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生徒会長編3

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それから一週間ほど、結局忙しい時期が終わるまで俺は手伝いを続けた。
先生や生徒会の面々には非常に感謝され、生徒会長からはお礼にとお茶に誘われていた。
「ってことでアダム、生徒会長とお茶することになったんだけど行ってもいい?」
婚約者がいる身で他の男と二人きりのお茶会なんて褒められたものではないだろう。俺はアダムに許可を取ってから返事を返すことにしていた。
「……構わない、が。俺も同席させてもらう。」
そうきたか。まあ妥当なところだろう、生徒会長も疚しい気持ちが無ければ了承してくれるはずだ。
「分かった。生徒会長にもそう伝えておくね。」
後日生徒会長にアダムも同席させてほしい旨を伝えれば快く了承された。

そしてお茶会の日、軽い昼食も出してもらい俺と生徒会長は楽しくお喋りをした。アダムは終始無言だった。
愛想ってもんが無いんだよなアダムは。そんなんだから第一王子派の連中に好き勝手陰口叩かれるんだぞ、全く。
「嗚呼、楽しい時間もそろそろ終わりですね。」
「そうですね、生徒会長。今日はお誘いいただきありがとうございました。」
「どういたしまして。今度また、良い茶葉が入った時はお誘いしますね。」
「本当ですか!それは嬉しいです。」
すっかり生徒会長とは茶飲み友達だ。もしかしたら有事の際のお手伝い係にしようとか企んでいるのかもしれないが、それはそれでいいだろう。
生徒会長の家の者に送ってもらい、二人で学園の寮に帰った。

「そう、距離はゆっくりと詰めなくては。いつか、二人でお茶会をしましょう。その時は…」
生徒会長の口から小さく呟かれた言葉は、誰の耳にも届かなかった。

寮の部屋に入ると、何故かアダムも一緒に入ってきた。
「あれ、どうしたのアダム。僕の部屋に忘れ物でもした?」
「…いや、少し話がある。」
「へえ、どうしたの?」
アダムから話なんて珍しい。ま、まさか今更になって原作通り婚約破棄なんて…ないよな?
「あの生徒会長には気を付けろ。お前はただでさえ人一倍綺麗で愛らしいんだ、何かあってからでは遅い。」
「…へっ!?」
綺麗?愛らしい?そ、そんなこと言われるなんて思ってなかった。思わず顔が赤くなってしまう…!
こんなにストレートに褒められたのは初めてじゃないだろうか。だ、ダメだ、俺としたことがアダムの言葉にこんなに心を乱されるなんて…!
「聞いているのか?どうしてここで赤くなるんだ。」
「だ、だってアダムが…!と、とにかく気を付けるよ、うん!」
やばいニヤけそうだ。ふふふ、こんな言われ慣れた陳腐な言葉でここまで幸せな気持ちになれるなんて夢にも思わなかった。
その日俺は、幸せな夢を見た。
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