1 / 6
title 5
#31
しおりを挟む
今日は天気がめちゃくちゃいい日。
久しぶりに、家族3人で街へ行こうと思う。なぜかと言うと…
「お前たち、早くしろ。」
「わ、ちょっと待ってくださいよ、ルイス~。」
ルイスはテキパキと準備を済ませ、玄関で僕達を急かす。その表情は何処と無くワクワクしている様子だった。
ルイスに比べて、僕とエリカちゃんは身支度が遅い。
エリカちゃんが靴を履くと、差し伸べられていたルイスの手を握った。
「ウィルも!」
「うん!」
空いているエリカちゃんの右手を、僕は握った。
今日は王室へ赴く際の服を買いに街へと行く。
ルイスは、早くあの3人の方に会いたくて仕方ない、と言った雰囲気だ。
「ねえウィル。今日はお洋服を買いに行くんでしょ?」
暖かくなってきて、ピンク色のリボンで結んだ長く柔らかい金髪を揺らしながら彼女は僕にそう聞く。
「うん。そうだよ。」
僕がそう答えるとエリカちゃんは嬉しそうにニコニコと笑う。
・・・
汽車に少し乗って、洋服屋に到着した。
いつも行く洋服屋とは少し違って、ここはスーツやドレスを専門的に扱う店だった。
僕らが昔使用したとはいえ、それは機密情報だし、これから行く場所は一国の王室。かなりきちんとした格好をしなくてはならない。
「すっごくオシャレなお店だね。」
エリカちゃんは、静かな雰囲気を感じ取ったのか、ルイスにこしょこしょ話でそう伝える。エリカちゃんに耳を貸すためにしゃがむルイスを見ていると、微笑ましい。
ルイスはエリカちゃんに、そうだな、と返し彼女の頭を優しく撫でた。
それから、ルイスと僕はスーツを。エリカちゃんはドレスを選ぶ。
ルイスのスーツはすぐに決まった。黒いスーツだ。
そうして見てみると、ルイスは本当に黒が似合う人だ。身長も高いから、黒いパンツを履くことでさらに足が長く見える。(羨ましい)
僕はなかなか決まらなかったから、ルイスと一緒に選んだ。
ルイスが僕に選んでくれたのは、深い深いブルーの生地に少し大きな正方形が正しく羅列された柄のスーツだった。
柄が入ったスーツはあまり着たことがなく、すこし緊張したが、ルイスが僕に似合うと言ってくれたのでこれに決定した。
… …こまったのは、エリカちゃん。
「ねえ、ルイス?」
「なんだ?」
「僕エリカちゃんくらい幼い女の子のドレス、選んだことなくて…その、どういうの選べば…とか分からないんですけど…。」
「奇遇だな、ウィル。私も幼女のドレスなど、選んだことがない。」
「ウィル、ルイス~。全部可愛くて決まらないよ。」
僕もルイスも、エリカちゃんを初めてお風呂に入れる時の事を思い出させた。
困った…!!
・・・
結局、エリカちゃんのドレスは女性の店員さんのアドバイスを参考にして決めた。
エリカちゃんは、美しい金髪と潤うローズピンクの瞳を持ち合わせている。
その事に着目した店員さんは、白とピンクを基調としたシンプルなフリルドレスを進めてくれた。
ポニーテール姿の彼女とドレスはとてもマッチしていて、納得したルイスと僕はそれを購入した。
エリカちゃん自身もとても気に入っているそうで安心した。
あしたは、今日買ったドレスやスーツを着て、アルヴァマー帝国へ行く。
帰りの汽車に乗りながら、なんだか、とても感慨深い気持ちになった。
ルイスの顔をチラッと伺うと、それはルイスも同じようだった。
「ウィル。…とても楽しみだ。」
「ええ。僕もですよ。ドキドキしています。」
そう言って僕はルイスの肩に頭をトン、と乗せた。
「明日は旅行に行くんでしょ?私とっても楽しみ!」
ルイスの膝の上に座っているエリカちゃんは両手でルイスの腕をギュッと抱き寄せた。
久しぶりに、家族3人で街へ行こうと思う。なぜかと言うと…
「お前たち、早くしろ。」
「わ、ちょっと待ってくださいよ、ルイス~。」
ルイスはテキパキと準備を済ませ、玄関で僕達を急かす。その表情は何処と無くワクワクしている様子だった。
ルイスに比べて、僕とエリカちゃんは身支度が遅い。
エリカちゃんが靴を履くと、差し伸べられていたルイスの手を握った。
「ウィルも!」
「うん!」
空いているエリカちゃんの右手を、僕は握った。
今日は王室へ赴く際の服を買いに街へと行く。
ルイスは、早くあの3人の方に会いたくて仕方ない、と言った雰囲気だ。
「ねえウィル。今日はお洋服を買いに行くんでしょ?」
暖かくなってきて、ピンク色のリボンで結んだ長く柔らかい金髪を揺らしながら彼女は僕にそう聞く。
「うん。そうだよ。」
僕がそう答えるとエリカちゃんは嬉しそうにニコニコと笑う。
・・・
汽車に少し乗って、洋服屋に到着した。
いつも行く洋服屋とは少し違って、ここはスーツやドレスを専門的に扱う店だった。
