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プロローグ 煉獄悲哀遊戯

第4話 真の愛とは

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僕は、グラスホッパーを倒した後
暫く、街を散策し
壊れていない無人の
コンビニを見つけると
缶コーヒーを持ってきて
再び散策に戻りながら
エグい後味を感じていた。

智慧ジュウホエ、周りに誰かいるか?」

「少し、待ってくださいね
今、先程天帝シャンティーが作った
レーダーの情報を天帝シャンティーの視界に
表示される様に設定します」

智慧ジュウホエが、そう言うと
僕の視界にFPSのマップの様な物が表示された。

「おっ
近くに近くに誰かいるな
智慧ジュウホエ、光学迷彩を起動しろ」

了解ヤオミンバエ天帝シャンティー

僕は、体を透明にして
反応の方へ歩いていった。

少し歩くと
クリーム色の髪に
アーモンド型の眼をした
修道服を着た女の子が
辺りをキョロキョロと見回していた。

どうみても
強そうじゃないし
何より可愛い!
よし、少し驚かせてみよう。

僕は、そう思うと

ゆっくりと彼女に近づいて
正面から
彼女の肩に触れると同時に
光学迷彩を解除した。

「ばあッ!」

「きゃあああああああッ!」

彼女は、僕の顔を
思いっきりぶん殴った。

マジか、普通
手を出してもビンタだろ...

「いや~
ごめん、ごめん
手、大丈夫かい?
少し、驚かせようとしただけなんだ」

僕は、彼女から一歩引いて
両手を挙げながら
苦笑いでそう言った。

「あわわ!
私ったら、なんて事を
ごめんなさいっ!」

彼女は、慌てて謝罪した。
可愛い。

「気にしないで良いよ
僕が、悪いんだし
それより、君一人?」

僕が、そう言うと

天帝シャンティー、ナンパ男みたいですよ?
もうちょっと普通に話せないんですか?」

智慧ジュウホエが頭の中に語りかける。

うるさい、こういうの慣れてないんだ。

僕が、頭の中でAIに文句を言っていると

「そうなんですよ
それで、突然こんな事を
見ず知らずの人に頼むのは、
迷惑だと思うんですけど
私、誰かを殺すなんて出来なくて
守ってくれる人を探しているんです
どうか、助けてくれませんか?」

彼女は、眼を潤ませながら
上目遣いで僕にそう頼んだ。
なんだこれ、めちゃくちゃ可愛い!

「僕で、良ければ守って差し上げましょう
いや、
貴女の様な方の頼みに
こんな言い方は不躾ですね
男として
ぜひ、貴女を守らせてください」

僕が、顔を覆う札を引き剥がし
右手をさし伸ばして
キメ顔でそう言うと

彼女は、眼を輝かせて
僕の手を両手で取り

「ありがとうございます!
貴方の様な紳士に出会えて良かったです
主よ、感謝します感謝します!」

「ははは、
なに、男として当然ですよ」

「カッコイイです!
まるで、聖ジョージの様な騎士道精神!
私の様な未熟者には勿体ないくらいですが
ぜひ、これからよろしくお願いします!」

彼女は、そう言うと
僕の手を片手で握り直し

「では、早速ですが
私が、寝泊まりしている所に案内しますね!」

と言いながら、僕の手を引き歩き出す。

コンクリートの街並みを暫く歩くと
急な境界線で、
田舎道の様な風景に変わった。

その田舎道を歩く途中
僕は、人との会話に慣れていないので
連れていかれる連れていかれるままだったのだが、
彼女が

「寡黙な方なんですね
男性は、そういう方が素敵です」

と言い
そのまま彼女は、目的地に着くまで
自分の好きな本や花の話をしていた。
可愛い。

僕は、それに時々
共感したり、相槌を打っていたりしていると
あっという間に目的地に到着した。

目的地は、入るのを憚られる程の
大邸宅で僕が驚いていると

「さあ、行きましょう」

と、彼女が微笑んだ。
可愛い。

彼女が、門を開き敷地内に入った。
少し、寂れてはいるが
噴水や、彫刻があったりと
庭まで豪華で
生前の自分の感性で言うと
本当に人が住む場所か?
と言う感想が出てくる程だった。

