16 / 19
第一章「機械の戯れ」
狂気の沙汰
しおりを挟む
美海side
「お前の全てを破壊してやる」
あまりの剣幕にナミトは狼狽える。
つーか、さっきからバチバチなってんのなんなん?
ふと、ナミトの腕をよく見てみる。
切断したナミトの腕から、火花が散っていた。
落ちている腕の切断面を見ると、機械のような構造の切り口がバラバラになっている当り、かなり頑丈に作られているものだと見える。
「お前…機械か…?」
思わずそう告げる。
身体の全てが機械でできている人間…通称『製造人間』と言われていた。
過去形なのは、もう製造されていないから。
製造人間は自由な思考を持たない、だから誰かがパソコンかなんかで入力しないと動かない仕様なんだけど…そのデータを変えて殺人を犯す奴が出てきたから政府が全ての製造工場を停止させたって話。
でもまさか…止めさせた政府が秘密裏で造っていたなんてな…。
これは…。
「面白ぇじゃねーかよ…」
「おい」
俺はナミトに声をかけた。
切られた腕は痛むんだろうなぁ…。
知ったこっちゃないけど(外道)
「お前の本体は何処に居る?」
腕を組みながら語りかける。
「…政府の何処かにある牢屋だ」
観念したのか、ナミトはぼそりと呟く。
牢屋かー…。
「…嘘じゃねぇな?」
「嘘をついてどうなる、どの道この体は貴様に壊される運命なんだ…悔いは無い」
このナミトの発言に無性に腹が立った。
何故かは知らない。
いや、知りたくないの方が正しい気がする…。
「…お前は悲しいヤツだな」
心の中で言ったつもりが口に出ていたらしく、ナミトは俺を睨む。
「…どういう意味だ」
会話した中で聞いた事の無い、凄く低い声でナミトは言う。
すかさず俺は続ける。
「お前の先程の発言…お前は俺に殺されたがってるようにとれたが?いくら政府の命令とはいえ、そんなあっさり負けを認めるような雑魚じゃねーだろ…?お前は破壊されたいんじゃない、本当のお前自身を政府から解放して欲しいんじゃねーのか?」
俺はナミトを睨み続けながら言う。
「……………………っ!!」
見抜かれたようにナミトは口を噤む。
……あぁ…胸糞悪い。
昔の俺を見てるようで…今すぐにでもぶん殴りてぇ。
だが…おそらくここで殴ったら政府の思惑通りだろうな。
ふと俺は、ある提案を思い付いた。
「なぁ、ナミト…お前の今の体は壊れても本体には影響しねーのか?」
(自身の中で)落ち着いた声で質問を投げる。
「…あぁ、何も損傷はない…だが、俺は本体の意思で動いているからな、この会話の内容も全て知っている…だったらなんだ」
あぁ、そうかそうか…。
そして俺は少し笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ、俺の提案を一つ聞いてくれよ」
「提案?内容にもよるな…」
やっぱそうか…でも、提案内容を聞けばその気になるはず…。
「安心しろ、互いに利益しかねぇからさ」
果たしてナミトは本当の"僕"がどんな顔してるのか理解できるのかな?
「ほぅ…興味深いな、それで…内容は?」
内容が気になるのか急かすナミト。
この提案にナミトが乗った瞬間、俺は"僕"と交代する。
一応言っておくか、本当の"僕"は戦闘狂だ。
え?今のでも充分戦闘狂だって?
それが違うんだなー。
俺は"僕"の狂気を人並みに扱ってるだけ、つまりただの仮面。
これはメンバー全員知っている。
変わろうとすると大抵瑞輝が止めに来るから、目の前で変わったことは無い。
"僕"は威力を考えずに使うから、最悪人が死ぬ。
それでも平然としているから随分とタチ悪い。
だけど、今回は釘を指しておかねばならん。
『じわじわとやれ、絶対建物は壊すな』
そして終わったらまた交代してもらう。
一応頼みは聞いてくれるから、こちらとしては助かっている。
っと、話がだいぶ逸れたな。
そして俺は提案をふっかけた。
「本気で俺を殺しに来い…勿論手加減は無用だ、俺もそれなりの力でいかせてもらう」
殺しに来い、俺からその言葉が出るとは思わなかっただろう。
ナミトは信じられないように目を見開いている。
「安心しろ、お前は俺が壊すって決めてたからな…それにお前も俺ともっと殺り合いたかったやろ?」
早く、早く…。
早く、乗ってこい…そして…"僕"をもっと楽しませろ!
「…なかなか楽しそうな提案だな……」
ナミトがぼそりと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
これは、乗るな。
「いいだろう…ただ、貴様が死んでも俺は知らないからな」
…ナミトは承諾した。
それと同時に俺は"僕"と交代した。
さて、キミはいつまでその威勢が続くのかな?
僕は満面の笑みで言う。
ねぇ、ナミトさん。
「僕を楽しませてくださいね?」
「お前の全てを破壊してやる」
あまりの剣幕にナミトは狼狽える。
つーか、さっきからバチバチなってんのなんなん?
ふと、ナミトの腕をよく見てみる。
切断したナミトの腕から、火花が散っていた。
落ちている腕の切断面を見ると、機械のような構造の切り口がバラバラになっている当り、かなり頑丈に作られているものだと見える。
「お前…機械か…?」
思わずそう告げる。
身体の全てが機械でできている人間…通称『製造人間』と言われていた。
過去形なのは、もう製造されていないから。
製造人間は自由な思考を持たない、だから誰かがパソコンかなんかで入力しないと動かない仕様なんだけど…そのデータを変えて殺人を犯す奴が出てきたから政府が全ての製造工場を停止させたって話。
でもまさか…止めさせた政府が秘密裏で造っていたなんてな…。
これは…。
「面白ぇじゃねーかよ…」
「おい」
俺はナミトに声をかけた。
切られた腕は痛むんだろうなぁ…。
知ったこっちゃないけど(外道)
「お前の本体は何処に居る?」
腕を組みながら語りかける。
「…政府の何処かにある牢屋だ」
観念したのか、ナミトはぼそりと呟く。
牢屋かー…。
「…嘘じゃねぇな?」
「嘘をついてどうなる、どの道この体は貴様に壊される運命なんだ…悔いは無い」
このナミトの発言に無性に腹が立った。
何故かは知らない。
いや、知りたくないの方が正しい気がする…。
「…お前は悲しいヤツだな」
心の中で言ったつもりが口に出ていたらしく、ナミトは俺を睨む。
「…どういう意味だ」
会話した中で聞いた事の無い、凄く低い声でナミトは言う。
すかさず俺は続ける。
「お前の先程の発言…お前は俺に殺されたがってるようにとれたが?いくら政府の命令とはいえ、そんなあっさり負けを認めるような雑魚じゃねーだろ…?お前は破壊されたいんじゃない、本当のお前自身を政府から解放して欲しいんじゃねーのか?」
俺はナミトを睨み続けながら言う。
「……………………っ!!」
見抜かれたようにナミトは口を噤む。
……あぁ…胸糞悪い。
昔の俺を見てるようで…今すぐにでもぶん殴りてぇ。
だが…おそらくここで殴ったら政府の思惑通りだろうな。
ふと俺は、ある提案を思い付いた。
「なぁ、ナミト…お前の今の体は壊れても本体には影響しねーのか?」
(自身の中で)落ち着いた声で質問を投げる。
「…あぁ、何も損傷はない…だが、俺は本体の意思で動いているからな、この会話の内容も全て知っている…だったらなんだ」
あぁ、そうかそうか…。
そして俺は少し笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ、俺の提案を一つ聞いてくれよ」
「提案?内容にもよるな…」
やっぱそうか…でも、提案内容を聞けばその気になるはず…。
「安心しろ、互いに利益しかねぇからさ」
果たしてナミトは本当の"僕"がどんな顔してるのか理解できるのかな?
「ほぅ…興味深いな、それで…内容は?」
内容が気になるのか急かすナミト。
この提案にナミトが乗った瞬間、俺は"僕"と交代する。
一応言っておくか、本当の"僕"は戦闘狂だ。
え?今のでも充分戦闘狂だって?
それが違うんだなー。
俺は"僕"の狂気を人並みに扱ってるだけ、つまりただの仮面。
これはメンバー全員知っている。
変わろうとすると大抵瑞輝が止めに来るから、目の前で変わったことは無い。
"僕"は威力を考えずに使うから、最悪人が死ぬ。
それでも平然としているから随分とタチ悪い。
だけど、今回は釘を指しておかねばならん。
『じわじわとやれ、絶対建物は壊すな』
そして終わったらまた交代してもらう。
一応頼みは聞いてくれるから、こちらとしては助かっている。
っと、話がだいぶ逸れたな。
そして俺は提案をふっかけた。
「本気で俺を殺しに来い…勿論手加減は無用だ、俺もそれなりの力でいかせてもらう」
殺しに来い、俺からその言葉が出るとは思わなかっただろう。
ナミトは信じられないように目を見開いている。
「安心しろ、お前は俺が壊すって決めてたからな…それにお前も俺ともっと殺り合いたかったやろ?」
早く、早く…。
早く、乗ってこい…そして…"僕"をもっと楽しませろ!
「…なかなか楽しそうな提案だな……」
ナミトがぼそりと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
これは、乗るな。
「いいだろう…ただ、貴様が死んでも俺は知らないからな」
…ナミトは承諾した。
それと同時に俺は"僕"と交代した。
さて、キミはいつまでその威勢が続くのかな?
僕は満面の笑みで言う。
ねぇ、ナミトさん。
「僕を楽しませてくださいね?」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた
アタラクシア
ファンタジー
人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。
はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。
目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。
クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。
――根源に至る『四騎士』
――世界征服を企む『ナイトメア』
――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』
異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。
はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。
長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

どうやら貴方の隣は私の場所でなくなってしまったようなので、夜逃げします
皇 翼
恋愛
侯爵令嬢という何でも買ってもらえてどんな教育でも施してもらえる恵まれた立場、王太子という立場に恥じない、童話の王子様のように顔の整った婚約者。そして自分自身は最高の教育を施され、侯爵令嬢としてどこに出されても恥ずかしくない教養を身につけていて、顔が綺麗な両親に似たのだろう容姿は綺麗な方だと思う。
完璧……そう、完璧だと思っていた。自身の婚約者が、中庭で公爵令嬢とキスをしているのを見てしまうまでは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる