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第三章

少年の困惑

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「ライライ、ライライ!」
「っわ、なんだよ翔。」

 三好と話していると、急に翔から呼びかけられてそっちをむく。何の用だと目で訴えれば、すごく困った様な顔をして小さく隼人の方を指さした。
 それに倣って隼人を見ればとてつもなく不機嫌そうで、え? と間抜けな声が出た。

「いや……なんであんなに不機嫌なんだよ。」
「そ、れは……うん、察して……」
「わかんねーし。」

 察してって、察するためのヒントもないじゃねーかよ。力なくうなだれている翔と不機嫌な隼人を見比べても全くわからない。
 何が原因なんだ?

「どうしたのー、萊ちゃん」
「あ、三好。」
「ちょ、お前ははいってくんじゃねえ!」
「なんでー? なんか理由でもあるのー?」
「……三好、重い。」

 三好が話に入ってくると翔は慌てて拒否するも、三好はそんなのお構いなしに身を乗り出しながら問い詰める。
 身を乗り出すため俺の太ももに手をついているため、体重がかかって重い。ジト目で言ってもへらっと笑うだけで聞かず、そのまま。

「おいおいおいおい! 悪化するからそこに手をつくな!」
「何が悪化するのー?」
「翔うるさい。」
「あ゛ー!」

 何こいつ、意味わかんねー。三好は三好で少し動いて手の付く位置がさらに上の方になったから居心地悪いし。

「三好、手。こっちに寄せんな。」
「えーなんで? こっちの方がバランスいいんだけどー。」
「俺が居心地悪い。」
「むー……じゃあ体重余りかけないようにするからさ。」
「おい。」

 体重駆けないようにするといえど、そこに手をつくのは変わんねーだろ。そこに手をつくなって言ってんのに。
 そんなやり取りをしている間も、翔からの困ったような視線は絶えない。

「で、翔は何が言いたいんだよ。」
「だから、早乙女の機嫌が悪くなるからそいつと話すなってこと!」
「なんで俺っちと話すと機嫌悪くなるのー? もしかして嫉妬ー?」
「……し、っと?」

 それを聞いて顔が一気に熱くなる。
 え、嫉妬? 嫉妬してくれてるのか……?

「まあ、嫉妬……か。
って、痛!」
「木村君、余計なこと言わないでくれる?」

 隼人が横からずいっと出てきて少しほほ笑む。
 その顔が少し赤く染まっていて、今のは照れ隠しか……と少し考えた。
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