生徒との1年間

スオン

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顧問2年目05月

顧問2年目05月 4

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 思いついただけで胸が高鳴った。良いのか?大丈夫なのか?自分の思考の結果であるというのに立成は問答し続けた。
 答えは出なかった。しかし、身体の疼きは治まらなかった。どうしても何かをしたかったのだ。モヤモヤした気持ちのまま、ゆっくりと、立成は厚みのあるその手を移動させた。
 行きつく先は立成のトランクス。大きくガニ股を開いた太股の上部にある己の尻の割れ目に指をあてがった。そのまま、立成はその指を優しく押してみた。

(くっ・・・でも、やっぱり直接じゃないと・・・)

 下着の上からとはいえ、自分の秘孔を自分でまさぐるのはとんでもないことだと思った。それでも、そんな背徳的な行為であるからだろうか、確かに自分の中で何か感じるものはあった。長年使用している豆電球が何とか灯火をつけるような、そんな程度のはかない何か。しかし、それは指で押したその瞬間だけ沸き上がり、すぐに消えていくようなささやかなものだった。
 こんなものじゃない。こんなものでは駄目だ。先ほどまでの1人遊びで射精寸前まで到達してしまった以上、それよりも、もっと甘美なものを欲していた。
 立成はトランクスの上に置いた手を締め付け間の無いウエストゴムの中に簡単に滑り込ませた。

(い、いいのか?・・・自分でケツの穴をいじっちゃって・・・)

 少し、いやかなり罪悪感があった。男の自分がこんなことをして、本当に良いのかと。
 実際、自分の尻穴に触れる欲求は立成にはあった。昨年度から筒井にいじくられ犯されたことにより、認めたくはないが自分の尻穴に感じる部分があるのはわかっていた。
 だが、これまではそれは見て見ぬふりをしていた。しかし、先月の教室、筒井との行為とその後の自分の1人遊びの結果、立成は徐々にではあるが、自分の欲求と向き合い始めていたのだった。

 じわじわと確実に立成の手はトランクスの中にある自分の尻を進行していく。脳内では迷いながらもその手は進行を緩めることはなく、とうとう自身の尻の割れ目の中に到達していた。
 これまでの人生で全く興味の無かった自分のケツの穴。自分の肛門。そんなところをこれから自分で触るのだ。
 葛藤しながらも指先を進めると割れ目中ではケツ毛がわさわさ生えているのを指先に感じた。

(俺のケツってこんなに毛が生えてんのか・・・?気持ち悪ぃ・・・)

 こんな汚い部分を自分の手で触れるなんて。
 あらためて自分の尻の汚さを実感する。なぜこれだけ毛があるのか。男はみんなこうなのか。少しだけ自己嫌悪に陥ってしまう。それでもそんな剛毛のジャングルを自分の中指を滑らせ、目標となる肛門を探し出す。

(あれ、ケツの穴ってこの辺じゃなかったか?あれ?どこだ?)
 
 探るように動かしていた指先が行き場を無くす。
 これまで散々、立成はその肛門を筒井に弄ばれてきた。その度に快楽に溺れさせられ、まるで自分の糞穴が性器になったかのように意識してしまうようになっていた。しかし、それは筒井の手による愛撫によるものであり、自分でやったものではない。このため、自身であるにもかかわらずその場所を認識できていなかったのである。
 一般的な男性であればそうなのかもしれない。それも当然だ。普通の男の中で自分の肛門を見たことがある者がどれだけいるのだろうか。人間にとって大切な排泄器官の位置を正確に把握している者などどれだけいるのだろうか。
 立成の毛の生えた厚い手が、同じように毛だらけの尻の谷間を探り続ける。長く大量に生えた自分のケツ毛に惑わされている。指先に神経を集中させるが、どうしても生い茂る己のケツ毛がその探索を妨害する。目当てにしている入り口がどうしても見つからない。

(くそっ・・・あっこれはってぐふっ!!)

