生徒との1年間

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顧問2年目05月

顧問2年目05月 9

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「な、何を・・・?」

 立成は顔だけを振り向いて筒井を見た。一体何を言っているんだ?訳が分からなかった。

「先生今日はトイレ行ってなさそうだからさ」

 サーッと立成の顔が青くなる。筒井の言わんとしていることを理解したからだ。理解してしまったからだ。
 まさか、そんな・・・ここで?

「い、嫌だ」
「駄目だよ、中に残ってると着いちゃうから」
「大丈夫だって」
「駄目ですよ」

 予想もしていない筒井の言葉に焦ってしまった。そんなつもりはなかった。そこまでされる気ではいなかったのだ。ただ、ただ、上り詰めいる自分の欲情を発散したかっただけなのだ。
 立成は恐怖の本能により這い出して逃げ出そうとするが、簡単に筒井の手で絡み取られた。駄目だと言いながらもその手は立成の腰にまとわりついていた袴をと取り払われる。腰に巻き付いていた帯も緩め取られる。立成の臀部を覆っていた胴着の裾もペロンとスカートをめくるように捲り上げられた。
 あっという間に、太くて逞しく長い体毛が生えている雄臭い太股と、ライトグレーのボクサーブリーフに包まれた立成のムチムチの尻が丸出しにされてしまった。早業だった。立成が嫌嫌と抵抗する間もなく、下半身が袴姿から無防備な下着姿へと変えられてしまった。男らしい教師が、生徒の手によりみぐるみを剥がされてしまった。
 そしてその立成の臀部を隠しているボクサーブリーフの腰ゴムにも、容赦なく魔の手がかけられる。

「先生、良いですよね?」
「そんな・・・あ、ああ」

 言葉では嫌がりながらも、立成は『ごくり』、と唾を飲み込む。今、自分が履いているパンツを脱がされそうになっている。そのことを意識し、胸が高鳴ってしまっている。
 いつもこの瞬間がたまらなく恥ずかしいのだ。何度されても慣れてしまうことはないだろう。
 とはいえ、今回は立成からお願いしているのだ。尻穴の洗浄は覚悟していなかったが、尻を曝け出すことを思うどうしても身体が熱くなってしまう。
 とうとう、ゴムが下ろされ、立成の生尻が・・・

「あれっ?先生、中に・・・」
「えっ・・・ああっ!」

 ボクサーブリーフの中に履いていたケツ割れ。午前中に沼田にも披露してしまっていたというのに、立成はすっかり忘れていた。筒井に見られ、そして指摘され、今更ながらに羞恥し、一気に赤面してしまう。
 下着の中にケツ割れを履いていたことがすっかり頭から抜け落ちていたのだ。それだというのに、自分から尻を向けてしまったのだ。これでは、あたかも筒井に対して猛烈にアピールしているかのように、そのために準備をしているかのようだった。

「先生」
「いや、その・・・」
「準備万端だったんですね。最初からそう言ってくれれば良いのに」
「違う!」
「なんか、俺だけがその気になってたと思っちゃいましたよ。先生も今日はその気だったんですね」
「だから違うんだって!これは、今日の大会で・・・」
「はいはい」

 立成がいくら取り繕っても聞き入れられなかった。本当に違うというのに。そんなつもりはなかったというのに。
 筒井はそんな立成に対して笑いながらも、ポケットから何かを取り出した。立成からは見えなかったが、おそらく浣腸なのだろう。

(こいつ、いつもそんな物を持ち歩いているのか?)

 なぜすぐに取り出せる場所にそんなものがあるのか、と問いただす間もなく、筒井はキャップを外してその先端を向ける。向けられた先は言うまでもなく立成の毛だらけのケツ穴だ。

「ちょっと待ってくださいね。今この毛をどけますから」
「くふっ」

 しっかりと肛門が見えるように割れ目に長く生えている縮れたケツ毛が筒井の指で避けられる。そうしないと立成の肛門が現れないからだ。まだその敏感な粘膜には到達しておらず、ただその周囲の毛に触れられている。ただそれだけだというのに、立成は声が漏れ出てしまう。
 まるで獣に対するような扱いと、まるで何もできない幼児のような扱いだった。コンプレックスの1つである自分の濃い目の体毛を弄ばれたような気がして立成は全身がカーッと熱くなった。

「先生、ようやくお尻の穴が見えましたよ」
「いちいち言うんじゃねぇ!」
「今日はお尻にトイレットペーパーがついてませんでしたね。やっぱりまだウンチしていませんでしたね。ウンチしてたら絶対ここに白い紙がついているはずですからね、先生の場合は」
「くっ、うるせぇっ!」
「じゃ、淹れますね、先生」
「あっ・・・」

 過去の自分の失態を揶揄われますます顔を赤くしてしまう。息も荒くなる。そんな自分の恥部を弄ばれることで、立成はケツ割れの中の竿もピクンと反応してしまっていた。
 筒井が手に持つ人工的な容器の先端が入ってくる。その冷たいプラスチック感に立成も身をこわばらせた。四つん這いを支える肩に力が入り、尻穴もキュっと窄ませてしまう。

「ちょっと先生!リラックス!」
 パシン!
「うっ・・・テメェ・・・」
「そうそう、良い感じですよ。」

 尻をはたかれてしまった。肉厚の尻タブは高らかな音を奏でた。
 瞬間的な尻への刺激とその痛みに思わず官能の声を漏らしてしまう。
 あまりにも馬鹿にされているように感じ立成は目を鋭くして筒井に振り向くが、本人は一向に気にする様子もなく、中の液体を毛に覆われた立成の後ろの口へと注ぎ続ける。

「くっ・・・」

 普段は排出にしか使用しない腸内へと、逆流するかのように液体が入れらている。
 かつて、2月にもこんな風に浣腸されてしまっていた。そのときも弓道場で、その時もケツ割れを履いていて、そのときも午前中にあの男に恥ずかしいところを見られて・
 今更ながらに思い出すかつての出来事たち。そして、そのときと同じように、今、立成は弓道場で尻穴を筒井に捧げ、浣腸液を注入されてしまっているのだ。

 思い出してしまい立成は身体を焦がしてしまっていた。

(何をしているんだ俺は。生徒にケツを突き出して浣腸されるなんて。それも、今回で2回目だぞ・・・)

 そんな考えで屈辱を覚えるとともに、それでも筒井であれば・・・という思いも湧き上がってくる。
 しかし、そんな思いは、生理現象にかき消される。
 無常にも湧き上がる便意。当然だ。そのための薬品なのだから
 少しの時間の経過で、立成の腹にも人体として生理現象が現れてきた。徐々にではあるが苦しくなってきた。

「先生、ついでにこれも・・・あとこれも」
「なんでっ、おいっ、やめ・・・・」
「あれ、ちょっと大きくなってますね?ふふっ恥ずかしくて興奮しちゃいました?」

 筒井が立成が上半身に身に着けている白い胴着を剥ぎ取って来る。脱ぐ必要性などないため当然抵抗するが、浣腸により身を動かせないため立成は筒井のなすがままに脱がされてしまった。
 おまけにケツ割れも簡単にずり下された。ボロンと現れた立成の一物は相変わらず包皮に包まれているが、筒井の指摘通り硬度を持っていた。

 あっという間に立成は全裸にされていた。
 弓道場の真ん中で逞しい身体を四つん這いにして、浣腸液により自分の中で便が暴れることに耐える様の全てを筒井に見せてしまっていた。

 そんな筒井からの恥ずかしめに対しても立成は反抗しなかった。
 どんどん便意が湧き上がってきてそれどころではないのだ。必死に耐えていた。
 思わずその毛だらけのデカい尻を、ユサッユサッと振ってしまう。気を紛らわせないととてもではないが耐えられないのだ。そんな立成の様子を見て、筒井はまた笑っている。

「もういいだろ?」
「えっ、まぁ、もうそろそろって時間だけど」
「便所行ってくる」
(また、こいつに便所を覗かれるのは嫌だからな・・・)

 立成はノロノロと立ち上がる。そのわずかな振動でも後ろのダムが決壊しそうになってしまう。
 少し弛んだ腹を抑えながらも確実に歩を進める立成を追い越し、悠々と先行する筒井。
 そんな筒井の姿をうろめたしそうに見ながら、何とか弓道場の隅にある小部屋にたどり着く。中はかなり小さ目な台所のような水回りの設備と、便所の扉があるのだ。

 今回はかなり余裕があった。前回の浣腸のときは初めてでもあったがあまりにもギリギリで、筒井に和式便所で糞を垂れ流す様の全てを見られてしまっていたのだ。あんな屈辱、二度と耐えられない。
 ほっと息をつく。後はこの扉を開けて腹に溜まったやつを垂れ流すだけ・・・

「あっやばい!!」

 唐突に筒井が叫んだ。おどけるわけでもなく声の様子だった。

「何だよ・・・」
「大変、今日は水道の工事でトイレが使えないはずだった・・・」

 立成の頭にもガーンと響いた。
 そういえば、昨日の部活動でも部員に対してそんな話題を出していたような気がしていた。

「ど、どうすんだよ!おい!」
「どうするって」
「はうっ!」

 思わず叫んでしまったことで、危うく漏れてしまいそうだった。出口まで出かかってしまった所を必死で締める。

「あ、あ、あ、やばい、やばい、まずい・・・」

 両手を後ろに回して尻穴にあてがう。手には汁や実が触れていないため、まだ垂れてはいないようだが、いつまでもつだろうか。そんな風に身体を動かすだけでも、腹はゴロゴロと鳴り、唯一の解放口へと向かって暴れ出して来る。

「ダメ、あっ、くそっ」
「と、とにかく、どこかに行かないと」
「どこかって、お前・・・あっ、ちょっ」

 どうしようもない状況なのだ。道場の便所が使えないのであれば、他に手はない。
 筒井は立成の手をとり、道場の方へと引っ張っていく。立成はその手に引かれるままに歩を進めるしかなかった。その進んだ先は弓道場の玄関だった。

「おっお前、外って」
「だって仕方ないじゃん!」
「誰かに見られたら」
「今日はGWだし誰もいないよ多分!」
「い、嫌だ!服を・・・せ、せめて、パンツだけでも」
「絶対間に合わないじゃん!」
「ちょっ、ひぃっ!」

 頭では理解できる。糞を出すのに便所も使えないとなれば、他の便所まで行くしかない。
 しかし、だからといって?
 今、立成は全裸なのだ。おまけにここは、敷地の外れであるとはいけ高校だ。
 そんな場所の屋外を、全裸で歩けというのか。

 ためらう立成は動けない。当然だ。そんなことをしてもし誰かに見られたりした・・・
 筒井はそんな立成を無理やり引っ張る。玄関に転がる共用サンダルに足をかけさせ、玄関から引っ張り出される。

 嫌だった。こんなこと。本当の変態になってしまう。

 とはいえ、他に方法がないのも事実だ。納得はできなくても頭では理解してしまっている。だから、筒井に導かれるままに、とうとう外にその裸体を出してしまっていた。

 玄関先に立つ立成。袴姿の生徒たちが部活動にいそしむべき場所に、今は大柄の肌色の男が突っ立ってしまった。逞しさと厚さがあり全身に毛が生えた全裸の雄だ。壮観な光景なのだが、その裸体を恥じているからか、乙女のようにモジモジとしてしまっていて、それがかえって破廉恥さを増しているな

 そんな全裸教師を無理やりに筒井は引っ張る。立成は羞恥を覚えながらもそれに従う。しかし、引っ張られる先は立成が思い描いていた方向ではなかった。

「おい!どこに・・・」
「あっちの別の部活のトイレは遠すぎるから、もう的場の裏でするしかないよ」
「はぁっ!?マジかよ・・・マジかよぉっ!!・・・・がぁっ!!」

 夢中で歩いていた。頭が回らなかった。
 今、自分は全裸で外を歩いている。その身を隠すものなどない。
 5月の陽気な気候のはずだが、何も着ていないとここまで感じ方が違うというのか。
 風がこんなに冷たかっただろうか。気温もこんなに低かったのだろうか。
 服を着ているときとあまりに違う感覚。こんなときにより自然を感じてしまう。人間の弱さを実感してしまう。
 
 道場から見える矢道。草がうっそうと生い茂っている。
 高校の敷地の外れにあり、周囲には低木が植えられているため、確かに他人に見られる可能性は低い。そんな場所を今、立成は襲いかかる便意と戦いながらも生徒に手を引かれて全裸で歩いていた。

「せ、先生がんばって・・・」
「ああああっ!」

 少しずつ、本当にちょっとずつ。
 普段なら何も意識しない、約30mの矢道。その距離が果てしなく遠い。
 熱くもない気候だというのに、立成の短髪が汗で光る。背中も脇も胸も脂汗だらけでテカっている。そうだというのに我慢しているからかゾクゾクと寒気さえ感じていた。
 顔を天に向けたり地に向けたりしてせわしなく動かしながら上ずった声を出し、少しでも気を紛らわそうとしていた。 

「も、もう無理っ」
「ちょっ先生!」

 立成は前に倒れ崩れ落ちた。もう限界だった。

(こんなところで、俺は・・・・)

 矢道の中央にて全裸で犬のように這いつくばる。野外の土や草の上でそんなことをすると膝が痛いがそんなことにかまっていられない。
 限界だった。
 便意も。羞恥心も。屈辱感も。なりふりを構っていられなかった。
 高々と上げられる立成の巨尻。そんなデカ尻や黒い毛が尻タブ表面や尻の割れ目までに生えている様を周囲の木々に見せつけるかのように突き上げていた。
 そんな立成の格好により、立成の黒々としたケツ毛の中に鎮座する赤黒い肛門にまでもがモロ見えてしまっていた。普段の生活であれば決して日の光があたらない、あたるはずもない立成の恥ずかしい場所までも太陽光がさんさんと降り注がれ、立成の秘部の全てが暴かれてしまっている。
 
(くそっ、なんで俺がこんな目に・・・)

 立成は心の中で泣いていた。
 屋外で何も身に着けていない全裸で四つん這いで糞をこらえているのだ。
 確かに筒井以外は誰もいない。周囲は相変わらず静かだからおそらく誰にも見られていない。しかし、根が真面目でなおかつ性的経験が無いな立成にとって、全裸で外を歩き回るのはあまりにも恥ずかしすぎた。そして糞がしたくてしたくてたまらなかった。すぐにでも全てを排出してしまいたかった。精神がズタボロだった。

(もう、いい・・・)

 肩で息をしていた。何も耐えられなかった。

「ダメっ!!」
「ぬあっーーーーー!」

 唐突な刺激と異物感に立成は雄の悲鳴を上げる。驚愕により目を見開き、顔は天を見上げ、背中を反らしてしまう。
 筒井に指を肛門に差し込まれた。
 もはや全てを投げ捨てていたつもりの立成でも、その何の前触れもない挿入は大きな衝撃だった。魚のように口をパクパクとさせ、何かを言おうとするが言葉にならない。
 筒井のその行動はいたずらではなかった。ただ、愛する顧問が脱糞するのを未然に防ごうと、ただそのための純粋な心遣いだった。そのために、自分ができるうこととしてその尻穴に蓋をした。自分の指が汚れることも厭わずに。
 しかしそれが完全な栓になるはずもなかった。人差し指と中指を挿入してもなお、そのわずかに開いた隙間からは薄っすらと色味が付いた汁が垂れてくる。

「先生、ちょっとずつでもいいから、もうちょっとだから」
「うう、筒井・・・」
「頑張って、頑張って」

 立成の目が涙ぐむ。
 屋外の草っぱらで、全裸で四つん這い。おまけにそのケツ穴には生徒に指を突っ込まれて。それでもなお、穴からは茶色い汁が少しずつ、少しずつ・・

 最低な状況だ。人として、男として。精神が堪えないわけがなかった。
 
 それでも立成は堪えた。一度手放してしまっていたが、まだ辛うじて残った僅かな人間としての尊厳にすがりつく。それだけを活力にして前に進む。
 その身を動かす度に腹の中にある汚物が暴れまわり苦しくなる。その場で全ての茶色を垂らしてしまいそうになる。無意識にではあるが指を挿入された尻穴の括約筋をキュッキュッと締め上げる。本能でしていたのだ。今までそんなことは意識してしたことなどなかったのだ。

「はぁ、はぁぁっ」
「先生、お尻から指抜いていい?やっぱ抜いたらやばい?」
「くっ、駄目だ、指抜くな、指抜かないでくれぇっ」

 どうしたって漏らしてしまいそうだ。もし今、筒井に指を抜かれてしまったら、簡単に出してしまうだろう。
 とはいえ、とんでもないことを叫んでしまっていた。まるで強請っている安っぽい淫乱女のようだった。立成としてもそれは頭の片隅にはうっすらと思いついてはいたものの、そんなことまでに気を回す余裕などとっくになかったのだ。

 ノソッ、ノソッと、手を前に。脚を前に。
 大柄な体躯で這いつくばったまま、草っぱらを少しずつ前に進む。玉袋や立成の雄の分身である一物もブランぶらんと揺らしながら風を切るように進む。時折訪れる排便の予兆の度にそのデカ尻を横に振り気をまぎらわせる。本当に犬になった気分だった。その背後で指を突っ込みながらも付いて行く筒井の姿はまるで飼い主だ。だらしない大型犬が馬鹿な行動をしないように監視しているかのようだった。
 立成は歩みは進めても肛門への意識が途切れないようにしていた。肛門からたらーっと少しだけ垂れたぬるい腸汁が四つん這いの太股からふくらはぎへと垂れ流れるのが不快だが、そんなことも気にしていられなかった。

「あぁ、あぁっ」
「頑張れ頑張れ」

 もはや悲鳴か嗚咽かわからない声しか出なかった。その顔は汗まみれて照かるとともに苦痛と恥辱に歪んでいるが、太い眉を吊り上げ歯を噛みしめており、男臭い表情だ。男らしさを取り戻している。
 筒井は立成の肛門に指を突っ込みながらも、四つん這いで獣のように歩を進める立成の背中に手を添える。筒井の優しさによる行為なのだろう。

 しかし、立成はまるで気にすることもできなかった。まるで家畜になったような気分だった。

(くそっ、くそっ、くそっ!!あぁっ、糞してぇ!糞っ!糞漏れるっ!)

 目の前の景色も目に入っていなかった。頭の処理が追い付いていない。ただただ、排便のことだけを考えていた。もはや野外で裸でいることを羞恥する余裕もなくなっていた。機械的に、手と膝を動かし続けた。

 ようやく、的場の裏に到着する。そこは見晴らしのよい矢道とは異なり、小さな林のように高い木が乱立していて昼でも薄暗い。日が当たらないためか立成が押し当てる手のひらも膝も、少しぬめっている土が冷たく感じた。 

「はあっ、はあっ・・・」

 もう限界だった。
 時間にして数分程度の犬の散歩だった。
 普通の人間にとってはあっという間の時間だが、排便と羞恥を我慢していた立成には地獄でしかなかった。
 
 もはや意識が途切れそうになりながらも、何とか1本の木の根元にまでたどり着く。
 そこで切れそうな息を整えるために、立成ははぁはぁと声に出しながらも肩を上下させる。
 目的の場所にたどり着いた安堵のためか、心なしかその表情も厳しさが抜けていた。

 しかし、その必死に向かってきた場所に来たことで、別の問題が浮上してくる。

 そう、ここで立成は排便するのだ。
 はしたない行為をするのだ。
 そのために、必死になって這って来たのだ。

 そして、今、そのために必要な立成の肛門には、筒井の指が挿入されたままなのだ。

「筒井、頼む、見ないで・・・」

 四つん這いのまま頭だけ振り返り、立成は筒井を哀願するように見つめていた。太く黒い眉をたれ下げ、自然と目が潤んでしまう。その顔には普段の厳つく男らしい教師としての顔が消え失せ、主人に怯えている奴隷の顔付きのそれであった。おまけに心細くなってしまい、思わず身近にある木の幹にしがみついてしまっていた。

 筒井は目を背けなかった。まっすぐに立成を見返してきた。
 立成はその目を見ただけて察してしまった。

 本当の限界だった。
 人間の尊厳が踏み躙られる時が来た。
 散々筒井に甚振られてきた立成が、最後に残していた男としてのプライドが捨て去られる瞬間だった。

 筒井が左手を立成の腰に添えて、囁く。

「先生、抜くよ・・・」
「あ、あああああっ!駄目だぁっ!やめろ!見なぁっっ!!!!」
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