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幕間 (第一部 ⇒ 第二部)

誰のことが好き?

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俺、婆ちゃん、牛田、玉崎、鳥飼は食堂の椅子に座り、嬉しそうに彼女たちを見ている。

今、1人の女の子が歩み出て深々と頭を下げた。ポニーテールにしたピンクの髪が前へと垂れる。

「先日は私たちを助けていただきありがとうございました。」

ミートリオが「いいってことよ!」 「俺達は好きでやったんだ!」 「結婚してください!」などとはやし立てた。俺と婆ちゃんも笑っている。

それを見たリリーナも頬を赤く染めながら笑った。

「みなさんに出会えて本当によかった。」

――――――
「私からも礼を言わせてくれ。」

そう言ったのはサラッとした金髪の女の子ユイだ。Tシャツにデニムの短パンというそっけいない格好が、体のラインをより目立たせる。

あ、あれは俺が昔着てたやつ。

自分の服を女の子が着るというのは今思えばどこか恥ずかしい(ちなみにリリーナは真っ白なワンピースを着ていた。みんなの前で挨拶をするために用意したのだろう)。

「・・・その。男をバカにしていて悪かった。『少し』はやるものだな。」

ユイと目が合う。こうして素直だと本当にキレイなんだよなぁ。牛田たちも見蕩れている。その気持ち、よくわかる。

「あ。みんな、ユイにデレデレしてる!」

そう言いながら面白そうに男たちを指差すのはプリムだ。

「ボクのこともちゃんと見て。ねぇ雄太。」

プリムはピョンと一歩前へ飛び出て来る。いつものように俺のパーカーを着て。

「・・・お前はいつも通り可愛いよ。」

「あ、何その言い方。失礼しちゃうなぁ。」

残念だが、小学生に欲情する気持ちはない。あきらめろ。娘としてなら思えるけどね。

「私からもお礼を申し上げます。リリーナ様やユイ殿、プリムを助けていただきありまがとうございました。ささやかではございますがお腹いっぱい召し上がってください。」

クラウスさんも丁寧にお辞儀をした。

こうしてリリーナ達が俺達の世界に帰ってきた夜、みんなで簡単なお祝いを開いた。

この前、クワ片手に異世界で戦っていたことが信じられない。

でも、またみんなで会うことができてよかった・・・。

――――――






「・・・ねぇねぇ。誰のことが好き?」

突然、顔を赤くして聞いて来る。誰も答えず恥ずかしそうにしていた。

「あなた、言っちゃいなさいよ。」

「いやよ。あなたこそ言いなさいよ。」

お互いにけん制し合う。年甲斐もなくはしゃいでいた。





オッサン4人が俺の部屋で。


「おいーー!! 気持ち悪すぎるんだけど!!!」

部屋の中心で俺は叫ぶ。周りを牛田、玉崎、鳥飼の3人が取り囲んでいた。

「何だよ雄太。」 「ノリが。」 「悪い奴だ。」

「いや、30超えたオッサンが同じ部屋で恋バナするとかきついだろ。さっさとあてがわれた部屋に帰れ。」

「そんな。」 「つれない。」 「こと言うなよ黒崎。」

まずい、こいつら泥酔している。呂律が怪しい。目も座っている。リリーナ達が帰ってきたことに気を良くした3人組はこれでもかというくらいに酒を煽り、場が開けた後も俺の部屋に押しかけてきているのだった。

「で、誰が好きなんだ黒崎?」

3人のオッサンに見つめられ吐き気がする。

誰が好きとかねぇよ・・・たぶん。

そんな目で見ている子なんかいない、と言う俺を奴らは遅くまで寝かせてくれなかった。

―――――――
「リリーナさん。」 「これで。」 「終わりです。」

「はい、ありがとうございます。」

牛田たちから渡されたナスの苗を笑顔で植えるリリーナ。

人手があったことで作業は大分早く終わりそうだ。だが、一つだけ気になることがある。

「いや、お前ら。そろそろ家に帰れよ。」

そう、牛田、玉崎、鳥飼の3人は昨日から泊まったまま、今日も一日中畑仕事を手伝っている。

自分の仕事はどうしたのかと問いたい。

「黒崎くぅん。」 「そんな早く。」 「ハーレムになりたいのかい?」

「いやいやいや、ハーレムなんてそんなことあるかけないだろ。まったく、お前らは心配性だなぁ。」

昨日あれだけ否定したのにわからないやつらだ・・・と、思っているとリリーナとプリムが横を通り過ぎる。

「プリム、久しぶりの畑仕事は楽しいですね。」

「うん!楽しい。でも、汗でベトベトなっちゃった。」

「あら。私もです。早くお風呂に入ってさっぱりしたいですねぇ。そうだ!雄太さんも一緒に入るように誘ってみましょう。」

「賛成!雄太とお風呂に入りたい。」

と、言いながら。

ワザとだ。絶対ワザと。今まで一回も一緒に入ったことなんかないのに。

ミートリオの体から黒い炎がボウッと燃え盛る。

「冗談だって。本当に一緒に入るわけないじゃないか。」

「リリーナ様!馬鹿なこと言わないでください。男となんか一緒に入れません。」

うんうんユイの言う通り。そのままドンドン否定して牛田達の気持ちを静めてくれ。

「前に着替えをノゾいたこいつの顔を忘れたのですか!とてつもなく卑猥なことを考えているに違いありません。」

君たちはどうしてそう俺の期待を完璧に裏切るのかな!?

ザクッ。

クワが3つ飛んでくる。

『黒崎君・・・このクワの一撃、受け止めてくれるよね。』

「さらばだ!」俺は全力で屋敷へと逃げ出した。
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