上 下
17 / 48
第三章

少年の修学旅行

しおりを挟む

 あれから数週間。
 ついに……!

「よし、全員そろったか―?」
『はーい!』
「忘れものもないなー?」
『はーい!』

 修学旅行だ!
 早速ハイテンションで始まった今日。もちろん俺のテンションもマックスだ。

「よーし、じゃあしばらく待機なー」
『はーい!』

 班は予定通り、俺、隼人、萩田さん、翔の四人。飛行機の席も近くになるし、寝室だって近くなる。ああ、当然男女は別だ。
 待機を言い渡されてすぐに、目の前の隼人に話しかける。

「なあなあ、楽しみだな!」
「そうだね。」
「枕投げとかしてーな!」
「えー、早く寝たいよ俺は。」
「なんだよー、醍醐味だろー」

 隼人はニコニコと笑いながら答えてくれる。
 ちょいちょいとつつけば、くすっと笑ってから耳元で囁かれた。

「先生にバレないようにね?」
「っ……当たり前だろ!」

 言ってることは何でもないのに、耳元にかかる息がくすぐったくて思わず肩をすくめた。

「おい、そこのカップル。イチャイチャ禁止な。」
「え! 早乙女君と藤山君て……!?」
「ちげーよ!」

「……木村君、喋る内容は気を付けた方がいいよ?」
「っお、おう……」

 翔に言われてワタワタと否定すれば、隼人はなぜかニッコリ笑顔で翔にくぎを刺していた。
 そういえば、翔を誘いに行った時の隼人が翔に話したことは教えてもらえなかった。いくら聞いても引き攣ったような笑みではぐらかされ、挙句には一言『よかったな』と力なく言われた。意味不明だったけど、聞くたびに翔が疲れていくようであきらめた。
 それ以来、隼人が翔に話しかけるときは大体この笑顔。少し意味ありげではあるけど、俺には意味が全くわからなかった。

「はーい、静かにしろー。
今から飛行機の航空券配るからなー」

 隣は誰だろう。隼人がいいなあ。

「あ、俺早乙女の隣だぜ。」
「私もだよ。」
「……俺、翔の隣か。」
「なんで残念そうなんだよ!?」

 左から萩田さん、隼人、翔、俺か……
 やっぱり、隼人の隣がよかった。翔に何と言われても、これはどうしようもないし。
 てか、俺の右隣は誰だ?

「よし、じゃあ荷物チェック受けて乗るぞー」
『はーい!』

 まあ、大丈夫か。別に仲良くしたいわけでもねーしな。
 ……よほど変な奴じゃねーといいけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダブルスの相棒がまるで漫画の褐色キャラ

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
ソフトテニス部でダブルスを組む薬師寺くんは、漫画やアニメに出てきそうな褐色イケメン。 顧問は「パートナーは夫婦。まず仲良くなれ」と言うけど、夫婦みたいな事をすればいいの?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

処理中です...