身体強化って、何気にチートじゃないですか!?

ルーグイウル

文字の大きさ
上 下
36 / 141
第3章 獣人少女ロロノ

まず形から入る

しおりを挟む
(なんとか今回分は書き切りました!短めになってしまいました。一応しっかりと確認したつもりですがミスがあったらすみません)



 奴隷商の男が手をかざし、何やら詠唱のようなものを唱えると、ロロノの背中にある奴隷紋と隆人の手の甲が光る。そして無事ロロノと隆人の奴隷契約は成功したのであった。


「これで、奴隷とお客様の奴隷契約は成されました。何か違和感等ありますでしょうか」
「違和感?」
「はい。特殊な魔法の為、体質などによっては拒絶反応を起こすことがあるのです。例えば主人紋、お客様の手の甲に現れたその紋様がある腕に麻痺が出たり痛みが出たりといった症状が出ます。そのようなことはございますか?」
「……うん、大丈夫みたいだね」
「ロロノもだいじょーぶなのです!」


 奴隷商の男の言葉を聞き、手を握ったり開いたりと試してみる隆人、しかし何の違和感もなかったのですぐに頷いた。
 ちなみにロロノはすでに一度奴隷契約を結んだことがあるはずなのだが、その場の誰も突っ込まなかった。


「問題ないようですね。ではこれにて終了とさせていただきます」
「ありがとう」


 隆人は奴隷商の男に作業料の小金貨5枚を支払い立ち上がる。続くようにティナとロロノを立ちあがった。


「そうでした、最後にもう一つ」
「何かな?」
「奴隷は主人の所有であり奴隷の起こした事の責任は全て主人であるお客様が負うことになります。その事を忘れないよう、奴隷のしつけなども主人の仕事でございますので」
「うん、わかったよ」
「ロロノはいいこなのです!」
「ふふふ、そうですね」


 隆人が返事を返し、続いてロロノが元気よく答える。ティナはその光景を見て微笑む。


 奴隷商店の店内に和やかな雰囲気が広がる。


「またのご利用をお待ちしております、次はウチの商品の子達を買っていただけることを期待しておりますね」
「考えておくよ」


 最後まで商人らしく締めた奴隷商の男の強かな言葉に隆人は苦笑いを浮かべながら返す。
 そしてその言葉を最後に隆人達は奴隷商を後にした。





「それでリュート様、これからどうしますか?」

 
 奴隷商の店を出たところでティナがそう切り出した。みるとロロノも隆人の顔を覗き込んで隆人の返答を待っている。
 ふと隆人が近くにある魔道具の時計をみると、時刻はお昼を少し回った頃であった。


「そうだね……。じゃあ時間も時間だし先ずはご飯を食べようか、その後は武器屋に行ってみようかな」
「武器屋ですか……?」
「うん、せっかくだからロロノの武器を探してみようと思ってね、これから特訓するなら尚更自分の武器があった方がいいだろうし」
「武器なのです!?」


 隆人の言葉に反応したのか、ロロノがテンション高く聞いてくる。やはり自分だけの武器というのは憧れるのだろう。


「でもまずはお昼ごはんを食べないとね」
「それなら近くに美味しいお店を知っているのでそこで食べましょう!」
「さきにごはんなのですー」


 隆人達一行はティナのオススメの店でお昼を摂った。ちなみにやはりティナのオススメの店だけあり質は高く、隆人は満足してお店を後にした。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやぁ、美味しかったね!」
「おいしかったのです!」
「満足いただけてよかったです。では武器屋に行きましょうか。リュート様、どこか当てはあるのですか?」
「うん、この前素材屋の人から聞いた店の中で行こうかと思っているところがあってね」


 隆人がこの迷宮都市に来てボルケーノグリズリーの素材を売却した素材屋、そこで隆人とティナが出会った男、素材屋の中でもそれなりの立場にいるらしきその男は隆人の事を気に入っていた。そしてその男がこの街の店について色々教えてくれたのだ。
 それらは噂話のような形であったが、中には隠れ家的な店やどこで聞いたのか疑問に思うほどの裏話なども混ざっていた。
 そして、今回隆人が行こうと思っているお店もその素材屋の男から聞いたお店である。


「そこはどのようなお店なのですか?」
「素材屋の人が言うには鍛冶屋が直接営んでいるらしいんだけど、使う素材も鍛治の腕も高くて知る人ぞ知るって感じのお店なんだって、ちょっと気難しいらしいけどね」
「聞いたことありませんね……」


 隆人とは違って迷宮都市ディアラで長いティナが知らないというお店という事に隆人の期待と不安が両方とも上がっていく。そして一行はその武器屋へと足を伸ばした。




「ここ、ですよね……?」
「確かそのはずだけど」


 隆人達は素材屋の男が言っていた場所に到着する。それは商業区の中でもかなり外側であり隆人が朝練をした場所からほど近い所である。
 辺りは空き家が多く、人気もかなり少ない。スラムの住人なのか薄汚い服をきたような人がちらほらと見えるくらいである。



 どう見てもお店があるような雰囲気ではなく、隆人とティナが疑うのも仕方ないだろう。
 

 
「確か、剣と盾がクロスしたようなマークの看板があるって話だったんだけど……」
「剣と盾のマーク……。もしかして、あれ、でしょうか」


 ティナが指差す先、見ると空き家が並ぶ中にぽつっと件の看板がかけられてある家を見つけた。それは言われなければ気づかない程薄汚れており、隆人達の不信感を更に煽る。


「多分、そうだと思う」
「行ってみましょうか……」
「いくのです!」


 隆人達はおずおずと店?の中に入って行く。その後ろをロロノが元気について行く。


「くらいのです」
「ここに本当にお店なんてあるのかな……?」
「あの素材屋の方が言っていたのですし、ないという事はないと思いますけど」
「とりあえず、もう少し奥まで進んでみようか」


 見た目同様に中も薄汚れており、ところどころに埃がかかっている。隆人達は疑いを深めながら更に進んで行く。
 思ったより家は広く、長く廊下が伸びていた。
 そのまま薄暗い家の中をしばらく進んでいくと、一行の目の前に階段が現れる、ギシギシと音を立てながらその階段を上ると、その先にはまた違う世界が広がっていた。


「…………客か」


 無数とも言える大量の武具が広い空間内を埋め尽くすように転がっている。そしてその中に囲まれるようにどっしりと1人の小柄な男が一本の剣を磨きながら座っていた。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚

ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。 原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。 気が付けば異世界。10歳の少年に! 女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。 お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。 寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる! 勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう! 六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる! カクヨムでも公開しました。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

処理中です...