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2年04月
2年04月 3
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その後は筒井も袴に着替えて練習に参加した。今日のメニューが終わり、3年生たちは帰宅する。
上座に座っていた立成は、部活の終わりを察して、胡坐をかいて伸びをしている。さすがに、よく知らない競技をずっと見ているというのも退屈だったんだろう。
「先生、お疲れ様。部活はこんな感じでやってる」
「あぁ。ずっとひたすら矢を射るんだな。アーチェリーの練習もこんなもんだった」
「ねぇ、顧問の先生ってさ、一応協議の指導もする必要があるでしょ。だからさ、先生も、弓道やってみない?」
「ん?当然そのつもりだが」
「本当?やった!」
大げさに喜んで見せた。その喜びは本心だった。
筒井は立成に薄いテキストを渡す。
「これ、射法八節っていって、弓道の構えとかが書いてあるやつだよ。毎年新入部員に渡しているやつなんだけど、先生にもあげるね」
「おう、ありがとう。すぐに覚えて、筒井よりうまくなってやる。」
立成はまた、にやっと笑って言った。思わず、筒井も笑顔になる。
「えぇ、本当?頼りにしちゃうなぁ。じゃあさ、胴着とか袴とか、矢とかも注文しないとね。先生、手ぇ出して」
先生は両手を差し出す。俺はその手をつかむ。
体がでかいからか、手もでかいように見える。少し色黒の手には、手の甲や指にも毛が生えている。
「先生、でかい手だね。握力強そう。弓掛は大きい方のサイズがいいね。次は足袋。足のサイズは?」
「靴は28センチだ」
当然のように聞きながら、筒井はメモをしていく。
最初は普通に、ごく当然のこととして、立成のことを聞いていたのだ。
「じゃあ次は矢のサイズだね。腕を横に伸ばして」
すっかり立成は筒井の言う通りに体を動かす。腕の長さをはかり、ちょうどいい長さの矢のサイズをメモする。
「あとは胴着と袴だね。実際に着てみた方が早いから、更衣室に行こ」
そう言って更衣室に2人で入る。
「先生は身長何センチ?見た感じすごい大きいよね、180ありそう」
「残念ながら180丁度なんだな。俺も、あとすこしだけ高くなりたかったんだが」
「へぇ、いいなぁ。俺、177だからさ、180にはなれないんだよね。いいよね、180あると」
「大して変わらんだろ」
「全然ちがうよ!あ、体重は?」
「・・・胴着に体重は関係あるのか?」
「せっかくだから教えてもらおうかなって・・・・」
「・・・実は最近太ったるんだ。今はたしか85キロぐらいだったかな。腹がやばいんだ」
「どれどれ。あ、結構ありますねぇ」
そういって冗談ぽく両手を先生の脇腹にあてる。少しだけ柔らかな感触と、先生の体温を掌に感じる。
「ぬおっ、や、やめなさい!」
冗談ぽく頭をはたかれる。
「いてて。でも、先生全然太ってないと思うよ。これは本当」
「そうか?全盛期はこれでももっと締まっていたんだぞ」
「それっていつ?」
「十年前だな」
「無茶苦茶前ですねぇ。って、先生って何歳なの?」
「31だ。今年32になる。って、胴着はどうした。」
「あ、そうか。ごめんなさい。ちょっと先生のことが気になっちゃってさ。へへへ」
これは嘘ではない。
「じゃあ、胴着を着てもらうので、上を全部脱いでください。」
「全部脱ぐのか?」
「弓道の試合とかだとさ、胴着の下はシャツとか着ないときもあるんです。だからその時のイメージをしやすいように」
「あぁ、なるほどな」
そういって立成は納得したようだ。
立成は青と赤と白の斜め縞のネクタイを緩ませ始める。実はこの話は半分本当半分嘘で、実際は中にシャツを着ていたとしても、弓道の動作にはほぼ影響なんてない。
しかし、立成は弓道なんてしたことがないため、筒井の言ったことを全部信じてしまうようだ。結構単純というか、筒井のことを信用しているのか。
