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第1章 辺獄妄執譚

第70話 人類の幸福な救済法について

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【注】この話を読む前に必ずお読みください【注】
この物語は、フィクションです。実在の人物、団体とは関係ありません。実在の人物と同名の人物が作中で登場しますが、あくまで物語の登場人物で、架空の存在です。混同しないでください。また、作者は、あらゆる政治団体、宗教団体、テロ組織、暴力団、その他の犯罪組織または、カルト団体または、過激派政治団体に連なる或いは近しい物がある組織とは、一切関係ありません。この作品を通じて作者は悪質な思想を信仰させたい訳でもありません。また、この作品の思想を読んで正しい世界だと感じた貴方は道徳的、或いは倫理的に間違っています。



【注】本編を読む前に上記の注意書きをお読みください

ビンラディンが話し出すと、

「まずは囚われていた能力者達を紹介しよう。」

ビンラディンは捕らえていた能力者達の方を向き手を伸ばして

「左から、スティーブン・ホーキング、アドルフ・ヒトラー、エルネスト・ゲバラ、トゥサン・ルーベルチュール、ジェロニモ、ジャン・ド・バレット、ニコラ・テスラ、アルベルト・アインシュタイン、織田信長、ポル・ポトだ」

クリエイターはいきなり紹介されたパンチの強いメンバーに驚いていると、グラスホッパーが

「すげえ、信長がいる!」

と驚いた。すると、他の能力者は恥ずかしそうにして、役小角が

「良いか、良く聞け。俺達の敵は大体有名人だ」

と言うと、グラスホッパーは

「でも、今までの奴はほとんど知らねえ」

と言った。すると、クリエイターは

「後で、歴史を教えてやる」

と言い、続けてビンラディンに

「悪いな、続けてくれ」

と言った。するとビンラディンは

「では、改めて説明しようまず、おさらいしておくと我々の目的は地獄の主の目的を阻止する事だ。
そこで、今までは私では説明し切れぬ所もあるので伏せていた地獄の主の目的をホーキング氏に説明して貰う。」

ビンラディンがそう言うと、ホーキングは説明を始めた。

「それでは、ここからは私が説明しよう。
まず、地獄の主の目的だが端的に言うと天国の主を殺す事だ」

すると、クリエイターは

「なぜ、その必要があるんだ?」

と尋ねた。するとホーキングは

「良い質問だ。その応えは地獄の主と天国の主には深い因縁がありそれを清算する為だと思われる。」

と応えた。すると、クリエイターは

「思われる?」

と尋ねた。それにホーキングは

「思われると表現したのは、我々も彼らの因縁の詳しい内容がわからない為に真偽が不明だからだ。だが、それを踏まえても我々は地獄の主を止めなければならない。今からそれを説明する。」

ホーキングはそう言うと、一度深呼吸し

「何故ならば、地獄の主の目的は現世を侵略し現世に広まる信仰の全てを自らに向ける為だからだ。」

すると、クリエイターは

「それをするとどうなる?また、それは可能なのか?」

と尋ねた。すると、それに対しホーキングは

「まずはそれをするとどうなるかだが、現在の信仰はほぼ天国の主または天国の住人に注がれている。信仰とは神に力を与える物で神は信仰の量によって権能を高められる。当然、地獄の主の信仰は天国の主の物よりも低い為に現状では勝ち目が無い。そこで地獄の主は現世を征服し信仰の概念を根底から変えようとしている。地獄の主の侵略は既に始まっており、君達が現世にいた頃、いや、それよりも前から行われている。自体は急を要するんだ。少し、それたが次は可能かだが、可能だろう。理由は君達や我々が使う異能力だ。それだけ言えばわかるだろう?」

クリエイターはそれに頷き、続けて

「それでは、それをどうやって阻止するつもりだ?」

と尋ねた。すると、ホーキングは

「それはまず、辺獄に乗り込み奴らの拠点を叩く。現在、地獄の主は現世にいるので辺獄を留守にしている。これを好機に奴の補給元を潰す。そして、辺獄を征服した後に現世に進行し我々の能力で現世の信仰を消滅させる。そうする事でこの争いが終わるんだ。」

