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第1章 辺獄妄執譚

第14話 メメント・モリ

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武蔵達と戦った後、ハヌの亡骸を回収しようとハヌに近づくと、そこでは、徐々に肉片がくっ付いてハヌの顔と胴体だけが出来上がっている状態だった。
僕が、近づくのを見るとハヌは、元気よく

「ご主人様~
すみません!
負けてしまいました!」

と言った。
僕は、血塗れでぐちゃぐちゃのハヌがそう言うのを聞くと、顔を手で覆い

「まあ、君が無事ならそれで良いんだ
済まなかったな
武装をもう少し強化しよう」

と優しく言った。
すると、ハヌは

「いえ、ご主人様の作った武装のせいではありません
私が人間相手だと思って少し油断したんです
以後、気を付けます」

と、申し訳無さそうに言うと

僕は、

「良いんだ
まだ、再生に時間がかかりそうか?」

と尋ねた。
すると、ハヌは、

「はい~
もう少し、休ませて貰えるとありがたいです」

と苦笑いで言うと
僕は、ハヌの横に座り込んで

「そうか、じゃあ、僕もここで待つかな」

と言ってハヌの頭を撫でた。

ハヌは、それに対し顔を赤らめて萎らしくなると

「ありがとうございます...」

と呟いた。

何か、普段活発な子が五体不満足って興奮するな

と僕が、心の中で呟くと

天帝シャンティー、最低です...」

智慧ジュウホエが、ジト目で僕を見た。

もう、君に何を言われても気にしないよ
一々真に受けると正気じゃいられない

天帝シャンティーは、元々正気じゃ無いです」

僕の心情に智慧ジュウホエは、吐き捨てる様にそう言うと

君、どんどん口が悪くなるな!

と僕は、心の中で叫んだ。

一方、その頃
僕の屋敷にある庭で訓練をしていた元メメント・モリのメンバーは

周りには、木が生い茂り森の中にある拓けた土地と言う感じの場所でキング・メイソンは、クリエイターにキング・メイソン専用にカスタムして貰った大型建造物破壊特化型エレファントカスタム猛威を振るう鎚の王ジャガーノートを着用して、マイスターとタッグを組み、他の元メメント・モリのメンバー全員を相手に模擬戦をしていた。
猛威を振るう鎚の王ジャガーノートは、2m程の大きさで、厚さ30cmのウルツァイト窒化ホウ素で出来ており、非常に筋骨隆々の巨人と言う印象を持たせる体型で、色は、赤土色に所々黒が入っており、腰着いたベルトには、様々な工具が入っている。顔の部分が髑髏になっていて、目からは紅い光を常に放っている。胴体の中心は、ダイヤモンドの様なコアが埋め込まれていて、目と同じ様に、常に白色の輝きを放っている。体のあちこちには姿勢制御装がついており、単独で飛行も可能。

他の元メメント・モリのメンバーは、生身で戦っている。

キング・メイソンが、猛威を振るう鎚の王ジャガーノートを操作して、まず、サイキックをベルトに入ったバールで攻撃した。

サイキックは、それを能力の念動力で止めるが、猛威を振るう鎚の王ジャガーノートのパワーが凄まじくどんどん押されていく。そこをサイドワインダーが、猛威を振るう鎚の王ジャガーノートの腕にワイヤーを伸ばし助けようとするが、それでも止まらない。

「どうした!
そんな物か!」

とキング・メイソンが、二人を挑発しながらバールをサイキックに叩きつけると、バールは、サイキックをすり抜けた。

「お前達、しっかりしろ!
俺が、守るから攻撃に専念するんだ!」

と能力のシールドでサイキックを守ったガーダーが二人に言うと

「「了解!」」

と、二人は応えサイキックは、猛威を振るう鎚の王ジャガーノートの足下の地面を念動力で浮き上がらせた。

すると、そこをヒートショットが、能力のレーザーを手から出して攻撃するが猛威を振るう鎚の王ジャガーノートに傷を付けることは出来なかった。
猛威を振るう鎚の王ジャガーノートが、そのまま浮き上がった地面から飛び降りようとすると、グロウが能力で巨大化して猛威を振るう鎚の王ジャガーノートを玩具の様に掴むと高く振り上げた後、地面に向かって叩きつけた。

「スパイク、クンフー!下でボコボコにしろ!」

グロウが仲間に向かってそう言うと、

「「任せろ!」」

と二人が言い、スパイクは、能力で拳から一本の長い棘を出して、地面に落ちた猛威を振るう鎚の王ジャガーノートの関節部を殴り続けた。クンフーは、能力で体を強化し、スパイクとは、別の関節部を攻撃した。
スパイクが、攻撃しても傷一つ付かなかったが、クンフーが、攻撃した所には小さな亀裂が入り始め、

「スカー、頼む!」

とクンフーが、叫ぶと

「おう!」

と、スカーが、能力でクンフーが付けた傷を悪化させ、左手の装甲を一部剥ぐ事が出来た。

「中々やるな、だが、こんな物じゃ無いぞ!」

とキング・メイソンが、周りの元メメント・モリのメンバーを蹴散らしながら立ち上がると、ベルトからネイルガンを取り出して周りのメンバーを釘で打って拘束しようとしたが、ガーダーのバリアに阻まれた。

「させませんよ!」

ガーダーが、得意げにそう言うと、キング・メイソンは、微笑んで

「それは、どうかな?」

と髑髏の目でガーダーを見た。
ガーダーもそれに、応じキング・メイソンの目を見て武器を構えると、キング・メイソンの目の輝きが、増すと同時に異様な色に変化し、瞬時に色が移り変わる様になると、ガーダーは、強い光過敏性発作を起こし、頭を抱えて俯き吐き出した。

「うえぇぇッ!」

ガーダーの集中力が、著しく落ちたのでシールドは、解除されメンバーを守る盾は無くなり、再びキング・メイソンは、ガーダーを含めた全員をネイルガンで釘を打ち、固定した。

そして、キング・メイソンは、タッグを組んでいたマイスターの方を見ると未だ戦いが続いていた。

マイスターは、金属の槍を四本出して、能力で加速したソニックの攻撃を上手く捌いていた。ソニックは、高速で移動できるが、普段は、スピードを出しすぎると、摩擦で服や靴が燃える為、あまり速くは、動けないのでマイスターでも集中すれば捌ける程度のスピードだった。

「どうした!
そんな攻撃では私は倒せないぞ!」

とマイスターが、ソニックに向かって叫ぶと、ソニックは、したり顔で笑い

「そりゃあ、そうさ
俺は、囮だからな!」

と言うと、

「「「「「「「「「これからが、本番だ!」」」」」」」」」

とクラウドが、能力で分身し、三十人程に増えたクラウドが、一斉にマイスターに向かって走り出し、マイスターに殴りかかった。

すると、マイスターは、予め地面の下に伏せていた金属でクラウドとソニックの足を捉え、植物の蔓の様に伸ばして拘束した。

「まだまだ、あまいぞ!」

とマイスターが、言うと、その上空から突如高温の熱波が発生し、マイスターを襲った。

「くっ!」

マイスターは、地面に伏せていた金属の一部を盾に変えて熱波を防ぐと上空から炎を纏い、悪魔の様な姿になったパイロが

「もう、手は全て見せたようだな!
これで、終わりだ!」

と、巨大な炎の玉をマイスターに向けて投げ付けた。
マイスターは、それを体の周りに流体上の金属を纏わせて身を守ろうとした。

「はっ!
そんなもんじゃ、俺の炎は防げねえぞ!」

と、パイロは得意げに言い、地面に火の玉が、落下するのを確認すると地上に降りて、炎を纏うのをやめ、金属から開放された二人とハイタッチをした。

「「「っしゃあ!」」」

だが、次の瞬間、パイロの後頭部をボーリングのボール程の大きさの金属が襲い、パイロが頭から血を流して倒れると、

「なんだ!?」

とソニックが驚いた。
すると、ソニックの足元から、間欠泉の様に金属が溢れ出し、そのままソニックを拘束した。

「うはあああッ!
マイスター?
何処にいるんだ?
くそう!」

クラウドが、そう言いながら分身を五人出して応戦しようとするが、分身全員とクラウドの足元に金属の腕が、大量に飛び出して地中引きずり込もうとしてきた。

「うわあああああッ!」

クラウドは、必死で逃げようと金属の手を剥がそうとするが、無駄だった。

クラウドの下半身が、完全に地中埋まると、地下から金属を纏った状態のマイスターが、出てきて

「詰めが甘いんだよ!」

と三人を怒鳴った。

「全く、お前ら全然話にならないぞ!」

とマイスター達にキング・メイソン達が、近づき全員をクリエイターに作って貰った使い捨て治療装置を使い治療すると他のメンバーの不甲斐なさを責めた。
すると、パイロが

「でもさあ、メイソンだけクリエイターから貰った武装を使っててずるいぜ
俺らも使ってたら勝ってた」

と文句を言うと
キング・メイソンが、

「俺の能力は、建造物が無いと無力なんだから仕方無いだろ
それに、お前らクリエイターと会うまでは、戦えなかったのか?
違うだろ!
もっと、精進しろ!」

と怒鳴り飛ばした。

「まあ、それはそうだけど」

とパイロが、不満気に言うと

「ですが、メイソン
武装を使った訓練もするべきですよ
幾らクリエイターの武装が強力と言っても、使えこなせないなら無意味です」

とガーダーが、パイロを庇うと
キング・メイソンは、少し考え

「確かにその通りだな
よし、次は全員武装を装着した状態で訓練するぞ」

とキング・メイソンが、言い

「よっしゃ!
もう、負けねえぞ!」

とパイロが、喜んだ。

ちょうどその時、全員の携帯端末から一斉にアラームが鳴り出し、

「皆さ~ん
敵ですよ~!」

と設定されている智慧ジュウホエの警報システムが聞こえると

「なんだこれは、気が抜ける」

と嫌そうな顔でマイスターが言うと

「クリエイターのAIだそうだ
そんな事より、訓練は中止だ
総員、戦闘準備!」

とキング・メイソンが、言い放ち

「「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」」

と全員が、応じると、全員一斉にナノマシン発生装置を取り出して武装を身に付けた。
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