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6章 大闘祭
爆ぜる剣
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「魔力剣・爆!!!」
大闘際2日目、無差別級予選第1試合も中盤を超えた辺り、ティナの前に傭兵団「骸」のユティが立ちふさがる。
その姿から力量を悟ったティナは温存を諦め、短期決戦での決着を狙う。
これまで以上に魔力を注ぎ込み威力に重点を置いた魔力剣。圧倒的威力でもってユティを場外へ飛ばさんとする剛撃。しかしーー
ギリッ
「不発!?」
「先程より威力を上げたようだが、そんな目に見えた必殺技を受ける道理はないな」
ティナ渾身の魔力剣は、炸裂する前に軌道に割り込んだユティの槌によって押さえ込まれる。それによって本来解き放たれるはずであった魔力は行き場をなくし、少々の爆風を残し霧散する。
「魔力剣・爆」はその込めた魔力量がゆえ爆発力は大きい技であるが、その一方で発動者側の受ける反動もかなりのものである。
半端な体勢で放てばその威力によって逆に腕がもっていかれてしまう。反動を抑え込む為に腰を落とし体重を乗せた一撃である必要があり、その結果攻撃が大振りで直線的になってしまう。これが威力重視の「魔力剣・爆」唯一最大の弱点である。
ユティはその弱点を初見でもって見破ったのだ。
そして、場に流れる時間が緩む。
ティナは振り上げの途中、ユティはティナの剣を押さえつける体勢で両者の動きが硬直する。
お互いのステータス上のSTR値にはほとんど差がないようである。その為上から抑える格好のユティが若干の主導権を取り、ティナは力を抜いた瞬間獲物を叩き落される為動けない。
この状況では剣での攻撃は無理である。
「っ!?」
「『衝打』!」
魔法による攻撃に切り替えようとしたところで、突然ティナの腕にかかっていた力が消える。抵抗が消えつんのめる体を一瞬で制したティナだが、その眼前に槌の面が迫る。
完全に一歩遅れたティナをユティの衝撃そのものをぶつけるが如く槌が打ち抜き、ボッという音と共にティナの体は宙を舞う。
そのまま数メートル程飛んだティナの身体が闘技場の床に落ちた。
だが、ユティの顔には怪訝が浮かぶ。
「……手応えがない」
完璧なタイミングであったユティの一撃は、本来であれば舞台の外まで飛んでいてもおかしくないだけの威力が込められていた。
だが実際は攻撃の感触が人体を叩いたそれではなく、直撃したように思えない。飛距離も不自然である。
そしてその違和感を裏付けるように、地に落ちたティナはすぐさま立ち上がり距離を取る。ダメージは0ではないが、戦闘に影響が出るほどではない。
「(危なかったですね。魔力を爆発させ攻撃の威力を削ぐ。少々博打でしたがうまくいきました)」
あの瞬間、ユティの一撃をかわせないと悟ったティナは、その直前まで攻撃用に溜めていた魔力を炎弾の要領で爆発へと変換した。指向性も制御もなく半ば魔力暴発に近い形で放たれたそれは、故にその速度でもって完全な後出しからユティの攻撃に間に合い、その威力を相殺する。
無論、無茶である。自分の魔力で自分を吹っ飛ばすなど狂気の沙汰であり、ティナ本人からしても上手くいくかは賭けであった。
だが、そんなことはもうどうでもいい。大事なのは賭けが成功し、戦闘は続行しているという一点のみである。
「体勢を立て直します!〈炎弾〉!」
「ちっ、前衛型魔法使いか!厄介な」
一定距離をとったティナが、舞台を駆け回り、時には乱戦中の他の選手を壁として使うようにしながら炎弾を放ち牽制する。炎弾はその全てがユティによってかわされるか槌で防がれるが、その対処に一瞬動きが止まりティナとの距離を詰めることができない。
