【側妻になった男の僕。】【何故か正妻になった男の僕。】アナザーストーリー

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#36

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「ーそれで、ゼリムが早とちりして別国に礼状を出してしまって…。」
「何をやっているんだ、あの馬鹿は。」
ルイスはゼリムさんのエピソードに頭を抱え、はあ、とため息を着く。
テーブルを挟んだ2人がけのソファーには、僕とルイス、反対側にはレムさんとゼルダさんが座っている。
ゼリムさんとエリカちゃんはもうすっかり仲良し、と言った様子で、同じ部屋の中を走り回ったり、絵を書いたりして遊んでいた。…ゼルダさん曰く、「精神年齢が近いので、早々に打ち解けたのでしょう」との事だった。
「いぇーい!!!!!!!」
「きゃ~!」
2人はさっきまで部屋の隅でこしょこしょ話をしていたと思ったら、今度は肩車をして遊んでいる。
ゼリムさんもエリカちゃんもすごいな…。ゼリムさんて、結構強面だと思うんだけど。
「…しかし、ゼリムが幼子と居るとなんだか違和感だな。」
紅茶を口にしながらゼルダさんは呟く。
「成人男性しかも大柄であんな奇妙な容姿だ。当たり前だろう。」
サラッと済ました顔でレムさんは毒を吐く。この人もほんとに変わらないな…。
「でも、エリカちゃんとこんなに仲良くしてくれてとっても嬉しいですよ。」
きゃっきゃとあそぶ2人を眺めながら僕は言った。
ほとんど、近所の女の子の友達とあそぶエリカちゃんしか見たことがなかったから、ゼルダさんとか違う意味でちょっと新鮮だった。なんか、近所のお兄ちゃんと遊んでる、みたいな新しい感覚に僕は陥った。
「…時にゼルダ。お前はさっきから何をソワソワしている?」
「えっ」
「え?」
さっきから静かだな、とは思ってたけど、ルイスがいきなりそう言った。
ルイスの唐突な指摘に僕とレムさんは視線をゼルダさんに送る。
ゼルダさんはまるで、イタズラがバレてしまった少年のような表情をしていた。
「おいなんだその顔…変にニヤニヤしやがって…。」
軽い軽蔑のような眼差しを容赦なくゼルダさんに注ぎ込むレムさん。そ、そこまでしなくてもいいのになあ。
はっと僕の頭の中にとある考えが浮かんできた。
「あっもしかして。」
僕がそこまで言うと、ゼルダさんは観念したかのように少しだけ顔を赤らめて見せた。
「ウィル様には敵いませんね…。御察しの通りです。」
「は?どういう事だ。主語述語をしっかりと言え。」
「レム、そう追い打ちをかけるな。おい、ゼリム!交代だ。」
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