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顧問2年目06月
顧問2年目06月 15
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「な、何を言って」
「はははっ、ここに来る途中でさ、どうすれば立成先生が気分を元に戻してくれるかなって考えたんだけどさ。その結論がな、やっぱ立成先生を喜ばせることが一番かなって。それでさ」
「いや、よくわかりませんが大丈夫です大丈夫大丈夫」
「遠慮しなくていいぞ?さっきも遠慮しやがって」
「さ、さっき?」
「せっかく俺がヌキ屋をおごってやろうとしたのに断りやがったもんなぁ。」
「そんな、それは」
「いいからほらっ」
「あぁぁっ!」
立成は隣に座っている清野の腕により押し倒されていた。抗おうとするものの、清野の力が強く、動画を見た影響で過去の筒井から受けたことによる己の痴態を思い出してしまっていた立成は成す術もなくパーティールームの床にうずくまる。中央にテーブルが鎮座しており、4畳ほどの広さしかない部屋だ。全身をのたうち回らせて清野の魔の手から逃れたいところではあるが、それをやるにはあまりにも狭すぎる。立成にできることは、恥ずかしさのあまりに自分の勃起を見られないようその立派な身体をいじめられっ子のように丸めて転がるしかなかった。それはまるでディスプレイに映し出される情けない教師役の姿そのままだった。
「よしっいい感じだな。はずかしいなぁ、立成先生!」
「くっ」
立成は身体を丸めて転がりながらも、清野に対して怒鳴りそうになっていた。
さっきまでは自分にスナックでふざけ過ぎたことを謝罪していた男が、今度は自分をアダルトビデオの男優のように扱おうとしている。その行動の一貫性の無さに理解が及ばず、ある種の恐怖すら感じる。
おかしい。絶対おかしい。何より、そんなことを自分は望んでいないというのに。
しかしそんな立成を前に、清野はさらに思いがけないことを言い始めた。
「素直になりなよ、なぁ?俺の前でだけでも、自分を出していいんだぞ?」
「なっ」
思わず立成は、床にうずくまったまま首を持ち上げた。あらためて清野の顔を見る。
立成の瞳に映った清野の顔は、確かにからかうようなにニヤついた顔つきなのだ。だが、目の前にいる自分を貶めているようでいて、どこか慈しみのある目をしていていた。そして声色は明らかに優しく、庇護するようなものだった。
(なんだ・・・清野先生は、何がしたいんだ・・・?)
もう何もわからなくなった。
清野の行為自体は、明らかに立成を貶めようとしているものとしか感じられない。それは誰の目にもそう映るだろう。それなのに、この男の、この話し方は、この目は、
立成は動揺したことで身体が固まってしまい、思うように反抗できなくなってしまった。
「じゃあ、そういうわけで、このポロシャツも脱ぎましょうねぇ~」
「あっ、ちょっ」
「こら、どうどうどう!ほらっ!」
「だめ、ああっ!」
「暴れんなって!おらっ!・・・よしっ、ちゃんと脱げましたねぇ~~」
直前までの地合いのある声とはうってかわって、いつものおふざけモードの清野の声色だった。
本当に何なんだ?二重人格なのか?教師はストレスの多い仕事だから・・・?
そう思っている間に、パーティールームの床に転がっていた立成が身に着けているポロシャツを脱がそうと、裾を捲り上げられてしまう。格好までも、動画と同じようにしようというのだろう。
当然立成は抵抗しようと両手を振るが、そうすると清野がまたも立成の股間を押さえつけて刺激してくる。
男としての生理現象として、またも立成が股間を抑えようとしてしまうと、立成の上半身を守っているポロシャツが清野の歳の割には太い腕によって引き抜かれてしまい、あっさりと立成は自分だけが半裸という状態になってしまっていた。
「き、清野先生、ちょっとやりすぎ」
「そうか?そうかなぁ」
「もう勘弁して」
「わかったわかった、でもさぁ、立成先生」
「・・・はい?」
「またちょっと太ったんじゃない?ほら」
「やっ!!」
短く太い清野の指により、あきらかに余分な脂肪であることがわかる立成の腹部についた贅肉がつままれていた。
敏感・・・とまではいかないが、決して強くはない部位を唐突に触れられたのだ。その唐突な刺激により、立成は思わず艶のある声が漏れてしまう。
何より、立成の脳にビリっと電流のような何かが走っていた。
それは痛みによるものもあるが、それだけではないことは立成にもわかっていた。
これは、筒井に責められているときに感じているものと、同じものだということに。
相手が清野だというのに、年上のオヤジだというのに、自分がそんな風に感じてしまうことそのものに、恥じらいと嫌悪感を覚えてしまっていた。
「うわっ、なかなかあるなぁ。こんなに摘まめるぞ、ほれ」
「ひっ」
「どれどれ、それじゃ立成先生のお腹でもみてやろうかな。ちょっとこのAVとはやること違うけどさ」
「そんな」
「へっへっへっ、かつて野球とアーチェリーで鍛えた立成先生が、どれだけだらしない生活をしているかチェックしてやるよ」
何とも立成を辱めるような言葉を、清野は顔を立成のむき出しの腹に近づけてくる。
野球経験者ならそうなのだろう。過酷な練習とトレーニングにより身に着けた、当時の筋肉。食事も当然、量が多かった。
そこから引退後、運動量も少なくなり、しかし食事や飲酒については制御せず、仕事のストレスの吐き口としてしまい、より脂肪がつきやすい身体になっているのだった。かつては逆三角形と言えるほどに、広い肩幅としまった腹筋をしていたというのに、いまやその上半身は四角形となっている。いずれ、三角形の身体になってしまうことも
立成もそうだった。わかっているのだ。太っているのは。自分の節制ができていないのだ。
特に、30代になり余計に腹が出てしまっている。それは否定できない。自分の身体がもう、若さ溢れる青年から中年になろうとしているということは、受け入れられないものの事実なのだから。
清野はニヤニヤしながらも立成のだらしない身体の検査を進めながらも、ねちっこくその検査結果の報告を続けていた。
「ちょーっとだらしないんじゃないかい?ほぉら、こっちの脇腹もさぁ」
「はぁっ、そ、それは仕方が」
「せっかく逞しい身体なのに、もったいないねぇ。ほらほら、ここも脂肪がたっぷりだ」
「ぐっ、や、やめて」
「ズボンに腹肉が乗っちゃってるぞ。もうオッサンみたいな身体になってないかぁ?まだ若いんだからさぁ」
「い、言わないで」
「なんだぁ、この身体は。おい。こりゃあ下手したら貧乳の女よりはおっぱいがあるんじゃないか?お、ここの胸毛は長いなぁ。そりゃ!」
「あっっ」
立成の身体のあちこち・・・主に弛みを帯びた腹の部分をメインとして、上半身のみっともない脂肪が蓄えられた箇所をいちいち口にしながら清野の指が摘まんでくる。そのうえ、野生動物のように長く生えている、立成にとってのコンプレックスの1つである体毛まで引っ張られてしまう。
こんなにも立成の身体をからかう清野はどうなのかというと、清野は昔、水泳をしていたと立成に話していた。確かに、その面影はあるような気がする。服を着ていれば身体全体が硬そうだし、腕や脚だって太い。
それでも、今の清野はというと、その年齢を考えるれば、服を剥ぎ取られれば立成と同じくらいのだらしなさのある身体であるはずだ。そんなオヤジから、一方的に自分の肉体の見にくい部分を囃し立てられると、さすがの立成も屈辱を覚えていた。
しかし、今の立成は抵抗らしい抵抗をできないのだった。