「(速度はこちらの方が上、力は互角、技術や経験はあちらに分がありそうですね。お互い、大技は決めれば相手を場外へと運ぶ威力がありますが……)」
牽制によって時間を稼ぎながら、ティナは得た情報を元に思考を巡らせる。互いの力量差、見た限りの手札、状況。その全てを取り入れ、勝利への道を探る。
なおも続くティナによる遠距離攻撃、追いかけてはいるがひたすら防御を余儀なくされているユティ。だがその顔には焦りは見られない。むしろ余裕すら感じられる。
わかっているのだ。この膠着がそう長くは続かないことを。
炎弾主体の遠距離攻撃は、牽制としての効果はあれど勝敗を決めるにはあまりにも打点不足であり決着など望めない。だが火力の高い大規模魔法を使うには詠唱が必要であり、その間炎弾が途絶える。そんな隙をユティが見逃すはずはない。
そしてここは一対一の試合ではない、周囲では乱戦で繰り広げられており、それこそ大型の魔法を使おうものなら真っ先に叩かれる。
そしてもう一つ。間も無く舞台が再び縮小する。そうなれば選手間の密度は更に高まり、このような距離を取った戦いは難しくなる。
時間はティナにとって有利には働かない。つまり、
「はぁぁぁ!!」
「やはり、攻めに転じるか」
それまで一定の距離を置いていたティナが、突如切り返しユティへと向かう。更に無詠唱での小さな炎弾のおまけ付きで。
彼我の距離を加速によって踏み潰し、ユティに切迫する。そしてそのティナの剣には魔力が込められている。
遠距離での決着がないなら、明確に相手より秀でている速度でもって速攻を仕掛け、ユティの対処能力の上から必殺の一撃を叩き込み、倒す。
それがティナの、最も可能性のある勝ち筋である。
そしてそれはユティも理解している。ユティは更に一歩踏み込み、ティナを迎え撃つ。
もとより大きくはなかった互いの距離が瞬く間に消えていく。
ここでティナの放った小さな炎弾が先にユティの元へたどり着く。絶妙なタイミングでのその魔法は、例え避けても防いでも、生まれた一瞬の隙でティナの魔力剣がユティを場外へと吹き飛ばすであろう。
「むん!」
だからユティはどちらも選ばない。躊躇うことなくそのまま進む。炎弾が肩口に着弾、ユティの鎧が燃え上がる。しかしユティの槌を振るう腕は止まることは無い。
無傷ではない。炸裂したティナの炎弾はユティの体を覆う鎧を超え、彼の体に確実にダメージを与えている。しかし、無詠唱で威力の減衰した炎では、彼の動きを止めるには足りなかった。
そしてティナとユティの距離が0になり、剣と槌が振るわれる。
「『魔力剣ーー』!」
「『衝ーー』!」
そして放たれる互いの必殺の一撃。まるで先ほどの光景が巻き戻されたかのような姿に、観客達は皆ある結末を浮かべる。
ティナの魔力剣・爆が完全に防がれ、ユティの衝打によって場外へと飛ばされるそんな光景。
そして互いの一撃が交差する。
「!?」
直後、ユティの目に驚くべき姿が映る。
迫り来る自らの槌を前に、ティナはその動きを剣を、ピタリと止めていた。
魔力剣・爆を発動途中に急にキャンセルすれば、込められた大量の魔力が暴発しているはず、しかしその様子がない。
ユティの頭を疑問と警戒がよぎるが、すでに振るわれた槌はもう止められない。
衝撃ごとぶつけるユティの打撃が、ティナの体を捉える……ことはなかった。
「なっ!?」
それがティナによって受け流された後だと、一拍遅れてユティが理解する。
そっとユティの一撃に添えられたティナの剣が、流れに逆らうことなく、しかしその軌道を自らの体から外へと向ける。
剛の技を囮にして誘った相手の大技を本命の柔の技で受け、その直後をカウンターで打つ。単純だが、魔力剣・爆の危険性をユティが知っていたからこそ、囮は効果的に働いた。
そして、ティナの剣によって逸らされた槌が空を切る中、ティナは更に一歩踏み込む。その手にある剣には魔力が込められている。しかしそれは膨大な荒れ狂うようなものではなく、薄く、それでいて鋭い。
戦いの集中ゆえか普段以上に洗練されたその姿はラルフ戦の隆人に重なる。
「『ーー 隼三閂』!!!」
「ぐぉっ」
刹那のうちに3つの斬撃が迸り、ユティを襲う。威力ではなく斬撃に重きが置かれたその剣は、堅牢な鎧を超えユティから鮮血が舞う。戦闘不能にさせることこそできないが、その傷は消して小さくない。
それまで一度も余裕を崩さなかったユティが、その表情に苦悶と焦燥を浮かべる。
「面でダメならば線で。リュート様の虹彩七閂にはまだまだ及びませんが」
そして更にティナが身を翻し、一撃を受け仰け反るユティを追撃する。今度こそ戦いを決めるように、その剣に魔力が込められる。
「ぐ……ま、だだぁ!!」
だがユティもまだ終わらない。赤を散らしながら強引に体勢を戻し、槌を構える。
そして三度目の激突。
「っ!」
と、ユティの体がガクンと揺れ、僅かながらその動きが鈍る。その表情に苦痛が見える。
見ると、その肩が燃え上がっていた。覆っていた鎧は溶け始めている。
二度目の激突の時に放った無詠唱での炎弾。その一発にだけ、ティナは聖炎を込めていた。
ティナの意のままに操れる聖炎は、着弾しても散ることはなく、ユティの鎧に食いついて燃やし尽くした。
斬撃と聖炎によるダメージによって生まれたユティの隙、1秒にも満たない僅かなその隙は、しかしティナにとっては十分な時間であった。
「これで、終わりです。『魔力剣ーー」
振り抜かれる剣、見開かれるユティの目。そして魔力が炸裂する。
「ーー爆』!!」
膨大な魔力が込められた下段からの斬り上げは、ユティの胴を捉え、同時にその魔力が解き放たれる。
爆音と共にユティの体は宙を舞い、少し遅れてドボンと場外の水に落下した。
(皆さまお久しぶりです。……いやほんとお久しぶりです。何も弁明はないです。はい。)
大闘際2日目、無差別級予選第1試合も中盤を超えた辺り、ティナの前に傭兵団「骸」のユティが立ちふさがる。
その姿から力量を悟ったティナは温存を諦め、短期決戦での決着を狙う。
これまで以上に魔力を注ぎ込み威力に重点を置いた魔力剣。圧倒的威力でもってユティを場外へ飛ばさんとする剛撃。しかしーー
ギリッ
「不発!?」
「先程より威力を上げたようだが、そんな目に見えた必殺技を受ける道理はないな」
ティナ渾身の魔力剣は、炸裂する前に軌道に割り込んだユティの槌によって押さえ込まれる。それによって本来解き放たれるはずであった魔力は行き場をなくし、少々の爆風を残し霧散する。
「魔力剣・爆」はその込めた魔力量がゆえ爆発力は大きい技であるが、その一方で発動者側の受ける反動もかなりのものである。
半端な体勢で放てばその威力によって逆に腕がもっていかれてしまう。反動を抑え込む為に腰を落とし体重を乗せた一撃である必要があり、その結果攻撃が大振りで直線的になってしまう。これが威力重視の「魔力剣・爆」唯一最大の弱点である。
ユティはその弱点を初見でもって見破ったのだ。
そして、場に流れる時間が緩む。
ティナは振り上げの途中、ユティはティナの剣を押さえつける体勢で両者の動きが硬直する。
お互いのステータス上のSTR値にはほとんど差がないようである。その為上から抑える格好のユティが若干の主導権を取り、ティナは力を抜いた瞬間獲物を叩き落される為動けない。
この状況では剣での攻撃は無理である。
「っ!?」
「『衝打』!」
魔法による攻撃に切り替えようとしたところで、突然ティナの腕にかかっていた力が消える。抵抗が消えつんのめる体を一瞬で制したティナだが、その眼前に槌の面が迫る。
完全に一歩遅れたティナをユティの衝撃そのものをぶつけるが如く槌が打ち抜き、ボッという音と共にティナの体は宙を舞う。
そのまま数メートル程飛んだティナの身体が闘技場の床に落ちた。
だが、ユティの顔には怪訝が浮かぶ。
「……手応えがない」
完璧なタイミングであったユティの一撃は、本来であれば舞台の外まで飛んでいてもおかしくないだけの威力が込められていた。
だが実際は攻撃の感触が人体を叩いたそれではなく、直撃したように思えない。飛距離も不自然である。
そしてその違和感を裏付けるように、地に落ちたティナはすぐさま立ち上がり距離を取る。ダメージは0ではないが、戦闘に影響が出るほどではない。
「(危なかったですね。魔力を爆発させ攻撃の威力を削ぐ。少々博打でしたがうまくいきました)」
あの瞬間、ユティの一撃をかわせないと悟ったティナは、その直前まで攻撃用に溜めていた魔力を炎弾の要領で爆発へと変換した。指向性も制御もなく半ば魔力暴発に近い形で放たれたそれは、故にその速度でもって完全な後出しからユティの攻撃に間に合い、その威力を相殺する。
無論、無茶である。自分の魔力で自分を吹っ飛ばすなど狂気の沙汰であり、ティナ本人からしても上手くいくかは賭けであった。
だが、そんなことはもうどうでもいい。大事なのは賭けが成功し、戦闘は続行しているという一点のみである。
「体勢を立て直します!〈炎弾〉!」
「ちっ、前衛型魔法使いか!厄介な」
一定距離をとったティナが、舞台を駆け回り、時には乱戦中の他の選手を壁として使うようにしながら炎弾を放ち牽制する。炎弾はその全てがユティによってかわされるか槌で防がれるが、その対処に一瞬動きが止まりティナとの距離を詰めることができない。
「(速度はこちらの方が上、力は互角、技術や経験はあちらに分がありそうですね。お互い、大技は決めれば相手を場外へと運ぶ威力がありますが……)」
牽制によって時間を稼ぎながら、ティナは得た情報を元に思考を巡らせる。互いの力量差、見た限りの手札、状況。その全てを取り入れ、勝利への道を探る。
なおも続くティナによる遠距離攻撃、追いかけてはいるがひたすら防御を余儀なくされているユティ。だがその顔には焦りは見られない。むしろ余裕すら感じられる。
わかっているのだ。この膠着がそう長くは続かないことを。
炎弾主体の遠距離攻撃は、牽制としての効果はあれど勝敗を決めるにはあまりにも打点不足であり決着など望めない。だが火力の高い大規模魔法を使うには詠唱が必要であり、その間炎弾が途絶える。そんな隙をユティが見逃すはずはない。
そしてここは一対一の試合ではない、周囲では乱戦で繰り広げられており、それこそ大型の魔法を使おうものなら真っ先に叩かれる。
そしてもう一つ。間も無く舞台が再び縮小する。そうなれば選手間の密度は更に高まり、このような距離を取った戦いは難しくなる。
時間はティナにとって有利には働かない。つまり、
「はぁぁぁ!!」
「やはり、攻めに転じるか」
それまで一定の距離を置いていたティナが、突如切り返しユティへと向かう。更に無詠唱での小さな炎弾のおまけ付きで。
彼我の距離を加速によって踏み潰し、ユティに切迫する。そしてそのティナの剣には魔力が込められている。
遠距離での決着がないなら、明確に相手より秀でている速度でもって速攻を仕掛け、ユティの対処能力の上から必殺の一撃を叩き込み、倒す。
それがティナの、最も可能性のある勝ち筋である。
そしてそれはユティも理解している。ユティは更に一歩踏み込み、ティナを迎え撃つ。
もとより大きくはなかった互いの距離が瞬く間に消えていく。
ここでティナの放った小さな炎弾が先にユティの元へたどり着く。絶妙なタイミングでのその魔法は、例え避けても防いでも、生まれた一瞬の隙でティナの魔力剣がユティを場外へと吹き飛ばすであろう。
「むん!」
だからユティはどちらも選ばない。躊躇うことなくそのまま進む。炎弾が肩口に着弾、ユティの鎧が燃え上がる。しかしユティの槌を振るう腕は止まることは無い。
無傷ではない。炸裂したティナの炎弾はユティの体を覆う鎧を超え、彼の体に確実にダメージを与えている。しかし、無詠唱で威力の減衰した炎では、彼の動きを止めるには足りなかった。
そしてティナとユティの距離が0になり、剣と槌が振るわれる。
「『魔力剣ーー』!」
「『衝ーー』!」
そして放たれる互いの必殺の一撃。まるで先ほどの光景が巻き戻されたかのような姿に、観客達は皆ある結末を浮かべる。
ティナの魔力剣・爆が完全に防がれ、ユティの衝打によって場外へと飛ばされるそんな光景。
そして互いの一撃が交差する。
「!?」
直後、ユティの目に驚くべき姿が映る。
迫り来る自らの槌を前に、ティナはその動きを剣を、ピタリと止めていた。
魔力剣・爆を発動途中に急にキャンセルすれば、込められた大量の魔力が暴発しているはず、しかしその様子がない。
ユティの頭を疑問と警戒がよぎるが、すでに振るわれた槌はもう止められない。
衝撃ごとぶつけるユティの打撃が、ティナの体を捉える……ことはなかった。
「なっ!?」
それがティナによって受け流された後だと、一拍遅れてユティが理解する。
そっとユティの一撃に添えられたティナの剣が、流れに逆らうことなく、しかしその軌道を自らの体から外へと向ける。
剛の技を囮にして誘った相手の大技を本命の柔の技で受け、その直後をカウンターで打つ。単純だが、魔力剣・爆の危険性をユティが知っていたからこそ、囮は効果的に働いた。
そして、ティナの剣によって逸らされた槌が空を切る中、ティナは更に一歩踏み込む。その手にある剣には魔力が込められている。しかしそれは膨大な荒れ狂うようなものではなく、薄く、それでいて鋭い。
戦いの集中ゆえか普段以上に洗練されたその姿はラルフ戦の隆人に重なる。
「『ーー 隼三閂』!!!」
「ぐぉっ」
刹那のうちに3つの斬撃が迸り、ユティを襲う。威力ではなく斬撃に重きが置かれたその剣は、堅牢な鎧を超えユティから鮮血が舞う。戦闘不能にさせることこそできないが、その傷は消して小さくない。
それまで一度も余裕を崩さなかったユティが、その表情に苦悶と焦燥を浮かべる。
「面でダメならば線で。リュート様の虹彩七閂にはまだまだ及びませんが」
そして更にティナが身を翻し、一撃を受け仰け反るユティを追撃する。今度こそ戦いを決めるように、その剣に魔力が込められる。
「ぐ……ま、だだぁ!!」
だがユティもまだ終わらない。赤を散らしながら強引に体勢を戻し、槌を構える。
そして三度目の激突。
「っ!」
と、ユティの体がガクンと揺れ、僅かながらその動きが鈍る。その表情に苦痛が見える。
見ると、その肩が燃え上がっていた。覆っていた鎧は溶け始めている。
二度目の激突の時に放った無詠唱での炎弾。その一発にだけ、ティナは聖炎を込めていた。
ティナの意のままに操れる聖炎は、着弾しても散ることはなく、ユティの鎧に食いついて燃やし尽くした。
斬撃と聖炎によるダメージによって生まれたユティの隙、1秒にも満たない僅かなその隙は、しかしティナにとっては十分な時間であった。
「これで、終わりです。『魔力剣ーー」
振り抜かれる剣、見開かれるユティの目。そして魔力が炸裂する。
「ーー爆』!!」
膨大な魔力が込められた下段からの斬り上げは、ユティの胴を捉え、同時にその魔力が解き放たれる。
爆音と共にユティの体は宙を舞い、少し遅れてドボンと場外の水に落下した。
(皆さまお久しぶりです。……いやほんとお久しぶりです。何も弁明はないです。はい。)
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