立成は緩めたネクタイの結び目を外しシュルっと首元から取り除くと、水色のワイシャツのボタンを外し始める。
筒井は教師が服を脱いでいく様を至近距離で見ることができる悦びを、今更ながらに感じる。
「・・・なんだか、生徒に見られながら脱ぐっていうのも、少し恥ずかしいな」立成の顔は少しにやけている。
「大丈夫ですよ」何が大丈夫なのかわからないが、とりあえずそう応える。
ワイシャツの下は、白の無地シャツだった。立成は両手をクロスさせ、がばっとまくり上げるようにして脱いだ。まくり上げた瞬間、筒井は当然の権利の行使のように、先生の身体を見つめた。
あぁ、やっぱりスーツ姿から想像したとおり、大きな身体だ。胸や腕は太く逞しく、上腕二頭筋や大胸筋は、ほどよく発達している。
ボディビル選手のようなバッキバキの筋肉ではない。自然な筋肉だ。胸筋の上には、体のサイズと比較すると小さい乳首が、控えめに鎮座していた。
胸の谷間や乳首には、長く黒い毛が生えていた。
「じゃあ、先生、これを着てください」
「はいよ。着方はこれでいいのか」
「はい、大丈夫です。じゃあ、両腕を上げたり、方を広げたりしてください。窮屈に感じなかったら、そのサイズでいいと思います」
先生は俺の言うとおり、身体を動かした。
「やっぱり先生、これは嘘じゃないですけど、かっこいいですよ。大人の男て感じ。俺とか先輩と全然違う」
「さっきのが嘘みたいな言い方なのが気になるが、褒めてくれてありがとな」
「胴着の隙間の胸毛もいい感じですしね」
「見えてる?」
以外にも、胸毛について指摘すると、立成は胴着の胸元を抑える仕草をした。
「いいと思いますよ。俺はかっこいいと思います。あ、でも女子受けはよくないかも?」
「うぅ、やっぱそうだよなぁ」
「・・・もしかして、気にしてます?コンプレックスだったり?」
「昔は気にして、剃ったりしていたんだが、剃るとまた濃くなるような気がして、やめてしまった」
「へぇ、先生にもそんな時代があったんですね。じゃあ、次は帯と袴ですね。ズボンを脱いでください」
「あぁ」
上座に座っていた立成は、部活の終わりを察して、胡坐をかいて伸びをしている。さすがに、よく知らない競技をずっと見ているというのも退屈だったんだろう。
「先生、お疲れ様。部活はこんな感じでやってる」
「あぁ。ずっとひたすら矢を射るんだな。アーチェリーの練習もこんなもんだった」
「ねぇ、顧問の先生ってさ、一応協議の指導もする必要があるでしょ。だからさ、先生も、弓道やってみない?」
「ん?当然そのつもりだが」
「本当?やった!」
大げさに喜んで見せた。その喜びは本心だった。
筒井は立成に薄いテキストを渡す。
「これ、射法八節っていって、弓道の構えとかが書いてあるやつだよ。毎年新入部員に渡しているやつなんだけど、先生にもあげるね」
「おう、ありがとう。すぐに覚えて、筒井よりうまくなってやる。」
立成はまた、にやっと笑って言った。思わず、筒井も笑顔になる。
「えぇ、本当?頼りにしちゃうなぁ。じゃあさ、胴着とか袴とか、矢とかも注文しないとね。先生、手ぇ出して」
先生は両手を差し出す。俺はその手をつかむ。
体がでかいからか、手もでかいように見える。少し色黒の手には、手の甲や指にも毛が生えている。
「先生、でかい手だね。握力強そう。弓掛は大きい方のサイズがいいね。次は足袋。足のサイズは?」
「靴は28センチだ」
当然のように聞きながら、筒井はメモをしていく。
最初は普通に、ごく当然のこととして、立成のことを聞いていたのだ。
「じゃあ次は矢のサイズだね。腕を横に伸ばして」
すっかり立成は筒井の言う通りに体を動かす。腕の長さをはかり、ちょうどいい長さの矢のサイズをメモする。
「あとは胴着と袴だね。実際に着てみた方が早いから、更衣室に行こ」
そう言って更衣室に2人で入る。
「先生は身長何センチ?見た感じすごい大きいよね、180ありそう」