と言った。するとクリエイターは

「あ~、信仰を消滅させるとは具体的にどうやって?」

と尋ねた。するとホーキングは

「それは後で説明する。問題は辺獄の能力者の妨害だ。彼らが本気で妨害したら我々は現世に行って作戦を実行する前にやられてしまう。」

と言った。するとクリエイターは

「わかった。それで僕達が貴方達を守れば良いんだな?」

と言った。するとホーキングは

「ああ、その通りだ。引き受けてくれるか?」

と尋ねた。するとクリエイターは微笑んで

「勿論、その為に貴方を救い出した。」

と言うと、ホーキングは真剣な表情で

「この作戦では、誠に勝手ながら君に重圧をかける事になるが、それを聞いてもか?」

と尋ねた。するとクリエイターは

「重圧とは?」

と尋ねた。するとホーキングは

「君にかける重圧とは我々は現世の信仰を消滅させた後に、私の能力で天国と地獄の入口を完全に塞ぎ、現世とも死後の世界でも無い完全な孤立系の空間にする。そうした後に君には残った煉獄で全ての死者の魂を救済して欲しい。」

と言った。すると、クリエイターは

「天国と地獄を塞ぐのは争いを防ぐ為だが、何故この煉獄が必要なんだ?」

と尋ねた。すると、ホーキングは

「生前には誰も確かめようが無かったが魂が死後、ある空間に寄り添いそこで救済を待つと言う物理現象が存在する。この場合の救済とは完全に自我を失いまっさらな状態で苦しみから解放される事だ。だが、それまで間魂は拠り所を必要とする。何故ならば、人間の魂は生前の苦痛を取り払わなければまっさらば状態になる事が無いからだ。その為、魂は死後の安らぎが必要なんだ。そして、その安らぎは天国の様な場所が無ければ得られない。わかって貰えたかな?」

と応えた。すると、クリエイターは

「では、一つ。魂とは何ですか?人間の意思はRNAに刻み込まれる物でその他には無いはずです。」

と言った。するとホーキングは

「生前では誰もこの答えには至れないが、魂とは物質エネルギーでは無い。人間が生まれながらに獲得している清い存在に他人が交わる事で生まれる穢れの事を指す。詰まりは魂とはエントロピーだ。
RNAは「物自体」の存在である魂を「現象」に落とし込むべく神が作ったシステムに過ぎない。
だが、無理やり物自体に落とし込んだ為にシステムとして欠陥がある。それこそが記憶の消失だ。現世で認知症が治らないのはそもそもRNAには情報を書き込む機能しか無いためだ。だが、記憶としては失われた物は魂には記録されて消滅する事は無い。
これは、生前でも理解出来たな。エントロピーは不滅であるからだ。」

それを聞くとクリエイターは感銘を受けた。すると、ホーキングは続けて

「なので、我々が考えた作戦はこうだ。
記憶が失われたとしても魂には何の害も与えないのならば、我々はポル・ポトの能力で現世の知識を一度完全に消滅させる。この段階で信仰は消滅する。続いて無知な状態の人類の五分の一を隔離する。その後ヒトラーの能力で双方は完全に別の生物であると認識させる。そして、五分の一の隔離された人類を上位種、五分の四を劣等種とし劣等種には自分達は上位種により創造された生物と認識させ自分達の上位種の意思に背く事や、傷付ける事が許されないと言う倫理感を根強く植え付ける。更に今まで持っていた人類の技術的な知識を全て上位種に伝承し上位種に文明を発展させる。劣等種は完全に労働者になり、言われた作業のみを正確に行わせる。そしてここが一番重要な事だが、劣等種には上位種が創造主だと信じ込ませ、上位種には自分達の創造主が煉獄の神だと信じ込ませる。そうする事で信仰は煉獄の神に独占される。
大まかな流れはこうだ。これこそ我々が考えた人為的差別主義下に於ける原子共産主義社会だ。教育の内容を予め綿密に設定する事で争いも社会的なストレスも無い幸福な社会になる。どうだ、協力してくれるか?」

すると、クリエイターは少し考えた末に

「わかった。協力しよう」

と応えた。すると、ホーキングは

「ありがとう、本当に心の底から君を尊敬するよ。最後にもう一つ。これだけでも我々の計画は充分に実行可能だが、より完璧にする為に辺獄にいるある男達を仲間にしたい。」

と言った。すると、クリエイターは

「その男達とは?」

と尋ね、ホーキングは

「地獄の主が現世から連れて来た二名。
石黒浩と賀建奎ハー・ジエンクイだ」
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