うちの店長レイプ犯!?

貝鳴みづす

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第三章『新と結衣』

第十六話「読めない紅茶?」

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 無理矢理連れてこられた家の中。悔しいがものすごく暖かくて、すぐに外に出る気にはなれなかった。
「なにか飲む?」
「いらないです」
 即答する結衣に、新は不満そうに肩をすくめる。
「……じゃあ、私が入れます」
 ここで不機嫌になられても困る。かといってこの男に飲み物を作らせるのは、もっと困る。仕方なく結衣はキッチンに立った。

 棚を見て、結衣はしばし固まる。
 ――高そうなものばかり。そもそも、読める言語で書かれているものがほとんどなかった。
(これは、たぶん紅茶だよね……たぶん)
 入れてみればわかるか。結衣は謎の缶を適当に選んで、ティーポットやカップを用意する。

 カウンター越しに座って、そんな結衣を見守っている新。
 うって変わって上機嫌でニコニコしながら、頬杖をついている。
「なんですか。なんかいいことありました?」
「いやぁ。こうしていると、新婚カップルみたいだなぁと思って」
「なっ……」
 嬉しそうな新に、結衣は顔を真っ赤に染める。

 二人きりの家に、キッチンで裸エプロン――ではなく、エロいウェディングドレスのコスプレ。
 たしかに新婚カップルと、想像できなくもない。

「となり、座りますね」
 適当に入れた紅茶(と思われるもの)を置いて、結衣は新の隣に座った。
 結衣は一口、恐る恐る、それ・・を口に含む。
 そしてほっと、息をついた。
「よかった、紅茶だった」
「え?」
「いえ、なんでもないです。こっちの話です。それで、本題ですが」

 隣に座る新を見上げる。
「どうしてうちの店は、暇なんですか?」
「それは、商品が売れてないから」

「うちの店――うちの会社は、いつ・・設立しました?」
「……変なこと聞くね。どうしてそんなことを」
 それまでほんわかしていた空気が、少し重くなる。

「なんで売ろうとしないんです? できますよね、もっと売上あげること。あと、都合のいいときだけ田中さんはいなくなりますけど、なんでですか?」
「偶然でしょ」
「――店長は。他に、ちゃんとした会社をもっていますよね。そうでなくちゃ、こんな別荘とか、車とか、まして市松さんみたいなお付きはいないはずです」

 無言になる新。
 結衣は一呼吸置いて、問いただすように言った。
「うちの店は、なんのために作ったんですか? 必要な、ん……っ」
 結衣の言葉は、新の接吻で塞がれる。
 しばらくしてからその唇はゆっくり離れ、新は言った。

「市松にどこまで聞いたか知らないけど。まぁ、だいたい結衣くんの想像している通りだよ」
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