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第1章 辺獄妄執譚
第33話 七つの大罪
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煉獄の能力者達がハウニブに乗って煉獄海上へと向かうと、そこでは、既に揚陸艦から上陸した敵の兵士たちがヨルムンガンド、ケルベロス、ハヌマーンと交戦していた。
上陸した兵士達は皆、カメハメハ大王の部下が着ていた物と同じ鎧を来ていた。上陸した兵士達はおよそ三万人で、全員レーザー銃を持ってヨルムンガンド達に勇ましく襲いかかっていたが、三匹の神話の怪物は襲い来る敵の尽くを打ち払い兵士達は、進行戦をやっているにも関わらず、防衛戦の様な隊列を組んで必死で耐えていた。煉獄の能力者達はその様をハウニブから眺めると、自分達が戦った時の事を思い出し、密かに敵にエールを送っていた。
そんな中、十隻の戦艦の内の一つ、一番装備された大砲の数が多く、そして、角の生えた骸骨が、右手に砂時計を持ち、左手には心臓を突き刺す槍が描かれた海賊旗を掲げた戦艦が全砲門をヨルムンガンドに向けて勢い良く放った。
放たれた大砲は空中で燃え上がり煌々と茜色に輝く炎を纏って煉獄の海の砂浜に着弾した。すると、燃え盛る大砲の弾は水風船の様に弾け、辺り一面を火の海にした。
鎧を着た辺獄の兵士達はその炎を物ともせずに炎の勢いに乗って攻勢に転じようとした。だが、物ともしないのは三匹も同じで我先にと駆け出した兵士達を鳥が虫を啄む様に残酷にあっさりと駆逐して行った。
煉獄の能力者達は、三匹の怪物は大丈夫そうだが、あれが大量に撃ち込まれたら自分達が危険だと思い、まずは、砲撃をした船を襲う事にした。
そこで、
「誰が、あの船を襲うかだが...」
と、キング・メイソンが言いかけた所で
「煉獄の一番槍と言えば、俺しかいないだろっ?」
と、グラスホッパーが、話の途中で転移して海賊旗の掲げられた戦艦へ向かった。それを見たキング・メイソンは、
「やれやれ、威勢が良いな
あの分だと、応援もいらないだろ」
と、言うと次の動きを考え始めた。
そんな時、ふと窓の外を見たキング・メイソンは、ハウニブの後方から来る物を見かけて、絶句した。
そして、落ち着くと呆れて
「あんな物があるなら俺達を先に行かせる意味が無いだろ...」
と、言った。
それに合わせて皆が窓の外を見てハウニブの後方から来る空を飛ぶ空中要塞の様な物を見て皆、息を飲んだ。
ちょうど、その時通信室内のモニターにクリエイターから連絡が入った。
キング・メイソンが、その通信に応じると手で顔を覆い溜息をついた。モニターの画面には、聖に膝枕された状態のクリエイターの姿が映った。
キング・メイソンは、それに対し
「お前は、この忙しい時に何をやってるんだ!」
と、流石に怒り出した。
すると、クリエイターは、
「うるさいな
ここが一番落ち着くんだ
ほっといてくれ」
と、言うとそれに続けて
「そんな事より、戦況を報告してくれ」
と、言った。
キング・メイソンは、一度、深呼吸すると
大丈夫、ここではこれが普通だ。と小さく呟いてから
「戦況は、現在メイド達が完全に浜辺を占領し、上陸した敵は攻城戦いや、前線防衛をしている所だ
海上から浜辺に支援射撃があったが、メイド達には通じていない
だが、我々はその支援射撃を危険だと判断し
最優先目標として、グラスホッパーを向かわせた
以上だ」
と、淡々と言うと、クリエイターは、
「了解した
僕は、訳あってまだ其方には行けないが
援軍を向かわせた
強化型兵力補充特化型 移動式無限造兵所は見えるか?」
と、言うと、キング・メイソンは、
「ああ、あれか
窓の外に見えている
あれから支援射撃をするのか?」
と、尋ねると、クリエイターは、微笑んで
「いや、単なる援軍さ
見ていろ」
と、言うとクリエイターは、自分の目の前に映るゲームのスクロール画面の様な物を操作し、移動式無限造兵所を起動させた。
すると、キング・メイソンは窓の外を眺め驚いて
「お、おい
お前、援軍の兵士は船に一隻につき百人くらいって...」
と、呟くとクリエイターは、得意げに
「僕は、神として
もう二度と君達を死地には送らない
これから君達が行うのは、一方的な虐殺
さあ、諸君
煉獄大規模進行戦へと歩みを進めるに当たり僕からの最大級の恩恵を与えよう
我が友を包み、あらゆる穢れを払えッ!
