身体強化って、何気にチートじゃないですか!?

ルーグイウル

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第2章 迷宮都市と主の脅威

主人公×ギルド=?

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(セリフってほんとに難しいですね……。今回も短めです)




「ティナちゃん!無事だったんだね!」


 突然聞こえてきたそんな声に、隆人とティナが振り向く。そこにはパーティと思わしき風体の男四人組が立っていた。声のぬしは真ん中の冒険者の男のようだ。


「ティナちゃんが下層に潜っているときにその下層でAランクの魔物の発生なんて、本当に心配したよ」
「あ、はい……」


 すごい勢いでにじり寄ってくる四人組にティナが苦笑いをしながら一歩後ずさる。なんとも犯罪臭のある構図である。
 その様子に疑問をもった隆人はティナに近づき、男たちに聞こえないように尋ねる


「(ねぇティナ、この人たちは知り合いなの?)」
「(はい……。普段から気にかけて頂いているのですが……)」


 その雰囲気から隆人は何となく察する。おそらくこの隆人の前世でいう熱烈なファンというところなのだろう。
 ティナの方も拒んではいないがあまりいい感情は抱いていないようだ。


「おい、なんだお前、なんでティナちゃんのそばにいるのかな?」


 と、男達の意識がティナから隆人に向く。彼らにとっては憧れのティナのとなりに突然現れた見知らぬ男というのは許容できないのだろう。
 かなりの剣幕で近づいてくる。


「俺はティナにギルドまで案内をしてもらったんだよ、これから冒険者登録をするつもりでね」


 隆人は一歩前にでてティナを庇うように立つ。ティナも何か言おうとしたが、隆人が先に話したことでタイミングを失ったようである。


「ははははっ、なんだ冒険者志望か。じゃあもう用はないだろ、ティナちゃんから離れてくれないかい」
「そういうわけには行かないな、ティナはあんた達をみて引いてるみたいだし」
「あぁ!?ティナちゃんが引いてる?お前適当なこと言ってんじゃねぇぞ」


 隆人の返答を聞いて、四人組の他の男が声を荒げる、真ん中の男と違いチンピラみたいな男だ。
 その声を聞き、ティナは一歩後ろに下がり結果的に隆人の陰に隠れるようになる。


「ほら、ティナが怯えてるじゃないか、どっか去ってくれないかな」
「お前!?調子乗ってんじゃねぇぞ!表出ろや、ぶっ飛ばしてやる」


 隆人の挑発?に乗ったチンピラみたいな男がまさにチンピラと言った言葉で脅しをかける。
 だが、それを真ん中にいた男が手で制する。


「やめるんだバルザー、これでは本当に脅しているみたいじゃないか。まぁでも彼も調子に乗っているようだし身の程を知ってもらおうかな」


 そう言って隆人に視線を向ける真ん中の男。丁寧な口調だがその目には危険な色が混じっている。


 そして直後、真ん中の男はギルドの床を蹴り隆人に接近する。見ると剣を振りかぶってきておりそれを思いっきり振り下ろす。
 剣は加減してるのか刃ではなく腹だか、敵意のこもった一撃は無事に済ます気がないのは明白だった


 まぁ、当たればの話だが


  ドスッ


 振り下ろされた剣、それをほとんど動くことなくかわした隆人は男の手首に手刀をかます。そしてそのまま流れるような動きで拳を男の鳩尾に吸い込ませる。
 もちろん十分に手加減した上でだが。


「が、っ……?」
   

 突然襲った腹部の鈍痛に耐えることができず男は崩れ落ちる。手刀を受けた手首は腫れており、持っていた剣は既に落としている。


「な!?」
「てめぇよくも!」



 その様子を見ていた仲間の男達も突然リーダーの男がやられたことに思考が追いついてなかったようであったが、やがて我に返り、今度は3人で襲ってきた。


「死ねぇ!クソガキ!」


 完全に頭に血が上っているのだろう。今度の三人、特に先程恐喝まがいのことをしていたバルザーというチンピラは殺気を向けながら突撃しており、もちろん剣の腹ではなく刃を向けて斬りかかる。


「……遅いね」
「っ!?」


 殺気の向けられている当の隆人の方は至って冷静である。タンッと軽く地を蹴ったと思ったら次の瞬間には先頭の男ーーチンピラの眼前に立つ。そして今度は拳を顔面に向けてかます。
 隆人の拳を頰にまともに食らったチンピラは放物線を描きながら数メートルほど吹っ飛ぶ。冒険者達は既に隆人達から距離をとっていたため被害はない。


 そしてそのまま一瞬のうち残り2人も無効化し、チンピラの上に重なる。


「こいつら、弱すぎるね」


 冒険者のようであったがその動きは非常に拙く。4人合わせても乱獲したゴブリン(エルダーゴブリンだが)の方が強いのではといったレベルである。


 その実力に肩透かしを食らったような隆人であったが、周りはそうではなかったようだ。


「お、おい嘘だろ……」
「あいつら、確か最近Dになったんじゃなかったか?」
「それを一瞬?しかも武器を使わず……」
「何者だあいつ」


 その光景を見ていた周りの冒険者連中がざわざわと騒ぎ出す。どうやらこの四人組はそれなりに知られた冒険者だったようで、変に目立っているようだ。


 元々サイクロプスの案件で多くの冒険者が集まっていた状況だったのも重なり、ギルドの中は大騒ぎになる。
 そんな中ギルドの二階から大声が響く。


「うるせぇぞお前ら!この非常になんの騒ぎだ!」


 そう言いながらやってきたのは巨漢の男、筋骨隆々と言うべき肉体を持つその男はまさに巌と表現するのがふさわしい。


「強いね……」


 その姿をみた隆人が呟く。巨漢の男から溢れるオーラはまさに実力者のそれであり。例のゴブリン、いや下手をしたら熊魔物と同等以上の存在感を放っていた。


「ふむ……」


 そして当の巨漢は二階からギルドの状況を一瞥し、倒れてる男達や蹲るリーダーの男を見てからその視線を隆人の方に向ける。


「お前がこの騒動の原因か?とりあえず上に来てもらおうか、色々と話してもらいたいことがある。そこのやつは後だな」


 そう言い、二階に登っていく男。隆人はその男についていく。


「あぁ、そういえば言い忘れたな。俺はスティング。このギルドのマスターだ。」
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