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ジャーマンハンバーグのランチセットを一つ

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 久々の外食は地元で有名なハンバーグ屋さんだ。勿論それだけでなく、ナポリタンやラーメンなども美味しいと評判でる。手作りのメニュー表を手に取ると長年の油で少しだけべたついていた。一枚一枚丁寧にめくる。どれも美味しそうで目移りしてしまう。
 視界の端にうつるランチセットの文字には、ラーメンとのセットだと書かれている。お腹がこのメニューにしろと泣き叫び、その恥ずかしさから押さえつけて誤魔化す。幸いにも周囲の人たちが気づくことはなかった。急いで注文を頼むと、さして待たずに店員さんが料理を持ってきた。
 鉄板を置かれた瞬間、匂いのヴェールが自分を包み込む。目を閉じて深い呼吸を一つ。目を開けば、鉄板の上には大きなハンバーグが広がっている。手の平くらいはあるだろう。その上にはマグマのように真っ赤なトマトソースがかかっている。
 肉とソースが混ざり合い、そこから生まれる香りはこの世の物とは思えないほどだ。さらにはドーンとのった目玉焼きがその存在感を強くさせ、ハンバーグに視界を奪われてしまう。
 気づいたらラーメンが運ばれていた。今度はラーメンに視線を移す。透き通った醤油のスープはきらめいていた。どちらにしようか迷いながら心の中で数え歌を歌い、指がラーメンでとまる。熱々の器を手前にもってきて箸を手に取る。まず、スープを一口。その瞬間、口の中に懐かしい味が突撃して広がった。鶏がらと醤油を組み合わせることで生まれる深い味わいに何もいえなくなる。もう箸をとめることが出来ない。勢いよく麺をすする。細めの縮れた麺がスープを程よく絡み、それがさらなるうまみを増していく。具はメンマとわかめのみと少なすぎる気もするが問題はない。
 なぜならハンバーグがあるからだ。少し目を離したすきに覚めてしまってないか慌てて見てみる。今も鉄板の上で楽しそうに踊っているハンバーグに案心した。箸からナイフとフォークに切り替える。そっと肉の上でナイフを触れるとそのままスッと刃が降りる。すると待ってましたとばかりに肉汁があふれ出てきた。ごくりと生唾を飲み込む。こぼれてしまわないように、フォークでしっかりと肉を掴むと恐る恐る口に含む。途端に電撃が走り思考が停止する。ここは天国なのだろうか?トマトソースの酸味、甘みが肉と混ざり合い完璧なまでのハーモニーを醸しだしていた。生きていてよかったと心のそこから思えるほどに美味い。さらに目玉焼きの黄身と肉を混ぜて食べる。そのことで思いのほかソースの味が濃かったことを感じることができた。黄身と合わせることでまろやかさが絶妙になる。あぁ、こんなにもハンバーグとは美味しいのだと改めて感じることができた昼だった。
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