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エッセイ
賽の河原
しおりを挟む賽の河原。
死者の魂が集まるとされている河原で、三途の川のほとりにあり、親に先立ち亡くなった子どもが集まるとされている。
子どもはそこで両親のために祈りながら、自らも成仏を願って河原の石で仏塔を造る。
完成間近になると必ず地獄の鬼に倒されやり直しになり、それでもただ一心に石を積み上げるという苦しみを負っている。
賽の河原の子ども達の願いが聞き届けられ地蔵菩薩が訪れた時、ようやくその苦しみから解放されるという。
ーーー
昔、絵本か何かでこの話を知ったときに、絶対に親より長生きしようと心に誓った覚えがある。
親より先に死ぬ事や地獄の鬼やらが怖かった訳ではない。
飽き性の私は、無限に石を積み続ける事が絶対に無理だからだ。
まあ、大人になった今では、こんな話は全く信じてはいない。
いや、信じていないというよりは、
気付いたのだ。
毎日、同じ時間に起きて
毎日、同じようなスーツに袖を通し
毎日、同じ電車に乗り
毎日、同じような仕事をする。
そして資本主義の鬼のせいで、
このサイクルからは逃げられない。
賽の河原は、あの世ではなくて、
この世に存在するのだと。
あぁ、
今日も社会という賽の河原で石を積み続ける大人達よ、、、
我々に地蔵菩薩の救いがあらんことを。
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