先生との1年間

スオン

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2年05月

2年05月 4

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 再度やらせてみる。筒井はスマホを撮影モードのまま川崎に渡し、先生の背後に回る。

「後ろ・・・右側に軸がぶれてます」両肩に手を置かれる。


「ゴムを引くとき、腕に力が入ってるよ。もっと骨で引くイメージで」

 二の腕を握る。太い。少したるんだように見える腕だが、力を入れるとやっぱり固い。

「あと、丹田っていって、ここに重心をおくんですよ」

「ぬおっ・・・そ、そうか」

 筒井は立成の臍の下のあたりに触れた。

 立成の臍は毛におおわれていて、へその下に毛が連なり、陰毛へとつながっていることがわかる


 立成は、川崎の方を見ている。筒井がテキトーなことを言って、セクハラをしているんだと疑っているようだ。

 川崎がスマホを構えながらうんうんうなずいてくらたため、嘘ではないと思ってくれたようだ。さすがに、弓道のことで嘘は言えない。


「そこが丹田っていうのはわかったが、いつまで触っているんだ」

「あ、ごめんなさい、触り心地がよくて」

「また馬鹿にしやがって」


 立成はゴム弓のゴムを引く。

 上腕が開かれ、普通よりも多めに生えた、長い腋毛が見える。

 今日は少し暖かったからだろうか。汗をかいていたのか、少しだけ匂いがした。

 立成から感じる雄味に眩暈を感じそうになるが、落ち着いて指導の体裁を保つ。


「あと、立ち方が問題なんだよね。テキストにも書いてあったと思うけど、弓を引くときって、実は上半身は前の方に傾けるんだよね」

「それは覚えてるぞ」

「それをやるには、上半身も大事だけど、それ以上に足でしっかり支えるようにしないといけないんだよね。なんていうか、丹田から地球に向かって、体重を全部預けるような感じで」

「・・・何を言ってるんだ?」

「えっとね、なんていうか、丹田に自分の内包するエネルギーを置いておくっていうか・・・そうすると、太股がかかとまでがビシってきまるんだよね」

「すまん、本当にわからん」

「うん、えっとね・・・ごめんなさい、うまく伝えられないや・・・ごめんなさい」

 筒井はほんの少しだけ、シュンとした表情をする。

「いや、悪い悪い。まぁ、なんとなく、というか、イメージは伝わってるぞ」

「ごめんなさい・・・」

「いいからいいから。さ、もう1回教えてくれ、筒井先生」

「わかりました。じゃあ先生はズボン脱いでください」

「・・・・は?」


 本当に気が抜けた答えだった。


 筒井が言うには、弓道は立ち方1つですべてが決まってしまうことから、徹底的に指導したい。

 立ち方には重心や脚の移動といったものが大切であり、そのためには筋肉の動きが六わかるようにする必要があるのだ。

「そ、そんな変わらないだろ!!」

「それが結構よかったんですよ。大分射型がよくなりました」川崎からの援護射撃。

「ぐぐ・・・」


 はぁ、とあきらめのため息をついて、立成はその身をさらすことにした。


 手に持ったゴム弓を道場の床に置く。

 立成がベルトの留め具を外し、緩める。

 ホックを外し、ファスナーを下げる。

 そして、スラックスを下ろしていく。

 道場の真ん中で、2人の制服を着た生徒の前で。

 上半身裸、下半身はライトグレーのボクサーブリーフ一丁に黒靴下の、あられのない姿をさらす教師。



 やった。筒井は改めて教師の身体を眺める。


 太い胴回りから、さらに大きな尻周りをしている。

 ボクサーブリーフの特性で、布で覆われているにも関わらず立成の局部が強調されていて、まぁまぁのサイズがあることがわかる。

 そして、スラックスを着ていてもわかっていたが、本当に尻がでかい。

 縦にも長く、横にも張っている。本当にでかいケツだ。逞しいケツだ。

 そのでかいケツにより、ボクサーブリーフの生地がパンパンと張っている。逞しいケツを「見ろ」と強調するかのように。

 下着で隠されない太股は筋肉が張っていて、全体的に毛に覆われている。

 膝から下の両足も同様に太めで毛で覆われ、黒靴下へとつながっている。

 思わず唾をのんでしまった。  
 
「じゃ、先生、もう1回最初から・・・・」

「あ、あぁ」

 立成はボクサーブリーフ一枚の姿で、弓道の型をとる。その背後に立つ制服姿の筒井。

 弓道の型の指導が再開する。 

「脚はここだけど、太股より上がたおれるように・・」

「ぐっ・・・」

「両肩はもっと広げて」 

「・・・・」

「上体が少し左だね。もっと中央に戻して」

「う」

「腰の重心が前に出ないように」

「!!!」


 立成は、必死に自分の心がざわつきを抑えていた。

 生徒に、パンツだけを身に着けた状態の己の身体を触られている。

 やましいことは何もない。だが・・・

 それでも、この非日常な状況と、いたって真面目な弓道の指導、そのギャップにより、いつもよりも五感が研ぎ澄まされてしまっている。


 筒井は、身体を立成に密着させる。

 教師の晒された肢体の、肩に、胸に、腕に、腹に、腰に、尻に、腿に、掌で触れる。

 触れる部分はどこも温かく、固い。 

 人肌であることを感じる。

 最初、こんなことを言い出した時は、脱がせられたらラッキー、断られたとしても、いつものお約束のおふざけということにできる。その程度の感情だった。

 それでも、いざ指導を始めると、筒井の中には、やましい気持ちやイタズラ心は、あまりなかった。

 立成の貫禄のある大人身体にを、至近距離で見るだけで、その手に直に触れれるだけで、本当にドキドキしてしまっていた。


 もう、このまま、両手で・・・

 って、まずいかも・・・




 型の練習が1通り終わった。筒井は気持ちを元に戻す。過剰にいつもの生徒を演じる。

「すまんな、筒井、今日はありがとう」

「いいえ~大丈夫です」

「やってみると結構しんどいな」

「でしょ。動かないっていうのも、逆に大変だなって思うよね」

「最初はてっきり、俺にまたイタズラするために言い出したと思ったんだが」

「あ、やっぱりそう思っちゃいました?さすがに、弓関係で変なことはしないつもりだよ。これからもちゃんと指導してあげますからね!」


 教師と生徒らしい信頼のある会話。だが。


「あ」
 
 とオーバーに、筒井はにやにやしながら。

「でも先生、おしっこするときは、ちゃんと切った方がいいよ」


 立成はぽかんとする。

 急に場面に似つかわしくない単語がでてきたからだ。

 意味が理解できないようだ。

 にやにやしながら、筒井は目線を教師のボクサーブリーフの股間に移した。

 下着のライトグレーよりも濃い色のシミが、数滴ついていた。

「あっ!」

 立成の顔が羞恥で一気に赤面する。

 自身の見つけていた下着の前についている染み。

 道場に入った後、小便をした際の、雫の切れが十分ではなかったのだろう。

 それはまさしく、小便染みだった。

 そんな状態で、生徒2人の前でパンツ一枚の姿をさらしていた・・・



 あわてて両手で股間を隠そうとする、のだが、隠す方がより恥ずかしいと感じたのか、立成の身体に動きがない。

 下着を汚していることを生徒に指摘されたことで、放心したのか、殴ってきたりはしないようだ。

 一瞬、道場内が静寂に包まれる。筒井が思っていた展開とは少し異なった。

 ・・・逆にまずいか?それじゃあ・・・

「それとも、これはおしっこじゃないものでできたシミかも?」股間部をなぞるように触った。

「ふぁ・・・」教師の口から変な声が漏れた。それでいつもの調子を取り戻した。


「くそっ筒井この野郎!」

「ふふ、これは今日の授業料ってことで・・・あぁ痛い痛い!」


 立成はまたもや筒井の首を絞めてくる。

 いつも通りの対応。それに安心する。

 苦しいが、また身体を密着させてくれてうれしい。

 川崎を見ると、にやにや笑いながら、スマホを構えている。

 ずっと撮影してくれてたんだな。やるなぁ。

 このお約束が終わったら、先生にそれを教えてやろうか。また、恥ずかしがった顔をしてくれるかな。

 でも、データを消されたらいやだから、やめておこうか。悩ましい。

2年05月 終
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