シュラウド・オブ・ラザロッ!」
クリエイターが 、そう言うと
移動式無限造兵所から現れた空を覆う程の数の蜂型の兵士と、煉獄の能力者とメイド達の武装が黄金の粒子で包まれた。
そして、続けてクリエイターは、
「では、諸君
勝鬨を挙げよッ!」
と、言うと煉獄の能力者は、
「「「「「「「うおおおおおおッ!」」」」」」」
と、雄叫びを挙げた。
皆の指揮を高めた後、僕は通信を切って深呼吸をした。一度思い切り重たく息を吐き出すと、その後また思い切り息を吸い込み、また、吐き出した。思ったよりも落ち着かないと、どんどん息を吐いては吸って行くが、それで落ち着く事は無く、どんどんペースが早まって行く。そして、過呼吸になりながら頭を両手で抑え、唸り声を挙げて髪の毛を掻きむしり始めた。
「はあ、はあ、
はあ、はあ、はあ、
はあ、はあ、はあ、はあ、
はあ、はっ、はっ、はっ、はっ、
はっ、はっ、うぅ、ああぁ、ああああぁ!
うあああああああああああああっ!」
奇声を挙げながら髪の毛を掻きむしるクリエイターに対し、聖は優しく頭を撫でる。
「大丈夫、大丈夫ですよ
ほら、私を見てください」
と、優しく言う聖の手をクリエイター爪で掻きむしり、血を流させると自分の手についた聖の血を見て、再び奇声を挙げる。
「あああああああああああああぁぁぁッ!」
そんなクリエイターに聖は、血を流されて尚、優しく微笑んで頭を撫でた。
「大丈夫ですよ
貴方は強い子です
大丈夫、大丈夫」
と、聖がクリエイターに言い聞かせ、能力で腕の出血を止め傷が無い状態に手を作り替えると
「それに、ほら
私も大丈夫です
ね、二人とも大丈夫ですよ
安心してください」
と、聖は、クリエイターを優しく諭す様に言って、頭を撫で続ける。
しかし、クリエイターは、未だに頭を抱えて
「だ、だけど
他の皆は、
皆は、ぼっ、僕の為に
うぅ、うぅぅ、あああぁ」
と、泣き始めた。
すると、それに対して聖は落ち着き払い、我が子を寝かしつける母の様に
「皆も大丈夫ですよ」
と、優しく諭した。
すると、クリエイター
「なんで、なんでッ!
そんな事が言えるんだ
僕が、僕が弱いせいで
皆はっ!
うあっ、ああああぁ!」
と、泣き止まない。
すると、聖は優しくクリエイターの涙をハンカチで拭きながら
「大丈夫、
貴方は強いです
だから、皆は貴方の為に戦うんですよ
いざとなれば、貴方が立ち上がって戦う事を知っているんです
だから、ねえ、業落ち着いて
貴方は、皆の神様でしょう?」
と、変わらぬ態度で優しくクリエイターを諭し続けた。
すると、クリエイターは、
「もし、僕が立ち上がった所で
皆が勝てない相手に僕が勝てる訳が無いよ」
と、弱々しく本当に子供の様に言った。
すると、聖は、
「どうして、そう思うの?」
と、優しく尋ねた。
すると、クリエイターは、
「だって、僕は何も出来ない
何も出来なかったんだ
僕は人生で何も成し遂げずにここへ来たんだ
今まで上手く行ってたのは、何も考えずに必死で目の前の敵を襲ってたからだ
でも、もう何も考えずにはいられない
だって、皆は、僕に頼ってる
皆が、戦うのは僕が強いと思い込んでるからだ
でも、僕は、こんなに弱い
自分を信じられないんだよ」
と、泣きじゃくりながら言うと、聖は優しく
「どうして、そんなにご自分を信じられなくなったんですか?」
と、尋ねた。すると、クリエイターは、少し考えて
「君にこんな事を言うのは、あまり良くないとわかっているけど、僕も母に虐待されていたんだ
それで、母がいつも僕に言うんだ
お前は、私と色情魔の血が通った
生まれながらのクズだ
お前は、何も出来はしない
お前に出来るのは、私の人生の邪魔だけだ
だから、さっさと死んでくれ
お前は、私に取り憑いて、取り出された後も尚、私の生き血を啜って醜く生きる寄生虫だ
とね
だから、僕は何も出来ない
出来る筈が無いんだよ
そう言う運命なんだ」
と、力無く言った。
すると、聖は今までと真逆の表情をして心から、憎らしいと言う表情で涙を流しながら、僕の頬を叩いた。
聖の綺麗な目から零れ落ちた涙は、とても暖かった。
「いい加減にしなさい
そう言う運命なんだですって?
じゃあ、私は何なの?
私の両親は幸福に生きてきた
でも、私が産まれて不幸になったの!
両親の血が貴方を作り出したなら、
私は、何から作り出されたって言うのよ!」
と、怒鳴った後に、心から悲しそうに
「貴方は、貴方よ
母親に何を言われても
それは、変わらない」
と、言うと、クリエイターは
「どうして、そう言いきれるんだい?」
と尋ねた。すると、聖は微笑んで
「だって、両親にずっと怪物と呼ばれていた私を、
貴方は、違うって言ってくれたでしょ?」
と、クリエイターの頬を撫でながら言った。
すると、クリエイターは、その言葉に衝撃を受け、立ち上がると
「そうか、そうだよ
君は、怪物何かじゃない
それは、他の誰でも無い
僕の心からの言葉だ
僕の言葉は真実なんだ
だって、
それが僕に与えられた能力だから!」
と、僕が聖の両手を掴んで、やっとわかったと言う風に喜んで言うと
聖は苦笑いをして、内心そう言う事を言ったんじゃ無いと思いながらも
「え?
ええ!
そうですよ!
それが旦那様の能力です
さあ、皆の力になってあげてください!」
と、少し戸惑いながらも、クリエイターを戦わせる方へと誘導すると
「そうだね!
じゃあ、僕は行ってくるよ
っと、その前に」
と、言って携帯端末を取り出し、グラスホッパーに連絡した。
そして、グラスホッパーに対し
「グラスホッパー、今、暇か?」
と、尋ねた。するとグラスホッパーは、
「暇な訳あるかッ!
寝ぼけてんのかッ!」
と、怒鳴るとクリエイターは、それを無視して
「まあ、何でも良い
今すぐ僕の部屋に来てくれ」
と、言うとグラスホッパーは、
「お前、ホントいい加減にしろよ!
今、マジでヤバい
うおッ!」
と、グラスホッパーが、何やら攻撃を受けた様子だったので
「よし、わかった
ちょっと待ってろ」
と、言うとクリエイターは、スクロール画面を弄り、蜂型の兵士の目を通してグラスホッパーの状況を確認すると、海賊っぽい見た目の男に首を掴まれて船から捨てられそうになっている所だった。
すると、クリエイターは、
「ちょうど良い
そのまま捨てられろ」
と、グラスホッパーに指示を出した。
すると、グラスホッパーは、
「言われなくてもやられるよ」
と、言い、それに対しクリエイターは、
「良いか、じゃあ海に落ちて沈んだら僕の部屋に来い」
と、言うとグラスホッパーは、
「ああ、もう
何でもやってやる!」
と、やけになって叫んだ。
すると、グラスホッパーは、船から捨てられ、クリエイターの部屋に転移して来た。
「おえ!
あああ!
クソッ!
彼奴、完全に化け物じゃねえか
勝てる訳ねえ」
と、グラスホッパーが叫ぶと
クリエイターは、そんなグラスホッパーの肩に手を置き
「良いか、良く聞け
君は、僕の持つ最強の矛だ
だから、君は負けない
僕が、そう言うんだ間違い無いさ」
と、言うとグラスホッパーは、それを聞いて笑いだし
「ははははは、
何の用で呼び出されたのかと思ったら
そんな事かよ
くだらねえ」
と、言い、その言葉にクリエイターが、少し戸惑うと、グラスホッパーは、少年の様な無垢な表情で
「そんな事、今更言われなくても
わかってるよ
ちょっと愚痴っただけだ」
と、言うと
クリエイターの手が触れたグラスホッパーの右肩が輝き、そこに瞼を縫い付けられた人間の目のシンボルが入った紋章が現れ、クリエイターが作ったグラスホッパーの武装の見た目が変化した。
変化した武装は、海の様に深い藍色の龍の鱗が、全身全霊を纏い、鎧に変わり、頭も同じ様に鱗で覆われ、顔を鋭い牙でガードする様に出来たデザインの龍の顔の様な見た目の兜に変わった。
グラスホッパーは、それに驚きクリエイターを見ると、クリエイターは、それに対し
「君は、生前に富と権力を妬んだ
その姿は、この煉獄でお前がその感情を浄化出来る様に僕が与える戒めだ
僕の元でその罪を受け入れ、背負い戦ってくれるか?」
と、尋ねると、グラスホッパーは、
「ああ、背負うぜ
この罪を
俺は、お前の元でこの戒めを持って、お前の敵を打ち払う
だから、お前は俺の罪を贖える様に見守っていれくれ」
と、言うとクリエイター頷き
「ああ、見ているさ
まずは、僕の敵をその力で討ち滅ぼせ」
と、言うとグラスホッパーは、
「ああ、それなら俺は無敵だ」
と、言い、クリエイターは、それを
「ああ、君は無敵だ」
と、微笑んで言うと
グラスホッパーは、敵の元へと戻った。
クリエイターは、上機嫌で聖を抱きしめ
「君がいてくれて本当に良かった
僕は、君がいれば何でも出来るよ」
と、言った。
すると、聖もクリエイターを抱きしめ
「もう、旦那様
ご自分に対して自信を持って頂きたいのに」
と、少しからかうと、クリエイターは、
「君は、ずっと僕の傍にいてくれるんだ
僕が、自信を持ち続ける理由は無いよ」
と、言うと、聖は微笑んで
「もう、旦那様は、本当に我儘ですね」
と、笑い二人は、お互いを無意識の内に唇を合わせた。
上陸した兵士達は皆、カメハメハ大王の部下が着ていた物と同じ鎧を来ていた。上陸した兵士達はおよそ三万人で、全員レーザー銃を持ってヨルムンガンド達に勇ましく襲いかかっていたが、三匹の神話の怪物は襲い来る敵の尽くを打ち払い兵士達は、進行戦をやっているにも関わらず、防衛戦の様な隊列を組んで必死で耐えていた。煉獄の能力者達はその様をハウニブから眺めると、自分達が戦った時の事を思い出し、密かに敵にエールを送っていた。
そんな中、十隻の戦艦の内の一つ、一番装備された大砲の数が多く、そして、角の生えた骸骨が、右手に砂時計を持ち、左手には心臓を突き刺す槍が描かれた海賊旗を掲げた戦艦が全砲門をヨルムンガンドに向けて勢い良く放った。
放たれた大砲は空中で燃え上がり煌々と茜色に輝く炎を纏って煉獄の海の砂浜に着弾した。すると、燃え盛る大砲の弾は水風船の様に弾け、辺り一面を火の海にした。
鎧を着た辺獄の兵士達はその炎を物ともせずに炎の勢いに乗って攻勢に転じようとした。だが、物ともしないのは三匹も同じで我先にと駆け出した兵士達を鳥が虫を啄む様に残酷にあっさりと駆逐して行った。
煉獄の能力者達は、三匹の怪物は大丈夫そうだが、あれが大量に撃ち込まれたら自分達が危険だと思い、まずは、砲撃をした船を襲う事にした。
そこで、
「誰が、あの船を襲うかだが...」
と、キング・メイソンが言いかけた所で
「煉獄の一番槍と言えば、俺しかいないだろっ?」
と、グラスホッパーが、話の途中で転移して海賊旗の掲げられた戦艦へ向かった。それを見たキング・メイソンは、
「やれやれ、威勢が良いな
あの分だと、応援もいらないだろ」
と、言うと次の動きを考え始めた。
そんな時、ふと窓の外を見たキング・メイソンは、ハウニブの後方から来る物を見かけて、絶句した。
そして、落ち着くと呆れて
「あんな物があるなら俺達を先に行かせる意味が無いだろ...」
と、言った。
それに合わせて皆が窓の外を見てハウニブの後方から来る空を飛ぶ空中要塞の様な物を見て皆、息を飲んだ。
ちょうど、その時通信室内のモニターにクリエイターから連絡が入った。
キング・メイソンが、その通信に応じると手で顔を覆い溜息をついた。モニターの画面には、聖に膝枕された状態のクリエイターの姿が映った。
キング・メイソンは、それに対し
「お前は、この忙しい時に何をやってるんだ!」
と、流石に怒り出した。
すると、クリエイターは、
「うるさいな
ここが一番落ち着くんだ
ほっといてくれ」
と、言うとそれに続けて
「そんな事より、戦況を報告してくれ」
と、言った。
キング・メイソンは、一度、深呼吸すると
大丈夫、ここではこれが普通だ。と小さく呟いてから
「戦況は、現在メイド達が完全に浜辺を占領し、上陸した敵は攻城戦いや、前線防衛をしている所だ
海上から浜辺に支援射撃があったが、メイド達には通じていない
だが、我々はその支援射撃を危険だと判断し
最優先目標として、グラスホッパーを向かわせた
以上だ」
と、淡々と言うと、クリエイターは、
「了解した
僕は、訳あってまだ其方には行けないが
援軍を向かわせた
強化型兵力補充特化型 移動式無限造兵所は見えるか?」
と、言うと、キング・メイソンは、
「ああ、あれか
窓の外に見えている
あれから支援射撃をするのか?」
と、尋ねると、クリエイターは、微笑んで
「いや、単なる援軍さ
見ていろ」
と、言うとクリエイターは、自分の目の前に映るゲームのスクロール画面の様な物を操作し、移動式無限造兵所を起動させた。
すると、キング・メイソンは窓の外を眺め驚いて
「お、おい
お前、援軍の兵士は船に一隻につき百人くらいって...」
と、呟くとクリエイターは、得意げに
「僕は、神として
もう二度と君達を死地には送らない
これから君達が行うのは、一方的な虐殺
さあ、諸君
煉獄大規模進行戦へと歩みを進めるに当たり僕からの最大級の恩恵を与えよう
我が友を包み、あらゆる穢れを払えッ!
シュラウド・オブ・ラザロッ!」
クリエイターが 、そう言うと
移動式無限造兵所から現れた空を覆う程の数の蜂型の兵士と、煉獄の能力者とメイド達の武装が黄金の粒子で包まれた。
そして、続けてクリエイターは、
「では、諸君
勝鬨を挙げよッ!」
と、言うと煉獄の能力者は、
「「「「「「「うおおおおおおッ!」」」」」」」
と、雄叫びを挙げた。
皆の指揮を高めた後、僕は通信を切って深呼吸をした。一度思い切り重たく息を吐き出すと、その後また思い切り息を吸い込み、また、吐き出した。思ったよりも落ち着かないと、どんどん息を吐いては吸って行くが、それで落ち着く事は無く、どんどんペースが早まって行く。そして、過呼吸になりながら頭を両手で抑え、唸り声を挙げて髪の毛を掻きむしり始めた。
「はあ、はあ、
はあ、はあ、はあ、
はあ、はあ、はあ、はあ、
はあ、はっ、はっ、はっ、はっ、
はっ、はっ、うぅ、ああぁ、ああああぁ!
うあああああああああああああっ!」
奇声を挙げながら髪の毛を掻きむしるクリエイターに対し、聖は優しく頭を撫でる。
「大丈夫、大丈夫ですよ
ほら、私を見てください」
と、優しく言う聖の手をクリエイター爪で掻きむしり、血を流させると自分の手についた聖の血を見て、再び奇声を挙げる。
「あああああああああああああぁぁぁッ!」
そんなクリエイターに聖は、血を流されて尚、優しく微笑んで頭を撫でた。
「大丈夫ですよ
貴方は強い子です
大丈夫、大丈夫」
と、聖がクリエイターに言い聞かせ、能力で腕の出血を止め傷が無い状態に手を作り替えると
「それに、ほら
私も大丈夫です
ね、二人とも大丈夫ですよ
安心してください」
と、聖は、クリエイターを優しく諭す様に言って、頭を撫で続ける。
しかし、クリエイターは、未だに頭を抱えて
「だ、だけど
他の皆は、
皆は、ぼっ、僕の為に
うぅ、うぅぅ、あああぁ」
と、泣き始めた。
すると、それに対して聖は落ち着き払い、我が子を寝かしつける母の様に
「皆も大丈夫ですよ」
と、優しく諭した。
すると、クリエイター
「なんで、なんでッ!
