先生との1年間

スオン

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2年08月

2年08月 1

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 夏休みだ。

 といっても、俺が通う高校は“一応”地方進学校だ。夏休みといっても、補講が多くあるから、ほとんど毎日学校に行かないといけない。だから、あまり休み感がないんだよな。

 まぁ、補講がなかったとしても、部活があるから結局毎日学校に行かないといけない。


 1年前は、夏休みに学校に行くのはだるいだけだったけど、今は全然そんなことない。

 毎日、先生と会えるってことだからな。


 夏休みに入ってからの部活では、1年はとうとう弓矢をもち、的に向かって撃ち始めさせた。

 まだ、撃ち始めて間もないから、見る方がおっかないところもある。

 けれど、1年たちもようやく弓道部らしい練習ができるようになったから、前よりも楽しそうだ。

 相変わらず、俺は部活の時間のほとんどは1年の面倒を見ることに充てているけれど。

 1年に矢を撃たせることを指導していると、教えるってことは、自分が理解していないといけないことがわかった。

 最近、いままで自分がいかにテキトーに練習していたか、これでもかってくらい痛感する。

 そんなことを部活後の練習時間に先生に話したら、先生は嬉しそうにしていた。

「筒井も成長したんだな」

 褒められたのが、少しだけ恥ずかしかった。



 夏のお盆前。

 弓道部では毎年恒例の合宿がある。

 合宿といっても、どこか遠くに遠征したり、他校と泊まり込み練習ってわけでもない。


 練習は普通に学校の弓道場。

 高校の近くに小さな一軒家のような施設があり、そこに泊まるだけ。

 他の部活は、遠征にいったりしてるが、弓道部はそんなものもなく、これくらいが夏のイベントだ。、まぁ非日常でそれなりに楽しいイベントだとは思うけど。

 練習内容も普段と同じ。夏合宿特別メニューなんてない。本当に、ただのお泊り会みたいなイベントだ。

 でも、今年は先生がいるんだ。それだけで、特別だ。スペシャルだ。

 去年も、顧問の先生は施設に泊まっていた記憶がある。

 面倒見がいい立成先生だから、自分だけ家に帰るってこともないだろう。

 先生と1つ屋根の下で、2泊3日過ごせる・・・!

 何かするってわけじゃないけど、楽しみだった。



 1日目の夜。普通に弓道場の練習を終えて、みんなで作ったカレーを食べる。そのあとは自由時間だ。

 強豪校だと、その時間も部活のようなことをしそうだけど、俺の高校だとそんなことはない。本当に自由時間だ。

 自由時間だけれど、特にすることもない。高校の周りは田んぼと畑と住宅街だし、店なんてスーパーやコンビニくらい。繁華街まで行くには自転車で20分くらいかかる。

 今さら、夜に遊びに行くなんて場所もなかったから、各自小さな施設内で好き勝手に過ごしていた。

 俺は特にすることもないから、居間の畳の上で持ち込んだ週刊誌をなんとはなく読んでいた。

 周りには数人の1年がワイワイしている。初めての部活のイベントっで、テンションが上がっているみたいだ。

 他の1年は、俺達生徒が雑魚寝する部屋で、スマホげーで対戦している。

 先生は、机で何かPCを叩いていた。今はTシャツとハーフパンツという、俺たちと同じようなラフな格好だ。

「先生、何してんの?」

「仕事。この家を使ったら学校に報告書がいるみたいだから、今のうちに作ってる」

「へぇ~大変だねぇ」

「このくらいなら簡単だ。あってないような報告書だからな。・・・おしっできた」

 先生はノートPCを畳むと、椅子に座ったまま伸びをした。


 急に1年が言い出した。

「ねぇねぇ、みんなで筋トレしよーぜ!」

「いいね!やろー!」


 えぇ・・・夜なんだからゆっくりしろよ・・・

 どんな流れでそんなことを言い出したんだ?


「筒井さんも、もちろんやりますよねぇー?」1年の川崎が俺にまで声をかけてきた。

「俺、さっき風呂入ったんだけど・・・」

「えぇ~、やりましょうよ~」

 断りずらい・・・つーか、俺に猫なで声をだすなよ・・・

 悪意はないんだろうけどね。

 苦笑いをしていると、先生がニヤニヤ笑いながら俺を見ていた。くそっ、他人事だからって。


「先生もやろーよ!」言い出しっぺの川崎が先生も誘った。よし、ナイスだぞ。

「えぇっ俺も?」

「そうだよ。」

「そうだね。それに先生は最近少しデブってきたしいいんじゃない?」

「うっさいぞ筒井!!」

「よしっ、じゃあ決まり!先生も筒井さんも、みんな畳に集合!」

「あぁ!もう!仕方ねーなー!!」

 先生も混じっての夜の筋トレが始まった。

 先生に対して、さっきのお返しとにやにやし返す。先生は苦笑いをしたけど、楽しそうだ。


 畳の部屋で、6人が円になった。

 仕切りたがりの1年に言われるがままに、筋トレをスタートした。


 腕立て伏せ、腹筋、背筋・・・

 筋トレは嫌いなんだよな。やっぱすごいきつい。俺、筋肉ないからなぁ。

 1年たちも最初はノリノリだったくせに、へばっている。

 弓道部なんて選ぶ連中だ。そこまで筋肉があるやつはいない。おまけに今日は暑い中の練習だったし、慣れない矢を撃つ練習の後だから、みんな身体がプルプルさせている。

 唯一、きびきびと身体を動かしているのは、先生だった。

 俺もびっくりした。先生は普段部活でも、上座の畳で胡坐かいているか、俺と一緒に矢を取りにいくかぐらいだ。まともに運動しているとも思えない。

 さっき少しからかったように、最近太っているみたいだけど、昔身に着けた筋肉はまだ健在のようだ。

 確かに身体はでかいし、腕や脚も太いよな。

 学生時代に鍛えた賜物なんだな。でも、アーチェリーってそんなに鍛えるのか?

 1年たちも興奮して先生をはやしたてる。

「せんせーすげー!実はやればできるってやつ?」

「はっはっ。こんくらい当たり前だ!」

 すました顔で返しているけど、息はすごく荒かった。

 結構無理をしているのか?

 もしそうだとしたら、可愛いところもあるじゃん。

 
 ちょっとだけ休憩した後、今度は下半身への筋トレが始まった。

 床に手をついて脚を後ろへ蹴り上げたり、つま先立ちを繰り返したり。

 これを何度も何度も、制限時間の間ひたすら繰り返すトレーニングだった。

 これはしんどかった。1つ1つの動作をするたびに、太股やふくらはぎがが悲鳴を上げる。

 そんなものの後にスクワットを30秒をやらせるんだから、もう汗だくだ。

 1年たちも悲鳴をあげている。

 最後は、スクワットホールドだ。両足を広げて膝を曲げた状態をキープする、いわゆる空気椅子だ。
 
「これ、最後まで我慢できた人が優勝ですよ!」

 筋トレ好きの言い出しっぺの1年がとんでもないことを言った。つまり、エンドレス。自分との闘いってわけだ。

 開始数秒で両脚はもうプルプルだ。何が優勝だよ・・・

 でも、最初にギブアップはかっこ悪いよな・・・

 なんとか、最初に1年が1人崩れ落ちるのを待って、俺も畳にへたり込んだ。

 き、きつすぎる・・・アスリートならこれを1日に何セットもやるんだろうから、やっぱすごいよな。

 俺が倒れた後も、そう時間を空けずに1年たちも次々と倒れていき、最後に残ったのは言い出しっぺの1年と先生だった。

「おい、先生に負けんな!」

「当たり前だ!」

「先生、無理しちゃだめだよ!年なんだから!」

「無理してねーし年じゃねーよ!」

 2人とも何とか応対しているけど、表情は辛そうだ。

 ギブアップした1人の1年がにやににゃしながら、先生のそばに近寄る。

「先生、ほら、頑張って!」

「ぐわっ!!やめろって!」

 1年の手が先生のケツを撫で上げた。スクワットホールド中だから、両脚を広げてケツを突き出す体勢だ。まさに、『ケツを触ってくれ!』とお願いしている状態だ。

 うわ、あいつ・・・!俺も今まで散々先生を触って気だけど、ちょっと許せない・・・!う、うらやましい・・・!!

 その後も1年は先生のケツを触るだけではなく、揉みしだきだした。

「はっはっは!はーっ、そんなんじゃ全然効かねーぞ!オラオラ!」

 先生は汗だくだけどにやにや笑いながら、ケツを触った1年にアピールするように、突き出したケツをフリフリと振り出した。

 紺色のハーフパンツに包まれたたでかいムチムチしたケツを、スクワットホールドの状態からさらに突き出すようにしてケツを振った。迫力あるケツ振りだ。

 もう少し落ち着いた雰囲気だったら官能的なんだ。例えば、俺と2人っきりのときにあんなことやられたら、俺はもうたまんないだろうな。でも、今のみんながいる状況だ。ギャグでしかない。

