60 / 78
第四章『葵と結衣』
第三話「小さい喧嘩と、焼肉奉行」★
しおりを挟む
「結衣様、顔が真っ赤ですよ? 熱でもあるんですか??」
「葵さんっ、気付いてたんでしょ……っ! この人を止めてくださっ……んっ……!」
助けを求める結衣の顎をくいと上げて、新は乱暴にその唇を奪う。
無防備に開いた口内に侵入して、結衣の舌を絡め取るように動かす。
スカートの中に入っていた手は、ショーツの上から焦らすように同じ場所をなんども擦り上げる。
ちょ、ちょっと……! 止まるどころかどんどんエスカレートしてるし!
「んっ、んん……っ」
顎に当てられていた手を結衣の背中に回され、強く抱き寄せられる。
密着した躰から新の熱い程の体温が流れてくるようで、心臓が脈打ちドキドキとしてしまう結衣。
心地のいい陶酔感。しかし、まだ恥ずかしさが勝り、新から離れようと彼の体を両手で押しだす。
半個室なので気づかれることはないだろうが、開けた空間での行為はそれでも抵抗があった。
その様子に、仕方ないなとばかりに、チュッと小鳥のような触れる程のキスをして新は結衣を解放した。
「はぁ……っ」
完全に惚けてしまった目は焦点が合わず、よろよろと前を向き直す結衣。
撫で回された女の子の部分が、中途半端なまま疼き、我慢できず刺激を求めてジンジンと熱くなる。
未だ焼かれていない肉や野菜が並んでいる掘りごたつの向こう側。
二人をずっと観察していた葵が、意地悪に微笑んだ。
「結衣様! エッロエロですね。発情期のメス犬みたいな顔をしていますよ」
「そ! そういうこと、言わないで下さい……っ!」
真っ赤な林檎のように顔を紅潮させ、俯く結衣。
普段なら気軽にツッコめるが、劣情を抱えた今の状態だと、こんな些細な言葉すらが結衣を責めたてる愛撫の一つに感じてしまう。
「結衣可愛い~……ていうかほんと、小さいね君」
新は自分より随分小柄な彼女の頭を、わしゃわしゃと撫で回した。
「…………あああーーー! 小さくない! 小さくないから! 二人が背高すぎるだけだから!」
結衣の言う通り、新も葵も背が高い。
しかし結衣は結衣で、低すぎるのも事実。
「小さい小さい」
「小さく、ない!」
言い合っている二人を前に、葵は溜め息をついた。
「……仕方ないですね。お二人ともイチャイチャするのに忙しいみたいなので、私が焼肉奉行を致しましょう。これでは一向に肉が焼けません」
言いながら、並べられたまま放置された肉と野菜を焼いていく葵。
葵が勝手に肉を焼き始めたことに、二人は気付いていない。
「結衣は子供のときから小さかったなぁ。出会ったとき小四って言ってたけど、園児かと思った」
「園児……!? 園児って言いました!?」
「今やっと中学生くらい? 大丈夫? お酒飲める? それ以前に買える? 未成年には売れませんって言われない?」
「飲めます!! 買えます!!!!」
子供にするみたいに、頭を優しく撫でてくる新。
結衣はそれを振り払って、精一杯胸を張って姿勢を正す。少しでも大きく見えるように。
ちなみにお酒を買うときは、例え同じ店員でも、毎回身分証を求められるということは、絶対に内緒だ。虐められるに決まっている。
「はい、お二人共。焼けてきたので、食べながらイチャイチャして下さい。焦げます」
二人の喧嘩を止めたのは、焼肉だった。
「あ、こっち側が先ですよ。右からです。もうすでに一回ひっくり返してるのでこれ以上返さないで下さい。返すのは一回だけです。肉をタレに浸しっぱなしにするタレ放置プレイはNGです。せっかく熱々の肉が冷めますからね。さっさと食べて下さい」
焼肉奉行らしく淡々と指示してくる葵に、二人の「小さいこと」に対する熱は一気に冷めた。
「え、あ、うん……」
「い、いただきます……」
おずおずと手を合わせる新と結衣に、満足そうに微笑む葵なのだった。
「葵さんっ、気付いてたんでしょ……っ! この人を止めてくださっ……んっ……!」
助けを求める結衣の顎をくいと上げて、新は乱暴にその唇を奪う。
無防備に開いた口内に侵入して、結衣の舌を絡め取るように動かす。
スカートの中に入っていた手は、ショーツの上から焦らすように同じ場所をなんども擦り上げる。
ちょ、ちょっと……! 止まるどころかどんどんエスカレートしてるし!
