先生との1年間

スオン

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2年10月

2年10月 4

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 その後、二人でベッドに入った。
 俺はいつものTシャツにハーフパンツ。
 先生も同じようにな白のTシャツに青のハーフパンツだ。
 さっき履いてもらったケツ割れは脱いで、黒のボクサーブリーフに履き直して、だけど。

 今日のホテルもなかなかの暑さだ。相変わらず温度調節が極端だ。
 だから、掛け布団は最初からかけない。

 明かりは少し灯す程度だ。

「先生、改めてだけど・・・」

「ん、なんだ」

「お誕生日、おめでとう」

「・・・あぁ、ありがとうな。エロいパンツくれやがって」

「えへへ、似合ってたよ。そういえば、今月のいつが誕生日なの?」

「月末だよ。まだ大分先だ」

「えぇ!じゃあ、ほぼ来月じゃん」

「まぁ、そうだな」

「32歳だっけ?」

「あぁ。うわぁ、俺、そんな歳になるのか」

「もうすぐおじさんだね」

「うるせぇ」



 俺は先生の方を見ながら。
 先生は仰向けで天井を見ながら。
 枕を並べて、布団の上での会話。

 昨夜は先生は酔っぱらってて、ベッドでは寝るだけになったけど、今日はまだ寝そうにない。

 あんまりしゃべると、もう寝ろ!って言われてシャットダウンされるかもしれないけど、気持ちがワクワクするから止められなかった。

「よく考えたら、先生とベッドで二人で寝るって、変な感じだね」

「・・・確かにな」

「俺は嬉しいけどね!」

「まさか野郎と同じベッドで寝るとはなぁ」

「あ、ひどい。こんな可愛い生徒に向かって」

「へっ自分で言うから可愛くないんだよ」



 
「先生さ、彼女と寝るときも、今みたいな感じのおしゃべり?」

「な、何だよ急に」

「どうだったんだろーって思って」

「まぁ、こんな感じだったんじゃねぇの?」

「ふーん。ちょっとつれない感じだね」

「そうかぁ?」

「何て言うか、淡泊っていうか」

「何言ってんだよ」 



 ずっと話していたかった。


 しばらくしたら、俺の話の引き出しもなくなっていき、なんとなく沈黙も多くなっていった。


 
「おし、もう寝るぞ」

「はーい、おやすみなさい」

 部屋の明かりを薄くして、二人とも睡眠モードに入る。

 急に目が覚めてしまう。

 ホテルの部屋はあいかわらず暑い。
 少し汗をかいている。
 喉も渇いた。

 今何時だろう。スマホを見ると午前2時だ。

 変な時間に目が覚めちゃったなぁ。

 隣の先生に目を向ける。
 先生は眠っているみたいだ。当然か。

 まずいなぁ。飲み物を取りに行きたいんだけど、先生を乗り越えて起こしちゃいそうだな。
 どうしよう。
 でも、このままだと限界だ。

 そーっと、布団でぐらつく足元だけど、慎重に先生のデカい身体を乗り越える。

 部屋に備え付けの椅子に座り、冷蔵庫に入れていたお茶を飲む。
 生き返ったような気持ちになる。
 ぼんやりとベッドで寝ている先生を見る。
 明日も大会だ。大会が終わると、当然家に帰る。
 そうなると、今日が先生と同じ布団で寝るのも最後なんだなぁ。

 しんみりした気持ちになった。
 せっかくの県大会だったけど、いい思い出になったなぁ。
 明日の大会、入賞すれば地方大会に出場なんだよなぁ。
 できなかったら、来年の春まで大きな大会はない。
 だから、この大会で終わってしまったら、しばらくは元の生活に戻るんだなぁ。
 もし、明日入賞したら、また先生とこんな感じで旅行できるってことだ。

 ちょっとワクワクしてきた。
 絶対、明日は皆中だそう。そして、⒒月の地方大会に・・・

 1人で深夜2時にやる気に燃えるのもどうかと思うけど、なんだかやる気がわいてきた。
 こうなったら、いけるところまで行ってやろう。

 そうなったら、今大事なのは、睡眠だ。
 明日、全部の射を集中して行おう。

 先生をもう一度飛び越えて、

 先生、おやすみ。明日は絶対入賞するから応援してね。

 
 先生に背を向け、壁の方を向き、目を閉じた。 

 そうした瞬間、急に先生が俺の方に寝返りをうってきた。

 へっ?

 何かの夢をみているのだろうか?
 先生が俺の方に腕を回してきた。

 あっという間に先生に抱き着かれた。
 俺の背後に先生の身体がある。
 背後から抱き着かれてしまったのだ。

 唐突な抱擁に驚き何もできなかったが、抱き着かれた後も、俺には何もできることはなかった。

 いや、振りほどけばそれで終わるんだけど・・・

 でも、先生からバックハグされていると思うと、また嬉しくって・・・

 うっ、人がせっかく純粋にやる気を出したって時に・・・

 これじゃ、また明日も寝不足になっちまうなぁ・・・
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