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始まりの森
第9話
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あれから何事もなく拠点に帰ってくることができた。狼に襲われたのは想定外だったけど、森の主を仕留めれたのも思わぬ収穫だったな。偵察させている様子を見るに、主より危険な生物はこの森にはもういないみたいだ。野生動物には気をつける必要はあるけど…。
主の解体の途中、とあることに気づいた。
「…そういえば、この主の素材を使ってゴーレムを作ってみたらどうなるんだろ?」
今まで木や岩を使ってゴーレムを作ってきたけど、生き物の素材でゴーレムを作ったことはない。
骨、牙や爪だけでなく、周りの素材も使って早速試してみることにした。
「クリエイトゴーレム!」
そして、マナがごっそり消費される感覚と共に、元より大きいサイズでゴーレムが組み上がっていく。
骨は周囲の鉱石と混ざってより強固な硬さとなり、牙や爪も大きく、鋭くなっていった。それに伴い、肉体もよりしなやかで強靭な鋼鉄で作り上げられていく。毛皮も、柔らかさと丈夫さを兼ね備えた合金がその肉体を覆うように纏わりついて、それが完成した。
他のゴーレムとは一線を画すその迫力に気圧されそうになるも、その瞳には無機質だけではない何かを感じる。
この主の素材を使ったゴーレムには、今まで以上に能力を組み込んだ。色々あるけど、やはり念願のこれだろう。
[……起動シーケンス開始…完了しました。認証シーケンス開始………映像内にマスターの反応を確認、認証中………完了しました。]
「グルルル…キュゥン…」
そう、声を発することができるようになった。とはいえ巨狼の姿で話されても怖いので、鳴き声をあげる程度に限定したけど…。
能力は他にも、爪や牙を伸ばしたり、身体を小さくしたりする変形機構を搭載した。
そしてその巨体で甘えられると押しつぶされるので、いきなりだけど小さくなってもらうことにした。
子犬ほどのサイズになった狼はとても愛らしく、先ほどまでの気迫が嘘のように、トコトコとこちらへ駆け寄ってくる。
「可愛い…相棒になってもらうためにも名前考えよう…」
(ふむ…白銀の毛並み…)
「『ジルヴァ』はどうかな?愛称はジルだな!」
「ガウガウ!!」
気に入ったようで尻尾をぶんぶんと振りながら返事をしてくれた。可愛いやつめ。
そろそろ街に行く準備をしよう、どういう感じなのか調査して取引用の薬も作らないと…。
まず荷車を作り、それを引いて歩くことのできる馬型のゴーレムを作った。
街まで荷車通れるように気を切り倒して道の整備を始め、採取してきた薬草を使って薬の作成にも取り掛かった。
成分の分析などもしてくれているので、色々な種類の薬ができるはずだ。
用意は周到である方が良いと思い、街の上空に小鳥型ゴーレムを放ち、まずは生活の様子を伺うことにした。
森からは大きな門で遮られており、街から森へ行けないように監視をするかのように幾人もの番兵が守備についている。
更にその門のすぐ側には物見櫓が立っていて、そちらにも番兵がいる。相当な警戒網であることは確かだ。簡単には入れてくれそうにもなさそうな様子だ。
しかし、街自体は活気付いていて、市場や通りも賑わっている。特段何かあって警戒しているようではないようだ。身なりも自分とそう大きくは変わらないようだ。
いきなり商売をしに行くよりは、街で調査をしてからじゃないと、すぐには取り扱ってくれないかもしれないな…どうせまだ薬の数を揃えるには時間がかかりそうだし、1人で行って情報を集めてみるか…。
主の解体の途中、とあることに気づいた。
「…そういえば、この主の素材を使ってゴーレムを作ってみたらどうなるんだろ?」
今まで木や岩を使ってゴーレムを作ってきたけど、生き物の素材でゴーレムを作ったことはない。
骨、牙や爪だけでなく、周りの素材も使って早速試してみることにした。
「クリエイトゴーレム!」
そして、マナがごっそり消費される感覚と共に、元より大きいサイズでゴーレムが組み上がっていく。
骨は周囲の鉱石と混ざってより強固な硬さとなり、牙や爪も大きく、鋭くなっていった。それに伴い、肉体もよりしなやかで強靭な鋼鉄で作り上げられていく。毛皮も、柔らかさと丈夫さを兼ね備えた合金がその肉体を覆うように纏わりついて、それが完成した。
他のゴーレムとは一線を画すその迫力に気圧されそうになるも、その瞳には無機質だけではない何かを感じる。
この主の素材を使ったゴーレムには、今まで以上に能力を組み込んだ。色々あるけど、やはり念願のこれだろう。
[……起動シーケンス開始…完了しました。認証シーケンス開始………映像内にマスターの反応を確認、認証中………完了しました。]
「グルルル…キュゥン…」
そう、声を発することができるようになった。とはいえ巨狼の姿で話されても怖いので、鳴き声をあげる程度に限定したけど…。
能力は他にも、爪や牙を伸ばしたり、身体を小さくしたりする変形機構を搭載した。
そしてその巨体で甘えられると押しつぶされるので、いきなりだけど小さくなってもらうことにした。
子犬ほどのサイズになった狼はとても愛らしく、先ほどまでの気迫が嘘のように、トコトコとこちらへ駆け寄ってくる。
「可愛い…相棒になってもらうためにも名前考えよう…」
(ふむ…白銀の毛並み…)
「『ジルヴァ』はどうかな?愛称はジルだな!」
「ガウガウ!!」
気に入ったようで尻尾をぶんぶんと振りながら返事をしてくれた。可愛いやつめ。
そろそろ街に行く準備をしよう、どういう感じなのか調査して取引用の薬も作らないと…。
まず荷車を作り、それを引いて歩くことのできる馬型のゴーレムを作った。
街まで荷車通れるように気を切り倒して道の整備を始め、採取してきた薬草を使って薬の作成にも取り掛かった。
成分の分析などもしてくれているので、色々な種類の薬ができるはずだ。
用意は周到である方が良いと思い、街の上空に小鳥型ゴーレムを放ち、まずは生活の様子を伺うことにした。
森からは大きな門で遮られており、街から森へ行けないように監視をするかのように幾人もの番兵が守備についている。
更にその門のすぐ側には物見櫓が立っていて、そちらにも番兵がいる。相当な警戒網であることは確かだ。簡単には入れてくれそうにもなさそうな様子だ。
しかし、街自体は活気付いていて、市場や通りも賑わっている。特段何かあって警戒しているようではないようだ。身なりも自分とそう大きくは変わらないようだ。
いきなり商売をしに行くよりは、街で調査をしてからじゃないと、すぐには取り扱ってくれないかもしれないな…どうせまだ薬の数を揃えるには時間がかかりそうだし、1人で行って情報を集めてみるか…。
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