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生徒会長編
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見事に婚約破棄を防いだ俺は、平和な学園生活を送っていた。
そんなある日の放課後のことだった。
「ああサンダルフォンくん、ちょっとこの資料を生徒会室まで持って行ってくれないかね?今生徒会は忙しくてね、猫の手も借りたいくらいなんだ。」
「いいですよ。」
先生の目の前を通ろうとしたタイミングで頼みごとをされてしまった。俺は親切なので資料を持って行くことにした。
「アダム、今日は先に帰ってていいよ。晩ご飯の時にまた会おう。」
「手伝うぞ?」
「これくらい大丈夫。」
「…そうか。気を付けろよ。」
アダムは心配性だな。
生徒会室に入るとそこには生徒会長が一人で書類とにらみ合っていた。
そう、攻略対象の一人でありこの学園の生徒会長、レオナルド・スクエアだ。妹がよく、「レオくんは爽やかなお兄さんと見せかけてドSなの!」と言っていたのでおそらく腹黒生徒会長ということだろう。
「失礼します、生徒会長。顧問の先生に頼まれて資料を持ってきました。」
「ああ、すまないね。そこに置いてもらえるだろうか。」
こちらを一瞥しすまなそうに笑う生徒会長は好青年で、ちっともドSにも腹黒にも見えない。しかし、人は見かけによらないものだ。俺は見た目も性格も美しいけどな!
「あの、生徒会は猫の手も借りたい状況だと聞きました。何かお手伝いできることはありますか?」
そんな性格美人の俺としては困っている人は見過ごせないのである。俺はタイピング得意だぞ?
「おや、実にありがたい申し出ですね。ではこの書類の整理とこちらのコピーをお願いできますでしょうか。」
「はい、わかりました。」
それくらい簡単だ。ぱっぱと済ませてしまおう。
結局あれもこれもと手伝っていたら日が暮れてしまった。生徒会、本当に大変なんだな。
そういえばこのゲームの主人公は誰のルートを選んだのだろう、アダムルートではないことは確かだが。
「本当に助かりました。こんな時間まで付き合わせてしまってすみません。」
「いえ、困った時はお互いさまと言いますし、俺達生徒のために働いて頂いているのですからこれくらい、当然です。」
そういうと生徒会長は驚いたような顔をした後、ふんわりと笑った。
「そう言ってもらえると、働き甲斐がありますね。ありがとうございます。もう遅いですから送りますよ、貴方は二年生ですよね。」
どうやら学生寮まで送ってくれるらしい。…全然ドSっぽくないが、猫をかぶっているのだろう。
「はい、二年生です。わざわざありがとうございます。」
「どういたしまして。」
生徒会長は茶目っ気たっぷりにウインクした。こいつ、自分がイケメンだってわかってやがる…!
群青色の髪と瞳に黒縁眼鏡、顔立ちは整っており理知的だ。ファンもさぞかし多いことだろう。
まあ俺の方が圧倒的に美しいけどな!!
たわいないことを談笑していると二年の学生寮に着いた。
中々話術も巧みで飽きることなく会話できた。流石生徒会長、高スペックだ。
「ああ着いてしまいましたね。欲を言えば貴方ともっと話していたかったのですが…僕はこれで失礼します。」
お世辞も言えるなんて…!いや、本心かもしれないが。なんたって宇宙一美しいこの俺と、二人っきりで楽しくお喋りできたんだからな!
アダムはもっと俺への愛を言葉にするべきだと思う。無口は短所だぞ!
「ふふ、俺も楽しかったです。それではさようなら、お気をつけて。」
ひらひらと手を振れば、生徒会長は笑って手を振り返した。うん、良いお友達になれたんじゃなかろうか。
そんなある日の放課後のことだった。
「ああサンダルフォンくん、ちょっとこの資料を生徒会室まで持って行ってくれないかね?今生徒会は忙しくてね、猫の手も借りたいくらいなんだ。」
「いいですよ。」
先生の目の前を通ろうとしたタイミングで頼みごとをされてしまった。俺は親切なので資料を持って行くことにした。
「アダム、今日は先に帰ってていいよ。晩ご飯の時にまた会おう。」
「手伝うぞ?」
「これくらい大丈夫。」
「…そうか。気を付けろよ。」
アダムは心配性だな。
生徒会室に入るとそこには生徒会長が一人で書類とにらみ合っていた。
そう、攻略対象の一人でありこの学園の生徒会長、レオナルド・スクエアだ。妹がよく、「レオくんは爽やかなお兄さんと見せかけてドSなの!」と言っていたのでおそらく腹黒生徒会長ということだろう。
「失礼します、生徒会長。顧問の先生に頼まれて資料を持ってきました。」
「ああ、すまないね。そこに置いてもらえるだろうか。」
こちらを一瞥しすまなそうに笑う生徒会長は好青年で、ちっともドSにも腹黒にも見えない。しかし、人は見かけによらないものだ。俺は見た目も性格も美しいけどな!
「あの、生徒会は猫の手も借りたい状況だと聞きました。何かお手伝いできることはありますか?」
そんな性格美人の俺としては困っている人は見過ごせないのである。俺はタイピング得意だぞ?
「おや、実にありがたい申し出ですね。ではこの書類の整理とこちらのコピーをお願いできますでしょうか。」
「はい、わかりました。」
それくらい簡単だ。ぱっぱと済ませてしまおう。
結局あれもこれもと手伝っていたら日が暮れてしまった。生徒会、本当に大変なんだな。
そういえばこのゲームの主人公は誰のルートを選んだのだろう、アダムルートではないことは確かだが。
「本当に助かりました。こんな時間まで付き合わせてしまってすみません。」
「いえ、困った時はお互いさまと言いますし、俺達生徒のために働いて頂いているのですからこれくらい、当然です。」
そういうと生徒会長は驚いたような顔をした後、ふんわりと笑った。
「そう言ってもらえると、働き甲斐がありますね。ありがとうございます。もう遅いですから送りますよ、貴方は二年生ですよね。」
どうやら学生寮まで送ってくれるらしい。…全然ドSっぽくないが、猫をかぶっているのだろう。
「はい、二年生です。わざわざありがとうございます。」
「どういたしまして。」
生徒会長は茶目っ気たっぷりにウインクした。こいつ、自分がイケメンだってわかってやがる…!
群青色の髪と瞳に黒縁眼鏡、顔立ちは整っており理知的だ。ファンもさぞかし多いことだろう。
まあ俺の方が圧倒的に美しいけどな!!
たわいないことを談笑していると二年の学生寮に着いた。
中々話術も巧みで飽きることなく会話できた。流石生徒会長、高スペックだ。
「ああ着いてしまいましたね。欲を言えば貴方ともっと話していたかったのですが…僕はこれで失礼します。」
お世辞も言えるなんて…!いや、本心かもしれないが。なんたって宇宙一美しいこの俺と、二人っきりで楽しくお喋りできたんだからな!
アダムはもっと俺への愛を言葉にするべきだと思う。無口は短所だぞ!
「ふふ、俺も楽しかったです。それではさようなら、お気をつけて。」
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