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第一章「機械の戯れ」
狂気を静止させる者
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No side
時は遡り…美海が部屋に入った直後、残ったメンバーは…暇を持て余していた。
扉から鍵のかかった音が聞こえたが、外からなら開けれると分かったものの、誰一人として入ろうとはしなかった。
何故なら…会話が丸聞こえだからである。
どういう原理かは分からないが、聞こえるものは聞いておこうという自然な成り行きで残りのメンバー全員の心情一致により、こうなってしまったのである。
「…誰も行かないの?」
メンバーを見ずに愛結は言う。
「…あの状況で行けると思うか?」
瑞輝が呆れながら聞き返す。
「……行けない、というより行かない」
どーせ足手まといになるだけ、行くだけ無駄と開き直っている愛結。
開き直っているのは愛結だけではない。
瑞輝以外全員である。
何故なら…常に美海を止めてきたのは瑞輝だからである。
やろうと思えば全員能力で止めることが出来るが…高い確率で瑞輝が止めに入る為、最早誰も止めようとしなくなったのである。
「…でも、あれは止めた方がいいんじゃ…」
波奈は扉を見ながら言う。
先程「僕を楽しませてくださいね?」という美海の声が聞こえたばかりである。
メンバーは知っている。
美海は人格が変わると一人称が変わる事、変わった人格は威力の制御というものを知らない事を。
メンバーは一斉に瑞輝の方を向く。
「…え、何…」
この期に及んで逃げようとする瑞輝。
瑞輝は、絶対美海はこうすると予想していたのだ。
だから自分の出る幕は無いと思っていたんだろう。
だが、メンバーは違った。
美海はああなると必ず止めないといけないという謎の一致心があるのだ。
「…止めてこいよ、瑞輝」
そう言ったのは部長の正樹。
正樹は面倒事はごめんだとでも言いたげな表情をしている。
「…なんで俺なんだよ…」
やはりかと妙に納得せざるを得ないこの状況。
誰も行きたくないという空気が漂う。
その空気を感じとったのか、瑞輝は大きなため息をつく。
「はぁ…行ける時が来たらな」
結局、瑞輝が折れる形で決まった。
それからしばらく経った。
「面白くないなぁ…もっと僕を楽しませてよ」という美海の声が聞こえた。
その声は聞くだけでも明らかに不服そうだった。
「…瑞輝~…出番だよ」
愛結が瑞輝を見つめる。
言い方には面倒臭さが残っているが、止めてくれるだろうと密かに思っている。
「…わかったよ」
ゆっくりと腰を上げていく。
「…じゃあ、止めてくるわ」
瑞輝がドアノブに手をかけたところで正樹がニヤリと笑う。
「死ぬなよ?」
「縁起でもないこと言わないでくれ」
冗談と受け取る瑞輝。
だが、瑞輝は知っている。
今日の美海は、少しずつ力の加減を上げている事に。
「さっさと止めて、ドア開けるか」
そう言い、瑞輝はドアノブを回し部屋の中へ入っていった。
部屋の真ん中辺りに美海が居た。
美海の目の前には、身体の半分が壊死しているロボットが。
多分、あれが今回の敵の那魅原悠翔って奴か?
ロボット…あぁ、『製造人間』ってやつか。
頭の中ではそう考えつつ、真っ直ぐ美海に近づく瑞輝。
美海が手を振りあげようとした瞬間、美海の首根っこを掴み、瑞輝はこう言った。
「もう止めろ、『美音』」
時は遡り…美海が部屋に入った直後、残ったメンバーは…暇を持て余していた。
扉から鍵のかかった音が聞こえたが、外からなら開けれると分かったものの、誰一人として入ろうとはしなかった。
何故なら…会話が丸聞こえだからである。
どういう原理かは分からないが、聞こえるものは聞いておこうという自然な成り行きで残りのメンバー全員の心情一致により、こうなってしまったのである。
「…誰も行かないの?」
メンバーを見ずに愛結は言う。
「…あの状況で行けると思うか?」
瑞輝が呆れながら聞き返す。
「……行けない、というより行かない」
どーせ足手まといになるだけ、行くだけ無駄と開き直っている愛結。
開き直っているのは愛結だけではない。
瑞輝以外全員である。
何故なら…常に美海を止めてきたのは瑞輝だからである。
やろうと思えば全員能力で止めることが出来るが…高い確率で瑞輝が止めに入る為、最早誰も止めようとしなくなったのである。
「…でも、あれは止めた方がいいんじゃ…」
波奈は扉を見ながら言う。
先程「僕を楽しませてくださいね?」という美海の声が聞こえたばかりである。
メンバーは知っている。
美海は人格が変わると一人称が変わる事、変わった人格は威力の制御というものを知らない事を。
メンバーは一斉に瑞輝の方を向く。
「…え、何…」
この期に及んで逃げようとする瑞輝。
瑞輝は、絶対美海はこうすると予想していたのだ。
だから自分の出る幕は無いと思っていたんだろう。
だが、メンバーは違った。
美海はああなると必ず止めないといけないという謎の一致心があるのだ。
「…止めてこいよ、瑞輝」
そう言ったのは部長の正樹。
正樹は面倒事はごめんだとでも言いたげな表情をしている。
「…なんで俺なんだよ…」
やはりかと妙に納得せざるを得ないこの状況。
誰も行きたくないという空気が漂う。
その空気を感じとったのか、瑞輝は大きなため息をつく。
「はぁ…行ける時が来たらな」
結局、瑞輝が折れる形で決まった。
それからしばらく経った。
「面白くないなぁ…もっと僕を楽しませてよ」という美海の声が聞こえた。
その声は聞くだけでも明らかに不服そうだった。
「…瑞輝~…出番だよ」
愛結が瑞輝を見つめる。
言い方には面倒臭さが残っているが、止めてくれるだろうと密かに思っている。
「…わかったよ」
ゆっくりと腰を上げていく。
「…じゃあ、止めてくるわ」
瑞輝がドアノブに手をかけたところで正樹がニヤリと笑う。
「死ぬなよ?」
「縁起でもないこと言わないでくれ」
冗談と受け取る瑞輝。
だが、瑞輝は知っている。
今日の美海は、少しずつ力の加減を上げている事に。
「さっさと止めて、ドア開けるか」
そう言い、瑞輝はドアノブを回し部屋の中へ入っていった。
部屋の真ん中辺りに美海が居た。
美海の目の前には、身体の半分が壊死しているロボットが。
多分、あれが今回の敵の那魅原悠翔って奴か?
ロボット…あぁ、『製造人間』ってやつか。
頭の中ではそう考えつつ、真っ直ぐ美海に近づく瑞輝。
美海が手を振りあげようとした瞬間、美海の首根っこを掴み、瑞輝はこう言った。
「もう止めろ、『美音』」
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