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第三章『新と結衣』
第一話「人生計画」
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――お前なんか。
ああ、これは夢だ。
わかっている。
――ウザいのよ。
何度も見たから。
――わかってるだろ?
わかっているけれど。
「……っはぁっ」
ばっと飛び起きた。
夢だとわかっていたはずなのに、起きた時、ああ夢か、と思うのはなぜだろう。
汗に濡れた髪をかきあげて、結衣はため息をつく。
「シャワー浴びて、お仕事いかなきゃ」
言葉を吐いて、その言葉を理解して、もう一度ため息をつく。
仕事は嫌いだ。
いや、仕事は嫌いじゃない。
それを取り巻く人間関係が嫌いなのだ。
「よりにもよって社内恋愛。しかも店長!」
一番めんどくさいやつじゃないか。
一時の感情に任せて、店長(という名のレイプ犯)と付き合うとは、なんてことをしてしまったんだ、自分は。
いや、逆だ。
なんてことをしてくれたんだ、あの男は。
一人で生きて、一人で死のうと、ずっと「独り」でいようと思っていたのに、人生計画が台無しだ。
(もう、嫌なのに)
あんな思いは。
結衣は数秒目を閉じて、それから何かに操られているかのように、よろよろと立ち上がる。
交際相手はちょっと性癖が困ったさん。
それだけなら自分も人のこと言えないからいいけれど、どうやら彼は相当お金持ちのようだ。
遊ばれているだけだったら?
それだけなら捨てられてはい終わりでいいのだけれど、なにぶん、その彼は働き先の店長である。
つまり、失恋はイコール職を失うということ。
前の職場を辞めたばかりで、引っ越しやらなんやらで結衣の大事なお金たちは翼を広げて飛んでいったところだ。
――いろんな意味でとてもやばい。
とりあえず言えることは、今の関係を維持しなくてはならないということ。
そして、保険をかけること。
「貯金……しよう」
静かな決意と共に、今日も一日がはじまった。
ああ、これは夢だ。
わかっている。
――ウザいのよ。
何度も見たから。
――わかってるだろ?
わかっているけれど。
「……っはぁっ」
ばっと飛び起きた。
夢だとわかっていたはずなのに、起きた時、ああ夢か、と思うのはなぜだろう。
汗に濡れた髪をかきあげて、結衣はため息をつく。
「シャワー浴びて、お仕事いかなきゃ」
言葉を吐いて、その言葉を理解して、もう一度ため息をつく。
仕事は嫌いだ。
いや、仕事は嫌いじゃない。
それを取り巻く人間関係が嫌いなのだ。
「よりにもよって社内恋愛。しかも店長!」
一番めんどくさいやつじゃないか。
一時の感情に任せて、店長(という名のレイプ犯)と付き合うとは、なんてことをしてしまったんだ、自分は。
いや、逆だ。
なんてことをしてくれたんだ、あの男は。
一人で生きて、一人で死のうと、ずっと「独り」でいようと思っていたのに、人生計画が台無しだ。
(もう、嫌なのに)
あんな思いは。
結衣は数秒目を閉じて、それから何かに操られているかのように、よろよろと立ち上がる。
交際相手はちょっと性癖が困ったさん。
それだけなら自分も人のこと言えないからいいけれど、どうやら彼は相当お金持ちのようだ。
遊ばれているだけだったら?
それだけなら捨てられてはい終わりでいいのだけれど、なにぶん、その彼は働き先の店長である。
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――いろんな意味でとてもやばい。
とりあえず言えることは、今の関係を維持しなくてはならないということ。
そして、保険をかけること。
「貯金……しよう」
静かな決意と共に、今日も一日がはじまった。
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