「んっ、んん……っ」
顎に当てられていた手を結衣の背中に回され、強く抱き寄せられる。
密着した躰から新の熱い程の体温が流れてくるようで、心臓が脈打ちドキドキとしてしまう結衣。
心地のいい陶酔感。しかし、まだ恥ずかしさが勝り、新から離れようと彼の体を両手で押しだす。
半個室なので気づかれることはないだろうが、開けた空間での行為はそれでも抵抗があった。
その様子に、仕方ないなとばかりに、チュッと小鳥のような触れる程のキスをして新は結衣を解放した。
「はぁ……っ」
完全に惚けてしまった目は焦点が合わず、よろよろと前を向き直す結衣。
撫で回された女の子の部分が、中途半端なまま疼き、我慢できず刺激を求めてジンジンと熱くなる。
未だ焼かれていない肉や野菜が並んでいる掘りごたつの向こう側。
二人をずっと観察していた葵が、意地悪に微笑んだ。
「結衣様! エッロエロですね。発情期のメス犬みたいな顔をしていますよ」
「そ! そういうこと、言わないで下さい……っ!」
真っ赤な林檎のように顔を紅潮させ、俯く結衣。
普段なら気軽にツッコめるが、劣情を抱えた今の状態だと、こんな些細な言葉すらが結衣を責めたてる愛撫の一つに感じてしまう。
「結衣可愛い~……ていうかほんと、小さいね君」
新は自分より随分小柄な彼女の頭を、わしゃわしゃと撫で回した。
「…………あああーーー! 小さくない! 小さくないから! 二人が背高すぎるだけだから!」
結衣の言う通り、新も葵も背が高い。
しかし結衣は結衣で、低すぎるのも事実。
「小さい小さい」
「小さく、ない!」
言い合っている二人を前に、葵は溜め息をついた。
「……仕方ないですね。お二人ともイチャイチャするのに忙しいみたいなので、私が焼肉奉行を致しましょう。これでは一向に肉が焼けません」
言いながら、並べられたまま放置された肉と野菜を焼いていく葵。
葵が勝手に肉を焼き始めたことに、二人は気付いていない。
「結衣は子供のときから小さかったなぁ。出会ったとき小四って言ってたけど、園児かと思った」
「園児……!? 園児って言いました!?」
「今やっと中学生くらい? 大丈夫? お酒飲める? それ以前に買える? 未成年には売れませんって言われない?」
「飲めます!! 買えます!!!!」
子供にするみたいに、頭を優しく撫でてくる新。
結衣はそれを振り払って、精一杯胸を張って姿勢を正す。少しでも大きく見えるように。
ちなみにお酒を買うときは、例え同じ店員でも、毎回身分証を求められるということは、絶対に内緒だ。虐められるに決まっている。
「はい、お二人共。焼けてきたので、食べながらイチャイチャして下さい。焦げます」
二人の喧嘩を止めたのは、焼肉だった。
「あ、こっち側が先ですよ。右からです。もうすでに一回ひっくり返してるのでこれ以上返さないで下さい。返すのは一回だけです。肉をタレに浸しっぱなしにするタレ放置プレイはNGです。せっかく熱々の肉が冷めますからね。さっさと食べて下さい」
焼肉奉行らしく淡々と指示してくる葵に、二人の「小さいこと」に対する熱は一気に冷めた。
「え、あ、うん……」
「い、いただきます……」
おずおずと手を合わせる新と結衣に、満足そうに微笑む葵なのだった。
0
お気に入りに追加
357
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる