78 / 78
第四章『葵と結衣』
第四章最終話「全責任は彼女にある」
しおりを挟む
「…………ちょっと、やりすぎましたかね?」
「そうだね、反省しよう。次からは5分休憩挟んでいこうか」
「5分じゃちょっと長いです。2分でお願いします」
まったく反省していない二人が、すやすやと眠っている結衣を眺める。
休憩を挟むとかいう以前に、何度もやること自体がやりすぎなのだが。自分たちには通用しない常識だ。
秘所からは白い液が溢れ出ていて、とんでもなく官能的だった。
――やばい。
「……ああ、また勃ちそう。もう一回その中に出したい」
「反省するのではなかったのですか?」
言いながら、葵は中途半端に脱いでいた服を下ろして、裸になる。
「……なんで脱いでるの? 葵も反省しないことにしたの?」
「違います、シャワーを浴びてきます。結衣様はお任せしてもよろしいですか?」
「それはいいけど、警戒心の欠片もないね」
「はあ? それ、私に言っているのですか? 新様ってあれですよね、結衣様以外には不能でしょう?――警戒する必要あります?」
「……僕も冗談で言ったけど、君に言われたくないなあ」
新は苦笑する。
もちろん葵が裸になろうが誘ってこようが、僕はその気には全くならないし、彼女の言う通り結衣以外で反応しないのは事実だった。
――しかしだ。
そういう葵こそ、結衣以外で興奮することも、濡れることもないんじゃないの?
ツッコミを入れようとしたら、葵は急に真面目な顔をして僕を見た。
「ありがとうございます」
「――え?」
「結衣様のことです。本当は私など、間に入れたくなかったでしょう?」
葵の言葉に、新は思わず笑う。
「葵が僕と同じくらい結衣を好きなこと、知っているよ。――あの夏休みずっと僕らを見ていたのも知ってるし、結衣と何を約束したかも知ってる」
「……え……気付いていたのですか…………?」
とても信じられない、といった表情だった。
よほど自分の能力を過信していたのだろう。気づかれる訳がないと。
たしかに葵は優秀だ。
――だが、あのころ葵はまだ修行をしている最中で。そしてなんだかんだ言って十六歳の少女だった。
彼女が思っているほど、その能力は完璧ではなかったのだ。
逆に僕が、結衣と葵の出会いを隠れて見ていたことに、気づかないくらいに。
「僕のこと応援したくせに、結衣と『三人でなかよく』なんて、とんでもない約束してくれちゃって~」
「……申し訳ないです」
怒ってみせる新に、小さくなって謝る葵。さっきまでの威勢はどこにいったのか。
まあ、彼女は彼女なりに、本当に悪いと思っているのだろう。それでも結衣が好きで、約束してしまった。
でもとりあえず、全裸で謝るのはやめて? いや僕も下半身出しているけど。
「――いいよ。ほかでもない、結衣が言ったのだから」
葵がそうしたように、僕も結衣のせいにすることにしよう。
全責任は結衣にとっていただく。
「……ありがとうございます。私、とても嬉しいです。――では結衣様、おやすみなさい」
まだ納得がいっていないような、しかしそれでも嬉しそうに笑顔をみせる葵。
眠っている結衣の頬にキスをして、葵は部屋を出ていった。裸で。
「引っ越してはじめての夜なのに、ご飯抜きにしちゃってごめんね。結衣……」
結衣を寝室に連れて行こうと抱き上げながら、寝ている彼女に声をかける。
「んん……ごはん……おにく………‥」
「お肉?」
眠ったまま、結衣はもごもごと、うわ言のようにぼやいた。
――本当におにぎりばかり食べていたのだろうか。
ちゃんと食べさせてあげないと。改めて誓いながらも、寝言を言うその姿があまりに可愛くて、新はしばらく結衣を抱きしめていた。
――第五章につづく――
「そうだね、反省しよう。次からは5分休憩挟んでいこうか」
「5分じゃちょっと長いです。2分でお願いします」