屋敷に入ると
彼女が、寝室を案内すると言って
屋敷の扉を開けて直ぐに見える
階段を二人で上がった。

長い廊下を歩き、
彼女が目的の部屋の前で立ち止まった。

すると、彼女は僕の方を見て微笑み

「ここで待っていてくださいね」

と言った。

「ああ、わかった
君は、何処かに行くのか?」

と聞くと

「このままの恰好でも良いのですけど
少し気が引けるので...
着替えて来ますね!」

と躊躇いつつも可愛く彼女は
そう言いながら隣の部屋に入った。

「気が引ける?
着替える?」

僕は、なんの事かよくわからなかったが
取り敢えず、言われた通り部屋で待っていた。

取り敢えず、部屋にあった本棚の本をとり
椅子に座って読みながら、
暇を潰そうと思っていると

天帝シャンティー!
何してるんですか!」

智慧ジュウホエが、何やら怒り出した。

「どうしたんだ
急に」

「どうしたんだじゃありませんよ
女の子が着替えて天帝シャンティーの部屋に来るんですよ?
ちゃんと、準備して下さい!
彼女が可愛そうです」

「君は、何を言ってるんだ?
準備ってなんのだ
紅茶でもいれて待ってれば良いのか?」

僕が、そう言うと
智慧ジュウホエは、呆れて

「はあ、では
生身の体を作ってそれに意識を移して
待っていてください。
きっと、彼女が来たら驚きますよ?」

なんだ、コイツ偉そうにと思いながら
僕が、言われた通り体を作り、
そこに意識を移し、再び本を読んで待っていると
ノックの音が聞こえ

「お待たせしました
入りますね」

僕は、それを聞いて本を置き、
癖で自然に掛けてしまっていた鍵を開け
ドアを開いた。

ドアを開けると
ネグリジェ姿の彼女がいた。

「...」

僕は、反応が追いつかず固まる。

「ふふっ
可愛い人ですね」

彼女がそう言って
僕の手を引きベッドに案内する。

何が起こってるんだ?

僕が、心の中で智慧ジュウホエに聞くと

「だから、言ったではないですか
彼女は天帝シャンティーと一緒に寝たいんですよ」

智慧ジュウホエが、そう言うと

...マジか
初対面のこんなに可愛い子と?
...
ラッキー!

僕が、心の中でそう言うと

「...天帝シャンティー最低です」

智慧ジュウホエが呆れて行った。

彼女は、僕の手を引いて
ベッドまで連れてくると
僕の服を脱がせ
ベッドに横たわらせた。

「では、楽しみましょうか」

彼女がそう言って
僕の上にうつ伏せになって
キスをした。

「もしかして初めてですか?
ふふっ
嬉しいです
じゃあ、頑張っちゃいますね」

彼女が、そう耳元で囁くと
僕の足の上に座り込んで彼女は、
股を押し付けると
僕を押し倒した様な体勢になった

「じゃあ、入れますね」

彼女が、そう言うと
僕は、惜しいかとも思ったが
この喜びを噛み締めようと
一瞬、眼を瞑って思いを馳せた。

眼を開けると
彼女の眼差しが期待のあまり輝き
最高の料理を貪るような表情になっていた
すると、次の瞬間
彼女の可愛いお腹が
イソギンチャクの様に開き
その中心から蛸の様な触手が這い出て
先端に着いた巨大な蜂の針の様な物を
僕の腹に突き刺し、
何かを注射した。
すると、僕は呼吸困難になり、
彼女は、それに喜んで
僕の股間に股を押し付けた。

僕が、困惑の表情を見せて
彼女を見ると
彼女は、僕に微笑んで
指をメスに変えて
生きたまま僕の腹を切り裂いた。
そして、彼女は僕の内蔵を
一つ一つ引きちぎって捨てた。

僕が、心の底から恐怖した表情になると
彼女は、優しく微笑んで
僕の頬を撫でた。

天帝シャンティー、何やってるんですか!
早く、体を変えて!」

いや、めちゃくちゃ痛いし
苦しくて死にそうだけど
これ結構、興奮する!
もうちょっと待って

「何考えてるんですか!
早くッ!」

もう、わかったよ
うるさいな

僕は、部屋に置物の様に置いておいた
さっきまで使っていた体に意識を移した。

僕が、意識を移すと、
彼女は、嬉しそうに僕の息子を舐めていた。

くそう、もうちょっと
あっちの体にいれば良かった!

僕が、そう思うと
彼女は、僕の息子を食い千切った。

前言撤回だ。
もう見てられない。

「ねえ、君?
何か、僕が気に触る事したかい?
それにしたって、やり過ぎだろ」

僕が、彼女に後ろから
話しかけると、彼女は驚いて振り向いた。

「わあ、
驚きました~!
貴方の能力ですか?
体を増やせるんですか?
凄いッ!
ねえ、今度はその体で続きをしませんか?」

彼女が艶やかな色気を含んだ
可愛い声でそう言うと

「残念だけど、
この体は人間じゃ無いんだ
君を、殺したくは無い
だから、降参してくれ
そして、ここで一緒に暮らそう」

僕は、さりげなく彼女に
好意を示しながら、そう言った。

「なに、勝手な事言ってるんですか!
貴方を殺して次の男を同じ様に殺しに行きます
殺して、殺して、殺して、犯す
そうやってでしか
私は、生前の怒りを晴らせませんよッ!」

そう言って彼女は、
右腕を刀にして僕に襲いかかった。
僕は、腰の青龍刀を抜いて応戦するが、
彼女は、青龍刀を容易く切り裂いた。

僕は、咄嗟に左腕のクロスボウで
彼女を撃つが、彼女の髪が触手の様に動き、
矢を払った。

そして、彼女は僕の胸を貫き、
そのまま、体を左右に分けた。

僕は、この体を諦めて
新しい体を異空間倉庫から取り出した。

彼女は、獣の様な目で
体が、出てきた事に気づくと
刀の様な腕で、上下に体を分けた。
僕は、その時にスモークグレネードを投げ、
煙幕を部屋に撒いた。

僕は、それに紛れて
新しく体を出し、
背後から彼女の首を掴み、
首をへし折ったが、
彼女の首がそのまま180度回転し、
僕に笑いかけると、
髪を伸ばし、僕の四肢に巻き付けると
思い切り、引き千切り、
振り向いて、
首を手で回し、
ゴキっと言う音を立てて首を戻し
僕の腹を踏み付けながら
ゴミを見る様な目で
こう言った。

「貴方、いつになったら死ぬんですか?
しつこい男は嫌われますよ?」

「残念だけど、僕は不滅なんだ
幾ら、殺されても無意味だよ
君に何度殺されようと
僕は、君を殺しはしないさ
君を愛してるからね」

「貴方、馬鹿ですか?
愛してる?
私の何を知ってるんですか?
この顔が、好きなんですか?
この体が、好きなんですか?
どっちでも良いです
どうせ、体でしか、
人の優劣を決められないんですから」

彼女が、吐き捨てる様にそう言うと

「まあ、君の顔も体も
髪も、声も、温もりも全部好きだけど、
その性格が一番好きだよ
自分の事をさらけ出して
僕に接するその気高い意思が
凄く好きだ
こんな格好で言っても
かっこつかないけどね」

僕が、微笑んでそう言うと

「そう、じゃあ
私が、どんな体でも愛してくれるのね」

彼女が、何かを思い出す様に、
俯いてそう言うと

「ああ、勿論だよ
泣いてるのかい?
顔を上げて」

僕は、踏みつけられている体を捨てて
新しい体を出して
それに、意識を移してそう言った。

すると彼女は、
自分の服を引き裂いて
裸になると
彼女の体が、形を変える。

彼女の体は、
一つの下半身に二つの上半身が付いており、
腹の上辺りで別れている。
更に、腹からは下半身が尻を突き出した状態で
だらんとぶら下がっていた。
左側の上半身と、腹から垂れる下半身は、
まるで小学生の様な体付きだった。

