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「どちらかが調香師の設定で浮気と勘違いして喧嘩する」
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今日は久しぶりに仕事が定時で終わった。ルンルンと体を弾ませながら彼の待つ家にむかう。勝手知ったる彼の家とはいえ、申し訳程度の礼儀をもって玄関のチャイムをならす。数十秒しないうちにドアを開けて迎え入れてくれた。今、帰ってきていたのだろうか。脱ぎかけで肌蹴たワイシャツがまぶしい。いつ見ても格好良くて惚れ惚れしてしまう。
久しぶりの逢瀬で高鳴る鼓動を押さえつつ彼に抱きつく。キスをねだるように頭を上に上げて、甘える仕草で彼を見つめる。近づいてきた唇に目を閉じようとした時、彼からふわりと香水の匂いがした。
ホワイトムスクに強調された気品あふれるベンゾインにキャラメルがほどよく絡む。それはまさに唯一無二の印象をはなつ。彼の持っているものではなく明らかに女性の香水の香りだ。キスをする寸前で驚いてバッと体をはなしてしまう。
「どうした?」
「・・・・・・臭いがする。」
「え?」
「なんで女性物の香水の香りがするの?直人はこんな匂いじゃない。」
「あ?あー・・・・・・今日仕事であった人が香水くさい人だったから、匂いがうつったんじゃないか?」
確かに人と触れ合ってなくても香りが移ることは多々ある。しかしながら、バニラのように甘く濃密な香りが、彼からこれほどしているせいでまともに頭が働かなくなる。実は浮気をしてしまっているのではないのか?疑心暗鬼にかられる。
「疑ってるのか?」
「・・・・・・。」
「はぁ、せっかく久しぶりにあったってのに・・・・・・。」
ぷいっと彼の顔から背けてしまう。『おい』とか『誤解だって』といっているがわざとそっけない態度で彼を無視する。すると大きくため息をして力のない目を俺に向けてきた。その落胆とした表情はどこか諦めているようだ。彼は何を言うでもなくリビングにある、ソファへ脱力したように座る。
離れてしまい彼の体温を感じられなくて、先ほどとは違う不安にかられてしまう。やりすぎてしまった・・・・・・。
彼の座っているソファに近づき、隣にそっと座る。彼は俺の様子に反応することなく前を向いている。彼の方に首を持たれかけ、ぐりぐりと頭を押しつける。女の匂いを消すかのようにひたすらに無言で体を押し続ける。彼からため息が出たと思うとぐいっと引っ張られた。次の瞬間、ソファへ反転するように抱きしめられる。
「落ち着いたか?」
「うん・・・・・・。」
「お前は香りに詳しいんだからわかるだろ?」
「ごめん。直人から知らない香りがして・・・・・・頭ではわかってたけど。」
彼の体温を感じて、ようやく心を落ち着かせることができた。
「フッ・・・・・・お前は本当に俺が好きなんだな。」
「ナッ!?・・・・・・そ、そんぅんッ!」
「なぁ、お前の香りで・・・・・・俺を満たしてくれるか??」
「ンッ・・・・・・しかたな、ない・・・・・・んっ。」
小鳥のように啄ばむキスを与えてくれる。彼の瞳が劣情をかき立てられたように濡れていた。そんな彼に見つめられると先ほどまでのどうしようもない気持ちがなくなってしまう。深くなっていくキスにうっとりと身をゆだねるように彼の首に腕を回した。
久しぶりの逢瀬で高鳴る鼓動を押さえつつ彼に抱きつく。キスをねだるように頭を上に上げて、甘える仕草で彼を見つめる。近づいてきた唇に目を閉じようとした時、彼からふわりと香水の匂いがした。
ホワイトムスクに強調された気品あふれるベンゾインにキャラメルがほどよく絡む。それはまさに唯一無二の印象をはなつ。彼の持っているものではなく明らかに女性の香水の香りだ。キスをする寸前で驚いてバッと体をはなしてしまう。
「どうした?」
「・・・・・・臭いがする。」
「え?」
「なんで女性物の香水の香りがするの?直人はこんな匂いじゃない。」
「あ?あー・・・・・・今日仕事であった人が香水くさい人だったから、匂いがうつったんじゃないか?」
確かに人と触れ合ってなくても香りが移ることは多々ある。しかしながら、バニラのように甘く濃密な香りが、彼からこれほどしているせいでまともに頭が働かなくなる。実は浮気をしてしまっているのではないのか?疑心暗鬼にかられる。
「疑ってるのか?」
「・・・・・・。」
「はぁ、せっかく久しぶりにあったってのに・・・・・・。」
ぷいっと彼の顔から背けてしまう。『おい』とか『誤解だって』といっているがわざとそっけない態度で彼を無視する。すると大きくため息をして力のない目を俺に向けてきた。その落胆とした表情はどこか諦めているようだ。彼は何を言うでもなくリビングにある、ソファへ脱力したように座る。
離れてしまい彼の体温を感じられなくて、先ほどとは違う不安にかられてしまう。やりすぎてしまった・・・・・・。
彼の座っているソファに近づき、隣にそっと座る。彼は俺の様子に反応することなく前を向いている。彼の方に首を持たれかけ、ぐりぐりと頭を押しつける。女の匂いを消すかのようにひたすらに無言で体を押し続ける。彼からため息が出たと思うとぐいっと引っ張られた。次の瞬間、ソファへ反転するように抱きしめられる。
「落ち着いたか?」
「うん・・・・・・。」
「お前は香りに詳しいんだからわかるだろ?」
「ごめん。直人から知らない香りがして・・・・・・頭ではわかってたけど。」
彼の体温を感じて、ようやく心を落ち着かせることができた。
「フッ・・・・・・お前は本当に俺が好きなんだな。」
「ナッ!?・・・・・・そ、そんぅんッ!」
「なぁ、お前の香りで・・・・・・俺を満たしてくれるか??」
「ンッ・・・・・・しかたな、ない・・・・・・んっ。」
小鳥のように啄ばむキスを与えてくれる。彼の瞳が劣情をかき立てられたように濡れていた。そんな彼に見つめられると先ほどまでのどうしようもない気持ちがなくなってしまう。深くなっていくキスにうっとりと身をゆだねるように彼の首に腕を回した。
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