崩壊世界の絶対者

Erweckender Moment

1章

「やばいな、入学式だからといって張り切りすぎたか。」

入学式が楽しみで仕方がないこの少年の名は越前 涼えちぜん りょう。対アグレッサー戦士養成学校、晴山学院へ入学する新１年次生だ。黒髪で眼の色は琥珀色である。身長は173cmと平均よりは高い。かなり顔が整っているが、いつもださ眼鏡に、前髪で顔が見えないためモテた試しがない。

この世界は100年前の第1次アグレッサー戦争により、大陸が一つになった。それにより、国を統一化した。その時、国を4つの州に分けた。

北の州は『セプテントゥリオーネス』、南の州は『メリディエース』、東の州は『オリエンス』、西の州は『オッキデンス』と呼ばれている。

主人公はオリエンスに住んでいる。

「よし、母さん。行ってくるよ。」

涼の母は涼が14の時に他界している。涼はその悲しみを乗り越え、前向きに生きることにした。父は生まれた頃からいなかったため、どこにいるか分からない。

「おはよう涼！」

彼女は涼の幼馴染の神崎 遥かんざき はるか。白銀の長髪で目は透き通った赤色である。身長は女子にしては高い。美人なのでファンクラブができるほどモテている。

彼女の家はこの世界でも地位が高い十二神家と呼ばれる家である。

十二神家は第1次、第2次の戦争で戦果を挙げた家に与えられる称号である。この世界でも最強クラスである。

神崎家は『神姫』の称号を得ており、代々当主は女性である。遥は長女であるため次期当主である。実力も折り紙つきである。

「いつも迎えに来てくれてサンキューな。」

「別にいいのよ。昔からの仲じゃないか！」

「ははっ、そうだな。」

遥は実力が認められているので特待生である。元々この学院は適性があるもののみ入れる。涼も適性があるだけで自分の実力はまだ分からない。

「もうそろそろ着くか？」

「うん！見えてきたよ！」

晴山学院はオリエンスに1つしかない養成学校なのでとても広い。ちなみに養成学校は州に1つしかない。












「えー、ではこれより、晴山学院入学式を始めます。」

そこから何やかんやあり、学院長の登場である。

「皆さんこんにちは。私は当学院の長をしております、アリシア・ドミナーと申します。私が皆さんに求める物は強さではありません。誰かを思いやる気持ちです。そうしないと、力を持つだけでその気持ちがなければ危険人物になり得ません。それに、強くなるためにはその気持ちが1番大切なのです。今はこの言葉の意味がわからなくても大丈夫。しかし、よく胸に刻みつけておいてください。以上です。」

拍手が起こり、学院長は元の席に戻る。



「これにて、入学式を終わります。」











「はぁー、やっと終わったかー。」

「涼ずっと寝てたじゃない。」

「うるせ。」

2人はクラスが書いてある掲示板を見に行く。

「お、私たち一緒のクラスだね？」

「そーみたいだな。はぁ。」

「今ため息ついたでしょ！」

「ついてないよー。」

そんな話をしながらクラスへ向かう。ちなみに2人ともAクラスのようだ。

「皆さんこんにちは。私はこのクラスを受け持つナターリアと言います。宜しくね。自己紹介は明日するとしてまず皆さんに簡単にvisシステムについて説明しますね。」

「私たちは生まれつき『イニシエータ』と呼ばれる脳機能が備わっています。そして皆さんに合うインターフェースを見つけてもらい異能を発動してもらいます。」

「インターフェースなどの説明は明日詳しくしますね。では今日はこれで終わりです。皆さんまた明日。」







「結構難しそうだな。」

「慣れたら簡単よ。」

「お前はエリートだからなー。」

「へへん！すごいでしょ？」

「すごーいすごーい。」

「まあいいや、また明日ね？」

「じゃあな。」

涼は遥を家に送り帰る。この時涼は知らなかった。『落ちこぼれ』呼ばれ、非難な学院生活を送ることを。