「残念ながら180丁度なんだな。俺も、あとすこしだけ高くなりたかったんだが」
「へぇ、いいなぁ。俺、177だからさ、180にはなれないんだよね。いいよね、180あると」
「大して変わらんだろ」
「全然ちがうよ!あ、体重は?」
「・・・胴着に体重は関係あるのか?」
「せっかくだから教えてもらおうかなって・・・・」
「・・・実は最近太ったるんだ。今はたしか85キロぐらいだったかな。腹がやばいんだ」
「どれどれ。あ、結構ありますねぇ」
そういって冗談ぽく両手を先生の脇腹にあてる。少しだけ柔らかな感触と、先生の体温を掌に感じる。
「ぬおっ、や、やめなさい!」
冗談ぽく頭をはたかれる。
「いてて。でも、先生全然太ってないと思うよ。これは本当」
「そうか?全盛期はこれでももっと締まっていたんだぞ」
「それっていつ?」
「十年前だな」
「無茶苦茶前ですねぇ。って、先生って何歳なの?」
「31だ。今年32になる。って、胴着はどうした。」
「あ、そうか。ごめんなさい。ちょっと先生のことが気になっちゃってさ。へへへ」
これは嘘ではない。
「じゃあ、胴着を着てもらうので、上を全部脱いでください。」
「全部脱ぐのか?」
「弓道の試合とかだとさ、胴着の下はシャツとか着ないときもあるんです。だからその時のイメージをしやすいように」
「あぁ、なるほどな」
そういって立成は納得したようだ。
立成は青と赤と白の斜め縞のネクタイを緩ませ始める。実はこの話は半分本当半分嘘で、実際は中にシャツを着ていたとしても、弓道の動作にはほぼ影響なんてない。
しかし、立成は弓道なんてしたことがないため、筒井の言ったことを全部信じてしまうようだ。結構単純というか、筒井のことを信用しているのか。
立成は緩めたネクタイの結び目を外しシュルっと首元から取り除くと、水色のワイシャツのボタンを外し始める。
筒井は教師が服を脱いでいく様を至近距離で見ることができる悦びを、今更ながらに感じる。
「・・・なんだか、生徒に見られながら脱ぐっていうのも、少し恥ずかしいな」立成の顔は少しにやけている。
「大丈夫ですよ」何が大丈夫なのかわからないが、とりあえずそう応える。
ワイシャツの下は、白の無地シャツだった。立成は両手をクロスさせ、がばっとまくり上げるようにして脱いだ。まくり上げた瞬間、筒井は当然の権利の行使のように、先生の身体を見つめた。
あぁ、やっぱりスーツ姿から想像したとおり、大きな身体だ。胸や腕は太く逞しく、上腕二頭筋や大胸筋は、ほどよく発達している。
ボディビル選手のようなバッキバキの筋肉ではない。自然な筋肉だ。胸筋の上には、体のサイズと比較すると小さい乳首が、控えめに鎮座していた。
胸の谷間や乳首には、長く黒い毛が生えていた。
「じゃあ、先生、これを着てください」
「はいよ。着方はこれでいいのか」
「はい、大丈夫です。じゃあ、両腕を上げたり、方を広げたりしてください。窮屈に感じなかったら、そのサイズでいいと思います」
先生は俺の言うとおり、身体を動かした。
「やっぱり先生、これは嘘じゃないですけど、かっこいいですよ。大人の男て感じ。俺とか先輩と全然違う」
「さっきのが嘘みたいな言い方なのが気になるが、褒めてくれてありがとな」
「胴着の隙間の胸毛もいい感じですしね」
「見えてる?」
以外にも、胸毛について指摘すると、立成は胴着の胸元を抑える仕草をした。
「いいと思いますよ。俺はかっこいいと思います。あ、でも女子受けはよくないかも?」
「うぅ、やっぱそうだよなぁ」
「・・・もしかして、気にしてます?コンプレックスだったり?」
「昔は気にして、剃ったりしていたんだが、剃るとまた濃くなるような気がして、やめてしまった」
「へぇ、先生にもそんな時代があったんですね。じゃあ、次は帯と袴ですね。ズボンを脱いでください」
「あぁ」
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