28 / 48
第三章
修学旅行二日目 3
しおりを挟む
「……だ、大丈夫か?」
「大丈夫……」
昼食。
さっきまでずっと泣いていたので目の周りが真っ赤になって、翔に恐る恐る声を掛けられる始末。力なく答えながら、次の一口を運ぶ。
「藤山君、目真っ赤だよ。
うさぎみたい……」
「ッ大丈夫……」
萩田さんからうさぎみたいと言われ、一瞬言葉に詰まるけど同じように答える。
俺に構わないでほしい。だって、何か言われるたびにまた泣きそうになるから。……俺、とんだ乙女野郎だな。
「チッ……おい早乙女。
ライライがおかしいぞー」
「っ大丈夫だって……!」
やれやれというように翔が隼人を呼ぶ。それにすがるようにして止めるけど、がしっと頭をつかまれて遠ざけられた。
「んー? 萊?」
「そうだ。見ろこれ。」
「藤山君、ずっとこの調子なんだよ。」
もうすでに食べ終わってクラスメイトと話していた隼人がすたすたと向かってくる。
ずいっと目の前に差し出され、ばっと下を向く。
「どうしたの、萊。」
いつもと変わらず心配そうにのぞき込んでくる隼人。顔を見られまいと、下を向いたままさらに背ける。
今の状態で涙腺崩壊寸前なのに……!
「ほっといてよ……」
「……そっか。」
顔は見えないけど、その声がとても悲しそうで顔を上げそうになるけどぐっと我慢して、遠ざかるのを待つ。
「お、おい……早乙女……?」
「え……?」
「ほっといて、ていわれたから……さ?」
無心、無心……
翔の手の力が緩んだので、すぐさま自分の席に戻る。また一口ずつゆっくりと箸をすすめた。
ーーーーー
~翔 視点~
「ほっといてよ……」
「……そっか。」
ライライが小さくつぶやいた後、早乙女が悲しそうに答えた。
拒絶されて悲しんでいるのか、と思いきや……
「お、おい……早乙女……?」
「え……?」
「ほっといて、ていわれたから……さ?」
早乙女は、ニコニコと満面の笑みをしていた。
思わず引き攣った声が出て、手を緩めてしまう。その瞬間ライライはさっと自分の席へと戻り、早乙女に腕を引かれた。
「ふふっ、木村君は今のままでいてね。
――必要以上に干渉したら、分かってるよね?」
「っうわ……!」
前半はニコニコ、後半は一気に真顔になって脅された。ぞわっと背筋が凍りつく。
というか、これって……全部意図的に……?
「……ライライ、頑張れ……」
ああ、かわいそうに……
「大丈夫……」
昼食。
さっきまでずっと泣いていたので目の周りが真っ赤になって、翔に恐る恐る声を掛けられる始末。力なく答えながら、次の一口を運ぶ。
「藤山君、目真っ赤だよ。
うさぎみたい……」
「ッ大丈夫……」
萩田さんからうさぎみたいと言われ、一瞬言葉に詰まるけど同じように答える。
俺に構わないでほしい。だって、何か言われるたびにまた泣きそうになるから。……俺、とんだ乙女野郎だな。
「チッ……おい早乙女。
ライライがおかしいぞー」
「っ大丈夫だって……!」
やれやれというように翔が隼人を呼ぶ。それにすがるようにして止めるけど、がしっと頭をつかまれて遠ざけられた。
「んー? 萊?」
「そうだ。見ろこれ。」
「藤山君、ずっとこの調子なんだよ。」
もうすでに食べ終わってクラスメイトと話していた隼人がすたすたと向かってくる。
ずいっと目の前に差し出され、ばっと下を向く。
「どうしたの、萊。」
いつもと変わらず心配そうにのぞき込んでくる隼人。顔を見られまいと、下を向いたままさらに背ける。
今の状態で涙腺崩壊寸前なのに……!
「ほっといてよ……」
「……そっか。」
顔は見えないけど、その声がとても悲しそうで顔を上げそうになるけどぐっと我慢して、遠ざかるのを待つ。
「お、おい……早乙女……?」
「え……?」
「ほっといて、ていわれたから……さ?」
無心、無心……
翔の手の力が緩んだので、すぐさま自分の席に戻る。また一口ずつゆっくりと箸をすすめた。
ーーーーー
~翔 視点~
「ほっといてよ……」
「……そっか。」
ライライが小さくつぶやいた後、早乙女が悲しそうに答えた。
拒絶されて悲しんでいるのか、と思いきや……
「お、おい……早乙女……?」
「え……?」
「ほっといて、ていわれたから……さ?」
早乙女は、ニコニコと満面の笑みをしていた。
思わず引き攣った声が出て、手を緩めてしまう。その瞬間ライライはさっと自分の席へと戻り、早乙女に腕を引かれた。
「ふふっ、木村君は今のままでいてね。
――必要以上に干渉したら、分かってるよね?」
「っうわ……!」
前半はニコニコ、後半は一気に真顔になって脅された。ぞわっと背筋が凍りつく。
というか、これって……全部意図的に……?
「……ライライ、頑張れ……」
ああ、かわいそうに……
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる