うちの店長レイプ犯!?

貝鳴みづす

文字の大きさ
上 下
48 / 78
休息話『三人の、聖なる夜に』

「クリスマスプレゼント②」

しおりを挟む
「何ヶ月も私の為に、会社作ったり、色んな手続きしたり、私の相手をしたり……結構、無茶したんでしょう?」
「……ええ、まあ、多少の無茶はしていますが」

 笑顔を見せる私に、葵さんは控えめに頷いた。
 私は、新にも、葵さんにも、田中さんや、恐らくそれ以外の人にも沢山迷惑をかけた。

「それなら、今こんなに仕事に追われるのは仕方ないです。ちょっと会えないからって文句は言えない……むしろ私のせいで大変な思いをさせて、申し訳ないくらい」

 新がいないのは寂しいが、少なくても本当の意味で一人ではないし、コンビニのおにぎりで済ませるクリスマスでもない。
 ――私の貧相な食生活には、新に何度も文句を言われているからね……。まだ忙しくて自炊はできてないけど、新のおかげで、ちゃんとしたご飯は食べられている。温かいご飯幸せ……。
 相変わらず上の空の私に、葵さんは少し考えるように黙ってから、にこりと微笑った。

「結衣様、私とデートしましょう!」

 楽しそうに提案する葵さん。先程と一転して上機嫌だった。
 
「本当はこれからホテルに連れて行こうと思っていたのですが、その前にデートしましょう」
「……ホテルは元々予定だったんですね」

 突っ込みを入れる私に、葵さんは「当然じゃないですか」と言いながら、進んでいた道をUターンした。ああ、行き先変えた……。

「女子っぽいデートをしましょう」
「女子っぽい?」
「はい。おしゃれして、ショッピングです」
「お……おしゃれ……いや、その前にお金が……勘弁して下さい」

 縁のない二つの単語に、私は項垂れた。
 ショッピング、というのは悪くないけど、如何せんお財布が寂しいよ……。だからといって奢って貰ってばかりはいやだ、ちゃんと自分のお金で生きたい。
 気乗りしない私に、しかし葵さんは引かなかった。

「私、お金を使う時間がないんですよね。家とか車とか、大きな買い物する必要もないですし……。たまには散財してストレス解消がしたいのです」

 独り言のように呟く葵さん。
 ――たしかに彼女は働きすぎだ。今この瞬間私といることも、仕事であることには変わらない。楽しそうに私の相手をしてくれているが、本気で気を抜いているな、と思ったことはなかった。

 それに言われてみれば……いつお金を使うの? 今まで新といたなら、行く先々で掛かる費用は、当然新が払ったよね。必要経費だもんね。それでも人並み以上に給料を貰っているというのなら……うん、すごいお金持ってそう。
 思わず息を呑み、頭の中でそろばんを弾いている私を面白そうに横目で見ながら、葵さんは言った。

「――そういうわけなので、私からのクリスマスプレゼントだと思って、付き合って頂けませんか? あ、気にしないでなんでも買って下さいね!  気になるなら、お礼は今夜ホテルで頂きま――」
「全然気にならないです! いっぱい買って欲しいなあ~!!」

 葵さんが言い終わる前に、私は慌てて叫ぶ。ほとんど条件反射だった。
 しまった、と焦って運転席を見れば、そこには満足そうな表情をして、ハンドルを持つ指をリズムよく動かしている葵さんがいた。
 ――やられた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

処理中です...