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序章
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今日の朝は雨でしたが、夕方には雨が止んでしまい、私は何だかつまらなくなってしまいました。
それでも野外のキャンプファイヤーは中止で、急遽体育館での映画鑑賞に変更になりました。
「ちょーやだなぁ」
文化祭が終わりを告げる放送が校舎に流れて、卓球部に出たときに杉原先輩は溜め息と一緒に感想を言葉にしています。
「そうですか?私はあまり映画は観ないので、少しだけ楽しみです」
私は正直にそう思っていたのですが、
「別に映画なんて内容はどうでもいいよ。でも俺は折角だから叶と一緒に観たかったなぁって思っただけ」
そうですね。
私達は学年が違うのですから近くで一緒に観ることは出来ません。
私もそう言われてみて、出来ることでしたら杉原先輩と一緒に観たかったです。
「ですが同じ内容の映画を観るのですから、後でお互いに感想が話せますよ?」
「俺は思いを正直に言っただけだよ。……叶もちょっとは残念って思ってくれた?」
「正直に言ったらそうです、思ってしまいました」
先輩は『ふっふっふ』っと変な笑い方をしています。
「やっぱり意識はしてくれるんだ?」
「……どうなんでしょう?」
私は先程の先輩からの『告白』……恥とても恥ずかしい思い出になりつつあるのに、嬉しくも感じています。
ですが自分が杉原先輩をどう思っているのかが本当に分からないでいました。
(『特別』というのは分かるのですが……)
「何があっても俺は諦めないから」
「っ!!」
杉原先輩の本当の、心からの、真剣な眼差しに……心臓が高鳴りました。
「なーんてね、こんな言葉だけで落ちてくれるとは思ってないけど、真剣でマジだから」
「真剣でなければマジではないと思います」
悟られないように、私は直ぐに突っ込みを入れると、先輩は『手厳しいなー……』と困ったように笑う。
こうして杉原先輩と校舎で別れました。
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