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本編
旦那様と、話し合いをします.
しおりを挟む「あの…旦那様、部屋に付きましたよ。」
あれからここまで辿り着くのが本当に大変だった。
メイド達に見られないようコソコソ移動したり、窓から外に出たりと…、まぁ、それぐらいの苦労は必要だったと思う。
だって未だ泣いているこんなにも美しい旦那様を他の人間やその他諸々に見られると思ったら…剣でも振り回してしまいそうなのだ。
番の独占欲と言うかなんと言うか…。とにかく、無理なものは無理だった。
そして今、部屋に入っても棒立ちで放心状態だった旦那様を長椅子に座らせて頭を撫でている。
何故!!俺自身も戸惑っている、普段はあまり動かない顔も困惑顔だ。
でも仕方無いと思う、大大大好きな番が子供の様に泣いているんだぞ?
そんなの可愛がらないほうがおかしい。
そういう訳なので、俺の手は今でもしゃかしゃかと旦那様の頭の上を滑っている。
しばらくそうして居ると、旦那様が正気に戻ってきた様だった。
サーッと顔が青くなったり、今までしていた事を思い出したのかボッと赤くなっていたり。
「旦那様、涙は収まりましたか?」
居た堪れなくなったので、俺の方から声をかけた。その時ビクッと肩が揺れたので、俺の存在も忘れていた様だ。思わず頭の中で苦笑する。
「あ、あぁ取り乱してしまい済まない…。君にも、”また”迷惑を掛けてしまった…………これじゃあ情どころか一緒の家に住むことさえ…」
最後の言葉を、俺は聞き逃さなかった。
「その事なのですが…情が尽きたとかって、何の話なんでしょう。」
本当に、分からない。無くなるどころかまだ胸の内で暴れている気持ちが、今にでもあふれ出しそうなぐらいには。
「えっ?好きでも無い男に婚約すっ飛ばして結婚させられ、番になった君は、3年も我慢してくれて、そしてもう、とうとう、情が尽きて実家に帰るんじゃないのかい…?」
……何故だ、何故そうなるのだ…。旦那様は妄想癖がお有りで…?俺はちゃんとプロポーズ(?)を請けたよな…?
いや、もしかして、もしかしてだが……俺の愛情表現が伝わっていなかった…?そうだったら辛い、あれでも頑張っていたのだが…。
まぁ…それは今はおいておこう、何故そう思ったのかが先だ。
「えっと…、何故旦那様がそうお考えになったのかはわかりませんが、俺は好きになれない相手に好きだとか愛してるだとか言う趣味はありませんよ。」
旦那様が驚いた様に目を見開く。
「え…嘘……、俺の事…ちょっとは好いてくれてたの?」
ちょっとどころでは無いんですが…。
手で顔を覆い俺は天を仰いだ。
なんか誤解されてないか!?!?!?
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面白かったです💗
更新楽しみにしてます!!
旦那様、可愛い❤️
不器用な愛しかたが、いいです😆🎵🎵
続き楽しみに待ってます🎵
続き楽しみにしてます。