僕らが昔使用したとはいえ、それは機密情報だし、これから行く場所は一国の王室。かなりきちんとした格好をしなくてはならない。
「すっごくオシャレなお店だね。」
エリカちゃんは、静かな雰囲気を感じ取ったのか、ルイスにこしょこしょ話でそう伝える。エリカちゃんに耳を貸すためにしゃがむルイスを見ていると、微笑ましい。
ルイスはエリカちゃんに、そうだな、と返し彼女の頭を優しく撫でた。
それから、ルイスと僕はスーツを。エリカちゃんはドレスを選ぶ。
ルイスのスーツはすぐに決まった。黒いスーツだ。
そうして見てみると、ルイスは本当に黒が似合う人だ。身長も高いから、黒いパンツを履くことでさらに足が長く見える。(羨ましい)
僕はなかなか決まらなかったから、ルイスと一緒に選んだ。
ルイスが僕に選んでくれたのは、深い深いブルーの生地に少し大きな正方形が正しく羅列された柄のスーツだった。
柄が入ったスーツはあまり着たことがなく、すこし緊張したが、ルイスが僕に似合うと言ってくれたのでこれに決定した。
… …こまったのは、エリカちゃん。
「ねえ、ルイス?」
「なんだ?」
「僕エリカちゃんくらい幼い女の子のドレス、選んだことなくて…その、どういうの選べば…とか分からないんですけど…。」
「奇遇だな、ウィル。私も幼女のドレスなど、選んだことがない。」
「ウィル、ルイス~。全部可愛くて決まらないよ。」
僕もルイスも、エリカちゃんを初めてお風呂に入れる時の事を思い出させた。
困った…!!
・・・
結局、エリカちゃんのドレスは女性の店員さんのアドバイスを参考にして決めた。
エリカちゃんは、美しい金髪と潤うローズピンクの瞳を持ち合わせている。
その事に着目した店員さんは、白とピンクを基調としたシンプルなフリルドレスを進めてくれた。
ポニーテール姿の彼女とドレスはとてもマッチしていて、納得したルイスと僕はそれを購入した。
エリカちゃん自身もとても気に入っているそうで安心した。
あしたは、今日買ったドレスやスーツを着て、アルヴァマー帝国へ行く。
帰りの汽車に乗りながら、なんだか、とても感慨深い気持ちになった。
ルイスの顔をチラッと伺うと、それはルイスも同じようだった。
「ウィル。…とても楽しみだ。」
「ええ。僕もですよ。ドキドキしています。」
そう言って僕はルイスの肩に頭をトン、と乗せた。
「明日は旅行に行くんでしょ?私とっても楽しみ!」
ルイスの膝の上に座っているエリカちゃんは両手でルイスの腕をギュッと抱き寄せた。
8
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説



顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!
彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど…
…平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!!
登場人物×恋には無自覚な主人公
※溺愛
❀気ままに投稿
❀ゆるゆる更新
❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!


使命を全うするために俺は死にます。
あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。
とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。
だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった
なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。
それが、みなに忘れられても_

過食症の僕なんかが異世界に行ったって……
おがとま
BL
過食症の受け「春」は自身の醜さに苦しんでいた。そこに強い光が差し込み異世界に…?!
ではなく、神様の私欲の巻き添えをくらい、雑に異世界に飛ばされてしまった。まあそこでなんやかんやあって攻め「ギル」に出会う。ギルは街1番の鍛冶屋、真面目で筋肉ムキムキ。
凸凹な2人がお互いを意識し、尊敬し、愛し合う物語。

とある冒険者達の話
灯倉日鈴(合歓鈴)
BL
平凡な魔法使いのハーシュと、美形天才剣士のサンフォードは幼馴染。
ある日、ハーシュは冒険者パーティから追放されることになって……。
ほのぼの執着な短いお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる