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7. もう1つの未来
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渉から訃報を聞き、志乃の家に行った時には、みんな暗い顔をしていた。その中には志乃のお母さん、お父さん、さらに志乃の姿があった。皆涙を流していて、座り込んでいた。いつもは明るい志乃は見たこともなく暗くこぼれ落ちるように涙を流していた。
『志乃……』
志乃はこっちには気づいてはいなかった。しばらくはそっとしといてやった方がいいと思い、
『渉。手合わせて一度帰るか。また志乃のばあちゃんの葬式あるだろう。その時にでも話ができればいいかな』
『そうだな…俺も昔から知っているし、優しくしてもらってたから涙止まんねえよ。でも今日は帰った方が良さそうだ…』
渉も我慢はしているものの涙が滲み出てきていた。僕も身近な人の死は初めて経験する。こんな悲しいものだとは知らなかった…。
人の死を受け入れているか分からなかったが、僕と渉はいつもより遅い足取りで家に帰っていった。
✳︎
家に帰ると、志乃のばあちゃんが亡くなったのを聞いたのだろうかバタバタしていた。
『あっお兄ちゃん帰ってきた。聞いた?志乃さんのおばあちゃん亡くなったって』
『あぁ知ってる。志乃の家にも行ってきて、手を合わせて帰ってきた。しばらくは家族だけで居た方が良いと思って』
『そっか。私も志乃さんのおばあちゃんに昔遊んでもらっていたのにな。もう話すこともできないんだ…』
詩帆はしょぼんとした顔で静かに下を向き言った。
トキツレ草はこのような未来も見せて来るのか。楽しそうな未来を見せてくれるなら大歓迎だが、人の悲しみを伴うイメージはもう見たくない。今でも志乃の泣いている姿が頭の中から離れない。
僕は部屋に帰った後、布団の中で次志乃に会った時なんて声をかけようかとばかり考えてしまっていた。
✳︎
志乃のばあちゃんが亡くなってから2日経っただろうか。渉から1本の電話が入った。
『おい煜!お前の妹今家にいるか?』
なんだか渉は息があまり整っていないのか、急ぐように言ってきた。
『なんだ?僕の妹を好きにでもなったのか?』
『何を言ってるだ。志乃のばあちゃんが死んでから、トキツレ草のことがずっと気になっていた。そしてさっきいつもの広場に行ってきたんだよ』
『…触ってきたのか?』
僕は少し嫌な予感がしていた。ついこないだに悲しいことがあったばかりだったから。
『あぁ。そしたら確かに頭の中にイメージが流れてきた。そしたらお前の妹が横たわっている姿だった。周りは草木が多かったからおそらく山の中に違いない』
『!?』
そういえば詩帆は今日の朝から遊びに行ってくると行っていた。どこに行くか聞いてなかったがもしかしたら……。
『ちょっと詩帆を探してくる。悪いけど、渉にも詩帆を探すの手伝って欲しい』
『分かった。もしもの可能性もあるからすぐ探しにいこう!』
志乃のことがあったばかりだ。トキツレ草に見せられる未来はほぼ当たると思っていた方がいい。そうすると詩帆は山の中で何かあったと考えるのが普通だろう。僕もすぐに近くの山の中を探そう。一応母さんにも詩帆の行き先について聞いておこう。
『母さん。今日詩帆どこ行くか言っていなかった?』
んーと考えると思い出したように
『そういえばあなたたちがよく遊んでいる広場あるじゃない。そこの奥の方の山に行くって言ってた気がするわ』
『分かった。ありがとう』
このことを渉にも伝えると僕はすぐ玄関を飛び出した。
その山の方はたまに遊びに行くから知っている。高低差があるところもあるが、近づかなかったり気をつけていたらそこまで危ない場所ではない。詩帆もそれは十分分かっているばずだか…。
僕は不安にも思いながら、いつもの広場を抜け、山の中に入っていった…
『志乃……』
志乃はこっちには気づいてはいなかった。しばらくはそっとしといてやった方がいいと思い、
『渉。手合わせて一度帰るか。また志乃のばあちゃんの葬式あるだろう。その時にでも話ができればいいかな』
『そうだな…俺も昔から知っているし、優しくしてもらってたから涙止まんねえよ。でも今日は帰った方が良さそうだ…』
渉も我慢はしているものの涙が滲み出てきていた。僕も身近な人の死は初めて経験する。こんな悲しいものだとは知らなかった…。
人の死を受け入れているか分からなかったが、僕と渉はいつもより遅い足取りで家に帰っていった。
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家に帰ると、志乃のばあちゃんが亡くなったのを聞いたのだろうかバタバタしていた。
『あっお兄ちゃん帰ってきた。聞いた?志乃さんのおばあちゃん亡くなったって』
『あぁ知ってる。志乃の家にも行ってきて、手を合わせて帰ってきた。しばらくは家族だけで居た方が良いと思って』
『そっか。私も志乃さんのおばあちゃんに昔遊んでもらっていたのにな。もう話すこともできないんだ…』
詩帆はしょぼんとした顔で静かに下を向き言った。
トキツレ草はこのような未来も見せて来るのか。楽しそうな未来を見せてくれるなら大歓迎だが、人の悲しみを伴うイメージはもう見たくない。今でも志乃の泣いている姿が頭の中から離れない。
僕は部屋に帰った後、布団の中で次志乃に会った時なんて声をかけようかとばかり考えてしまっていた。
✳︎
志乃のばあちゃんが亡くなってから2日経っただろうか。渉から1本の電話が入った。
『おい煜!お前の妹今家にいるか?』
なんだか渉は息があまり整っていないのか、急ぐように言ってきた。
『なんだ?僕の妹を好きにでもなったのか?』
『何を言ってるだ。志乃のばあちゃんが死んでから、トキツレ草のことがずっと気になっていた。そしてさっきいつもの広場に行ってきたんだよ』
『…触ってきたのか?』
僕は少し嫌な予感がしていた。ついこないだに悲しいことがあったばかりだったから。
『あぁ。そしたら確かに頭の中にイメージが流れてきた。そしたらお前の妹が横たわっている姿だった。周りは草木が多かったからおそらく山の中に違いない』
『!?』
そういえば詩帆は今日の朝から遊びに行ってくると行っていた。どこに行くか聞いてなかったがもしかしたら……。
『ちょっと詩帆を探してくる。悪いけど、渉にも詩帆を探すの手伝って欲しい』
『分かった。もしもの可能性もあるからすぐ探しにいこう!』
志乃のことがあったばかりだ。トキツレ草に見せられる未来はほぼ当たると思っていた方がいい。そうすると詩帆は山の中で何かあったと考えるのが普通だろう。僕もすぐに近くの山の中を探そう。一応母さんにも詩帆の行き先について聞いておこう。
『母さん。今日詩帆どこ行くか言っていなかった?』
んーと考えると思い出したように
『そういえばあなたたちがよく遊んでいる広場あるじゃない。そこの奥の方の山に行くって言ってた気がするわ』
『分かった。ありがとう』
このことを渉にも伝えると僕はすぐ玄関を飛び出した。
その山の方はたまに遊びに行くから知っている。高低差があるところもあるが、近づかなかったり気をつけていたらそこまで危ない場所ではない。詩帆もそれは十分分かっているばずだか…。
僕は不安にも思いながら、いつもの広場を抜け、山の中に入っていった…
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