そんな事が言えるんだ
僕が、僕が弱いせいで
皆はっ!
うあっ、ああああぁ!」
と、泣き止まない。
すると、聖は優しくクリエイターの涙をハンカチで拭きながら
「大丈夫、
貴方は強いです
だから、皆は貴方の為に戦うんですよ
いざとなれば、貴方が立ち上がって戦う事を知っているんです
だから、ねえ、業落ち着いて
貴方は、皆の神様でしょう?」
と、変わらぬ態度で優しくクリエイターを諭し続けた。
すると、クリエイターは、
「もし、僕が立ち上がった所で
皆が勝てない相手に僕が勝てる訳が無いよ」
と、弱々しく本当に子供の様に言った。
すると、聖は、
「どうして、そう思うの?」
と、優しく尋ねた。
すると、クリエイターは、
「だって、僕は何も出来ない
何も出来なかったんだ
僕は人生で何も成し遂げずにここへ来たんだ
今まで上手く行ってたのは、何も考えずに必死で目の前の敵を襲ってたからだ
でも、もう何も考えずにはいられない
だって、皆は、僕に頼ってる
皆が、戦うのは僕が強いと思い込んでるからだ
でも、僕は、こんなに弱い
自分を信じられないんだよ」
と、泣きじゃくりながら言うと、聖は優しく
「どうして、そんなにご自分を信じられなくなったんですか?」
と、尋ねた。すると、クリエイターは、少し考えて
「君にこんな事を言うのは、あまり良くないとわかっているけど、僕も母に虐待されていたんだ
それで、母がいつも僕に言うんだ
お前は、私と色情魔の血が通った
生まれながらのクズだ
お前は、何も出来はしない
お前に出来るのは、私の人生の邪魔だけだ
だから、さっさと死んでくれ
お前は、私に取り憑いて、取り出された後も尚、私の生き血を啜って醜く生きる寄生虫だ
とね
だから、僕は何も出来ない
出来る筈が無いんだよ
そう言う運命なんだ」
と、力無く言った。
すると、聖は今までと真逆の表情をして心から、憎らしいと言う表情で涙を流しながら、僕の頬を叩いた。
聖の綺麗な目から零れ落ちた涙は、とても暖かった。
「いい加減にしなさい
そう言う運命なんだですって?
じゃあ、私は何なの?
私の両親は幸福に生きてきた
でも、私が産まれて不幸になったの!
両親の血が貴方を作り出したなら、
私は、何から作り出されたって言うのよ!」
と、怒鳴った後に、心から悲しそうに
「貴方は、貴方よ
母親に何を言われても
それは、変わらない」
と、言うと、クリエイターは
「どうして、そう言いきれるんだい?」
と尋ねた。すると、聖は微笑んで
「だって、両親にずっと怪物と呼ばれていた私を、
貴方は、違うって言ってくれたでしょ?」
と、クリエイターの頬を撫でながら言った。
すると、クリエイターは、その言葉に衝撃を受け、立ち上がると
「そうか、そうだよ
君は、怪物何かじゃない
それは、他の誰でも無い
僕の心からの言葉だ
僕の言葉は真実なんだ
だって、
それが僕に与えられた能力だから!」
と、僕が聖の両手を掴んで、やっとわかったと言う風に喜んで言うと
聖は苦笑いをして、内心そう言う事を言ったんじゃ無いと思いながらも
「え?
ええ!
そうですよ!
それが旦那様の能力です
さあ、皆の力になってあげてください!」
と、少し戸惑いながらも、クリエイターを戦わせる方へと誘導すると
「そうだね!
じゃあ、僕は行ってくるよ
っと、その前に」
と、言って携帯端末を取り出し、グラスホッパーに連絡した。
そして、グラスホッパーに対し
「グラスホッパー、今、暇か?」
と、尋ねた。するとグラスホッパーは、
「暇な訳あるかッ!