まったく反省していない二人が、すやすやと眠っている結衣を眺める。
休憩を挟むとかいう以前に、何度もやること自体がやりすぎなのだが。自分たちには通用しない常識だ。
秘所からは白い液が溢れ出ていて、とんでもなく官能的だった。
――やばい。
「……ああ、また勃ちそう。もう一回その中に出したい」
「反省するのではなかったのですか?」
言いながら、葵は中途半端に脱いでいた服を下ろして、裸になる。
「……なんで脱いでるの? 葵も反省しないことにしたの?」
「違います、シャワーを浴びてきます。結衣様はお任せしてもよろしいですか?」
「それはいいけど、警戒心の欠片もないね」
「はあ? それ、私に言っているのですか? 新様ってあれですよね、結衣様以外には不能でしょう?――警戒する必要あります?」
「……僕も冗談で言ったけど、君に言われたくないなあ」
新は苦笑する。
もちろん葵が裸になろうが誘ってこようが、僕はその気には全くならないし、彼女の言う通り結衣以外で反応しないのは事実だった。
――しかしだ。
そういう葵こそ、結衣以外で興奮することも、濡れることもないんじゃないの?
ツッコミを入れようとしたら、葵は急に真面目な顔をして僕を見た。
「ありがとうございます」
「――え?」
「結衣様のことです。本当は私など、間に入れたくなかったでしょう?」
葵の言葉に、新は思わず笑う。
「葵が僕と同じくらい結衣を好きなこと、知っているよ。――あの夏休みずっと僕らを見ていたのも知ってるし、結衣と何を約束したかも知ってる」
「……え……気付いていたのですか…………?」
とても信じられない、といった表情だった。
よほど自分の能力を過信していたのだろう。気づかれる訳がないと。
たしかに葵は優秀だ。
――だが、あのころ葵はまだ修行をしている最中で。そしてなんだかんだ言って十六歳の少女だった。
彼女が思っているほど、その能力は完璧ではなかったのだ。
逆に僕が、結衣と葵の出会いを隠れて見ていたことに、気づかないくらいに。
「僕のこと応援したくせに、結衣と『三人でなかよく』なんて、とんでもない約束してくれちゃって~」
「……申し訳ないです」
怒ってみせる新に、小さくなって謝る葵。さっきまでの威勢はどこにいったのか。
まあ、彼女は彼女なりに、本当に悪いと思っているのだろう。それでも結衣が好きで、約束してしまった。
でもとりあえず、全裸で謝るのはやめて? いや僕も下半身出しているけど。
「――いいよ。ほかでもない、結衣が言ったのだから」
葵がそうしたように、僕も結衣のせいにすることにしよう。
全責任は結衣にとっていただく。
「……ありがとうございます。私、とても嬉しいです。――では結衣様、おやすみなさい」
まだ納得がいっていないような、しかしそれでも嬉しそうに笑顔をみせる葵。
眠っている結衣の頬にキスをして、葵は部屋を出ていった。裸で。
「引っ越してはじめての夜なのに、ご飯抜きにしちゃってごめんね。結衣……」
結衣を寝室に連れて行こうと抱き上げながら、寝ている彼女に声をかける。
「んん……ごはん……おにく………‥」
「お肉?」
眠ったまま、結衣はもごもごと、うわ言のようにぼやいた。
――本当におにぎりばかり食べていたのだろうか。
ちゃんと食べさせてあげないと。改めて誓いながらも、寝言を言うその姿があまりに可愛くて、新はしばらく結衣を抱きしめていた。
――第五章につづく――
0
お気に入りに追加
357
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白くて読んでます!
なんていうか男性じゃなくて女性が書いてるってこともあるから中々みないタイプで面白いです!
「女性ってこういう事考えてるんだ〜」とか「こんなふうに感じてるんだな」ってわかって非常に新鮮でした
続き頑張ってください
退会済ユーザのコメントです