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アルジー = ホイットニーの憂鬱
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「・・・・・・天空の意思に従い、許されざる穢れを氷結のもとにはらいたまえ【ジエロ】」
教科書で習った通りに詠唱するが、問題の魔法はうんともすんともいわない。
「あれ?あれ?」
「好きあり!!」
「いやぁあああ~!!」
杖を振りながら何度も唱えるが結局発動することができず、そのまま試合相手から魔法の攻撃を受けて吹き飛ばされて気を失ってしまった。
「アルジーさん!!、アルジーホイットニーさん!!」
「は、はい!!」
「大丈夫ですか?技術実習はもう終わりましたよ。」
「す、すいませんでした。」
授業が終わるまで気絶していたのか、先生に起こされて目を覚ます。先生も呆れた顔で私のことを見ていた。恥ずかしくて下をうつむいたまま、顔を赤らめてしまう。
「もうすこし、詠唱の勉強をしておかないとだめですよ。」
「は、はい。すいません・・・・・・。」
先生からのお小言に落ち込みながら実習室を後にした。廊下をトボトボと歩きながら何度目かのため息をつく。するとふと後ろから声をかけられた。
「よう、不発のアルジー。」
嫌味をいってきた彼の名はマーティン。同級生で何かと私のことをからかってくる。彼のせいで『不発』なんて不名誉な二つ名までついてしまった。少しイケメンだからっていい気になりすぎなのよ!!
「マーティン・・・・・・嫌味を言いにきたわけ?」
「いや、今日もドジってるかとおもっただけさ。」
「あなたって本当に意地悪な奴ね。」
「ハハハ、褒め言葉だと受け取っておくよ。お前も頑張りな!!」
むぅっと唇を尖らせて怒っているが、彼はどこ気にする風でもなく。そのまま笑って去っていった。
お昼の時間になってもまだ彼に対する怒りが収まらない。お弁当にぶつけるように勢いよく食べていく。
「くっそぉー!!・・・・・・モグッ、マーティンのやろう!!・・・・・・ハグッ、ちょっと魔法が、できて・・・・・・もぐもぐ・・・・・・イケメンだからって、いい気になりやがって!!・・・・・・ハグハグ。」
「落ち着きなよルジィ。そんなに慌てると。」
「ングゥッ!!」
勢いよく食べ過ぎたために喉に食べ物をつまらせて呼吸が出来なくなる。苦しくなって喉元を押さえていると友人のメグが慌てたように水を差し出してきた。それを一気飲みする。
「・・・・・・んぐんぐ・・・・・・プファっ!!」
「ほら、いったのに。アンタってホント落ち着きないわね。」
「メグまで・・・・・・。どうせ私は不発のアルジーですよぉ~。」
呆れた様子のメグにふたたび落ち込んでしまい。ふて腐れてしまう。慣れてしまっているのか彼女は、そんな私に慌てることなくゆっくりとお弁当のおかずを口に運んでいた。
「それで今回はなにで失敗したの??」
「初級氷魔法のジエロ」
「・・・・・・。」
「そ、そんな目で見ないで!!今日は詠唱もうまくいったはずなんだよ!!」
初級魔法を失敗する人など、この高等部の中ではもう私くらいしかいないだろう。心底あきれた顔のメグに塞がりかけていた傷口が大きくひらく。
「あっそ、だとすると何が原因かな?」
「せっかく杖も新調したのに!!」
「あ、それ?」
「これ??大通りの杖屋さんで売ってたのを買ったの!!高かったけど威力倍増なんだって!!」
自慢するように杖をだして、ドヤ顔でメグに杖を見せる。彼女はアラッとした表情をして受け取ると、杖をグルグルみていた。
「いや、ここの杖に書いてある紋章・・・・・・火属性だよ。」
「・・・・・・え?!」
二人の間に長い沈黙が流れる。遠くの空では馬鹿にしたようにアルバトロスが鳴いていた。
アルジー・ホイットニーの受難は続く?彼女ははたして魔法使いとして無事、学校を卒業できるのだろうか??
