なやつだな。」
















side.山下 春木

「ちっ、くそ!」

神崎さんと同じくらい強いだと?なら俺が勝てるわけないじゃないか!

「やぁ、そこの少年。」

「何だてめぇ。部外者は入っちゃいけねんだぞ?」

「その性根の割に真面目なこと言うんだね。」

「君は強くなりたいかい?」

なんだこいつ。怪しすぎだろ。

「なりたいが何だよ。」

「これを飲むといい。」

これドーピングだろ?

「これは魔神薬と言われる近々商品化される物なんだ。それを君には特別にひとつあげよう。」

「こんなのいらねえよ!」

「まぁまぁ、受け取ってくれよ。」

そう言ってやつは消えた。ほんとなんだこの薬。

「まぁイライラするしどうにでもなれ!」

なんだ!?力が溢れる。

「これなら神崎にも勝てる!!」

俺は最強になったんだ!!


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