身体強化って、何気にチートじゃないですか!?

ルーグイウル

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第5章 森王動乱

公都シャリエの冒険者ギルド

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 シャリエでの目的を達成した隆人達は次の目的地として、このグランザム連合王国の王都を選んだ。
 元サブカル好きの隆人としては異世界転生に王都、王城ば欠かせないものであり、そしてティナの呟いた「大闘祭」という言葉に対する好奇心が決め手となった。


「それじゃあ、行き先も決まったことだし早速出発しようか」
「リュート様、その前に寄り道してもいいですか?」


 すぐに王都へと出発しようとする隆人であるが、ティナがその機先を制す。そして寄り道を提案したのである。


「寄り道?いいけどどこに?」
「このシャリエの冒険者ギルドに寄っていこうと思いまして」


 ティナが提案した寄り道とは冒険者ギルドであった。隆人は不思議そうな顔をしながらも、ティナについて行くのであった。


 ちなみに、冒険者ギルドはこの王国中にその支部が存在する。その土地の依頼が集められ、その依頼を受けようと冒険者が集まる。
 また、ギルド間では頻繁に連絡を取り合っている。ギルド間を経由する手紙の郵送を送る際に様々な連絡を行なっているのだ。


 そんな業務を一手に引き受ける冒険者ギルドは支部の中でも一際大きな支部があり、地方の業務の拠点として本部との間を取りなしている。
 そのような大支部は基本的に大きな都市に設置されている。
 そして王都に次ぐ大都市の一つであるここ公都シャリエにもまたそんな大支部の一つであり。


「大きいね、ディアラのところもかなり大きいと思っていたけれど、ここはそれ以上だね」
「ここは王国の東側における冒険者ギルドの拠点ですからね。私も来たのは初めてですが」


 公都シャリエの冒険者ギルドは公都の主道に隣接するいくつもの区画をぶちぬいた巨大施設である。
 シャリエ邸に匹敵する程である。


 その内部も外観同様に広く、豪奢さは全くないものの、ある種の存在感にあふれていた。


「それで、わざわざギルドに来たのは何か用があるんだろ?」
「いえ、大した用ではないのですが」


 そう言ってティナは少しばかりキョロキョロと視線を彷徨わせた後、ギルドの大部屋の一角へと進んでいく。
 そこには巨大な板が設置されていた。


「掲示板?やっぱり大支部となると掲示板も大きいね」
「わぁ!いらいがいっぱいなのです!」
「はい。用事の一つはこの掲示板です。私たちも冒険者ですからね。王都への道中でこなせる依頼があれば受けたいですし。それに情報掲示板の方にも有用な情報が載っているかもしれません」


 そう言って掲示板に載せてある依頼や情報を眺めていくティナ、しかし余り有用な情報がなかったようである。


「その様子だと芳しくはないようだね」
「そうですね。依頼も手頃なのはありませんてましたし、大事な情報は無かったようです。一つ気になったのは、ここから王都までの途中に大森林を一つ迂回するのですが、その大森林から最近魔物や動物が頻繁に出てくるらしいです。何か起こらなければ良いのですが」


 そう言って思案げに頭を傾けるティナ、隆人はそな様子発言、そしてタイミングに途轍もなく嫌な予感を感じたものの、頭から振り払う。
 

「それでは用事その二ですね。冒険者カードの更新ですね。冒険者カードは冒険者として活動する券であり同時に身分を証明する為のものです。ですが身分証明としての機能がある以上、あまりに長期間更新がないと利用する時に怪しまれてしまうので」
「なるほどね、そういえばカードもらう時に適度に更新するようにって言われたね」
「これから王都まではかなりの時間がかかります。念のためここで更新しておく方が良いかと思いまして」
「そうだね。じゃあすぐに更新しちゃおうか」


 隆人達は数本あるフロントから伸びる列の一つに並ぶ。既にかなりの長さの列になっていたが、フロントも慣れた仕事でテキパキと進めていき、列はどんどんと消化されていく。
 体感でもさほど待つことなく隆人達の順番が回ってきた。


「次の方どうぞ」
「冒険者カードを更新したいんだけど」
「はい。冒険者カードの更新ですね?ではカードを一度お預かり致しますね」


 フロントの女性に従い、隆人はティナロロノと共に冒険者カードを提出する。
 それを受け取り書類を書いていく、だが途中でその手を止めた。


「あら、ランクが変更された方がいらっしゃいますね。ディアラ支部の方から変更届けが来ています。おめでとうございます」
「ランクが?いつの間に」
「リュート様とロロノ様ですね。すごい!リュート様はFから2つランク上がってDランクですよ」


 女性が賞賛の声をかけてくる。どうやらディアラでのアルラウネの一件とその後の活動でランクアップしていたようである。
 隆人が出発する前には間に合わなかったようだが、こうして知ることができた。


「でも、冒険者ランクの上昇には昇格試験に合格しなければ行けないんじゃなかったかな?」
「Dランクまでは例外的に、実力が伴っていると判断された場合昇格試験を受けずにそのまま昇格することができるんですよ。Dランク以下の冒険者の数は計り知れませんから一人一人試験をする訳にはいかなくて」
「なるほどね」


 確かに、推定Aランク以上のアルラウネを討伐したのだ。しかも迷宮都市でも有名なAランク冒険者[両断]のグリンジャーを証人として。実力という面では十分過ぎるほど証明したであろう。


「これにより皆さま『暁の風』のパーティランクもDへと上昇しましたよ」
「おぉ、そういえば一度下がっていたね」


 ロロノが新しく加入した事で「暁の風」のランクは一つ下のEへと下がっていたのだ。今回のランクアップにより、パーティランクが元のDまで戻った事でよりいい仕事が受けられる。
 朗報である。


 そんな事を考えているうちに冒険者カードの更新が終わったようである。女性がカードを返却してきた。


「はい。これで更新は終了です。今後も皆さまの活躍を期待していますね」
「ありがとうございます」


 女性の言葉に、隆人が少し頭を下げるようにして返事を返す。ロロノとティナもすぐに続いた。そして冒険者ギルドを後にする。


「これでもうやるべき事は終わりかな」
「そうですね。リュート様の備蓄にはまだ余裕がありますし、冒険者カードの更新も終わりました」
「じゅんびかんりょーなのです!」


 ギルドを出て少し歩いたところで先頭を歩く隆人が振り向いて2人に訪ねる。
 質問に対し2人は笑顔で答える。


 その様子を見て隆人も笑顔を見せる。


「それじゃあ、王都に向けて出発だ!」
「「はい(なのです)!」」



(読んでくれた方はなんとなくわかると思いますが、今章のタイトルはそういう事です。すみまさんネタバレのようになってしまい……)
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