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第三章~悪魔の気持ち~

離れても思い出してもらえるように

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「俺んち……てかばーちゃんちだけど、来てよ」


「え、あっ……うん」



すこし顔をまた赤くしながら頷く。



「ちょうど誰もいないから」


「うっ……!」



心海の顔を覗けば、凄まじい勢いで変化してく表情に笑いがこみ上げる。



「ふはっ!お前、ほんと最高」


「え!?なにが!?」


「なんかもう全部」



心海といると嫌なこともすべてがどうでもよくなる。

俺にはどうすることもできない未来とか、心海といればどうにかなるような気さえしてくる。

現実は、どうにもならない未来なんだけど。



「音哉に言わないと……」


「まぁ、おいおいでいいじゃん」


「意外。すぐにでも別れろとか言いそうなのに」


「まぁ、な」



本当なら、すぐにでも別れを告げてほしい。
でも、俺はもういなくなるから。

だから、その後心海を支えてくれる存在が必要だから。

それが俺じゃないのが残念だけど。



「どうぞ」


「おじゃましまーす」



靴を揃えて置いて俺の後についてくる。



「おばあちゃんちなんだっけ?」


「そう。ここ、母さんの実家」


「なんでここに?」



首を傾げて聞いてくる。



「ほんとはさ、ここに住む予定じゃなくて。母さんの帰省についてきたの」


「へー?」


「でも、あの日心海に出会ったから。無理やり編入した」


「……暁」



嬉しそうに笑う心海。

俺の言葉に笑顔を見せてくれるなんて、出会った日からは想像もつかない。



「好きになってくれてありがと」


「んっ……」



心海の唇に軽く口付けをする。



「なぁ、俺のだって印つけてもいい?」


「……っ」


「つけたい。俺のだって証明したい」


「い、いよ」



恥ずかしそうに俯きながら答える。



「心海、好きだよ」



耳元で呟いて、まず耳を甘く噛む。



「あっ……」


「耳、感じるんだ」



「……っ、んっ」



心海の声が可愛くて、耳を舐めてみれば甘い声が聞こえる。



「……んっ」



耳元から首筋へ舌を転がして、心海の可愛くて甘い声を堪能する。



「んっ!」



首筋に俺のだって印を強く付ける。



「隠せないよ……」


「嬉しいくせに」


「音哉にやっぱり言わないと……これが誰かの口から聞かされてからじゃ……んっ」



心海の言葉を遮るように、唇に口付けをして舌を割り入れる。



「俺といるのにそいつの名前出されんのほんとムカつく」


「ご、ごめん」


「俺のせいにすればいんだよ。お前はなんも悪くねぇ。俺を好きになるように仕向けたのは俺だ」



人一倍わかりやすい心海は、どんなふうにすれば俺のことを見てくれるかなんて、なんとなくわかった。

それができたから、心海は俺を見てくれた。
だから、心海はなんの責任も感じることはないんだ。



「心海、俺のものにしていい?」


「……っ、う、ん」


「初めてじゃないよな?」


「う……うん」



俺が初めてがよかったなんて、そんな贅沢は不要だ。
でも、願うなら俺が最初で最後がよかった。

最後ってのは酷な話だけど。

この日、俺はもう抱けなくなる温もりを
強く強く、抱いた。

離れてもこの温もりを思い出せるように。
離れてもこの温もりを思い出してもらえるように。



「……愛してる」



寝てる心海の唇にそっと自分の唇を落とす。
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