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休息話『三人の、聖なる夜に』
「クリスマスプレゼント最終話」★
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「結衣、出すよっ」
我慢出来なくなったようで、新は動きを早めてくる。
当然のように、中に出す気のようだ。
「んぁっ、あぅぅっ……!」
私の返事を待つことなく、奥に精が放たれる。
はあう、熱いの注がれるのきもちい……あたま、まっしろになる……。
「結衣、すき」
「……わたしも、好きです」
お互い愛を確かめあって。
繋がったまま、暫くキスしつづけた。
※
「もう遅いし寝ようか」
「……あの、ちょっと待ってくれますか?」
一緒にシャワーを浴びて、寝ようとする新に言う。
気がかりなことが一つあった。
隣の部屋へ行く。私の後ろを新がついてきていた。
特に何かしていた形跡はなく、ソファで座ったまま目を閉じている葵さん。
こちらに気付くと、にこりと微笑う。
そしてまたしても、とんでもないことを言ってくる。
「あ、もう終わりました? 今日は特別早かったですね」
「……葵、ちょっと外いこうか」
笑顔には笑顔で。新は葵さんに、若干引きつった笑みを返す。
ああどうして、こうなるの……?
私は二人の間に立つ。
「喧嘩はなしです!――葵さん、一緒に寝ましょう」
その言葉が予想外だったのか、きょとんとする葵さん。
私は続けた。
「せっかく三人でいるのに、葵さん一人にしちゃ、意味ないじゃないですか。クリスマスに一人とか、寂しいです」
「結衣様……」
少し困った表情を見せる葵さんは、静かに首を横に振った。
「とても素敵な提案ですが、それはだめです。初めてのクリスマスに、無関係な私が一緒にいるのは」
「いやです、一緒に寝ます」
「……本当にいいのですか。私はただの」
「私が一緒に寝たいんですっ!」
「――ああ、そういうことでしたか」
何か納得したように、ポンと手を打つ葵さん。
「新様じゃ足りなかったということですね? それならお任せ下さい、何時間でもお付き合いします」
「えっ?……まっ、待って!! そういう意味ではないです!!」
とんでもない誤解に、私は慌てて否定した。
これ以上は体がもたないです!
勿論それは冗談だったようで、葵さんは不安げに新を見る。
「新様……」
「結衣がいいって言ってるんだから、いいよ。君の主人は結衣でしょ」
葵さんにそう言う新。
その言葉に、葵さんは口元に手を当てて、苦い顔をしながら独り言のように呟く。
「……三人で寝るってことは、間接的に新様と寝るってことになりますね……」
「…………嫌なら一人で寝てくれても、僕は一向に構わないよ??」
またしても険悪なムードになりかけたので、私は「まあまあ」と話に割り込んだ。
「実は私もプレゼントがあるんですけど」
おずおずと、私は鞄から三つの小さな紙袋をとりだす。
中身は犬と鳥と兎のストラップ。
羊の毛で作ったもので、私の自信作である。
私はそのうちの犬を新に、鳥を葵さんに渡した。
「新が戌年、葵さんが酉年なので、犬と鳥を作りました! 兎は私です」
「犬、鳥、兎……」
「作ったんですか? 結衣様が??」
紙袋を開けて、出てきたモフモフの物体を見て、心の底から驚いている様子の二人。
え、なんでそんなに驚くの? 私が手作りしたらおかしいの??