軽く体を振るう程度のことはするものの、次から次へと舞い降りてくる清野のからかいの指を手で防ぐことはしなかった。できなかったのだ。
清野の指が身体に触れる度に。体毛をいじくられる度に。
スナックの店に置いてきたはずの興奮がまたも身体を支配しようとしている。
鎮火したはずの官能の火が再び燃え盛ろうとしている。
そして、その成果として、立成が必死に隠そうとしている、その雄の象徴が。
(ダメだ・・・こんな・・・清野先生に触られただけだっていうのに、俺、た、勃っちまうなんて・・・)
ムクリ。ムクリ。ゆっくりと。徐々にではあるが、立成の陰茎は力を持ち始めしまっていたのだった。
立成にはとてもではないが受け入れられない現実だった。
当然だ。
M男向けの動画が流れているとはいえ、40近い坊主頭ににやけ面を浮かべたごついオッサンに身体を弄られているだけなのだ。
それで勃起しているなど、どうしても認められない。認めたくない。自分でも受け入れられないのだ。これじゃあ本当にただの好きものみたいじゃないか。そんな自分を、清野に見せることなど、決して許されるものではなかったのだ。
広いとは言えない漫画喫茶のパーティーブースにて、上半身裸の厳つい顔をした男性教師が、40手前のオヤジ教師から上半身を執拗に責められている状態だった。空調が効いているというのに、立成の身体は熱くなっている。清野からの指先による恥辱の腹肉攻めと言葉によるなぶりにより、いつしか立成の短髪には汗が玉のように吹き出し、吐き出される息にも声が湿気が混じっていた。室内には男2人のムワっとした匂いが漂っている。
そのような30代前半の教師と30代後半の教師の2人が、傍から見れば乳繰り合っているかのような行為をしている横で、ディスプレイの中では着々と濡れ場に向けたストーリーが進行している。
『ほら、早く下も脱げよ』
『あうっ・・・』
『しゃあねぇなぁ・・・おらっ』
『あ、あぁぁぁっ!』
動画では女子生徒が、床に丸まっている教師役のスラックスを脱がしにかかっている。
教師役も抵抗しようとしているようだが、蹴られた後遺症か動けないでいるためだろうか、十代の女子相手だというのに簡単にホックを外され、腰周りからスラックスが抜き取られようとしていた。
「へへっ、ほれ画面見てみなよ。さっそくズボン脱がされちまってんな、コイツ。惨めだねぇ~。それじゃ、立成先生も同じようにっと」
「だ、駄目ですって、こんなところで、何で」
「大人しくしろって。いや、違うか。『ほら、早く脱げよ』」
「ひいっ」
「『しゃあねぇなぁ、おらっ』」
「ああああぁっ!」
まるでゲームであるかのように、ディスプレイに映る動画を現実にて再現しようとする清野。
もちろん立成は抵抗するが、体勢は明らかに清野が有利だった。身体の脂肪を摘ままれるのを防ごうとしていたのが仇となった。上半身への防御に徹していて、下半身ががら空きだった。
そんな立成のチノパンのホックがあっさりと外されてしまい、後はされるがままだった。チノパンを引っ張られると共にファスナーはじりじりと下がってしまう。
『けっ、ダッセエパンツ履いてんなぁ!この変態教師が!』
『ああ、見ないで、見ないでください』
嫌でも耳に入って来るディスプレイの動画の音声。今の立成には教師役がどんなパンツを履いているのかを確認する余裕などないが、どうやら彼はスラックスを脱がされてしまったようだった。
そして、自分が今にも彼と同じようにされようとしているのだ。
嫌だ。嫌だ。
立成は必死で腰を振って抵抗する。
チノパンが脱がされるのをイヤイヤと何とかして阻止しようとする。
しかし、床に転がっている立成と、その傍で腰を下ろしている清野では、体勢の優位性が違い過ぎた。
いくら立成の発達した臀部、大殿筋といえど、チャックが完全に下がってしまっては、それを脱がされるのはいとも簡単な行為なのだから。
「あ~あ、ズボン脱がされちゃったね立成先生。パンツが見えちゃったねぇ。ふふ、そうだったな、今日の立成先生はエロパンツを履いてたんだっけな」
「言わないでください」
「どれ、さっきは女の子にばっかり見せていたけど、俺にも見せてみな・・・ほんとにエロイな、このパンツ。形もそうだし、こんな水色なんか履きやがって。生意気だな」
「そんな、そんな」
「お、結構しっとりしてんぞ?汗かいちゃったか?な?な?」
「ああ、触らないで・・・」
立成はあっさりとチノパンを膝までずり下げられてしまった
先ほどのスナックで存分に見せてしまっていたというのに、改めて自分が身に着けている水色のビキニブリーフをしっかりと近距離で見られてしまっていた。おまけに、とても成熟した男が言われるような言葉ではない侮蔑的な言葉を浴びせられながらも、ぴったりと立成の巨尻に張り付くように身につけられたビキニブリーフをなぞるように清野の手で撫でられてしまい、立成は恥辱のあまり顔を紅くしてしまう。
もはやその恥ずかしい下着を隠すには自分の身体で覆うしかない。そうしようとしたのか、立成は無意識に自分の身体を丸めた。
「本当にデカい尻してんのな、立成先生は」
「やめてください」
「いやでも、本当にプリップリだな、このケツは。いいもん食ってんだなぁ、おい」
尻への嘲笑とともに、パシッパシッと数回、ビキニブリーフの上から軽く尻を叩かれた。
叩かれたといっても、力などほとんど入っていない。はたかれたようなものだった。
清野にとっては、単なる遊び。からかいの1つのの手段。
しかし、立成にとっては違っていた。
ビキニブリーフの薄い生地越しの自分の尻に唐突に与えられた打擲により、立成は思わず。
「はっ、はぁぁぁっ・・・」
目の前に清野がいるというのに、教師が出すとは思えないほどに浅ましい声を漏らしてしまった。
恥辱に耐えるように、噛みしめていた薄い唇がだらしなく開き、中の白い歯が見えるほどに開いてしまっている。
屈辱に耐えるように吊り上げられていた太い眉も、尻をはたかれたその瞬間に、八の字の情けない垂れ眉へと変わってしまっていた。
その後、一瞬にして沸騰するように顔が真っ赤に染まっていた。
(なっ、俺、なんて声を・・・・)
立成は自問自答する。なぜ?たった数回、下着越しに尻をはたかれただけだというのに・・・・・
立成はいつもと違う昂りを自分の中で感じていた。
これまで立成が尻を許していたのは、当然ながら筒井一人だ。
筒井は背は高いものの華奢な身体だ。冬に地方大会まで進出し、今日も全国大会への出場切符を手に入れたとはいえ、スポーツ選手としてはあまりにも細身であり、当然掌も薄く、指も細い。そんな手であり、その手により立成は開発されてきていたのだった。
それが今、自分の尻肉を弄り、はたいているのは清野の手だ。
筒井の手とは真逆で、指が太く短く、掌も肉厚でごつい。40歳手前の経験を感じさせる、まさに男の手だ。
そのいつもとは全く異なるがっしりとした手が、恥ずかしい自分の尻を触れられ、そして叩かれたということに、立成は自分が思っている以上に感じてしまっていたのだった。
一方、清野はというと、そんな立成の変化には気づいていた。
当然だ。腹の肉をいじくったり、尻を撫でたり、軽くはたいてやるだけで、とんでもない声を漏らしてくるのだから。
とても厳つい30過ぎの男の口から出たとは思えない声だ。
まるで少女が出したかのような高音で、それでいて官能により湿り気を帯びた、艶のある声だ。
これでは気づかない方がおかしいだろう。
さらにいうと、立成が必死に隠している前の部分。
清野はそんな立成を見て、自分の中で確信していた。やはり、立成先生は・・・・
しかし、それはまだ口には出さず、相変わらずにやけた顔のまま、目の前に転がる仲の良い部活の顧問仲間を見続けていた。
『おら、はやくこのパンツも脱ぐんだよ!』
『はぁ、はぁ』
『』
『ひぃぃぃぃっ、やめて・・・・』
『汚ねぇケツしてんなぁ!』
『はぁぁぁぁぁ・・・』
耳にかろうじて入ってくるディスプレイからの動画の音声。
どうやらあちらの方の教師は下着までも脱がされてしまっているようだ。
「お、とうとうパンツ脱がされた!おい、聞いてるか?」
「うっ・・・は、はい」
「この立成先生お気に入りのエッチパンツ姿も良いけど、そろそろこのパンツともお別れの時間みたいだな」
半ば想像はしていた。
本当に?ここで?そこまでやるのか?
立成は信じられない気持ちだった。
「だ、だめです」
「お、どうした急に」
「だめ、だめなんです、やめましょ、やめましょ、ね?」
どうしようもない。
たった数回の尻はたきであんな声を出してしまったのだ。
それが、パンツまで脱がされてしまったら、自分の恥をどこまで清野に見せなくてはならないというのか。
とても、おふざけの思い出では済まされないほどになってしまうのではないか
「へぇ、立成先生はもう嫌なんだ」
「あ、当たり前じゃないですか」
「おいっ」
「何ですかっ」
「先輩の言うことは聞くもんだぞ!?」
「!」
なんとかもう終わらせようと哀願する立成に顔を近づけ、清野はとんでもないことを言い出した。
言ってしまえばパワハラに近しい言葉だった。この時代に不釣り合いすぎる、何ともデリカシーの無い言葉だ。
まがりなりにも、中学高校大学と、体育会系に所属していた立成ではある。そんなことを言われたことは何度だってある。
そのときは当然、忠誠を誓うしかなかった。とはいえ、その先輩の言うこと自体が、そこまで理不尽なものは無かったのではあるが。
だが、それだけではない。立成は身体が硬直していた。
目の前の男に自分が支配されているように感じていた。
言葉通りの先輩後輩ということだけではない。
自分がまるで、清野に全てをゆだねなくてはならない。
そんな気持ちになってしまっていた。
「おっ。急に大人しくなったな。ははっ、先輩だとか言ったからか?立成先生はやっぱり可愛いなあ」
「そんな、卑怯ですよ」
「何とでも言えよ。・・・お、じゃ、こちらの先生の、こちらのエロパンツともさよならするか」
「はははっ、ここに来る途中でさ、どうすれば立成先生が気分を元に戻してくれるかなって考えたんだけどさ。その結論がな、やっぱ立成先生を喜ばせることが一番かなって。それでさ」
「いや、よくわかりませんが大丈夫です大丈夫大丈夫」
「遠慮しなくていいぞ?さっきも遠慮しやがって」
「さ、さっき?」
「せっかく俺がヌキ屋をおごってやろうとしたのに断りやがったもんなぁ。」
「そんな、それは」
「いいからほらっ」
「あぁぁっ!」
立成は隣に座っている清野の腕により押し倒されていた。抗おうとするものの、清野の力が強く、動画を見た影響で過去の筒井から受けたことによる己の痴態を思い出してしまっていた立成は成す術もなくパーティールームの床にうずくまる。中央にテーブルが鎮座しており、4畳ほどの広さしかない部屋だ。全身をのたうち回らせて清野の魔の手から逃れたいところではあるが、それをやるにはあまりにも狭すぎる。立成にできることは、恥ずかしさのあまりに自分の勃起を見られないようその立派な身体をいじめられっ子のように丸めて転がるしかなかった。それはまるでディスプレイに映し出される情けない教師役の姿そのままだった。
「よしっいい感じだな。はずかしいなぁ、立成先生!」
「くっ」
立成は身体を丸めて転がりながらも、清野に対して怒鳴りそうになっていた。
さっきまでは自分にスナックでふざけ過ぎたことを謝罪していた男が、今度は自分をアダルトビデオの男優のように扱おうとしている。その行動の一貫性の無さに理解が及ばず、ある種の恐怖すら感じる。
おかしい。絶対おかしい。何より、そんなことを自分は望んでいないというのに。
しかしそんな立成を前に、清野はさらに思いがけないことを言い始めた。
「素直になりなよ、なぁ?俺の前でだけでも、自分を出していいんだぞ?」
「なっ」
思わず立成は、床にうずくまったまま首を持ち上げた。あらためて清野の顔を見る。
立成の瞳に映った清野の顔は、確かにからかうようなにニヤついた顔つきなのだ。だが、目の前にいる自分を貶めているようでいて、どこか慈しみのある目をしていていた。そして声色は明らかに優しく、庇護するようなものだった。
(なんだ・・・清野先生は、何がしたいんだ・・・?)
もう何もわからなくなった。
清野の行為自体は、明らかに立成を貶めようとしているものとしか感じられない。それは誰の目にもそう映るだろう。それなのに、この男の、この話し方は、この目は、
立成は動揺したことで身体が固まってしまい、思うように反抗できなくなってしまった。
「じゃあ、そういうわけで、このポロシャツも脱ぎましょうねぇ~」
「あっ、ちょっ」
「こら、どうどうどう!ほらっ!」
「だめ、ああっ!」
「暴れんなって!おらっ!・・・よしっ、ちゃんと脱げましたねぇ~~」
直前までの地合いのある声とはうってかわって、いつものおふざけモードの清野の声色だった。
本当に何なんだ?二重人格なのか?教師はストレスの多い仕事だから・・・?
そう思っている間に、パーティールームの床に転がっていた立成が身に着けているポロシャツを脱がそうと、裾を捲り上げられてしまう。格好までも、動画と同じようにしようというのだろう。
当然立成は抵抗しようと両手を振るが、そうすると清野がまたも立成の股間を押さえつけて刺激してくる。
男としての生理現象として、またも立成が股間を抑えようとしてしまうと、立成の上半身を守っているポロシャツが清野の歳の割には太い腕によって引き抜かれてしまい、あっさりと立成は自分だけが半裸という状態になってしまっていた。
「き、清野先生、ちょっとやりすぎ」
「そうか?そうかなぁ」
「もう勘弁して」
「わかったわかった、でもさぁ、立成先生」
「・・・はい?」
「またちょっと太ったんじゃない?ほら」
「やっ!!」
短く太い清野の指により、あきらかに余分な脂肪であることがわかる立成の腹部についた贅肉がつままれていた。
敏感・・・とまではいかないが、決して強くはない部位を唐突に触れられたのだ。その唐突な刺激により、立成は思わず艶のある声が漏れてしまう。
何より、立成の脳にビリっと電流のような何かが走っていた。
それは痛みによるものもあるが、それだけではないことは立成にもわかっていた。
これは、筒井に責められているときに感じているものと、同じものだということに。
相手が清野だというのに、年上のオヤジだというのに、自分がそんな風に感じてしまうことそのものに、恥じらいと嫌悪感を覚えてしまっていた。
「うわっ、なかなかあるなぁ。こんなに摘まめるぞ、ほれ」
「ひっ」
「どれどれ、それじゃ立成先生のお腹でもみてやろうかな。ちょっとこのAVとはやること違うけどさ」
「そんな」
「へっへっへっ、かつて野球とアーチェリーで鍛えた立成先生が、どれだけだらしない生活をしているかチェックしてやるよ」
何とも立成を辱めるような言葉を、清野は顔を立成のむき出しの腹に近づけてくる。
野球経験者ならそうなのだろう。過酷な練習とトレーニングにより身に着けた、当時の筋肉。食事も当然、量が多かった。
そこから引退後、運動量も少なくなり、しかし食事や飲酒については制御せず、仕事のストレスの吐き口としてしまい、より脂肪がつきやすい身体になっているのだった。かつては逆三角形と言えるほどに、広い肩幅としまった腹筋をしていたというのに、いまやその上半身は四角形となっている。いずれ、三角形の身体になってしまうことも
立成もそうだった。わかっているのだ。太っているのは。自分の節制ができていないのだ。
特に、30代になり余計に腹が出てしまっている。それは否定できない。自分の身体がもう、若さ溢れる青年から中年になろうとしているということは、受け入れられないものの事実なのだから。
清野はニヤニヤしながらも立成のだらしない身体の検査を進めながらも、ねちっこくその検査結果の報告を続けていた。
「ちょーっとだらしないんじゃないかい?ほぉら、こっちの脇腹もさぁ」
「はぁっ、そ、それは仕方が」
「せっかく逞しい身体なのに、もったいないねぇ。ほらほら、ここも脂肪がたっぷりだ」
「ぐっ、や、やめて」
「ズボンに腹肉が乗っちゃってるぞ。もうオッサンみたいな身体になってないかぁ?まだ若いんだからさぁ」
「い、言わないで」
「なんだぁ、この身体は。おい。こりゃあ下手したら貧乳の女よりはおっぱいがあるんじゃないか?お、ここの胸毛は長いなぁ。そりゃ!」
「あっっ」
立成の身体のあちこち・・・主に弛みを帯びた腹の部分をメインとして、上半身のみっともない脂肪が蓄えられた箇所をいちいち口にしながら清野の指が摘まんでくる。そのうえ、野生動物のように長く生えている、立成にとってのコンプレックスの1つである体毛まで引っ張られてしまう。
こんなにも立成の身体をからかう清野はどうなのかというと、清野は昔、水泳をしていたと立成に話していた。確かに、その面影はあるような気がする。服を着ていれば身体全体が硬そうだし、腕や脚だって太い。
それでも、今の清野はというと、その年齢を考えるれば、服を剥ぎ取られれば立成と同じくらいのだらしなさのある身体であるはずだ。そんなオヤジから、一方的に自分の肉体の見にくい部分を囃し立てられると、さすがの立成も屈辱を覚えていた。
しかし、今の立成は抵抗らしい抵抗をできないのだった。
軽く体を振るう程度のことはするものの、次から次へと舞い降りてくる清野のからかいの指を手で防ぐことはしなかった。できなかったのだ。
清野の指が身体に触れる度に。体毛をいじくられる度に。
スナックの店に置いてきたはずの興奮がまたも身体を支配しようとしている。
鎮火したはずの官能の火が再び燃え盛ろうとしている。
そして、その成果として、立成が必死に隠そうとしている、その雄の象徴が。
(ダメだ・・・こんな・・・清野先生に触られただけだっていうのに、俺、た、勃っちまうなんて・・・)
ムクリ。ムクリ。ゆっくりと。徐々にではあるが、立成の陰茎は力を持ち始めしまっていたのだった。
立成にはとてもではないが受け入れられない現実だった。
当然だ。
M男向けの動画が流れているとはいえ、40近い坊主頭ににやけ面を浮かべたごついオッサンに身体を弄られているだけなのだ。
それで勃起しているなど、どうしても認められない。認めたくない。自分でも受け入れられないのだ。これじゃあ本当にただの好きものみたいじゃないか。そんな自分を、清野に見せることなど、決して許されるものではなかったのだ。
広いとは言えない漫画喫茶のパーティーブースにて、上半身裸の厳つい顔をした男性教師が、40手前のオヤジ教師から上半身を執拗に責められている状態だった。空調が効いているというのに、立成の身体は熱くなっている。清野からの指先による恥辱の腹肉攻めと言葉によるなぶりにより、いつしか立成の短髪には汗が玉のように吹き出し、吐き出される息にも声が湿気が混じっていた。室内には男2人のムワっとした匂いが漂っている。
そのような30代前半の教師と30代後半の教師の2人が、傍から見れば乳繰り合っているかのような行為をしている横で、ディスプレイの中では着々と濡れ場に向けたストーリーが進行している。
『ほら、早く下も脱げよ』
『あうっ・・・』
『しゃあねぇなぁ・・・おらっ』
『あ、あぁぁぁっ!』
動画では女子生徒が、床に丸まっている教師役のスラックスを脱がしにかかっている。
教師役も抵抗しようとしているようだが、蹴られた後遺症か動けないでいるためだろうか、十代の女子相手だというのに簡単にホックを外され、腰周りからスラックスが抜き取られようとしていた。
「へへっ、ほれ画面見てみなよ。さっそくズボン脱がされちまってんな、コイツ。惨めだねぇ~。それじゃ、立成先生も同じようにっと」
「だ、駄目ですって、こんなところで、何で」
「大人しくしろって。いや、違うか。『ほら、早く脱げよ』」
「ひいっ」
「『しゃあねぇなぁ、おらっ』」
「ああああぁっ!」
まるでゲームであるかのように、ディスプレイに映る動画を現実にて再現しようとする清野。
もちろん立成は抵抗するが、体勢は明らかに清野が有利だった。身体の脂肪を摘ままれるのを防ごうとしていたのが仇となった。上半身への防御に徹していて、下半身ががら空きだった。
そんな立成のチノパンのホックがあっさりと外されてしまい、後はされるがままだった。チノパンを引っ張られると共にファスナーはじりじりと下がってしまう。
『けっ、ダッセエパンツ履いてんなぁ!この変態教師が!』
『ああ、見ないで、見ないでください』
嫌でも耳に入って来るディスプレイの動画の音声。今の立成には教師役がどんなパンツを履いているのかを確認する余裕などないが、どうやら彼はスラックスを脱がされてしまったようだった。
そして、自分が今にも彼と同じようにされようとしているのだ。
嫌だ。嫌だ。
立成は必死で腰を振って抵抗する。
チノパンが脱がされるのをイヤイヤと何とかして阻止しようとする。
しかし、床に転がっている立成と、その傍で腰を下ろしている清野では、体勢の優位性が違い過ぎた。
いくら立成の発達した臀部、大殿筋といえど、チャックが完全に下がってしまっては、それを脱がされるのはいとも簡単な行為なのだから。
「あ~あ、ズボン脱がされちゃったね立成先生。パンツが見えちゃったねぇ。ふふ、そうだったな、今日の立成先生はエロパンツを履いてたんだっけな」
「言わないでください」
「どれ、さっきは女の子にばっかり見せていたけど、俺にも見せてみな・・・ほんとにエロイな、このパンツ。形もそうだし、こんな水色なんか履きやがって。生意気だな」
「そんな、そんな」
「お、結構しっとりしてんぞ?汗かいちゃったか?な?な?」
「ああ、触らないで・・・」
立成はあっさりとチノパンを膝までずり下げられてしまった
先ほどのスナックで存分に見せてしまっていたというのに、改めて自分が身に着けている水色のビキニブリーフをしっかりと近距離で見られてしまっていた。おまけに、とても成熟した男が言われるような言葉ではない侮蔑的な言葉を浴びせられながらも、ぴったりと立成の巨尻に張り付くように身につけられたビキニブリーフをなぞるように清野の手で撫でられてしまい、立成は恥辱のあまり顔を紅くしてしまう。
もはやその恥ずかしい下着を隠すには自分の身体で覆うしかない。そうしようとしたのか、立成は無意識に自分の身体を丸めた。
「本当にデカい尻してんのな、立成先生は」
「やめてください」
「いやでも、本当にプリップリだな、このケツは。いいもん食ってんだなぁ、おい」
尻への嘲笑とともに、パシッパシッと数回、ビキニブリーフの上から軽く尻を叩かれた。
叩かれたといっても、力などほとんど入っていない。はたかれたようなものだった。
清野にとっては、単なる遊び。からかいの1つのの手段。
しかし、立成にとっては違っていた。
ビキニブリーフの薄い生地越しの自分の尻に唐突に与えられた打擲により、立成は思わず。
「はっ、はぁぁぁっ・・・」
目の前に清野がいるというのに、教師が出すとは思えないほどに浅ましい声を漏らしてしまった。
恥辱に耐えるように、噛みしめていた薄い唇がだらしなく開き、中の白い歯が見えるほどに開いてしまっている。
屈辱に耐えるように吊り上げられていた太い眉も、尻をはたかれたその瞬間に、八の字の情けない垂れ眉へと変わってしまっていた。
その後、一瞬にして沸騰するように顔が真っ赤に染まっていた。
(なっ、俺、なんて声を・・・・)
立成は自問自答する。なぜ?たった数回、下着越しに尻をはたかれただけだというのに・・・・・
立成はいつもと違う昂りを自分の中で感じていた。
これまで立成が尻を許していたのは、当然ながら筒井一人だ。
筒井は背は高いものの華奢な身体だ。冬に地方大会まで進出し、今日も全国大会への出場切符を手に入れたとはいえ、スポーツ選手としてはあまりにも細身であり、当然掌も薄く、指も細い。そんな手であり、その手により立成は開発されてきていたのだった。
それが今、自分の尻肉を弄り、はたいているのは清野の手だ。
筒井の手とは真逆で、指が太く短く、掌も肉厚でごつい。40歳手前の経験を感じさせる、まさに男の手だ。
そのいつもとは全く異なるがっしりとした手が、恥ずかしい自分の尻を触れられ、そして叩かれたということに、立成は自分が思っている以上に感じてしまっていたのだった。
一方、清野はというと、そんな立成の変化には気づいていた。
当然だ。腹の肉をいじくったり、尻を撫でたり、軽くはたいてやるだけで、とんでもない声を漏らしてくるのだから。
とても厳つい30過ぎの男の口から出たとは思えない声だ。
まるで少女が出したかのような高音で、それでいて官能により湿り気を帯びた、艶のある声だ。
これでは気づかない方がおかしいだろう。
さらにいうと、立成が必死に隠している前の部分。
清野はそんな立成を見て、自分の中で確信していた。やはり、立成先生は・・・・
しかし、それはまだ口には出さず、相変わらずにやけた顔のまま、目の前に転がる仲の良い部活の顧問仲間を見続けていた。
『おら、はやくこのパンツも脱ぐんだよ!』
『はぁ、はぁ』
『』
『ひぃぃぃぃっ、やめて・・・・』
『汚ねぇケツしてんなぁ!』
『はぁぁぁぁぁ・・・』
耳にかろうじて入ってくるディスプレイからの動画の音声。
どうやらあちらの方の教師は下着までも脱がされてしまっているようだ。
「お、とうとうパンツ脱がされた!おい、聞いてるか?」
「うっ・・・は、はい」
「この立成先生お気に入りのエッチパンツ姿も良いけど、そろそろこのパンツともお別れの時間みたいだな」
半ば想像はしていた。
本当に?ここで?そこまでやるのか?
立成は信じられない気持ちだった。
「だ、だめです」
「お、どうした急に」
「だめ、だめなんです、やめましょ、やめましょ、ね?」
どうしようもない。
たった数回の尻はたきであんな声を出してしまったのだ。
それが、パンツまで脱がされてしまったら、自分の恥をどこまで清野に見せなくてはならないというのか。
とても、おふざけの思い出では済まされないほどになってしまうのではないか
「へぇ、立成先生はもう嫌なんだ」
「あ、当たり前じゃないですか」
「おいっ」
「何ですかっ」
「先輩の言うことは聞くもんだぞ!?」
「!」
なんとかもう終わらせようと哀願する立成に顔を近づけ、清野はとんでもないことを言い出した。
言ってしまえばパワハラに近しい言葉だった。この時代に不釣り合いすぎる、何ともデリカシーの無い言葉だ。
まがりなりにも、中学高校大学と、体育会系に所属していた立成ではある。そんなことを言われたことは何度だってある。
そのときは当然、忠誠を誓うしかなかった。とはいえ、その先輩の言うこと自体が、そこまで理不尽なものは無かったのではあるが。
だが、それだけではない。立成は身体が硬直していた。
目の前の男に自分が支配されているように感じていた。
言葉通りの先輩後輩ということだけではない。
自分がまるで、清野に全てをゆだねなくてはならない。
そんな気持ちになってしまっていた。
「おっ。急に大人しくなったな。ははっ、先輩だとか言ったからか?立成先生はやっぱり可愛いなあ」
「そんな、卑怯ですよ」
「何とでも言えよ。・・・お、じゃ、こちらの先生の、こちらのエロパンツともさよならするか」
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