先生との1年間

スオン

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2年03月

2年03月 8

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「しっかり生徒たちにチンポを見てもらえましたね、先生」
「ぐっ・・・も、もういいか?・・・」
「あぁ、もういいよ先生。ありがとう。新入生の皆も勉強になったと言っていますよ」
 
 普段の学校生活ではあり得ないようなことをさせられたというのに、先生は安堵と、幾分かすっきりしたというか、憑き物が落ちたような表情をしている。
 もともと男らしい顔つきだったが、さらに精悍な顔になったように見えてくる。
 その顔付きが愛おしく見える。
 今にも泣き出してしまいそうな雰囲気は変わらずだけれども、
 きっと、これまでずっとひた隠ししてきた己の恥部を晒しだしたことによるのだろう。

 俺だって、同じようなもんだ・・・と思った。
 俺だって、周りの男と少し違うな、っていう気はしていたんだ。
 でも、それは誰でもそんなもんなんだって思ったり、ちょっと人とは違うくらいなんだってことにしていたんだよな。
 気づいた時には、やっぱり俺は他の人とは違っていて、でもそれは誰にも言えないことなんだってことがわかってしまっていたんだ。

 だから、先生に受け止めてもらえた時は、本当に嬉しかったし、楽になったんだ。
 先生もきっと・・・同じ・・・なのかな?

 っといけない。今は感傷に浸るときじゃないな。
 次の行動に移らないと・・・って!
 そんなことを考えていたら、気づいたときには、先生は膝上まで下していたボクサーブリーフをしっかりと履き直してしまっていた。

「あ、駄目ですよ先生、パンツを履いちゃあ」
「ん?」
「まだ終わっていない先生の紹介があるじゃないですか」
「はぁ?」
「とぼけないでくださいよ」

 さっきまで恥ずかしい部位をモロ出しのほぼ全裸状態からボクサーブリーフを履いたことで安心したのか、先生はきょとんとした表情をしている。
 とぼけているんじゃない。本当にわかっていなさそうだった。
 俺は落ち着いた声のトーンで囁くように先生に告げた。

「先生のお尻ですよ」

 俺の言葉で、余裕が戻っていた先生の顔が一瞬でまた赤くなった。
 教室でチンポを出して終わりだと思っていたのだろう。
 そんなわけないと、まだわからないのだろうか。
 まだ、先生が見せていない部分があるというのに。

 先生は素敵な先生だ。
 見た目も、中身も、とても魅力的な人だ。 
 でも、一番の魅力はやっぱり、先生のデカい尻なのだ。
 俺が先生と一緒に、初めて弓道場で矢取をしたときに、スーツ越しに見せつけてきた、先生のケツがそれなのだ。

「教壇の上だと見づらいですね。ちょっとこっちに下りて来てください」
「も、もういいだろ、筒井・・・」
「よく見えないと、やる意味がないですよ、立成先生」
「筒井、こんなこと、できない・・・」
「去年の冬合宿でも喜んでお尻を見せてたじゃないですか」
「あ、あれは喜んでなんか」
「ふふ、でも、お尻を見せてもいいと思ったから、見せたんですよね?そうじゃないと、自分でパンツを脱ぎませんよね?普通は」
「あ、あのときは!場の流れ上仕方なく・・・!」
「それでも、合宿中にできたんですから、今ここでだってできますよね?生徒も俺一人だし」
「いや、ここは教室・・・」

 焦っているような先生の口ぶり。
 それでも俺は先生に拒否をさせないように対応する。

 完全な拒否ができない先生は、数秒間、思考をした後に教壇から降り、教卓の前に立った。
 ちょうど、俺が座っている席の目の前だ。
 すぐそこに先生の逞しい雄の身体がある。
 この身体だけを見ると、本当に童貞なのか疑わしく思えてしまう。そんな身体なのだ。
 今にも手を出してしまいたい。むしゃぶりついてやりたい。

 そのまま先生は、黒板の方を向いた。
 俺に対して、先生の後ろ側を見せる立ち方だ。
 先生のうなじが赤く染まっているのが見える。
 再度、自分の手でパンツを下ろすという、苦行を強いられている。
 さっきまでのチンポが丸出しの状態であれば、尻を見せるには体の向きを変えるだけだ。
 だが、先生は、ボクサーブリーフを履いてしまっている。
 自分で履き直したのだ。リセットしてしまったのだ。
 そんな先生が、今、再度その身に着けたボクサーブリーフを、自分の手で脱ぎ去れと言われているのだ。
 1度、地獄から帰ってきてほっとした状態の人間に、もう一度地獄へ行けと言っているようなものだ。
 まだ、地獄に行きっぱなしの方が、救いがあったのかもしれない。

「それじゃ、まずはその場所でお尻を突き出すところから始めてみましょう」
「なぁ、筒井、やっぱりここじゃ・・・」
「先生、お願いします」
「頼む、頼むから」
「大丈夫ですよ、立成先生。新入生たちも皆、しっかり見てくれますよ」
「そうじゃなくて・・・くそっ!」
 
 先生は教卓にゆっくりと手を着いた。
 おずおずと、怖いものを触るかのような手つきだった。
 まだ躊躇しているのか、手を着いてからの動作が緩慢だった。
 先生は期待しているのかもしれない。時間が経てば、俺が諦めるのではないか。ケツを出さずに済むのではないか、と。
 そんなことはない。俺は、いつまでだって待つつもりだった。
 数秒後、決心がついたのかあきらめの境地に至ったのかはわからないけれども、先生は腰を上げた。
 教室の中で、明日には新入生たちが座るであろう机たちに見せびらかすように、緑と黒のボーダー柄のボクサーブリーフに包まれたどっしりとしたそのデカい尻を突き出した。

「パンツに包まれていても、肉厚だとわかる大きなお尻ですね。素晴らしい、立派なお尻ですね」
「ぐっ・・・」
「ボクサーブリーフ越しにケツの割れ目までしっかり見えていますね」
「やめろ、筒井・・・」
「いいじゃないですか、世界史教師なのに、体育教師顔負けのデカ尻ですよ」
「言うな、言わないでくれ・・・」
「どうしてですか」
「・・・恥ずかしいからだ」

 教卓の板上に額を擦り付けそうにしながら、絞り出すような声で俺と会話する先生。
 追い詰められているような雰囲気だ。
 お尻を見られることが、そんなにも先生を苦しめることなのだろうか。

「そうですか、恥ずかしいんですか」
「当たり前だ!だ、誰だってそうだろ」
「でも、男性だったら、お尻くらい見られても、って感じじゃないですか?」
「それとこれとは・・・」
「何が恥ずかしいんでしょうね」

 俺はいじわるな声色で先生を問いただす。
 先生は忘れてしまっているかもしれないが、だいぶ昔に、先生から聞いた記憶があるのだ。
 それを再度、先生の口から言わせてやりたい。
 もっと先生を辱めてやりたい。
 この場で。この教室で。先生が先生としてふるまうべきこの教室で。
 何を言っても問いを返して来る俺に対して、先生は観念したように応えてくれた。

「は、恥ずかしいんだ、ケツがデカいのが・・・」
「はい?」
「こ、コンプレックスなんだ・・・お、俺、ケツがでかいのが、コンプレックスで・・・」

 掠れるような声だった。
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