地味に傷付く……。
「ありがとう、大切にするよ」
「有難うございます」
お礼を言われ、とりあえずほっとする。
それにしても。私は二人を交互に見た。
プレゼントを十二支にしようと思ったとき、改めて自分と二人との年齢差を自覚して驚いた。
二人からしたら、私は子供のようなものなのだろうな。
いや、見た目じゃなくてね。……見た目もだけど。
そんなことを考えている横で、二人は向かい合ってストラップを眺めていた。
「たしかに結衣は兎っぽいな、寂しがりだし、えっちだし」
「新様は柴犬ですか。ちっちゃいし弱そうですね。新様はあまり吠えないですけど、真面目すぎて、他人に懐かないところがそっくりです」
「……葵なんて、真っ黒の鶏だろう。その鶏、『この世で最も黒い生物』って言われてるやつでしょ。臓器も骨も、なんなら子供のときから――ヒヨコ時代から黒いらしいじゃないか」
「……」
「……」
お互いの口撃に、黙する二人。
……ああ。十二支、ミスったかな。
「喧嘩はなしって言ったじゃないですか……。もう寝ちゃいましょう、明日も仕事ですよ」
私は二人の手を取って、引っ張った。
これには文句を言わず、ついてくる二人。
隣の部屋に戻り、三人でベッドに入る。どでかいベッドだったので、三人でも十分な広さだった。
背が高くてスタイルのいい男女――に挟まれる、ちっこい私。
……うう、この図、どう見ても親子なんですけど。
「今、親子みたいって思いませんでした?」
心を読んでくる葵さん。
「勘違いしないで下さいね。私の主人は結衣様です」
「僕だって、結衣の主人なのだから、結衣しか見ていないよ」
左右から板挟みに合う。ああ、とても眠れない。
「新、葵さん。いい子にして寝ないと、サンタさん来ませんよ」
私は二人に呟く。
くすくすと微笑う葵さん。新も同じく笑みを浮かべている。
「なに言ってるんですか、結衣様」
「サンタさんなら、ここにいるでしょ」
――え?
私が言葉にする前に、片側の腕に新、反対の腕に葵さんが抱きついてくる。
「淫乱サンタさん捕まえた」
「離しませんよ」
もうサンタコスプレはしていないが、彼らにとって、私はサンタに見えるようで。
たしかにサンタ姿になったし、プレゼント扱いされたし、私からもプレゼントしたけど。
「あぁ~~~~っ! ね、寝れないじゃないですか……っ!」
叫ぶが、返事がない。
……あれ?
左右を見ると、新も葵さんも、私にくっついたまま、眠りに落ちてしまっていた。
なにこれ、新手の拷問?
ドキドキして、体が熱くなるのを感じる。
――でも。
こういうのも悪くない。
何か、心が気持ちいいもので満たされていく。
どうか、こんな日々が続きますように。
「メリークリスマスです、新、葵さん」
ーーー「クリスマスプレゼント」完ーーー
我慢出来なくなったようで、新は動きを早めてくる。
当然のように、中に出す気のようだ。
「んぁっ、あぅぅっ……!」
私の返事を待つことなく、奥に精が放たれる。
はあう、熱いの注がれるのきもちい……あたま、まっしろになる……。
「結衣、すき」
「……わたしも、好きです」
お互い愛を確かめあって。
繋がったまま、暫くキスしつづけた。
※
「もう遅いし寝ようか」
「……あの、ちょっと待ってくれますか?」
一緒にシャワーを浴びて、寝ようとする新に言う。
気がかりなことが一つあった。
隣の部屋へ行く。私の後ろを新がついてきていた。
特に何かしていた形跡はなく、ソファで座ったまま目を閉じている葵さん。
こちらに気付くと、にこりと微笑う。
そしてまたしても、とんでもないことを言ってくる。
「あ、もう終わりました? 今日は特別早かったですね」
「……葵、ちょっと外いこうか」
笑顔には笑顔で。新は葵さんに、若干引きつった笑みを返す。
ああどうして、こうなるの……?
私は二人の間に立つ。
「喧嘩はなしです!――葵さん、一緒に寝ましょう」
その言葉が予想外だったのか、きょとんとする葵さん。
私は続けた。
「せっかく三人でいるのに、葵さん一人にしちゃ、意味ないじゃないですか。クリスマスに一人とか、寂しいです」
「結衣様……」
少し困った表情を見せる葵さんは、静かに首を横に振った。
「とても素敵な提案ですが、それはだめです。初めてのクリスマスに、無関係な私が一緒にいるのは」
「いやです、一緒に寝ます」
「……本当にいいのですか。私はただの」
「私が一緒に寝たいんですっ!」
「――ああ、そういうことでしたか」
何か納得したように、ポンと手を打つ葵さん。
「新様じゃ足りなかったということですね? それならお任せ下さい、何時間でもお付き合いします」
「えっ?……まっ、待って!! そういう意味ではないです!!」
とんでもない誤解に、私は慌てて否定した。
これ以上は体がもたないです!
