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2年12月
2年12月 2
しおりを挟む今日の部活は、年内最終日の活動だ。
最終日には、普段通りの部活の他に、年末の弓道場の大掃除もする。
年末の大掃除は毎年の恒例だけど、今年は違うところがある。
今日のその日は泊まりだ。
夏合宿で使った、学校の施設をまた使うのだ。
普通に練習した後、夕方から掃除をするだけのものなんだけど、先生がたまにはイベントみたいなものもいいんじゃないか?ということで、泊まり込みになったのだ。
掃除といっても、ハードに汗をかくような部活でもないし、泥だらけになるようなこともない部活だから、そこまで大変なものでもない。
普段掃除しないような箇所をきれいにしたり、部活で使う的紙をすべて張りなおしたりするくらいだ。
年末最終日の1日目は100射会だ。
文字通り、100本矢を撃って、的中数を競う。
これは毎年恒例ではある。年末以外にも、定期的にやっている。
部内での的中数だから、そんなに競うものでもないのだけど、明確に競争になるから、みんな誰よりも多く当てようと意気込む。
だから、普段の練習と比べて、より試合のイメージに近いものになる。
おまけに100本も矢を撃つのだから、午後になると体力的にも精神的にも、持たなくなってくるのだ。
午前のうちは、1年たちもなかなかの的中を見せてくれた。
1年たちも、ワイワイと楽しそうに、的中を競い合っていた。
夕方近くになるにつれ、体力と集中力が切れたのか、右肩下がりになっていく。
当然俺もそうなのだけれど、経験の差を見せるためにも、何とか食い下がり、100射会のトップは守ることができた。
「やっぱり先輩は強いですね。さすが地方大会いけるだけあります」
「いや、川崎もなかなかだぞ。俺の去年の的中なんかよりはるかにいい」
「そうですか?でも、最後辺りはもうボロボロでした」
「ペース配分もあるけど、まぁ、疲れた時に自分がどうなるかがわかっただけでもよかったと思うよ」
100射会がおわると、道場の掃除をする俺たち。
普段は床を拭くくらいの掃除だけれど、窓や更衣室なんかもきれいにする。
掃除だけでなく、練習に使う的も全部貼り直す。
50個近い的をすべて道場に運び、的紙を破って新しい的が身
矢が刺さって割れている的枠は処分した。
12月だからすごく寒い。
まだ雪は積もっていないないけど、風が身体に突き刺さる。
そんな中の大掃除はきついものがあるけれど、今年は1年が11人と多いから、俺は楽できちゃったな。
大掃除を終えると、道場を後にして、俺たちは宿泊施設へと向かった。
先生は先に施設に戻っていて、少しだけ準備をしていてくれている。
外はかなり寒かったけど施設の中は大分暖かかった。
宿泊施設に帰ってからは、今晩の支度の準備だった。
2階の雑魚寝部屋で布団の準備をしながら、川崎が話し出す。
「明日で今年の部活も最後なんですよね。早いな~。最後だし、何かみんなで遊びたいですよね。レクリエーションみたいな」
「えぇ・・・面倒じゃない?」
「筒井さんってそういう所結構ドライですよね。楽しいですよきっと」
「そうか~?」
「ふふっ、じゃあ俺の方で考えておきますね!」
風呂と夕食を終えた俺たちは、川崎によって施設の広間に集められた。
畳の広間に、1年11人と俺、そして先生が密集していた。
「皆紙は行き渡りました~?じゃあ、その紙に、1つだけ罰ゲームを書いてくださ~い」
「え、罰ゲーム?」
「はい。書いた紙を回収して、」
「はぁ?何だよそれ」
「それって面白いのか・・・?」
「面白いよ、きっと!」
周りの1年たちも困惑している。
とんでもないことを言い出したな・・・
これってレクリエーションなのだろうか・・・?
しかも、聞いた感じだと、とくにご褒美らしいものもないみたいだ。
先生の方を見ると、にやにやと笑っている。
くそっ、他人事だと思って・・・
そう思っていると、川崎は先生にも紙を渡しだした。
「先生も参加ですよ!」
「えぇっ、俺も!?」
「当然です!ちゃんと書いてくださいね!」
「マジかよ・・・」
先生も参加するのか・・・
もしかしたら、俺が書いたことをやらせることができる可能性があるってことだよな・・・
そう考えると、いろんな妄想が次々と湧き上がってくる。
でも、これって俺がやる羽目になる可能性もあるんだよな・・・
そう思うと、あんなことやこんなことをかくのを躊躇ってしまった。
俺たちの書かれた紙は回収されて、ビニル袋に入れられた。
そこからは地獄絵図だった。
一人ひとり、ビニル袋から取り出したくじの罰ゲームを実行していく。
恥ずかしいもの、くだらないもの、意味が分からないもの・・・
俺は引いた紙が、たまたま「歌を歌う」という、無難なものだった。
まぁ、これはこれで、白けた空気になったけれども・・・・
これって何のためにやっているんだ・・・?
そんなことを閑雅ていると、俺も含めて、全員がくじ引きを引き、それぞれの罰ゲームを実行した。
先生以外は。
「じゃ、最後、先生の罰ゲームね!」
「くそっ、俺のは簡単な奴で頼むぞ!」
「えーっと、はい、ケツバット3発です!」
「な、何ぃ!?」
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