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プロローグ 煉獄悲哀遊戯

第11話 パイロ

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僕らは、ガーダーを倒した後、
同じ様な作りの階段を越えて、
次の部屋に入った。

入った途端、有無を言わさず
役小角が、竜巻を起こし、
氷柱を大量に出して、そこ放った。

「今度も、楽勝だったな」

役小角が、得意げにそう言い

「こんなに楽勝だったら
百人出てきても勝てるぜ」

僕も、敵を馬鹿にしていると

竜巻が、内側から破裂する様に消滅し、
内側から超高温の熱波が放たれた。

役小角は、僕らの目の前に
小さめの津波を出現させて
波の水にキャビテーションを発生させて
断熱し、熱波を防いだ。

熱波を放った能力者は、
炎の大蛇を体に巻き付かせる様にした状態で
僕らに、叫ぶ。

「ここに来たという事は、
ガーダーを倒したって事だよなァッ!
許さねえ、
よくも仲間を!」

そう言って、男は炎で出来た兵士を
十体出現させて
僕らを、襲わせた。

役小角が、突風を起こし半分倒し、
僕が、もう半分を塩化アンモニウムの詰まった
消火弾で対処すると、
僕は、智慧ジュウホエに前衛を任せ、
サブマシンガンのP90を二丁取り出して、
敵に放とうとした。

だが、敵は雷管から発生する熱を操って
銃を暴発させて、無力化し
炎の大蛇で智慧ジュウホエを足止めした。

「ふはははは!
無駄だ!
お前ら程度でどうやって
ガーダーを倒したかは知らないが
このパイロまで
まぐれで倒せると思うなよ」

そう言って、パイロは
役小角が起こした雷をそれよりも
高エネルギーの炎の塊で消滅させながら言った。

僕は、智慧ジュウホエを足止めしている
炎の大蛇に消火弾を投げつけると
武器をコンポジットロングボウに変えて
パイロを攻撃した。
役小角も、氷柱を飛ばして
同じように攻撃する。

智慧ジュウホエには、異空間倉庫越しに
送った日本刀を持たせて、
パイロを攻撃させる。

パイロは、強力な熱波を放って
矢を燃やし、氷柱を蒸発させると
智慧ジュウホエが持っている日本刀を
炎の塊をぶつけて溶かし、
体に炎を纏って、
智慧ジュウホエに応戦する、
背中から、翼のように炎を出して
速度を上げて
思いっきり智慧ジュウホエを殴りつけた。

炎の熱量で智慧ジュウホエの腕が溶け落ち、
何も出来なくなった所をパイロが首を掴んで
全力の火力で智慧ジュウホエを燃やし、
体を消滅させた。

天帝シャンティー、すみません
体が持ちませんでした!」

コートを着てなかったから、しょうが無いさ
今からは、援護に集中しろ!

了解ヤオミンバエ天帝シャンティー!」

「役小角!
竜巻で、奴を包め!」

僕が、そう叫ぶと

「ああ?
さっき効かなかっただろ!」

「言いから、やれ!」

「だあ、もう!
わかったよ!
なんとかしなかったら怒るぞ!」

役小角が、パイロを竜巻で包むと

智慧ジュウホエ
ストックの体を五体、弓を持たせて
取り出すから、全部を同時に操作して
奴の気を引け!

了解ヤオミンバエ天帝シャンティー!」

僕は、頭の中でそう指示すると
パイロの注意が移ったことを確認し
魔法を唱える。

「聴けッ!
光が欲しいと
陽光仰ぎ
落ちては、沈む憧れは、
儚く俯き動きを止める
憧れが暮れる時アイス・ブルーム

パイロの足下に氷の向日葵が現れ
パイロに巻き付こうとするが、
パイロは、炎の翼で空中に逃げた。

そこに、智慧ジュウホエが矢を一斉に放ち
僕が、消火弾を投げつける。
塩化アンモニウムが、パイロの体に付着し
炎を纏えなくなると、

「今だ、やれ
役小角!」

僕が、役小角に合図を送ると

「おう、任せとけ!」

役小角が、風を体に纏わせて
空中でパイロを捕まえようとする。

パイロは、炎を纏えなくなったが、
空中に炎の玉を出して、
役小角を迎撃する。

役小角は、猛吹雪を起こしながら
炎を掻き消して進み、
パイロの体に触れると
パイロの体を凍らせた。

「うおおおおおッ!
お前ら、何かに負けてたまるかァッ!」

パイロは、凍った部分に
炎を発生させて溶かし、
服を脱ぎ捨てて、
塩化アンモニウムを払うと、
全身に炎を纏って、
悪魔の様な姿で、
役小角を、引き剥がすように上昇した。

「俺は、仲間をやったお前らを絶対に許さねえ!
俺の仲間は、偏見無く俺を受け入れてくれた
唯一の奴らだ
そんな奴らを傷つける奴は、
生かしちゃおけねえッ!
お前ら、見たいに一方的に
人の権利を奪いに来るクズ共はッ!
俺が皆殺しにしてやる!」

そう言うと、パイロは
炎の龍を出して
僕らを襲わせた。

「うわ!
やべえ!」

龍から発せられる超高温に
役小角は、たまらず逃げる。

僕は、消火ホースを作り
無限に水を生成しながら
龍に放水した。

だが、龍は動きを少し
止めるだけで消える気配は無かった

パイロは、上空から炎を放ち
ホースを焼き切りながら言った。

「俺の爺さんは、
日本に移り住んだ中国人だった
その爺さんは、
日本人に迫害され、
惨めに死んで行った
俺の親父も同じ様に迫害され苦しんでいる
俺は、それが耐えられなかった
俺らは、お前らに何もしていないのに
国が違うと言うだけで、
戦後から何年経っても
排他的な考えを捨てられない
お前ら、クズ共は
一方的に俺らの権利を剥奪し
同じ人間だとして扱わない
善人の皮を被る悪魔全員に、
俺と、俺の家族と、同じ目に合わせるまで
俺は、お前らを許さないッ!
この姿は、生前俺が見てきたお前らの本質だ!
太陽の様に明るい笑顔で、
人を蔑む悪魔共の真の姿だ!
俺の苦しみを味わえッ!」

そう言って、パイロは
炎の龍を操って
僕を飲み込んだ。

「クリエイターッ!」

龍の業火に焼かれ
消滅する僕の体を見て
役小角が、叫ぶ。

「あははっ!
まずは、一人だ!
お前も直ぐにガーダーの所に送ってやるぜ!」

そう言って、パイロは
炎の龍を役小角の方へ向ける。

「クソがッ!
お前、絶対に許さねえ!」

役小角が、怒りのままに叫ぶと

「てめえが、許そうと許すまいと
惨めに焼け死ぬだけだ!
てめえに、抗いようの無い暴力の恐怖を教えてやる!」

パイロは、炎の龍の周りに、
炎の剣を複数出現させて
役小角を襲わせる。

役小角は、臆することなく
落ち着き払った冷たい目で
パイロを睨み、
大津波を起こして、
炎を飲み込ませようとする。

「てめえ、馬鹿か!?
そんな事したら、
水蒸気爆発で二人とも死んじまうぞ!?」

パイロが大慌てで、炎の龍を逃がそうとすると、

「馬鹿は、てめえだ
龍と波に全神経を集中させて
自分がお留守なんだよ!」

役小角が、冷気の様に鋭い口調でそう言いながら、
パイロの周りを囲むように、
小さな竜巻を幾つも発生させる。

「こんなもんで、
俺を止められると思ってんのか!」

パイロがそう言って、
炎を出して、竜巻を消そうとするが、
物凄い勢いでパイロの周りの温度が下がり、
炎が消滅した。

「何ッ!?
お前、何をしたんだ!」

パイロが驚き叫ぶと

「お前の周りの竜巻は、
お前を閉じ込める為ではなく、
お前の周りの熱を吸い出す為の物だ
溢れ出る熱も、
結局は、周りのクズに奪われる
お前の生前もそうだったろ?
お前は、迫り来る理不尽を
周りのせいだとして
努力を怠っただけの負け犬だ
何処で生まれようと、
人は、他者からの攻撃から逃れられない
それがわからずに悲劇の主人公ぶるんじゃねえ!
怒りも悲しみも全て抜き取られた
抜け殻となって凍りつけッ!」

「うああああああッ
体が凍っていく!
クソがッ!
だが、こうなったら
てめえも道連れにしてやるッ!」

パイロは、そう叫びながら、
炎の龍を波に突っ込ませた。

凄まじい爆発が起こり、
部屋中を飲み込むと
凍りついたパイロが空中で砕け散った。

役小角は、風を起こして防ごうとするが
無駄だと悟り、目を閉じた。

爆発が部屋を覆った後、

「何、諦めて死のうとしてるんだ?
さっさと上に行くぞ」

死んだはずのクリエイターが、
エネルギーシールドを張って役小角を守っていた。

「お前、どうして?」

役小角が、驚くと

「奴の対処法を異空間倉庫内で模索中に
お前が、やっつけたから戻ってきたんだ
一人で任せて悪かったな」

僕がそう応えた。

「てめえ、一人で隠れてんじゃねえよ!
死んだかと思ったろ!」

「死なないって教えただろ
馬鹿か!
それより、守ってやった事を感謝しろ!」

「お前こそ、敵を倒してやったんだ
感謝しろ!」

僕らは、いがみ合ってお互いに文句を言ったあと
顔を見合わせて

「「はははははっ!|」」

と笑いあった。

「こんな事してる暇ねえな
先を急ごうぜ」

役小角が、そう言うと

「ああ、さっさと終わらせよう」

僕も賛同して、
二人でまた、上の階に上った。
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