勿論それは冗談だったようで、葵さんは不安げに新を見る。
「新様……」
「結衣がいいって言ってるんだから、いいよ。君の主人は結衣でしょ」
葵さんにそう言う新。
その言葉に、葵さんは口元に手を当てて、苦い顔をしながら独り言のように呟く。
「……三人で寝るってことは、間接的に新様と寝るってことになりますね……」
「…………嫌なら一人で寝てくれても、僕は一向に構わないよ??」
またしても険悪なムードになりかけたので、私は「まあまあ」と話に割り込んだ。
「実は私もプレゼントがあるんですけど」
おずおずと、私は鞄から三つの小さな紙袋をとりだす。
中身は犬と鳥と兎のストラップ。
羊の毛で作ったもので、私の自信作である。
私はそのうちの犬を新に、鳥を葵さんに渡した。
「新が戌年、葵さんが酉年なので、犬と鳥を作りました! 兎は私です」
「犬、鳥、兎……」
「作ったんですか? 結衣様が??」
紙袋を開けて、出てきたモフモフの物体を見て、心の底から驚いている様子の二人。
え、なんでそんなに驚くの? 私が手作りしたらおかしいの??
地味に傷付く……。
「ありがとう、大切にするよ」
「有難うございます」
お礼を言われ、とりあえずほっとする。
それにしても。私は二人を交互に見た。
プレゼントを十二支にしようと思ったとき、改めて自分と二人との年齢差を自覚して驚いた。
二人からしたら、私は子供のようなものなのだろうな。
いや、見た目じゃなくてね。……見た目もだけど。
そんなことを考えている横で、二人は向かい合ってストラップを眺めていた。
「たしかに結衣は兎っぽいな、寂しがりだし、えっちだし」
「新様は柴犬ですか。ちっちゃいし弱そうですね。新様はあまり吠えないですけど、真面目すぎて、他人に懐かないところがそっくりです」
「……葵なんて、真っ黒の鶏だろう。その鶏、『この世で最も黒い生物』って言われてるやつでしょ。臓器も骨も、なんなら子供のときから――ヒヨコ時代から黒いらしいじゃないか」
「……」
「……」
お互いの口撃に、黙する二人。
……ああ。十二支、ミスったかな。
「喧嘩はなしって言ったじゃないですか……。もう寝ちゃいましょう、明日も仕事ですよ」
私は二人の手を取って、引っ張った。
これには文句を言わず、ついてくる二人。
隣の部屋に戻り、三人でベッドに入る。どでかいベッドだったので、三人でも十分な広さだった。
背が高くてスタイルのいい男女――に挟まれる、ちっこい私。
……うう、この図、どう見ても親子なんですけど。
「今、親子みたいって思いませんでした?」
心を読んでくる葵さん。
「勘違いしないで下さいね。私の主人は結衣様です」
「僕だって、結衣の主人なのだから、結衣しか見ていないよ」
左右から板挟みに合う。ああ、とても眠れない。
「新、葵さん。いい子にして寝ないと、サンタさん来ませんよ」
私は二人に呟く。
くすくすと微笑う葵さん。新も同じく笑みを浮かべている。
「なに言ってるんですか、結衣様」
「サンタさんなら、ここにいるでしょ」
――え?
私が言葉にする前に、片側の腕に新、反対の腕に葵さんが抱きついてくる。
「淫乱サンタさん捕まえた」
「離しませんよ」
もうサンタコスプレはしていないが、彼らにとって、私はサンタに見えるようで。
たしかにサンタ姿になったし、プレゼント扱いされたし、私からもプレゼントしたけど。
「あぁ~~~~っ! ね、寝れないじゃないですか……っ!」
叫ぶが、返事がない。
……あれ?
左右を見ると、新も葵さんも、私にくっついたまま、眠りに落ちてしまっていた。
なにこれ、新手の拷問?
ドキドキして、体が熱くなるのを感じる。
――でも。
こういうのも悪くない。
何か、心が気持ちいいもので満たされていく。
どうか、こんな日々が続きますように。
「メリークリスマスです、新、葵さん」
ーーー「クリスマスプレゼント」完ーーー
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