寝ぼけてんのかッ!」
と、怒鳴るとクリエイターは、それを無視して
「まあ、何でも良い
今すぐ僕の部屋に来てくれ」
と、言うとグラスホッパーは、
「お前、ホントいい加減にしろよ!
今、マジでヤバい
うおッ!」
と、グラスホッパーが、何やら攻撃を受けた様子だったので
「よし、わかった
ちょっと待ってろ」
と、言うとクリエイターは、スクロール画面を弄り、蜂型の兵士の目を通してグラスホッパーの状況を確認すると、海賊っぽい見た目の男に首を掴まれて船から捨てられそうになっている所だった。
すると、クリエイターは、
「ちょうど良い
そのまま捨てられろ」
と、グラスホッパーに指示を出した。
すると、グラスホッパーは、
「言われなくてもやられるよ」
と、言い、それに対しクリエイターは、
「良いか、じゃあ海に落ちて沈んだら僕の部屋に来い」
と、言うとグラスホッパーは、
「ああ、もう
何でもやってやる!」
と、やけになって叫んだ。
すると、グラスホッパーは、船から捨てられ、クリエイターの部屋に転移して来た。
「おえ!
あああ!
クソッ!
彼奴、完全に化け物じゃねえか
勝てる訳ねえ」
と、グラスホッパーが叫ぶと
クリエイターは、そんなグラスホッパーの肩に手を置き
「良いか、良く聞け
君は、僕の持つ最強の矛だ
だから、君は負けない
僕が、そう言うんだ間違い無いさ」
と、言うとグラスホッパーは、それを聞いて笑いだし
「ははははは、
何の用で呼び出されたのかと思ったら
そんな事かよ
くだらねえ」
と、言い、その言葉にクリエイターが、少し戸惑うと、グラスホッパーは、少年の様な無垢な表情で
「そんな事、今更言われなくても
わかってるよ
ちょっと愚痴っただけだ」
と、言うと
クリエイターの手が触れたグラスホッパーの右肩が輝き、そこに瞼を縫い付けられた人間の目のシンボルが入った紋章が現れ、クリエイターが作ったグラスホッパーの武装の見た目が変化した。
変化した武装は、海の様に深い藍色の龍の鱗が、全身全霊を纏い、鎧に変わり、頭も同じ様に鱗で覆われ、顔を鋭い牙でガードする様に出来たデザインの龍の顔の様な見た目の兜に変わった。
グラスホッパーは、それに驚きクリエイターを見ると、クリエイターは、それに対し
「君は、生前に富と権力を妬んだ
その姿は、この煉獄でお前がその感情を浄化出来る様に僕が与える戒めだ
僕の元でその罪を受け入れ、背負い戦ってくれるか?」
と、尋ねると、グラスホッパーは、
「ああ、背負うぜ
この罪を
俺は、お前の元でこの戒めを持って、お前の敵を打ち払う
だから、お前は俺の罪を贖える様に見守っていれくれ」
と、言うとクリエイター頷き
「ああ、見ているさ
まずは、僕の敵をその力で討ち滅ぼせ」
と、言うとグラスホッパーは、
「ああ、それなら俺は無敵だ」
と、言い、クリエイターは、それを
「ああ、君は無敵だ」
と、微笑んで言うと
グラスホッパーは、敵の元へと戻った。
クリエイターは、上機嫌で聖を抱きしめ
「君がいてくれて本当に良かった
僕は、君がいれば何でも出来るよ」
と、言った。
すると、聖もクリエイターを抱きしめ
「もう、旦那様
ご自分に対して自信を持って頂きたいのに」
と、少しからかうと、クリエイターは、
「君は、ずっと僕の傍にいてくれるんだ
僕が、自信を持ち続ける理由は無いよ」
と、言うと、聖は微笑んで
「もう、旦那様は、本当に我儘ですね」
と、笑い二人は、お互いを無意識の内に唇を合わせた。
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ただ、落ちただけ。
異世界から落ちて来た落ち人。
それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。
望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。
だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど……
中に男が混じっている!?
帰りたいと、それだけを望む者も居る。
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でも、私はもう大切な人は作らない。
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サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
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