 爪先がわずかに後孔の皺を強めになぞってしまった。
 立成はまだ知らないことであるが、肛門は敏感でかつ繊細な部位だ。本人が無意識であっても1日に何度も何度も、必要に応じて締めたり緩めたりすることにより円滑な人間活動を営む支えとなっている優秀な器官だ。そんな場所を危うく傷つけてしまいそうだった。爪を短く切っていたため事なきを得たのだ。
 このため、尻肉に隠されるような場所に存在しているし、その周囲にも護衛するための陰毛が生えている必要がある。しかし、このときばかりはその毛のおかげで危うく損傷するところだった。

「あ、危ねぇ・・・」

 思わず立成は口を開けて深呼吸をする。冷や汗をかいて額を濡らしていた。
 とにかく仕切り直しだった。
 立成はガニ股に開いていた膝を立てて尻を突き出した。深い四つん這いの体勢。自然とそうしてしまったのだ。さっぱり見つからないことで自棄になったのもあるが、こうした方が自分の肛門を探しやすいと思ったのか、将又肛門を刺激する際の筒井との行為の代物なのか。
 ゴクリ・・・
 ゆっくりと、慎重に指を動かす。
 探り当てた己の肉の蕾に、そーっと中指を押し当てる。
 しかし、女性の陰部すら見たことも触れたこともない男が、それらを経験するよりも先に自分の排泄器官を弄ろうとしている。力加減もわからないし、ましてや目に見えない部位なのだ。初めての穴いじりの緊張により身も心も固くなっている立成は、そのでっぷりとした尻の括約筋は当然硬いままとなっており、とてもではないが後ろの窄まりを解すことなどできそうにもないのだ。

(なんでだ・・・?こんなに難しいのか・・・?)

 恐怖心もあってか、どれだけ試してみてもうまく挿入できないのがまどろっこしい。
 指先は穴の縁を周遊するばかりで、その中央に鎮座する肝心の孔部を、本人の性格のように煮え切らない動作だった。そんなことを繰り返していた。肛門の皺に触れることで微かに甘美な思いは享受しているものの、窮屈な体勢でいることもあり疲弊してしまっていた。

「あっ・・・ああ・・・んんっ・・・ぐぅっ!!」

 膝を崩しそうになった瞬間、股に挟んでいたクッションに陰茎が擦れた。
 先ほどまで励んでいた自涜と同じようなものだ。同じように脳に快楽が伝達されるて思わず声を漏らしてしまう。
 意図しない快楽に襲われてしまったことにより自然と後ろの肉の緊張が緩み、宛がっていた中指を唐突に受け入れたのだ。本当に初めての好意であればそこまで簡単にはいかないものなのだ。筒井により開発されてしまった成果であることは明確であるが、そのことを立成が知る由は無かった。
 指をそのままに、立成はさらに亀頭をクッションに擦りつける。

「あ、ああ・・・・はんっ・・・・」

 声が漏れていた。その声色は、先ほどまでの情けなさを感じさせるも男らしい腰振りにより床オナをしていた男と同じ人物とは思えないほど、女々しい鳴き声だった。
 前からの刺激と後ろからの刺激。自分の身体で敏感な部位を一度に刺激することで、泰然とした雄の面を被っていられるはずがなかったのだ。

(よし・・・このまま・・・ぐぅっ・・・)

 覚悟を決めた立成だったが、その決意とは裏腹に思いの外すんなりと立成の後ろの門は中指を咥え込んだ。
 軽く力を込めるだけでその指が直腸の中をずんずんと進んでいく。
 ほんのちょっと。長さにして、中指の第1関節まで。
 恐怖心はまだあるのだ。当然だ。肛門に指を入れるなんて、恐ろしいことのはずなのだ。それでも、一度侵入してきた指を逃さないかのように、

(ぐ・・・ぬ・・・)

 何だこれは?異物感が半端ないのだ。違和感だってある。
 それでも、身体の内側から全身へと一瞬で染み渡っていく。何かわからないそれが、立成を人間ではなくしていく。丸裸の自分に暴かれてしまう。全身が火照ってしまう。それはまるで劇物だ。
 そうだ・・・そうだ、これだ。
 これが、自分が求めていたものだ。これまで筒井にされた様々な行為により感じたものが、まさにこれだった。

(くあっ・・・ぐふっ・・・)

 トランクスを履いた四つん這いの状態で巨尻を突き出し、その中に指を突っ込みながらも、立成は身体を震わせていた。与えられた、いや自身の指で与えた刺激による快楽の脳内麻薬にとらわれていた。砂漠の真ん中で水を流したときのように、そんな官能の渦に飲み込まれていた。立成の竿もトランスの中で血管が浮き出るほどにギンギンに反り立ち、明らかにそれだとわかるような大きな山を作っていた。
 思わず筒井にされてきたあれこれを思い返す。
 嫌だった思いも確かにある。あのときは確かに、あんなことは初めてだった。
 しかし、考えただけで思わず赤面してしまうのだった。その結果・・・

(あれ、なんか・・・)

 時間が経ったからだろうか。それとも精神的に落ち着いたからだろうか。あるいは筒井との行為を思い出したことによる羞恥により身体が火照ったからだろうか。
 硬く窄んでいただけの立成の後孔が、徐々に広がってゆく。
 準備運動を終え、これからが本番だと言わんばかりに。
 リハーサルを終えて本番がスタートしたかのように。
 そう、芽吹いたばかりの肉の蕾が、今、満開に咲き開いたのだ。
 
(すげぇ・・・やばい、気持ちいい・・・)

 頭がくらくらしていた。官能が渦巻いていた。簡単に爆発しそうだった。もう何も考えられなかった。
 指が何も引っかからずに、行きつくところまで行ってしまっていた。直腸の奥の奥、医師に触診される際の限界まで届いてしまっていた。立成はぎゅっと目をつぶる。目尻に皺を作りながらもその充足感を噛みしめていた。
 思わず左手でトランクス越しに局部を触ってみる。きちんとティッシュがそこにあることを確認していた。こんなときでも、日ごろの手淫によるルーティーンの成果か、吐精後のことを考慮しての確認だった。
 クチュクチュと腸液により厭らしい音を奏でながらも、立成は中指を動かす。それと同時に、下半身もスリスリとクッションへ擦り続ける。動き続ける。自然と尻を振っていたのだ。前後からの攻めにより尻を振らざるを得なかった。尻を振ると咥えた指の熱や太さをさらに感じてしまう。そんな快楽地獄により亀頭からはビショビショと我慢汁を垂らしてしまい、そしてまた高まって・・・
 その様はとても漢には見えない動作だった。

(お、おし・・・いいぞ・・・そろそろだ・・・)

 はぁはぁっと息を弾ませている。
 もっと、あと少しだけだ。もう少しだけ上り詰めたい。
 立成の男らしい顔が険しい表情だ。目の前にあるエサがあるというのに耐えている顔だ。その表情だけは漢らしいものだった。
 ラストスパートだ。振っている腰も穴の中の指にも力を込めた。その瞬間。

 ピンポーン
(なっ・・・!!!)

 突然のインターホンだ。なんでこんな時間に。なんでこんな時に。
 信じられない思いだった。
 無意識に時計に目をやる。その針を見た瞬間、立成はぞっとしてしまった。
 起きたときに確認した時間から、既に1時間も経っていたのだ。

(俺、そんな時間もオナニーしてたのか?なにやってんだっ!!)

 そう思いながらも中指を抜けなかった。肛門も放そうとはしなかった。尻の動きも止まらなかった。
 ギンギンの一物はまだ圧迫される快楽を享受したがっていた。

「先生!せんせー!」

 ビクン。
 立成の身体の全てが静止した。
 この声は・・・筒井だった。
 なぜ筒井が?と思ったが、次の瞬間思い出す。

(そうだ、筒井が来るって言っていた!一緒に会場に行こうって・・・)

 しかし、まだ大会の開催には時間の余裕がある。
 何だってあいつ、こんな早めの時間に・・・

 本当に久しぶりの自慰だったのだ。ようやく気持ちよく射精ができそうだったのだ。
 それを邪魔されてしまったのだ。
 
 しかし・・・

 何とか理性を奮い立たせて、立成は自身の秘孔に突き刺していた中指を引き抜いた。
 断腸の思いだった。心の中では泣いていた。号泣だ。それも仕方ない。男としての本能を無理やり打ち消したのだから。
 中指を離した立成のケツ穴は名残惜しそうな表情をしていた。

 立成は泣く泣くベッドから起き上がるとそのままの玄関まで駆けだし、ノブに手をかけて気づく。
 Tシャツにトランクスの明らかに寝起きの姿。そして隆起してしまっている自分の下腹部。おまけにトランクスの一部には明らかな染み。ノブを回す一瞬前に立成は扉を開けることをやめた。

「お、おう、筒井、おはよう」
「どうしたの?まさか寝てた?」
「あ、いや、その」

 扉越しの会話。いくら筒井とはいえ、立成はこのままの姿は晒せなかった。
 肌着姿のまま慌てる立成。なんでこんなことになってしまったのだ。
 ギンギンに勃起した自分の息子を恨めしく思う。

(くそっ・・・ケツなんていじらないでさっさと出しちまえばよかったっ・・・!!)

 後悔先に立たず。
 まだ大会の開催までは時間があった。しかし、筒井がもう迎えに来ている。
 せっかく胴着や袴を準備していたのだが、とても今それらを着るほどの時間はなさそうだった。
 
「い、今から着替えるから!あと10分待っててくれ!」
「ええっ!本当に寝てたの?」

 呆れかえるような生徒の声を聞きながら、立成はバタバタと身支度をし始めた。
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