「わお
凄いな、
シャムの双生児の強化版だ
左の子は喋るのかい?」

僕が、楽しそうにそう言うと

「あら、私見たいな子が
他にもいるんですか?
それに、左の子?
どっちも私ですよ?」

彼女が、驚いてそう尋ねると

「そうか、
他とは、仕様が違うのか
後、他の子はもうちょっと
人間っぽいよ」

僕が、そう言うと

「あら、
貴方もやっぱり私を化物扱いするんですね」

彼女が、寂しそうにそう言うと

僕は、彼女を抱きしめた。

この体、
抱きしめるのメチャクチャ難しいな。

僕は、彼女を抱きしめながら
彼女の頭を撫で、こう言った。

「なあ、それが
君の本当の姿だとしても、
僕は、君を愛するよ
正直な所、
僕は、人間が嫌いでね
君の事も、寝床が確保出来たら
隙を見て、殺そうと思っていた
でも、今は違う
君は、僕が初めて出会った
本当の女性だ
僕の為に行動し
僕の為に語り掛け
僕を抱きしめてくれる
そんな人は、君だけだよ」

僕が、そう言うと
彼女は

「でも、私は化物です
それに貴方を愛してもいない
貴方に愛される言われはありません」

そう言って、彼女は
腕を刀に変え、
僕の体を突き刺した。

僕は、それに耐えて
続けて、こう言った。

「君がなんと言おうと
僕は、君を愛してる
君が好きな本や、
君が好きな花の話を聞いてる時間は幸せだった。
君の嬉しそうな顔を見て、心が安らいだ
人間と接していて
こんな気持ちになるのは初めてだった」

それを、聞いて彼女は、
左腕で僕の顔を殴り

「人間、人間って
貴方、自分をなんだと思っているんですか?
まさか、私と同じ様な怪物だとでも
言いたいんですか?
そんな事で、
私が慰められるとでも、思っているんですか?」

「違う
僕は、君と同じ様な怪物じゃない
君よりも、更に醜悪で、存在の許されぬ化け物だッ!
君は、体に精神が重なっていっただけだが
僕は、正常な体で
論理的思考という狂気に取り憑かれた
人間は、僕を制御しようと
道徳という名の鞭で叩き、
僕に直接触れる事もしなかったッ!
君は、そんな僕に触れてくれた
それが、僕にとって
どんなに喜ばしい事かが
君にわかるかッ!
愛される言われはない?
そんな事知った事じゃない
黙って、僕に愛されろッ!」

僕が、彼女を睨みつけ
そう叫ぶと

彼女は、驚いてこう言った。

「そう、
貴方は、そうまでして私を...」

「じゃあ、合意の上だな
続きをしようか」

僕は、そう言うと
彼女を持ち上げベッドに運んだ。

「待ってください
今、普通の体になりますから」

「いや、そのままで良いよ
楽しみ二倍だ」

僕が、そう言うと

「え!?
ちょっと待ってください
このままするんですか!?
それはちょっと心の準備が...」

僕は、それを無視して彼女を
ベッドに寝かせて押し倒した。

「待ってください
いやああああああッ!」


事後、彼女が過去を話してくれた。
この体のせいで両親に虐待を受けて事、
生まれてから、ずっと地下室に監禁されていた事
そこが、父の図書室だった事、
父が、偉い牧師だった事、
父に性的な暴行を受けていた事、
生きる事が地獄だった事、
本を読んでそれを誤魔化していた事、
読む本が無くなって自殺したこと...
泣きながら、思い出しては吐き出す様に、
ずっと、誰かに言いたかったと
心の底から泣いていた。

僕は、彼女を抱きしめながら、
ときどき、相槌を打って
彼女の頭を撫でていた。
彼女の気が済むまでずっと...
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