教科書で習った通りに詠唱するが、問題の魔法はうんともすんともいわない。
「あれ?あれ?」
「好きあり!!」
「いやぁあああ~!!」
杖を振りながら何度も唱えるが結局発動することができず、そのまま試合相手から魔法の攻撃を受けて吹き飛ばされて気を失ってしまった。
「アルジーさん!!、アルジーホイットニーさん!!」
「は、はい!!」
「大丈夫ですか?技術実習はもう終わりましたよ。」
「す、すいませんでした。」
授業が終わるまで気絶していたのか、先生に起こされて目を覚ます。先生も呆れた顔で私のことを見ていた。恥ずかしくて下をうつむいたまま、顔を赤らめてしまう。
「もうすこし、詠唱の勉強をしておかないとだめですよ。」
「は、はい。すいません・・・・・・。」
先生からのお小言に落ち込みながら実習室を後にした。廊下をトボトボと歩きながら何度目かのため息をつく。するとふと後ろから声をかけられた。
「よう、不発のアルジー。」
嫌味をいってきた彼の名はマーティン。同級生で何かと私のことをからかってくる。彼のせいで『不発』なんて不名誉な二つ名までついてしまった。少しイケメンだからっていい気になりすぎなのよ!!
「マーティン・・・・・・嫌味を言いにきたわけ?」
「いや、今日もドジってるかとおもっただけさ。」
「あなたって本当に意地悪な奴ね。」
「ハハハ、褒め言葉だと受け取っておくよ。お前も頑張りな!!」
むぅっと唇を尖らせて怒っているが、彼はどこ気にする風でもなく。そのまま笑って去っていった。
お昼の時間になってもまだ彼に対する怒りが収まらない。お弁当にぶつけるように勢いよく食べていく。
「くっそぉー!!・・・・・・モグッ、マーティンのやろう!!・・・・・・ハグッ、ちょっと魔法が、できて・・・・・・もぐもぐ・・・・・・イケメンだからって、いい気になりやがって!!・・・・・・ハグハグ。」
「落ち着きなよルジィ。そんなに慌てると。」
「ングゥッ!!」
勢いよく食べ過ぎたために喉に食べ物をつまらせて呼吸が出来なくなる。苦しくなって喉元を押さえていると友人のメグが慌てたように水を差し出してきた。それを一気飲みする。
「・・・・・・んぐんぐ・・・・・・プファっ!!」
「ほら、いったのに。アンタってホント落ち着きないわね。」
「メグまで・・・・・・。どうせ私は不発のアルジーですよぉ~。」
呆れた様子のメグにふたたび落ち込んでしまい。ふて腐れてしまう。慣れてしまっているのか彼女は、そんな私に慌てることなくゆっくりとお弁当のおかずを口に運んでいた。
「それで今回はなにで失敗したの??」
「初級氷魔法のジエロ」
「・・・・・・。」
「そ、そんな目で見ないで!!今日は詠唱もうまくいったはずなんだよ!!」
初級魔法を失敗する人など、この高等部の中ではもう私くらいしかいないだろう。心底あきれた顔のメグに塞がりかけていた傷口が大きくひらく。
「あっそ、だとすると何が原因かな?」
「せっかく杖も新調したのに!!」
「あ、それ?」
「これ??大通りの杖屋さんで売ってたのを買ったの!!高かったけど威力倍増なんだって!!」
自慢するように杖をだして、ドヤ顔でメグに杖を見せる。彼女はアラッとした表情をして受け取ると、杖をグルグルみていた。
「いや、ここの杖に書いてある紋章・・・・・・火属性だよ。」
「・・・・・・え?!」
二人の間に長い沈黙が流れる。遠くの空では馬鹿にしたようにアルバトロスが鳴いていた。
アルジー・ホイットニーの受難は続く?彼女ははたして魔法使いとして無事、学校を卒業できるのだろうか??
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