 爆笑する1年たち。俺もおもわず笑ってしまった。

 先生は調子に乗ったのか、ケツを振りながら顔をこちらに向けながら馬鹿にしたような

「どーだ!15歳のガキ共に負けるわけにはいかねーからな!」

「なんだと~、よし、それじゃあ!」

「うわっ!」

 挑発に乗った1年が、先生のハーフパンツをガバっと勢いよく下げた。

 先生は両脚を広げているから完全には下がりきらなかったけど、中に履いていたボクサーブリーフが丸見えになった。

 ケツを突き出しているから、ボクサーブリーフの柄もよく見えた。ネイビー地に緑色のドット柄のパンツだ。

「おい、何をしやがる!」

「先生、可愛いパンツだね!」

「すげぇセクシー!」

「ケツでけえ!」

「うっ・・・」

 最初、先生は本当に恥ずかしそうにしていた。顔が赤いのは、筋トレの疲労だけではなさそうだ。

 そりゃそうだろう。自分が顧問を務める部員たちの前で、グッとケツを突き出した状態。そんな状態でハーフパンツを下ろされ、自分が履いているボクサーブリーフとデカイ尻を見られ嘲笑されているんだ。しかも自分1人があられのない姿なんだ。たわいもないおふざけだとは分かっていても、完全に見世物のような扱いだ。教師として、大人として、羞恥や屈辱があったと思う。

 けど、ズボン下ろしをされただけでおろおろと羞恥していると思われるのもかっこ悪いと思ったのか、ハーフパンツを下した1年に怒ることもなく、先生はさっきみたいにケツを突き出してフリフリしてみせた。

「コラ!お前のせいで、先生のお気に入りのパンツ、みんなに見られちゃっただろー!恥ずかしいだろー!!」

 先生は脱がされる前よりもさらに大きくケツをフリフリした。皆で爆笑した。

「おらぁっ!!」

 みんなが笑ったことで先生は振り切れたのか、自分のTシャツの裾を背中が見えるほどたくし上げ、ハーフパンツも自分で膝まで下した。

 パンツがもろ見え状態だ。ほぼパンツ一丁の姿だった。

 隠す衣類がなくなったからわかったけど、今日の先生は腰上も股下も短めのマイクロボクサーブリーフを履いていた。
 
 ピッチピチのパンツだ。普段の先生は、丈が普通くらいある、悪く言うと野暮ったい、良く言うとノンケらしいボクサーブリーフを履いている。もしかしたら、あのパンツ先生にとっては勝負パンツの類なのかもしれない。「お気に入りのパンツ」というのも、もしかしたら本当なのかも。セクシーで、体のラインがわかるいやらしいパンツだ。そんなパンツにでかいケツを包んで、さらにグッとケツを突き出しているから、元は小さい緑色のドット柄が、でかいケツに引っ張られて少し大きめの水玉模様になっていた。

 その状態で、ケツを振り続け、さらにグラインドをつけるように円を描くように回しだした。まるで尻文字を描いているみたいだ。
 
 完全に道化師だ。おどけてやっているんだろうけど、身体もでかいしケツもでかいから、迫力がある雄のケツ振りだ。

 みんな笑う。先生も笑う。唯一残っていた1年も、笑ってしまって力が抜けて、倒れこんだ。
 
 俺もみんなに合わせて笑っていたけど、“ここまでやったんだ。もう、パンツも脱がしちゃえよ・・・!”
 
 そう心の中で1年に部長指示をしたけれど、そこから先生がさらに肌を露わにすることはなかった。

 その後も、先生はそのままボクサーブリーフ丸出しの状態でスクワットホールドをやり続けた。

 プルプル震えながら頑張る先生の姿は、雄らしくもあり、可愛かった。




 ・・・しかし、あいつら小学生か?やることがガキすぎんだろ!

 いや、俺も今まで、先生にあんなことしてたようなもんか。

 ってことは、俺って先生から、相当ガキだと思われてる?

 ・・・ちょっとだけ、自分の行いを改めようかな・・・

 

 先生がようやく倒れたそのあとも、1年たちは先生で遊んでいた。

 今までも雰囲気が悪いってわけではなかったけど、今日で大分打ち解けたみたいだ。

 さっきのこともあったから、ぶっ倒れた先生にしつこく執拗に身体を触らるやつもいた。

 あきれた先生が、また「おらおらっ!」と言って、今度はそいつの顔に自分の腹を押し付け、ぐりぐりさせた。
 
 きゃっきゃと騒いでいる。

 ・・・今のは羨ましいかも・・・

 ・・・お、俺も混ざろうかな?


 と思ったけど、先生とは、いつも二人きりの時に遊ばせてもらってるもんな。

 たまには先生と一年と交流してもらおう。  

 1年も先生も、楽しそうだ。

 俺は先生と1年たちがじゃれあっているのを、変な目線にならないように気を付けながら見守った。

 夜が更けていった。

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