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第2節:アプローチ開始
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「お付き合いしたいとか、そんな大それたことは考えていないんですけど…」
航太は小声で呟いた。「でも、もう少し仲良くなれたら嬉しいんですよね。」
「だったらさ、タクミにダンスの指導をお願いするのが一番だろ!」
ケンジがニヤリとしながらアドバイスをくれる。
いやいや、そんな簡単に言うけど、実際にお願いするのは僕なんだから…
そんなに軽くいけるわけないだろ、と心の中で突っ込んだ。
「いや、下心があるのが恥ずかしくて、おねがいしづらいんです…」
航太は溜息をつきながら答える。正直、タクミにお願いするのは、
ダンスだけが目的じゃないのがバレバレな気がして恥ずかしい。
「別に難しく考えるなよ。ダンスにてこずってるのは事実なんだし、
もう少し下積みしたかったって言ってたろ?」
ケンジは肩をすくめながら、軽く言ってくる。
「それはそうなんですけど…足を引っ張ってるのが申し訳なくて」
航太は肩を落とす。ダンスが苦手な自分がメンバーの
足を引っ張っているという自覚は痛いほどあった。
「だったらなおさら、個人指導をお願いした方がいいよ。下心とか関係なしにさ」
ケンジは真面目な顔で言ってくれる。
彼の言葉に少し勇気をもらった航太は、つ
いにタクミに自主練の個人指導をお願いすることを決意した。
「大丈夫だって。タクミは恋愛の経験値低いから、絶対に気づかれないって!」
ケンジのその一言に背中を押され、航太はついにタクミにお願いしてみた。
「タクミさん、もしよかったら、僕のダンスを個人指導していただけませんか?」
航太が緊張しながら言うと、タクミは驚くほどあっさりと
「もちろん! 自主練してるし、一緒にやろうよ」と笑顔で応じてくれた。
その笑顔に、航太の心臓は一気に跳ね上がる。
自主練はふたりだけの時もあれば、他のメンバーがいるときもあった。
個々の活動が多いせいで、タイミング的にふたりきりになることが多いのだ。
ちょうどタクミも出演していた舞台が終わったばかりで、
時間がうまく合っていた。
フロアで一緒に振りを確認している間は何とか平静を保っていられるのだけれど、
タブレットで撮影した動画をチェックしている時なんて、
距離が近すぎて心臓がバクバクしている。
タクミさん、これ、絶対に気づいてないよな…。
「この振り、もう少し大きく動けるか?」
タクミが真剣な表情で問いかけてくる。
熱心な指導に航太は必死に気を引き締める。
「あ、あの…タクミさん、僕、ここがどうしても苦手で…」
航太が小さな声で答えると、タクミは優しく頷く。
「大丈夫だよ、何度でも教えるからさ」
その言葉に、航太の胸が温かくなる。タクミの指導のおかげで、
ダンスも少しずつ上達し、メンバーに迷惑をかけることも減ってきた。
ある日、タクミがメンバーたちの前でこう言った。
「航太、最近すごく頑張ってるよな。これからもっと期待できそうだ。」
その言葉に、他のメンバーも同意してくれた。
ダンスが上達したこと以上に、タクミに褒められる喜びが
航太の中で大きく膨れ上がっていく。
そして、それと同時に、航太のタクミへの恋心もどんどん大きくなっていった。
航太は小声で呟いた。「でも、もう少し仲良くなれたら嬉しいんですよね。」
「だったらさ、タクミにダンスの指導をお願いするのが一番だろ!」
ケンジがニヤリとしながらアドバイスをくれる。
いやいや、そんな簡単に言うけど、実際にお願いするのは僕なんだから…
そんなに軽くいけるわけないだろ、と心の中で突っ込んだ。
「いや、下心があるのが恥ずかしくて、おねがいしづらいんです…」
航太は溜息をつきながら答える。正直、タクミにお願いするのは、
ダンスだけが目的じゃないのがバレバレな気がして恥ずかしい。
「別に難しく考えるなよ。ダンスにてこずってるのは事実なんだし、
もう少し下積みしたかったって言ってたろ?」
ケンジは肩をすくめながら、軽く言ってくる。
「それはそうなんですけど…足を引っ張ってるのが申し訳なくて」
航太は肩を落とす。ダンスが苦手な自分がメンバーの
足を引っ張っているという自覚は痛いほどあった。
「だったらなおさら、個人指導をお願いした方がいいよ。下心とか関係なしにさ」
ケンジは真面目な顔で言ってくれる。
彼の言葉に少し勇気をもらった航太は、つ
いにタクミに自主練の個人指導をお願いすることを決意した。
「大丈夫だって。タクミは恋愛の経験値低いから、絶対に気づかれないって!」
ケンジのその一言に背中を押され、航太はついにタクミにお願いしてみた。
「タクミさん、もしよかったら、僕のダンスを個人指導していただけませんか?」
航太が緊張しながら言うと、タクミは驚くほどあっさりと
「もちろん! 自主練してるし、一緒にやろうよ」と笑顔で応じてくれた。
その笑顔に、航太の心臓は一気に跳ね上がる。
自主練はふたりだけの時もあれば、他のメンバーがいるときもあった。
個々の活動が多いせいで、タイミング的にふたりきりになることが多いのだ。
ちょうどタクミも出演していた舞台が終わったばかりで、
時間がうまく合っていた。
フロアで一緒に振りを確認している間は何とか平静を保っていられるのだけれど、
タブレットで撮影した動画をチェックしている時なんて、
距離が近すぎて心臓がバクバクしている。
タクミさん、これ、絶対に気づいてないよな…。
「この振り、もう少し大きく動けるか?」
タクミが真剣な表情で問いかけてくる。
熱心な指導に航太は必死に気を引き締める。
「あ、あの…タクミさん、僕、ここがどうしても苦手で…」
航太が小さな声で答えると、タクミは優しく頷く。
「大丈夫だよ、何度でも教えるからさ」
その言葉に、航太の胸が温かくなる。タクミの指導のおかげで、
ダンスも少しずつ上達し、メンバーに迷惑をかけることも減ってきた。
ある日、タクミがメンバーたちの前でこう言った。
「航太、最近すごく頑張ってるよな。これからもっと期待できそうだ。」
その言葉に、他のメンバーも同意してくれた。
ダンスが上達したこと以上に、タクミに褒められる喜びが
航太の中で大きく膨れ上がっていく。
そして、それと同時に、航太のタクミへの恋心もどんどん大きくなっていった。
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